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2部 人魚とチートな彼氏編
1 商業都市ヴァーデンス
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提灯の灯りに誘われてやってくるフクロマンタと波乗りイカの群れ。
きたきたキター!
結界を解除して魔導具『活絞アミ』を手にとる。見た目はただの虫取り網のように見える活絞アミだが、一旦この中に入ると神経を麻痺させる魔法がかかり獲物は動けなくなるのだ。
かかった波乗りイカが網を破ろうと口から水の鉄砲を打つ、その前に活き絞めされる。自慢の剃刀のようなエンペラーも役に立たない。
「あ~、邪魔邪魔、どいて」
マンタは要らない。
でか過ぎて網に入らないので海に払い落とす。イカだけ狙って一心不乱に網を振りかぶる。
網で捕らえたイカが溜まってきたら船内にぶちまける。ふぅ。マンタが邪魔だが波乗りイカの群れは途切れることがない。この調子でどんどん獲っていこう。
む?
海中にサンサン秋刀魚の群れを探知した。
夜になると燦々と輝く秋刀魚だ。少し前にばら蒔いておいた活き餌に食い付いてる。
目玉ルアーを30個放り投げる。重りと空気を調整して中層の群れを狙う。入れ入れ~。
「大漁、大漁」
波乗りイカ×357
サンサン秋刀魚×622
大判鮫×1
勝手に船に乗り上げてきていた大判鮫もゲットした。びったんびったん跳ねてうるさかったので窒息死させた。
あー……動いたあとに食う剣山ヒトデと吸血ウツボの内臓珍味がうまい。チャンジャもよく出来てる。もう無くなりそうだ。
ここは母国アルレントの隣国、カプルス共和国の領海。ボーンデビル島から船で2週間かけてここまできた。
朝になって最初に向かったのは商業都市ヴァーデンス。
漁師なら身分証がなくても入港できる『マナ港』があるのだ。移動中に立ち寄った島の人や、すれ違った漁師に色々教えてもらった。ちなみにドクロ柄で厳ついかと思った私の船、小さくて可愛い、キラキラしててお洒落だと見た人全員に誉められた……。
「はぁ~、漁村とはくらべものにならないね」
巨大な港には出港する船と入港する船が集まっていた。出入りは時間帯でわけているようで、何事も輸入業者や漁師の船が優先される。
おっ。入港を待つ間、船上でのんびり弁当を食べはじめた漁師さんが見えた。乗組員と先程仕掛けた罠について夕方には引き揚げようと話している。
「……見てたらお腹すいてきたな」
収納にある魚は鮮度が落ちないので入港を急ぐ必要はない。むしろ周りの漁船を気遣って最後の方でもいいかな。
鞄から水筒を出して紅茶を飲む。
レモン入りで喉がすっきりするぅ。
今日はなんちゃって作業着姿だ。
青いサロペットデニムに白いシャツ。
髪はポニーテールにして、赤いリボンカチューシャをつけている。皮の鞄をたすき掛けしてかなり平凡な格好だ。
「なぁ~、そこの金髪の嬢ちゃん!」
「……え?」
聞こえた声に振り向く。
後方にいるのは大型の漁船ばかり。そこから見下ろすように私に対する色んな視線が飛び交っていた。
「嬢ちゃんの船、えらい可愛いなっ」
「そうですか?」
フッ。私の海賊魔導船舐めんなよ。
そう胸を張ったが周りはなかなかの大きさのマグロや小型のくじらを船上のクレーンでぶら下げている。
ちなみに私は大判鮫一匹しかぶら下げていない。生け簀にも活き絞めしたイカしかない。
「にしても嬢ちゃんの船、狭いなっ」
「あそこも狭いのか、なぁなぁ?」
「やめろって、アハハっ」
もじもじして、困ったように笑って身をすくめると、周りから視線が濃くなった。
「なぁ~、この街は初めてか?」
「ついでに聞くと初体験もまだだろ?」
「アハハハっ、やめてやれっ」
「鮫以外になに釣った? 初見なら業者に吹っ掛けられるぜ。俺が買い取ってやろーかぁ?」
「俺は嬢ちゃんを買いたいぜぇ~」
漁師は皆体格がよく汗だくだ。
そして眼がギラギラしている。漁を終えた後の昂りってやつかな。
……でもなんだろう。海賊達と比べるとまだ可愛いく見えるんだよね……不思議。
「この街には初めて行ましたー。アルレントで父と兄の三人で漁をしていたのですが、そのぉ……不慮の事故で……二人とも……」
「「「…………」」」
「あ、でもっ、船は残ったので、こうして漁は続けていますっ」
にっこり笑って鞄から出したミニフランスパンにかぶりつく。うまー。中にある明太子とバターがやばいわ。
「朝からパンかよぉ。そんなんじゃ腹に力が入らないだろ?」
「港を出たらすぐ食堂街だ。そこでがっつり食える弁当が売ってるぜ」
「おすすめはトリガーさんとこの鳥弁当だな」
「ああ、あそこは安いよな。腹一杯食える」
ちょっと身の上話(嘘)したら、いきなり態度かえて可愛いすぎでしょ。
「でもぉ……私、手持ち少ないしぃ」
「大判鮫は最低でも金貨15枚で引き取ってくれるぜ」
「吹っ掛けられたらそう言ってやれ」
知ってる。
鑑定と査定したら大判鮫はヒレと肝しか価値がないが大体金貨15~25枚。波乗りイカは1kgで銀貨4枚。
「そうなんですね。私なんにも知らなくて……こんなとき、父と兄がいればなぁ……って」
「大丈夫、大丈夫」
「これから覚えていけばいいさ」
「俺達がついてる」
男たちのあまりの変貌に吹き出しそうになって俯いたら余計誤解された。もう周りはシーンだ。波の音しか聞こえない。
「この大判鮫なら金貨2枚だね。波乗りイカは鮮度もいいから全部で銀貨9枚で引き取るよ。合わせて金貨2枚と銀貨9枚だね」
「え?」
入港したら大勢の業者がいた。船を港に位置付けると、業者が船上に乗ってきて直接見て査定するらしいのだが……いきなり吹っ掛けられた。
「でもぉ……大判鮫は最低でも金貨15枚って」
「はっ、そんな値段では引き取れないね」
ちなみに私の船に勝手に乗り上げてきたこの大判鮫はヒレがかなりでかい。ヒレの査定だけでも金貨13枚。腹もでかく肝もたんまり入ってる筈だ。
吹っ掛けてきたこの業者の青年は、お手入れの行き届いた銀髪と周りと比べて身なりもよく結構お偉いさんだと思ったのに……。
「きちんと査定してくれる人とかわって下さい」
「は? きちんと? あんたみたいにタダでこの街に入ろうと漁師のふりをする輩があとをたたないんだよ。だからこうやって追い返すんだ」
「え……や、輩?」
「輩だろ。対した獲物もないし。それとも、正規の手続きで街に入るかい? 通行料は金貨3枚だよ」
「私……手持ちが少なくて」
「だから港から入ろうとしたんだろ?」
いや、こんなでかい街で正規の手続きをすると、どうしても記録が残ってしまうのでね。ヒューテック領でも魔導具で血を調べられたりするし。
「こら、レイン! 嬢ちゃんにケチつけるな!」
「都長の息子たって、お前五男坊だろ?」
「なんの権利があって買い取り額を引き下げてんだよっ」
あら~。
いつの間にか私の船に先程の漁師さん達が寄ってきた。狭いのか初めてかアハハと笑ってた漁師さん達とは思えない正義感で、都長の五男坊を取り囲んだ。
「ぼ、ボクは父上からこの港を任されてて」
「それがどうした?」
「嬢ちゃんの獲物を買い叩く理由になるのか?」
「どう見たって流れ者だろ! あんな小型船で、なにが漁師だ! うわ、」
あ。
恐らく小型船で細々とやっている漁師達だろう。激昂した顔で五男坊に掴みかかってる。
だみだこりゃ。早々に収拾させないと。
「あのっ! 私、まだ獲物持ってるんです!」
鞄に手を突っ込んで収納から艶魚、蛍アンコウ、ルビーマルタ蟹、幸フグ、華麗カレイを出す。
小型船だろうが技術さえあれば釣れる超高級魚たちだ。
「ほう、嬢ちゃんアイテムバック持ちか?」
「はい……父の遺産です。船と、このアイテムバックだけは残ったけど……あまり収納量がなくて、入らない分はいつも船に乗せておくんです」
「そうか、賢いな。にしてもレイン、これは漁師じゃないとなかなか釣れないぜ?」
「運もいるな……」
うん、ほんとは缶ルアーでテキトーにやってたら掛かったんだけどね。
「……なっ、何でさっきは出さなかった!」
「いきなり吹っ掛けられたから……怖くて」
「……っ、」
「あの、申し訳ないですが私いま本当に手持ちが無くて……父と兄のお葬式で貯金も殆ど使っちゃったの」
「え」
「だからもし……これらをきちんとした買い取り額で引き取ってくれるなら、正規の手続きで金貨3枚、この街にお支払いします」
「…………」
漁師達の「そんな金払わなくていい!」と声が飛び交うなか、青ざめた五男坊にペコリと頭を下げた。ぷぷ。顔隠してなかったらヤバかったな。
フンフン、フフフ~ン♪
大判鮫──金貨18枚
艶魚──金貨60枚
蛍アンコウ──金貨50枚
ルビーマルタ蟹──金貨108枚
幸フグ──金貨200枚
華麗カレイ──金貨41枚
しめて金貨477枚の売上。
よっしゃあ!
「すげぇじゃねーか、嬢ちゃん!」
「今朝の港の売上4位に入る快挙だせっ」
「それに俺らに波乗りイカまで差し入れてくれるなんてっ……嬢ちゃん天使か!」
「いえいえ、そんなっ、皆さんにはお世話になったので当然のことをしたまでですぅ」
支払いは現金一括払いでその場でもらえる。
スーツ姿の綺麗なお姉さんが笑顔で対応してくれた。
港には船の駐車スペースのようなものがあり、船の預かりに一日銀貨4枚取られる。私の船は小型船なので銀貨1枚で済んだ。とりあえず1週間分支払っといた。
よおおうし!
商業都市ヴァーデンスに入ったぞ!
港を出たら食堂街があると言っていたな。まずはそこに行こう。ほんとパンだけじゃ腹に力が入らんわー。
肉、肉ぅ、あと港ならではの美味しい料理!
広い港だ。ささっと探知探索して出口を見つける。
「待て!」
港を出た瞬間、手首をとられた。
五男坊のレイン君だ。うん、探知で知ってた。
きたきたキター!
結界を解除して魔導具『活絞アミ』を手にとる。見た目はただの虫取り網のように見える活絞アミだが、一旦この中に入ると神経を麻痺させる魔法がかかり獲物は動けなくなるのだ。
かかった波乗りイカが網を破ろうと口から水の鉄砲を打つ、その前に活き絞めされる。自慢の剃刀のようなエンペラーも役に立たない。
「あ~、邪魔邪魔、どいて」
マンタは要らない。
でか過ぎて網に入らないので海に払い落とす。イカだけ狙って一心不乱に網を振りかぶる。
網で捕らえたイカが溜まってきたら船内にぶちまける。ふぅ。マンタが邪魔だが波乗りイカの群れは途切れることがない。この調子でどんどん獲っていこう。
む?
海中にサンサン秋刀魚の群れを探知した。
夜になると燦々と輝く秋刀魚だ。少し前にばら蒔いておいた活き餌に食い付いてる。
目玉ルアーを30個放り投げる。重りと空気を調整して中層の群れを狙う。入れ入れ~。
「大漁、大漁」
波乗りイカ×357
サンサン秋刀魚×622
大判鮫×1
勝手に船に乗り上げてきていた大判鮫もゲットした。びったんびったん跳ねてうるさかったので窒息死させた。
あー……動いたあとに食う剣山ヒトデと吸血ウツボの内臓珍味がうまい。チャンジャもよく出来てる。もう無くなりそうだ。
ここは母国アルレントの隣国、カプルス共和国の領海。ボーンデビル島から船で2週間かけてここまできた。
朝になって最初に向かったのは商業都市ヴァーデンス。
漁師なら身分証がなくても入港できる『マナ港』があるのだ。移動中に立ち寄った島の人や、すれ違った漁師に色々教えてもらった。ちなみにドクロ柄で厳ついかと思った私の船、小さくて可愛い、キラキラしててお洒落だと見た人全員に誉められた……。
「はぁ~、漁村とはくらべものにならないね」
巨大な港には出港する船と入港する船が集まっていた。出入りは時間帯でわけているようで、何事も輸入業者や漁師の船が優先される。
おっ。入港を待つ間、船上でのんびり弁当を食べはじめた漁師さんが見えた。乗組員と先程仕掛けた罠について夕方には引き揚げようと話している。
「……見てたらお腹すいてきたな」
収納にある魚は鮮度が落ちないので入港を急ぐ必要はない。むしろ周りの漁船を気遣って最後の方でもいいかな。
鞄から水筒を出して紅茶を飲む。
レモン入りで喉がすっきりするぅ。
今日はなんちゃって作業着姿だ。
青いサロペットデニムに白いシャツ。
髪はポニーテールにして、赤いリボンカチューシャをつけている。皮の鞄をたすき掛けしてかなり平凡な格好だ。
「なぁ~、そこの金髪の嬢ちゃん!」
「……え?」
聞こえた声に振り向く。
後方にいるのは大型の漁船ばかり。そこから見下ろすように私に対する色んな視線が飛び交っていた。
「嬢ちゃんの船、えらい可愛いなっ」
「そうですか?」
フッ。私の海賊魔導船舐めんなよ。
そう胸を張ったが周りはなかなかの大きさのマグロや小型のくじらを船上のクレーンでぶら下げている。
ちなみに私は大判鮫一匹しかぶら下げていない。生け簀にも活き絞めしたイカしかない。
「にしても嬢ちゃんの船、狭いなっ」
「あそこも狭いのか、なぁなぁ?」
「やめろって、アハハっ」
もじもじして、困ったように笑って身をすくめると、周りから視線が濃くなった。
「なぁ~、この街は初めてか?」
「ついでに聞くと初体験もまだだろ?」
「アハハハっ、やめてやれっ」
「鮫以外になに釣った? 初見なら業者に吹っ掛けられるぜ。俺が買い取ってやろーかぁ?」
「俺は嬢ちゃんを買いたいぜぇ~」
漁師は皆体格がよく汗だくだ。
そして眼がギラギラしている。漁を終えた後の昂りってやつかな。
……でもなんだろう。海賊達と比べるとまだ可愛いく見えるんだよね……不思議。
「この街には初めて行ましたー。アルレントで父と兄の三人で漁をしていたのですが、そのぉ……不慮の事故で……二人とも……」
「「「…………」」」
「あ、でもっ、船は残ったので、こうして漁は続けていますっ」
にっこり笑って鞄から出したミニフランスパンにかぶりつく。うまー。中にある明太子とバターがやばいわ。
「朝からパンかよぉ。そんなんじゃ腹に力が入らないだろ?」
「港を出たらすぐ食堂街だ。そこでがっつり食える弁当が売ってるぜ」
「おすすめはトリガーさんとこの鳥弁当だな」
「ああ、あそこは安いよな。腹一杯食える」
ちょっと身の上話(嘘)したら、いきなり態度かえて可愛いすぎでしょ。
「でもぉ……私、手持ち少ないしぃ」
「大判鮫は最低でも金貨15枚で引き取ってくれるぜ」
「吹っ掛けられたらそう言ってやれ」
知ってる。
鑑定と査定したら大判鮫はヒレと肝しか価値がないが大体金貨15~25枚。波乗りイカは1kgで銀貨4枚。
「そうなんですね。私なんにも知らなくて……こんなとき、父と兄がいればなぁ……って」
「大丈夫、大丈夫」
「これから覚えていけばいいさ」
「俺達がついてる」
男たちのあまりの変貌に吹き出しそうになって俯いたら余計誤解された。もう周りはシーンだ。波の音しか聞こえない。
「この大判鮫なら金貨2枚だね。波乗りイカは鮮度もいいから全部で銀貨9枚で引き取るよ。合わせて金貨2枚と銀貨9枚だね」
「え?」
入港したら大勢の業者がいた。船を港に位置付けると、業者が船上に乗ってきて直接見て査定するらしいのだが……いきなり吹っ掛けられた。
「でもぉ……大判鮫は最低でも金貨15枚って」
「はっ、そんな値段では引き取れないね」
ちなみに私の船に勝手に乗り上げてきたこの大判鮫はヒレがかなりでかい。ヒレの査定だけでも金貨13枚。腹もでかく肝もたんまり入ってる筈だ。
吹っ掛けてきたこの業者の青年は、お手入れの行き届いた銀髪と周りと比べて身なりもよく結構お偉いさんだと思ったのに……。
「きちんと査定してくれる人とかわって下さい」
「は? きちんと? あんたみたいにタダでこの街に入ろうと漁師のふりをする輩があとをたたないんだよ。だからこうやって追い返すんだ」
「え……や、輩?」
「輩だろ。対した獲物もないし。それとも、正規の手続きで街に入るかい? 通行料は金貨3枚だよ」
「私……手持ちが少なくて」
「だから港から入ろうとしたんだろ?」
いや、こんなでかい街で正規の手続きをすると、どうしても記録が残ってしまうのでね。ヒューテック領でも魔導具で血を調べられたりするし。
「こら、レイン! 嬢ちゃんにケチつけるな!」
「都長の息子たって、お前五男坊だろ?」
「なんの権利があって買い取り額を引き下げてんだよっ」
あら~。
いつの間にか私の船に先程の漁師さん達が寄ってきた。狭いのか初めてかアハハと笑ってた漁師さん達とは思えない正義感で、都長の五男坊を取り囲んだ。
「ぼ、ボクは父上からこの港を任されてて」
「それがどうした?」
「嬢ちゃんの獲物を買い叩く理由になるのか?」
「どう見たって流れ者だろ! あんな小型船で、なにが漁師だ! うわ、」
あ。
恐らく小型船で細々とやっている漁師達だろう。激昂した顔で五男坊に掴みかかってる。
だみだこりゃ。早々に収拾させないと。
「あのっ! 私、まだ獲物持ってるんです!」
鞄に手を突っ込んで収納から艶魚、蛍アンコウ、ルビーマルタ蟹、幸フグ、華麗カレイを出す。
小型船だろうが技術さえあれば釣れる超高級魚たちだ。
「ほう、嬢ちゃんアイテムバック持ちか?」
「はい……父の遺産です。船と、このアイテムバックだけは残ったけど……あまり収納量がなくて、入らない分はいつも船に乗せておくんです」
「そうか、賢いな。にしてもレイン、これは漁師じゃないとなかなか釣れないぜ?」
「運もいるな……」
うん、ほんとは缶ルアーでテキトーにやってたら掛かったんだけどね。
「……なっ、何でさっきは出さなかった!」
「いきなり吹っ掛けられたから……怖くて」
「……っ、」
「あの、申し訳ないですが私いま本当に手持ちが無くて……父と兄のお葬式で貯金も殆ど使っちゃったの」
「え」
「だからもし……これらをきちんとした買い取り額で引き取ってくれるなら、正規の手続きで金貨3枚、この街にお支払いします」
「…………」
漁師達の「そんな金払わなくていい!」と声が飛び交うなか、青ざめた五男坊にペコリと頭を下げた。ぷぷ。顔隠してなかったらヤバかったな。
フンフン、フフフ~ン♪
大判鮫──金貨18枚
艶魚──金貨60枚
蛍アンコウ──金貨50枚
ルビーマルタ蟹──金貨108枚
幸フグ──金貨200枚
華麗カレイ──金貨41枚
しめて金貨477枚の売上。
よっしゃあ!
「すげぇじゃねーか、嬢ちゃん!」
「今朝の港の売上4位に入る快挙だせっ」
「それに俺らに波乗りイカまで差し入れてくれるなんてっ……嬢ちゃん天使か!」
「いえいえ、そんなっ、皆さんにはお世話になったので当然のことをしたまでですぅ」
支払いは現金一括払いでその場でもらえる。
スーツ姿の綺麗なお姉さんが笑顔で対応してくれた。
港には船の駐車スペースのようなものがあり、船の預かりに一日銀貨4枚取られる。私の船は小型船なので銀貨1枚で済んだ。とりあえず1週間分支払っといた。
よおおうし!
商業都市ヴァーデンスに入ったぞ!
港を出たら食堂街があると言っていたな。まずはそこに行こう。ほんとパンだけじゃ腹に力が入らんわー。
肉、肉ぅ、あと港ならではの美味しい料理!
広い港だ。ささっと探知探索して出口を見つける。
「待て!」
港を出た瞬間、手首をとられた。
五男坊のレイン君だ。うん、探知で知ってた。
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