悪役令嬢は嫌なので、放浪して好き勝手します

cqrijy

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1部 おっかなびっくり放浪編

15 砂浜や海賊共が夢の跡(1部完)

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「待て待てお前ら!  海賊魔導船は海賊がつくった沈没した海賊船に向かう船だ!  俺らのお宝を奪われてもいいのか!?」
「え?  お宝なんてありませんでしたよ?」
「はっ……そう簡単に見つかる場所には隠してねーよ」

船長が顔を反らす。
あ、そういや日中砂浜に埋もれていた帆があったなぁ。

「そういや帆柱には純金貨がたんまり入ってましたね」
「ぐっ……」
「私、そういうの探してるんじゃないんです。例えば……」

収納から【大海賊の眼帯】【大盗賊のバンダナ】【ペテン師のトランプ】【シリアルキラーの爪切り】【王族の血を吸った黒金貨】を取り出す。ゲームの世界でも1つしか存在しない、全て超ド級のレアアイテムだ。

この1つ1つに、一国を簡単に破滅させる効力がある。

「……おいおい」
「見ても解んないだろうけど……あ、これは解るでしょ?  大海賊ハウメリン船長の眼帯……凄いでしょ?」
「おいおいおいおい!  どれも知ってるよ!  海賊舐めんな!」

船長は頭を抱えて悶えだした。どうしたんだろ?
そして興奮したナゴンさんが大海賊の眼帯を勝手に着けた。あ、こら。

「ダメですよ、返して下さい」
「やだ。欲しい。これ着けて海王蛇と戦う」

ならばと私は大盗賊のバンダナをつける。
一瞬で眼帯を取り返した。

「ひぃへ!?」
「今の私に盗めない物はありません」
「……リリー……まさか……いま、俺の心を盗」
「あ、そういうの要らないんで」

全て収納する。

「……っ、」
「なんです、その目」
「水着って……いいよなぁ」

ナゴンさんの鼻息が荒い。気持ち悪。
押し倒そうとしてきたので逆に口に鯛焼きを押し込んでやった。お口がかなり酒臭い。これだから酔っぱらいは。油断も隙もあったもんじゃない。



船長や船の構造に詳しい海賊に色々教わった。

「こういった形の筒を作るだろ」
「はい」
「ここに弁をつけれるか?」
「先の方に?」
「ああ、一方通行にするんだ。そうすりゃ生け簀に海水がめぐる」
「成る程。いま練ります」

今も砂浜に描いてもらった形を具現化するため、材料も練りやすい物を選んでくれた。素材は強度のある極楽蝶と、オススメされたモンスターオクトパスの軟骨。よかった、収納にたんまりある。

「アンタ……錬金術も使えるのか。いや、この船もそうしてつくったのか」
「はい。あ、そうだ。皆さんの骨も混ぜときますね。共に大海原へ──南無南無」
「……いい性格してるぜ」

排水用の穴から魚が逃げないように網をつけようかと思ったが、船長に止められた。

「この網はなにで出来てる?」
「超粘金マントル強石です。魚では海龍クラスでないと絶対破れません」
「アンタなぁ……酸素も海水も通す結界が使えるなら網なんていらねぇだろ。それに魔導船の場合、重量は軽い方がいい」
「あ、そっか。やだガッ君たらハイカラなんだから」
「誰がガッ君だ!  ガックリードだ!」
「船長だって名前教えたのに私のことアンタって呼ぶでしょ」
「はいはい、リリー船長」

ふぅ。出来上がった。
やはり錬金術は魔力を沢山使うな。額の汗を拭う。

「なぁ、マジであの飾りはなんだ?  外せよ。海賊船らしくねーよ」
「ああ、あれ。いま灯りをつけますね」

イベントの夏フェスで手に入れた提灯シリーズ【祭】【焼き鳥】【酒処】【いか焼き】【そば】【おでん】に灯りをつけた。中に魔石を入れているので、魔力を流すだけ。

「……これは、凄いな。なんというか……味がある」
「淡い灯火だから、なんか誘われるでしょ?」

灯りに誘われて野郎共も集まってきた。

「おーっ、完成したのか!」
「灯りになんか書いてあるな?」
「あれは猫か?  猿か?」

……達磨です。

「俺には解る。あの難読な文字は……古に滅びた古代帝国の魔方陣だろう」

違いますナゴンさん。
そして沢山人が集まると、難癖をつけてくる人が出てくる。

「海賊船なら黒だろ」
「あ、でも……」
「灯りをつけた途端、七色ってのもなぁ」
「七色なのは目眩ましと擬態用です」
「目が痛い、黒にしろ」
「でも真っ黒はちょっと……」
「女は無駄にキラキラしたもんが好きだからな。俺もだいぶ貢がされたよ」
「これだから女は」
「ぎゃははは!」

好き勝手言いやがって。
海賊船なら黒?  いいや、違うね。

収納から出したドクロオオトカゲ10匹を錬金術で船と混ぜる。

げっ……ドクロ柄になるとは思ったけど、ドクロ柄のキラキラした船になった。

「なんじゃこりゃああっっ」
「凶悪過ぎるだろっ!」
「リリー、おまっ、サイコーだな!」
「すっげー……輝く黒船……初めて見た」

私も初めて見た。ネオン街の安酒場みたい。


「おい、そろそろ朝日がのぼる」


突然の船長のその一声に、野郎共が海賊幽霊船に戻って──溶けていった。後には緑色の液体だけが残った。

「…………」
「なぁリリー船長」
「……うん?」
「アンタ海賊じゃねーだろ?  商人ってのも、無理があるな」
「……うん。ごめんなさい」

生け簀すら自分で作れないからね。
たぶん皆も解ってて協力してくれたんだと思う。

「俺もそう思った」

後ろから抱き付いてきたナゴンさんに雄叫びを上げた。

「テメーは引っ込んでろ!」
「船長だけずるい……俺も可愛い子とずっと話していたい」
「いいからっ、さっさと戻るぞ!」
「また海賊ごっこがしたくなったら俺のとこ来てね?  船長も喜ぶよ」
「るせー、ニヤついてんじゃねー!」

船長はナゴンさんの首根っこを掴んで踵を返していく。
そして振り返って笑った。

「次はその水着はやめろ。俺がどんだけ周りに目ぇ光らせて牽制してたか、アンタ野郎共の目に全然気付いてなかったろ?」
「えっ……あの、」
「やっぱアンタお子様だせ」

船長とナゴンさんも船につくなり溶けて消えていった。

朝日がのぼってきた。

どっと肩に疲れが押し寄せた。
砂浜でとぐろを巻いて寝ているケイシーの隣で、私も目を閉じた。







「だーかーらー!  その水着はヤメロって言っただろ!」
「……うぇ?」

そのまま寝て気付いたら夜だった。
あれ?  船長がいる。

「んっ、ガッ君……?」

じゃない、横で寝てたケイシーどこいった?
夜目を発動。

「ガックリードだって言ったろ……なんだ、誘ってんのか?  甘い声出しやがって……」

上半身を起こすも、覆い被さってきた船長に押し倒された。肩が砂浜に埋もれる。頬に船長の長い黒髪がかかる。ちょっと擽ったい。にへら、と笑うと船長がぐっと眉をしかめた。

「可愛いよな」

健康的な小麦色の肌に、濃い碧眼。虹彩は波打つ海のように綺麗で、その瞳にマヌケな顔をした私が写ってる。

「船長、私って可愛いの?」
「はぁ?」
「顔」
「はぁぁ?」
「だから顔、可愛い?」

しかめっ面、のち真顔になった船長が私の唇を撫でた。不思議と嫌悪感はなく、そのまま寝ている間に頬に張り付いていた髪や砂を払い、じっと見つめてきた。

「…………アンタのその金髪、純金貨より輝きが強いだろ。瞳も、空の青とも海の青とも違う、どっち付かずの青だ……水平線のように、どれだけ追い掛けても離れてく、届かない色だ。海賊ならこんなお宝、喉から手が出るほど欲しいだろーよ」
「……か、海賊の美辞麗句すごい」
「あほ。初めて見た時、人魚が現れたかとマジで勘違いした……その水着は人魚の鱗とよく似ている」

そうでした。
人魚姫シリーズの『海の頂点』
この水着の素材は人魚の鱗でした。
見た目スパンコールの安物に見えるんだけどね。

「つーか、こんな上玉見たことねーよ」

撫でるようにおでこの髪を払われ、自然と顎がツンと上を向く。そのまま唇がおりてきた。何度か唇を啄まれたのち、船長が言った。

「嫌じゃないなら目ぇ閉じろ」

首筋に噛み付くようなキスをされた。ヌルっとした感触が顎から鎖骨に這いまわる。思わずぎゅっと目を閉じて縮こまると舌で唇をこじ開けられた。

「っ、んぅ!」

舌で喉奥をつつかれ、歯裏をなぞられ、舌を吸われる。じゅるじゅると音を立てて唾液も呼吸も奪われていく。

「ぁ、……んぁ……はぁ……」

息継ぎもままならない。抱き締められて肉厚な胸板に下腹部がゾクゾクしてきた。
これ以上はマズイと肩を叩くと船長が私の顔の前で頬杖をついた。

「はぁ、はぁ」
「なぁ、もっと触っていいか?」
「も、……もぅ無理ですぅ」
「ならなんで最初に拒まなかった?」
「イ、嫌じゃなかったから?」
「…………クソっ」

両肩から水着を下ろされた。
あまりの早業にわあわあ喚いてたら乳首を舐められた。声にならない叫びを上げて船長の肩を掴んだらカリっと歯を立てられ、背筋が波打った。

「いーーやーー!  ガッ君のスケベ!  サイテー……っん、あんっ、ンっんんっ、きゃう!」
「ハハ、いー声」

あちこち強く吸われた。

「も、……っ、ガックリード船長!」
「ん?」

船長が顔を上げた隙にクルリと反転して胸を隠す。うわ。ビンビンだ。砂浜に埋もれた乳首が擦れる。胸元はキスマークだらけ。

「リリー……だからお前はお子様なんだよ」

ずるっとお尻まで水着を引き下ろされた。あー……

「こんなん見て我慢できる奴いんのか?」
「ま、待って……」
「さっき言ってたライド?  って奴はお人好しだ。俺なら喜んでリリーの水着姿を拝むぜ」

砂浜に埋もれた乳首を摘まれた。腰に舌が這いまわり、尾てい骨をきつく吸う。乳首をいじられたまま、お腹にまわった手が下腹部を伝っておりていく。その手を避ける為に反射的に腰を引くと船長に尻を突きだしてしまい、それも船長の手の内なのだと太腿まで水着をおろされて気付いた。

「……この確信犯!  遊び人!  船長は海賊でしょ、今までどんだけ女抱いてきたのよ!  こんなお子ちゃまに手出すなんてっ、海賊の名が廃るわよ!」
「ハハ、知ってるか?  人魚ってな、男を漁るとき下半身の鱗をドロワーズのように脱ぐんだぜ。ずるんとな。それがすっげぇ蠱惑的でな……足を開かせれば二股の長いヒレが現れる。あれを見たらどんな男もむしゃぶりつくだろーな。ナゴンの野郎なんてあのヒレがモノに絡んで堪らねーって、」
「なっ、んな、ハレンチ!」
「でも今はこれ以上にないほど、昂ってるぜ……人魚にも靡かなかった俺が……全く」
「あーーっっ、うそ、だめぇ……待っ」



──そこで目が覚めた。


うん、夜だ。だいぶ寝た。
普通に隣にケイシーも寝てる。
あっ、と思い急いで胸元を見るも、何も付いてなかった。水着もそのまま……てか……なんて夢見てんだ。
ん?  そもそも夢なんて見てたか?
あかん。まだ疲れが溜まってるんだ。魔力も沢山使ったし。
ケイシーをひと撫でしてから、船に戻ってきちんとテントの中で寝た。










「あー、ちゃんと船に戻って寝たか。つーか、さっきはマジでヤバかった。なにもんだよ、あいつ……すげぇいい香りがしたぜ」
「船長だけずるい……俺も可愛い子のおっぱい舐め舐めしたい」 
「駄目だ」
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