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「は、葉月さん?」
「葉月ちゃん?」
二人が私の行動に驚き名前を呼ぶ。でも、解決できるとも思えないから、うかつなことは言えないよね。こんなとき私が名探偵の子孫だったり、頭の回転の良い人間だったら、ズバリと解決できたんだろうなぁ。
名探偵、皆を集めてってやつよね。さて、って言ってみたいものだわ。まぁ、私じゃ絶対言えないだろうけど。その前にそんなシチュエーションはそうそうないよね。
……って、今じゃないの!
「部長、カフスはどこに置いてたんですか」
「お、おお。ここに置いてたんだ」
気を取り直して観察を続けてみる。
部長が置いていたというのは、机の端っこだ。何かの拍子ですぐに落ちてしまいそうな場所。下に落ちてないかな、とかがむけど、もちろん部長も確認したのだろう。落ちているわけはなかった。
「ん?」
床に何かがボロボロと落ちている。
「もう部長! 何かおやつとか食べたでしょう」
「はは。バレちゃったか。あとで葉月さんにもあげるよ。ハワイのクッキー」
あのナッツが入ってて美味しいやつだ。やったね。ちょっとチョコレートがかかっているやつも好きなんだよねぇ。
「って、あれ。部長海外旅行なんて、いつ行ったんですか」
「違う違う。コストコだよ、コストコ」
「なるほど」
私がいつも行きたいけど一人暮らしだから意味ないな、と諦めているあのコストコか。部長は行ってるんだ。うらやましい、
そうじゃない。
ナッツ、ナッツ。
それで、ふ、と思い出したことがあった。
もう一度床を検分するフリをしながら、小声でオルに話しかける。
「ねえオル。私のスティックセニョールちゃんを食べたやつ、覚えてる?」
「無論」
オルはドヤ顔で言うけれど、たった一言発しただけなのに、どうしてそんなにドヤ顔ができるのだろうか。少しは自重して。
今私が疑っているのは、我が庭の大切な野菜、食べ頃のスティックセニョールを、ぽっきりと横からかっさらっていったヤツだ。ただ、ナッツや甘い物は食べるけれど、カフスを食べることはしないはず。
オルは、ちらりと窓を見る。もう、はっきり言ってくれれば良いのに。
「あれ」
窓の手前にある低めのキャビネット。その上に置いていた書類が、ぐちゃぐちゃになっていた。
「もう、誰よ!」
「あらまぁ。私が整理しておきましょうかね」
赤尾さんが横から手を出してくれる。
「ほら見てくださいよ。しわくちゃに」
「うっわ、ほんと! 誰が提出した書類?」
ただ、それが二枚ほど。どちらも別々の人が出した書類で、さらに言えば、そんな書類を提出するようなタイプではない社員だった。
「うーん」
この書類の皺の入り方、なんだか人の手が入ったにしては不自然だ。
「あ、ここなんて破けてる。穴開いてるわよ」
そう言って赤尾さんが示したのは、ぐちゃぐちゃになった箇所の先。小さな亀裂がいくつか入っていた。
「あー……」
なんとなく想像が付いてきた。
オルが窓を見ていたことを思い出し、そこから体を乗り出してみた。
「葉月ちゃん! 危ない」
「大丈夫大丈夫」
体の三分の二が窓の内側にあるのだ。念のため、手もしっかりと窓枠を押さえている。あんまり運動神経が良くないので、無理はできない。
乗り出した先に、黒い塊が見えた。
「ん、あれってもしかして……」
スマートフォンを取り出し、カメラモードにする。倍率を最大値にまであげて、目的の場所を見てみると──。
ようやく見つけた。
「部長、ありましたよ。カフス」
私は倍率をあげまくったカメラで撮った写真を、部長に見せ、オルに目を遣った。彼は、満足気に頷いていたけれど、最初から答えをわかっていたなら、本当に教えて欲しい。そこから逆算してそれっぽいことを、考えるからさ。
「葉月ちゃん?」
二人が私の行動に驚き名前を呼ぶ。でも、解決できるとも思えないから、うかつなことは言えないよね。こんなとき私が名探偵の子孫だったり、頭の回転の良い人間だったら、ズバリと解決できたんだろうなぁ。
名探偵、皆を集めてってやつよね。さて、って言ってみたいものだわ。まぁ、私じゃ絶対言えないだろうけど。その前にそんなシチュエーションはそうそうないよね。
……って、今じゃないの!
「部長、カフスはどこに置いてたんですか」
「お、おお。ここに置いてたんだ」
気を取り直して観察を続けてみる。
部長が置いていたというのは、机の端っこだ。何かの拍子ですぐに落ちてしまいそうな場所。下に落ちてないかな、とかがむけど、もちろん部長も確認したのだろう。落ちているわけはなかった。
「ん?」
床に何かがボロボロと落ちている。
「もう部長! 何かおやつとか食べたでしょう」
「はは。バレちゃったか。あとで葉月さんにもあげるよ。ハワイのクッキー」
あのナッツが入ってて美味しいやつだ。やったね。ちょっとチョコレートがかかっているやつも好きなんだよねぇ。
「って、あれ。部長海外旅行なんて、いつ行ったんですか」
「違う違う。コストコだよ、コストコ」
「なるほど」
私がいつも行きたいけど一人暮らしだから意味ないな、と諦めているあのコストコか。部長は行ってるんだ。うらやましい、
そうじゃない。
ナッツ、ナッツ。
それで、ふ、と思い出したことがあった。
もう一度床を検分するフリをしながら、小声でオルに話しかける。
「ねえオル。私のスティックセニョールちゃんを食べたやつ、覚えてる?」
「無論」
オルはドヤ顔で言うけれど、たった一言発しただけなのに、どうしてそんなにドヤ顔ができるのだろうか。少しは自重して。
今私が疑っているのは、我が庭の大切な野菜、食べ頃のスティックセニョールを、ぽっきりと横からかっさらっていったヤツだ。ただ、ナッツや甘い物は食べるけれど、カフスを食べることはしないはず。
オルは、ちらりと窓を見る。もう、はっきり言ってくれれば良いのに。
「あれ」
窓の手前にある低めのキャビネット。その上に置いていた書類が、ぐちゃぐちゃになっていた。
「もう、誰よ!」
「あらまぁ。私が整理しておきましょうかね」
赤尾さんが横から手を出してくれる。
「ほら見てくださいよ。しわくちゃに」
「うっわ、ほんと! 誰が提出した書類?」
ただ、それが二枚ほど。どちらも別々の人が出した書類で、さらに言えば、そんな書類を提出するようなタイプではない社員だった。
「うーん」
この書類の皺の入り方、なんだか人の手が入ったにしては不自然だ。
「あ、ここなんて破けてる。穴開いてるわよ」
そう言って赤尾さんが示したのは、ぐちゃぐちゃになった箇所の先。小さな亀裂がいくつか入っていた。
「あー……」
なんとなく想像が付いてきた。
オルが窓を見ていたことを思い出し、そこから体を乗り出してみた。
「葉月ちゃん! 危ない」
「大丈夫大丈夫」
体の三分の二が窓の内側にあるのだ。念のため、手もしっかりと窓枠を押さえている。あんまり運動神経が良くないので、無理はできない。
乗り出した先に、黒い塊が見えた。
「ん、あれってもしかして……」
スマートフォンを取り出し、カメラモードにする。倍率を最大値にまであげて、目的の場所を見てみると──。
ようやく見つけた。
「部長、ありましたよ。カフス」
私は倍率をあげまくったカメラで撮った写真を、部長に見せ、オルに目を遣った。彼は、満足気に頷いていたけれど、最初から答えをわかっていたなら、本当に教えて欲しい。そこから逆算してそれっぽいことを、考えるからさ。
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*****
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