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♯10「意思の外で暴走する者」
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[西唐野街・古傘橋前]
翌朝。紡は朝日の登る通学路を心地よく歩いていた。夢のゴールデンウィークにまた一歩近付いたからである。黄金の週休暇と当て字される事もあるように、この数日は学生にとってとてつもなく大きな休みである。
毎日毎日気怠い気持ちで学校生活を送る生徒へ、神から差し出された僅かな光。大人になれば手に入ることすら少ない、正に黄金レベルの宝!。
それがあと数日で始まるというのに、浮き足立たない学生が何処にいる?。
そんな事を思案していると、川幅が八~九メートル程度の小川にかかった古い橋に辿り着く。長年の雨風でボロボロになった木橋だ。取り壊すのにも建て直すのにも莫大な金がかかるためか、紡が生まれた時からこんな状態である。
毎朝ここを通るたび、ふと歩く速度を落として橋の風景を見渡すのがなんとなく習慣になっていた。時折り野鳥や野良猫が行き来していて、何処となく朝から心がスッと浄化される気がするのだ。
手すりから身を乗り出して眼下を見てみると、そこにはいつも通り燦々と煌めく自然が広がっていた。青々と茂った藻溜まり,陽光をチラチラと反射する水面,塵一つない岸辺……うん。ロケーションとしては最高だ。
とその時。橋のすぐ真下辺りに「迷彩柄の布」らしきものを発見した。よく見れば、所々を紐と杭でピンと張られて固定されている。タープ?。いや、テントか…?。
「ん?あれ、青年じゃないか」
橋の入り口辺りから投げかけられた声に、紡はまさか…と眉を顰める。その舐めとるような声色,辺りに漂いだす紙タバコの匂い。
まさか、そのまさかなのか…?
「あ、旭さん?」
右手を見れば、何やらレジ袋を片手に下げたいつもの彼女がスニーカーを鳴らしながらこちらへと歩いてくる。
「奇遇だね。私の仮住まいに何か用かい?」
「仮住まい?」
あのテントらしきキャンプ用品が、仮住まい⁉︎。昨日の話は全部ホームレスの出鱈目だというつもりか⁉︎
「今流行りのソロキャンプってやつさ。都会の喧騒から離れた自然を楽しむ、余裕のある大人の遊びだよ」
「いや、そうじゃなくて。ご自身の相談室に帰ったんじゃないんですか!」
声を張って問い詰めるが、旭はキョトンとした顔で首を傾げる。一体いまの何が分からなかったんだよ。
「そりゃそうだろ。家からここまで往復で二時間はかかるし。だったらキャンプした方が朝早くから動けるだろう」
まさか、昨日からずっとここに寝泊まりしてたのか⁉︎。
「何がキャンプですか。ルールも秩序も守れないんじゃ大人とは呼びませんよ」
別にこの川がキャンプ禁止って訳でもないけど、この橋は木造だし、火を熾したりするのはやめておいた方が良いだろう。
「分かってるって。安全には充分気を付けてる。それに、ここにはそんなに長居するつもりもないしね」
旭は一人用テントがあるであろう方向を一瞥した。長居するつもりがないって事は……
「澁谷さんの依頼を解決するまでって事ですか?」
半信半疑で提出した答えに、彼女はパチンッと指を鳴らす。
「ザッツライ。暴れがちな澁谷 美久の纏を沈静化するのが今回の依頼だ。実は昨日君と別れてから、ずっとその方法を考えていてね」
野宿しながら?と口が滑りそうになり、慌てて唇を結ぶ。これ以上突っかかって話をややこしくしたくなかった。
「その方法は見つかったんですか?」
「ん~。まあある程度?。実行に移すかはまだ決めかねているがね」
旭はあえて回りくどく答える。どうやらこちらから聞いてほしいらしい。なんというか、心底めんどくさいな。相手が友人なら適当に遇らうだろうが、旭さんの場合だと遇らった瞬間「纏」を使って襲撃してきそうなのが余計怖い。ここは素直に乗っておこう。
「それって、具体的にどういう?」
「ああ、いや。別に勿体ぶった訳じゃないんだけどさ」
旭は橋下にて黒光るバイクを一瞥し、レジ袋から細長い菓子パンを取り出した。何をしていたのかと思えば、コンビニで朝食を調達していたのか。しかもジャムパンとは、中々良いセンスをしている。
「一番手っ取り早いのは、元凶を根絶することなんだよね」
「元凶…えっ」
ヒュウッと肌を刺すような風が吹き、紡は身震いをした。彼女の目が薄ぼんやりと白く光っていたからだ。
[西唐野中学校・1ー2教室]
…聞いた?澁谷の噂…ああ、校舎裏のだろ…返り討ちに怪我負わせたってやつな…やりすぎだよな。ただのノリだったかもしれねえのに…まあ相手が相手だしな…とりあえず、あいつには近づかないでおこうぜ…賛成………………
今朝から、私のクラスにはそういった雰囲気が蔓延していた。私が《一派》の奴らを過剰に返り討ちにしたとか、今では嘘でしょと言いたくなるほど話に尾鰭が付いて回っている。誰かが「情報の浸透度は雑草ぐらいすぐに根を張ってしまう」とか言っていたのがやっと理解できた。
(私の身辺調査を依頼した人がいる……)
旭…だっけ?。あの人曰く、彼女が私の元を訪れたのはそういった理由からだそうだ。私は後方の席からクラスメイトの顔を見渡した。どれも稀有で危険なものを見る目ばかり…この様子を見るに、依頼人はこの教室にいる訳ではないようだ。
(はあ。なんでこんな事になったんだろ?)
1ー2の教室に浮かぶ孤島のような感覚が波のように押し寄せる。事実、みな私から距離を取るように半円を描いていた。
この噂を広めた奴は、よっぽど変な奴だ。私に奴らへ反撃出来るほどの力があると、本気で思っているのだろうか。
(というか、何でリーダーが怪我してたんだろ。昨日の二人がやっつけてくれたのかな)
きっとそうだ。私はただ全身が熱くなって、何も考えられなくなっただけ。意識すら虚ろだったのに、反撃だなんて無謀だ。
その時、教室の一部から「オオッ!」と野次馬の声が盛り上がった。何だろうかと顔を上げれば、噂では同い年の女子にやり返されたとされているリーダー様のご登場だ。
「——おい」
男は教室の入り口から真っ直ぐにこちらを睨み、肩で風を切るような動きでこちらへやってきた。いつもの取り巻き達は付いていない。
「……何」
私は毅然とした態度で返す。現状、周囲からはボロ負けして吠え面をかいている野犬とそれを一蹴した人間のような見え方をしているだろう。さあ一体どんなバトルが始まるのだろうと期待しているのが肌で分かる。
「———お前を標的にするのはやめてやる。感謝しろ」
何を言い出すかと思えば、彼は恥を忍んだ表情でそう告げた。悔しさだか恐怖だかで下唇がプルプルと震えている。感謝しろとは言うが、要は負けを認めるという意思表示だ。
「…あっそ」
正直、今更興味はない。美久が突っぱねるように言うと、男は「ッチ」と舌打ちしながら教室を逃げるように出た。もうじきホームルームが始まるはずだが。
まあ、これでアイツや《一派》からの日常的な攻撃も無くなるだろう。それはちょっと嬉しいかな。
[西唐野中学校・男子トイレ]
個室の扉を開き、便座を下ろしたままそれを叩き締める。ガチャンッと鍵を閉めれば、もう誰も自分に干渉してくる事はない。
別にトイレがしたかった訳じゃない。ただ、一人で考える時間が欲しかった。《一派》の長だった頃も、たまにこうして取り巻きから離れて思案したものだ。……まあ、今はそんなことをする必要もないんだが。
(考えろ。どうすれば良い?どうすれば澁谷 美久ををいなくさせられる?)
昨日の晩からずっと考えていた。殺害するか罪を着せて転校させるか、どんな方法だっていい。あの緑色の化け物が邪魔しないよう報復が出来れば、それだけで完璧な策だ。
澁谷 美久を標的にするのは当然辞めない。とはいえ、俺に対しての警戒心が強い今は何をしたって無駄だろう。狩りの基本は「相手を油断させた所で一気に仕留める」だ。その為に、俺はあえて朝早くから噂を流した。あいつが俺の突拍子な敗北宣言を信じるように。
澁谷 美久は俺の全てを狂わせた。あいつさえいなければ、こうやって馬鹿みたいに悩むことも無かったんだ。
黙って俺らの標的でいれば良かったのに。泣き喚いて俺らに謙り、従順にストレス発散に付き合ってさえいれば。
「全部…あいつのせいだ………」
掌に爪を食い込ませるぐらいに拳を握る。このまま泣き寝入りで済むもんか。恐怖心をも塗り替えるほどの怒りが、俺の全身を酷く熱くした。
「許さないッ。絶対…絶対ぶっ潰してやるッ‼︎」
そう空に叫んだ瞬間、気が遠くなるような感覚に陥ったかと思えば、急激なまどろみが体を襲った。
次回「託される者」
翌朝。紡は朝日の登る通学路を心地よく歩いていた。夢のゴールデンウィークにまた一歩近付いたからである。黄金の週休暇と当て字される事もあるように、この数日は学生にとってとてつもなく大きな休みである。
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そんな事を思案していると、川幅が八~九メートル程度の小川にかかった古い橋に辿り着く。長年の雨風でボロボロになった木橋だ。取り壊すのにも建て直すのにも莫大な金がかかるためか、紡が生まれた時からこんな状態である。
毎朝ここを通るたび、ふと歩く速度を落として橋の風景を見渡すのがなんとなく習慣になっていた。時折り野鳥や野良猫が行き来していて、何処となく朝から心がスッと浄化される気がするのだ。
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とその時。橋のすぐ真下辺りに「迷彩柄の布」らしきものを発見した。よく見れば、所々を紐と杭でピンと張られて固定されている。タープ?。いや、テントか…?。
「ん?あれ、青年じゃないか」
橋の入り口辺りから投げかけられた声に、紡はまさか…と眉を顰める。その舐めとるような声色,辺りに漂いだす紙タバコの匂い。
まさか、そのまさかなのか…?
「あ、旭さん?」
右手を見れば、何やらレジ袋を片手に下げたいつもの彼女がスニーカーを鳴らしながらこちらへと歩いてくる。
「奇遇だね。私の仮住まいに何か用かい?」
「仮住まい?」
あのテントらしきキャンプ用品が、仮住まい⁉︎。昨日の話は全部ホームレスの出鱈目だというつもりか⁉︎
「今流行りのソロキャンプってやつさ。都会の喧騒から離れた自然を楽しむ、余裕のある大人の遊びだよ」
「いや、そうじゃなくて。ご自身の相談室に帰ったんじゃないんですか!」
声を張って問い詰めるが、旭はキョトンとした顔で首を傾げる。一体いまの何が分からなかったんだよ。
「そりゃそうだろ。家からここまで往復で二時間はかかるし。だったらキャンプした方が朝早くから動けるだろう」
まさか、昨日からずっとここに寝泊まりしてたのか⁉︎。
「何がキャンプですか。ルールも秩序も守れないんじゃ大人とは呼びませんよ」
別にこの川がキャンプ禁止って訳でもないけど、この橋は木造だし、火を熾したりするのはやめておいた方が良いだろう。
「分かってるって。安全には充分気を付けてる。それに、ここにはそんなに長居するつもりもないしね」
旭は一人用テントがあるであろう方向を一瞥した。長居するつもりがないって事は……
「澁谷さんの依頼を解決するまでって事ですか?」
半信半疑で提出した答えに、彼女はパチンッと指を鳴らす。
「ザッツライ。暴れがちな澁谷 美久の纏を沈静化するのが今回の依頼だ。実は昨日君と別れてから、ずっとその方法を考えていてね」
野宿しながら?と口が滑りそうになり、慌てて唇を結ぶ。これ以上突っかかって話をややこしくしたくなかった。
「その方法は見つかったんですか?」
「ん~。まあある程度?。実行に移すかはまだ決めかねているがね」
旭はあえて回りくどく答える。どうやらこちらから聞いてほしいらしい。なんというか、心底めんどくさいな。相手が友人なら適当に遇らうだろうが、旭さんの場合だと遇らった瞬間「纏」を使って襲撃してきそうなのが余計怖い。ここは素直に乗っておこう。
「それって、具体的にどういう?」
「ああ、いや。別に勿体ぶった訳じゃないんだけどさ」
旭は橋下にて黒光るバイクを一瞥し、レジ袋から細長い菓子パンを取り出した。何をしていたのかと思えば、コンビニで朝食を調達していたのか。しかもジャムパンとは、中々良いセンスをしている。
「一番手っ取り早いのは、元凶を根絶することなんだよね」
「元凶…えっ」
ヒュウッと肌を刺すような風が吹き、紡は身震いをした。彼女の目が薄ぼんやりと白く光っていたからだ。
[西唐野中学校・1ー2教室]
…聞いた?澁谷の噂…ああ、校舎裏のだろ…返り討ちに怪我負わせたってやつな…やりすぎだよな。ただのノリだったかもしれねえのに…まあ相手が相手だしな…とりあえず、あいつには近づかないでおこうぜ…賛成………………
今朝から、私のクラスにはそういった雰囲気が蔓延していた。私が《一派》の奴らを過剰に返り討ちにしたとか、今では嘘でしょと言いたくなるほど話に尾鰭が付いて回っている。誰かが「情報の浸透度は雑草ぐらいすぐに根を張ってしまう」とか言っていたのがやっと理解できた。
(私の身辺調査を依頼した人がいる……)
旭…だっけ?。あの人曰く、彼女が私の元を訪れたのはそういった理由からだそうだ。私は後方の席からクラスメイトの顔を見渡した。どれも稀有で危険なものを見る目ばかり…この様子を見るに、依頼人はこの教室にいる訳ではないようだ。
(はあ。なんでこんな事になったんだろ?)
1ー2の教室に浮かぶ孤島のような感覚が波のように押し寄せる。事実、みな私から距離を取るように半円を描いていた。
この噂を広めた奴は、よっぽど変な奴だ。私に奴らへ反撃出来るほどの力があると、本気で思っているのだろうか。
(というか、何でリーダーが怪我してたんだろ。昨日の二人がやっつけてくれたのかな)
きっとそうだ。私はただ全身が熱くなって、何も考えられなくなっただけ。意識すら虚ろだったのに、反撃だなんて無謀だ。
その時、教室の一部から「オオッ!」と野次馬の声が盛り上がった。何だろうかと顔を上げれば、噂では同い年の女子にやり返されたとされているリーダー様のご登場だ。
「——おい」
男は教室の入り口から真っ直ぐにこちらを睨み、肩で風を切るような動きでこちらへやってきた。いつもの取り巻き達は付いていない。
「……何」
私は毅然とした態度で返す。現状、周囲からはボロ負けして吠え面をかいている野犬とそれを一蹴した人間のような見え方をしているだろう。さあ一体どんなバトルが始まるのだろうと期待しているのが肌で分かる。
「———お前を標的にするのはやめてやる。感謝しろ」
何を言い出すかと思えば、彼は恥を忍んだ表情でそう告げた。悔しさだか恐怖だかで下唇がプルプルと震えている。感謝しろとは言うが、要は負けを認めるという意思表示だ。
「…あっそ」
正直、今更興味はない。美久が突っぱねるように言うと、男は「ッチ」と舌打ちしながら教室を逃げるように出た。もうじきホームルームが始まるはずだが。
まあ、これでアイツや《一派》からの日常的な攻撃も無くなるだろう。それはちょっと嬉しいかな。
[西唐野中学校・男子トイレ]
個室の扉を開き、便座を下ろしたままそれを叩き締める。ガチャンッと鍵を閉めれば、もう誰も自分に干渉してくる事はない。
別にトイレがしたかった訳じゃない。ただ、一人で考える時間が欲しかった。《一派》の長だった頃も、たまにこうして取り巻きから離れて思案したものだ。……まあ、今はそんなことをする必要もないんだが。
(考えろ。どうすれば良い?どうすれば澁谷 美久ををいなくさせられる?)
昨日の晩からずっと考えていた。殺害するか罪を着せて転校させるか、どんな方法だっていい。あの緑色の化け物が邪魔しないよう報復が出来れば、それだけで完璧な策だ。
澁谷 美久を標的にするのは当然辞めない。とはいえ、俺に対しての警戒心が強い今は何をしたって無駄だろう。狩りの基本は「相手を油断させた所で一気に仕留める」だ。その為に、俺はあえて朝早くから噂を流した。あいつが俺の突拍子な敗北宣言を信じるように。
澁谷 美久は俺の全てを狂わせた。あいつさえいなければ、こうやって馬鹿みたいに悩むことも無かったんだ。
黙って俺らの標的でいれば良かったのに。泣き喚いて俺らに謙り、従順にストレス発散に付き合ってさえいれば。
「全部…あいつのせいだ………」
掌に爪を食い込ませるぐらいに拳を握る。このまま泣き寝入りで済むもんか。恐怖心をも塗り替えるほどの怒りが、俺の全身を酷く熱くした。
「許さないッ。絶対…絶対ぶっ潰してやるッ‼︎」
そう空に叫んだ瞬間、気が遠くなるような感覚に陥ったかと思えば、急激なまどろみが体を襲った。
次回「託される者」
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