GELADEN~装弾済み~

如月 風佳

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過去

SWEET 1

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E-16…。

この街はあの時から柄が悪いヤツ等ばかりだったから…そいつらの所為でこんなに変わってしまったのかもしれないな…と思った。
 酷く荒れ果て、汚れた街に見えた。しかし、人々に元気があるだけまだ救いなのではないだろうか。

「おにぃーちゃんっ!!安いよっっ!買ってって!」

店の定員の声をひたすら無視した。

「…」

正直、煩い。かなり音感の良いヒビキとしては些細な音でさえ反応してしまうので人のたくさんいるところは好まない。ざわつく街を歩いただけで気を抜いていると脳に紙やすりを擦り付けられたような気持ちになってくるのだ。

それに…威勢がいいと言うのも考え物で…

大体、シヲンと出会ったのも、しつこい輩から助けたという感じだった。

『「あのー腕掴んでるんですけどっ。」』

『「いいじゃん、遊びに行こうよ!!」』

そう…そんな声が聞こえてきて―――――……。

「って、マジかよ…オイ。」

ヒビキは頭を抱えた。というより、笑いがこみ上げてくる。変わってないなぁ…あの女。ミルクティー色の長い髪。風に揺れる髪は繊維が細い。肌は白くて、男に強く掴まれた腕は可哀想に痛々しくピンク色に染まっている。

「嫌ですってば!! 彼氏いますからっっ!!」

掴まれた腕を振り払おうと必死なのかシヲンはヒビキに気付いていない。

「うっそだぁー…いいじゃんっ!!」

「よくないんですっ!!」

彼女の必死さが男はたまらなく楽しいのを彼女は知らないらしい…本当にそれは犯罪級なのではないだろうかと思う。

(鈍感…ってのかなぁ…コイツのこーゆーとこ。)

なんて事を思いながら、男の手を掴み取った。
「はいはいはいはい…わりぃーね、彼氏登場。」

「はっ?!!」

男が睨みつけてくる。
「いやいや、マジで。」

にっこり、笑った。男の叫び声が聞こえる。そりゃあ、そうだろう…。あの組織の中で握力はトップクラスだった。相手のコメカミさえ掴んでしまえは相手が失神するまで力を込められる。

「悪いけど。俺たち久々に逢ったわけ。四年越し…にね? もー…欲求不満で気が狂って一人二人ぶっ殺しそうな彼氏を目の前にして、よくもまぁ、ぬけぬけと…手を出そうとするねぇ…。ホント感心するわ…。」

男の指先白い手から離れ、硬直していく。まるで枯れ木のように。
 ヒビキは笑う、ニッコリと…。

離してやると、男は不恰好にコケながら去っていく。

「コントみてぇ」

そう言い失笑を零した。
シヲンの視線に気付き、目線を落とした。目を見開いている。おいおい…瞳孔まで開いてるぞ?
「よぉ…、ただいま。相変わらず、絡まれ上手だな。」

薄い茶色の瞳が静かな水面のように波打っていく。シヲンはまだピンク色になっている腕をヒビキの腕に回した。彼女の変わらない髪の香りが、すっ…鼻についた。うなじから髪に手を通し、小さい頭を自分に押し付けた。細い髪の毛が手に絡みつく。
 「ヒビキ、ホントに…ヒビキよね?」

「お前はシヲンだな。」

髪の毛の細さ、甘い香り、洗濯された衣服の香り、色の白さ、声、肌、睫毛…彼の感じるすべてだった。

「よく、顔見せて…」

涙を含んだ強い目で自分を見返してくる。
「赤い目。筋張って細い指。ピアス…私が上げたやつ。」

私の愛するすべて。

「これからしっかり、確かめられる。」

ヒビキが笑うと、シヲンがもう一度、しっかりと首に腕を回した。

「お帰り…、相変わらず、助け上手ね。

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