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33 太陽を背負った男③
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砂丘を下りて家々を抜けると、つい昨日にはなかったはずの大量のテントが市場を形成しているのが見えた。
「これが、バザールか」
人びとのにぎわう市場を練り歩く間、シュンはメダルを首から外して片手でささげ持ち、その一方を隼斗につかむように言った。
そうすることで、隼斗はシュンの声だけでなく、市場のざわめきを直接感じることができた。
ひとつひとつテントをのぞきながら進む隼斗と違い、シュンは王の隊列に向けて一直線に突き進んでいく。
「クフ王に会いたいの?」
隼斗は尋ねたが、シュンは返事の変わりにアゴをしゃくって広場の先を指し示した。
「……輿のすぐそばに陣取っているのが、王の従兄弟ヘムオン。彼はこのピラミッド建設現場の最高責任者だ」
うながされるまま首を伸ばすと、あわてふためいた様子のヘムオンが、大げさに両手を上下させているのが見える。
奇妙なことに、ヘムオンは王が広場から出ないように苦心しているらしかった。
「いいか。何があっても、自分を……信じるんだ」
シュンはぽつりとつぶやくと、隼斗のひとみを真正面からのぞき込んでくる。
不思議に思った隼斗が何か反応するよりも早く、彼は腕を伸ばし、勢いをつけて体当たりしてきた。そのあまりにも唐突な出来事に、前にのめった隼斗は、まったく受身も取れずに伏せった。
気色ばむ護衛兵の向こう側で、人垣が大きく割れる。
だれかが、何かを叫んだ。わめきたて、コブシを振り上げ、鋭い剣が突きつけられる。耳に手を当て、頭を振ると、隼斗はシュンの姿を探した。
「待って……待ってよ! シュン! シュン! ……置いていかないで……」
メダルから手を離した隼斗は、ことばが理解できない。
次々に知らないことばを浴びせられ、パニックになる隼斗。騒動に気づいたヘムオンが、遠巻きにこちらを向いた。
あれは、と隼斗は絶句する。黒い短髪と、濃いダークブラウンのひとみ。
「なんで父さんがここにいるの?」
隼斗の身代わりにサンドワームに追い立てられ、砂漠で離れ離れになったはずの父。それが、なぜ王の従兄弟ヘムオンと呼ばれているのか。
「これが、バザールか」
人びとのにぎわう市場を練り歩く間、シュンはメダルを首から外して片手でささげ持ち、その一方を隼斗につかむように言った。
そうすることで、隼斗はシュンの声だけでなく、市場のざわめきを直接感じることができた。
ひとつひとつテントをのぞきながら進む隼斗と違い、シュンは王の隊列に向けて一直線に突き進んでいく。
「クフ王に会いたいの?」
隼斗は尋ねたが、シュンは返事の変わりにアゴをしゃくって広場の先を指し示した。
「……輿のすぐそばに陣取っているのが、王の従兄弟ヘムオン。彼はこのピラミッド建設現場の最高責任者だ」
うながされるまま首を伸ばすと、あわてふためいた様子のヘムオンが、大げさに両手を上下させているのが見える。
奇妙なことに、ヘムオンは王が広場から出ないように苦心しているらしかった。
「いいか。何があっても、自分を……信じるんだ」
シュンはぽつりとつぶやくと、隼斗のひとみを真正面からのぞき込んでくる。
不思議に思った隼斗が何か反応するよりも早く、彼は腕を伸ばし、勢いをつけて体当たりしてきた。そのあまりにも唐突な出来事に、前にのめった隼斗は、まったく受身も取れずに伏せった。
気色ばむ護衛兵の向こう側で、人垣が大きく割れる。
だれかが、何かを叫んだ。わめきたて、コブシを振り上げ、鋭い剣が突きつけられる。耳に手を当て、頭を振ると、隼斗はシュンの姿を探した。
「待って……待ってよ! シュン! シュン! ……置いていかないで……」
メダルから手を離した隼斗は、ことばが理解できない。
次々に知らないことばを浴びせられ、パニックになる隼斗。騒動に気づいたヘムオンが、遠巻きにこちらを向いた。
あれは、と隼斗は絶句する。黒い短髪と、濃いダークブラウンのひとみ。
「なんで父さんがここにいるの?」
隼斗の身代わりにサンドワームに追い立てられ、砂漠で離れ離れになったはずの父。それが、なぜ王の従兄弟ヘムオンと呼ばれているのか。
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