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34 太陽を背負った男④
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「父さん? ……父さん!」
分厚い兵士の腕に組み伏せられ、いとも簡単に隼斗は地面に組み伏せられた。
すばやく取り押さえられ、腕のタブレットをするりと抜き取られた。あわてて目をやると、カウントダウンは二まで減っていた。
兵士はほかにも手を伸ばしてきたが、隼斗の持ち物といったら、これ以外にない。
得意満面の兵士は、タブレットを「父」の前に捧げた。
助けを求めるように目を向けると、なぜか周囲にヘムオンと認識されているらしい父は、もっともらしく皆に目礼してからそれを受け取った。
そのまま目を落として観察し、しばらく触っていたかと思うと、急に、はたと口元を押さえる。振り返り、兵士の列に合図した。兵士は一様に押し黙り、波が引くように後方に下がっていく。
続いて、うやうやしく膝を付き、王に何事か告げた。自由になった隼斗は居心地悪そうに立ち上がり、輿に乗ったままの大王クフを見やる。
飾りの付いた日よけガサのせいで、その表情まではうかがえないが、黄金や翡翠といった豪華な装飾品で身にまとった王は、太陽のように輝いて見えた。
父ヘムオンが誘導し、クフ王は豪華なテントの中へと消えていく。
「待って、父さん! ねえ!」
父ヘムオンはすぐに立ち止まり、隼斗のほうに顔を向けた。
続いて、両手を天高く突き上げて、群衆に向けて声を張る。不思議なことに、父のことばを隼斗は理解することができなかった。
「どうして?」
困りきった隼斗は、のろのろと後ずさる。
群集に目をやると、その中にシュンがいるのに気づいた。彼は真剣な面持ちで首からメダルを外すと、反動を付けて隼斗に向けてそれを放った。
きらきら弧を描いて宙を舞ったメダルを、隼斗はセンターフライをキャッチするように慎重に受け止めた。
ずしりとした感触が、隼斗の手のひらに戻った。
「この奇異な服装をしたこの者は、遠き異国より招いた預言者なのだ」
父ヘムオンの懐かしい声音が、隼斗の耳に届く。
「よいか、今日よりこの者は、わしの元でファラオに仕えることとなる」
芝居がかった口調でまくし立てた父は、隼斗に向けて小さく親指を立てた。
分厚い兵士の腕に組み伏せられ、いとも簡単に隼斗は地面に組み伏せられた。
すばやく取り押さえられ、腕のタブレットをするりと抜き取られた。あわてて目をやると、カウントダウンは二まで減っていた。
兵士はほかにも手を伸ばしてきたが、隼斗の持ち物といったら、これ以外にない。
得意満面の兵士は、タブレットを「父」の前に捧げた。
助けを求めるように目を向けると、なぜか周囲にヘムオンと認識されているらしい父は、もっともらしく皆に目礼してからそれを受け取った。
そのまま目を落として観察し、しばらく触っていたかと思うと、急に、はたと口元を押さえる。振り返り、兵士の列に合図した。兵士は一様に押し黙り、波が引くように後方に下がっていく。
続いて、うやうやしく膝を付き、王に何事か告げた。自由になった隼斗は居心地悪そうに立ち上がり、輿に乗ったままの大王クフを見やる。
飾りの付いた日よけガサのせいで、その表情まではうかがえないが、黄金や翡翠といった豪華な装飾品で身にまとった王は、太陽のように輝いて見えた。
父ヘムオンが誘導し、クフ王は豪華なテントの中へと消えていく。
「待って、父さん! ねえ!」
父ヘムオンはすぐに立ち止まり、隼斗のほうに顔を向けた。
続いて、両手を天高く突き上げて、群衆に向けて声を張る。不思議なことに、父のことばを隼斗は理解することができなかった。
「どうして?」
困りきった隼斗は、のろのろと後ずさる。
群集に目をやると、その中にシュンがいるのに気づいた。彼は真剣な面持ちで首からメダルを外すと、反動を付けて隼斗に向けてそれを放った。
きらきら弧を描いて宙を舞ったメダルを、隼斗はセンターフライをキャッチするように慎重に受け止めた。
ずしりとした感触が、隼斗の手のひらに戻った。
「この奇異な服装をしたこの者は、遠き異国より招いた預言者なのだ」
父ヘムオンの懐かしい声音が、隼斗の耳に届く。
「よいか、今日よりこの者は、わしの元でファラオに仕えることとなる」
芝居がかった口調でまくし立てた父は、隼斗に向けて小さく親指を立てた。
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