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2部 人魚とチートな彼氏編
11 ホーリーパール
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翌日の朝早く、エメラルドちゃんが店に訪ねてきた。
「ご報告にきました」
そう言ってほんのりと頬を染めてぎゅっとスカートの裾を握り締めたエメラルドちゃん。
「……報告?」
「は、い」
意を決したように顔を上げると、真っ直ぐに私を見つめてきた。
……美少女やなぁ。こういうの男の子がされたら、告白かと勘違いするやろに──と、そこで「あ」と気付いた。
「ってまさか……好きな人ができた!? それで報告にきたの!? 相手は人間!? まだ海に引き摺りこんでないよね!?」
「……う、ううん。違うの。実は……初潮がきたの。だからリリーおねいさんには、言っておこうと思って」
え。初潮の報告?
なんで?
「エメラルド……リリーは俺のだよ」
話していたら背後から現れた全裸のフィックスさんに羽交い締めにされて、エメラルドちゃんを「ひっ」とドン引きさせてしまった。私はちゃんと服着てたからセーフだったのに、全裸のフィックスさんが絡むことでアウトになる。
「フィックスお兄さん……ほ、報告はただの風習で、昔からの決まりだから」
「……気にくわないね」
「ひっ」
「もー、フィックスさん、擽ったいってば!」
あ、ミラさんが入ってきた!
もう。フィックスさんには収納から出した外套を羽織らせた。
そしてミラさんに手を振ると不安げにおろおろしてから、こちらに歩いてきた。
「あの、すみません。こんな朝早く」
「いえいえ、どうしたんですか?」
「実は娘に……エメラルドに初潮がきまして」
「はい。はい?」
「もし嫌じゃなかったらこれを……受け取って頂けないでしょうか?」
ミラさんが見せたのは大きめの真珠──人魚の大粒涙だ。
「え……これ、」
「昨夜はじめて……エメラルドが流した涙です。全てリリーさんのおかげです」
人魚の大粒涙は、収納に大量にある。
小粒の人魚の涙と比べると、大きさは10倍はある。出所は解らないけど海底に落ちているのだ。
前世で拾いまくった。
「リリー」
「はい?」
「どうする? 受け取る?」
え。これ。
人魚の大粒涙だから、エメラルドちゃんが流した涙だよね? 何故それを私に?
「ミラ、俺は別に構わないよ。リリーがいいならね」
「いえ、エメラルドをリリーさんの庇護下に置いてもらおうとは思ってません。ただ、売るとそれなりの金額にはなりますので」
うん。知ってる。
大粒涙なら金貨500枚くらいかな。
……って庇護下とは?
「ねぇママ。リリーおねいさんの庇護下に入ったら、エメラルドにも可能性はあるよねー」
「こら、滅多な事を言うんじゃありません!」
「そんな可能性は無いよ、あったらとっくに潰してる」
「ぅ……」
……てか、この真珠。
エメラルドちゃんがはじめて流した涙ってミラさんが言ってたから……初潮ってこれのこと?
人魚の涙は、公式では雷魔法──極擽術で得られる。静電気で無理矢理擽って涙を出させるのだ。
まさか昨日の擽りが起爆剤となり、私がエメラルドちゃんに初潮を引き起こさせた?
"全てリリーさんのおかげです"
……え。ごめん。
11歳で初潮。人魚にとったら早いのか遅いのかは知らない。
「……あのぅ、そのぅ、エメラルドちゃんを庇護下に入れるとは……具体的にどういった?」
「エメラルドが、リリーおねいさんの妻になるの!」
「こら! やめなさいエメラルド! 全く意味が違います! すみません、リリーさん……」
妻? 初潮と同じでまた隠語?
ぴょんぴょん抱きついてきたエメラルドちゃんを落ち着かせ、どういった意味か聞こうとしたら背後からまたフィックスさんに羽交い締めにされた。
「魚臭くなるからリリーに触らないで」
「ひどいっ、エメラルド臭くないもん!」
「魚臭いよ。人魚は皆そう」
「フィックスお兄さんだって今日は蛇臭いじゃない!」
「今は発情期だからね」
ぶわぁっとフィックスさんの黒髪が広がり、顔面蒼白になったエメラルドちゃんが後ずさった。
うわぁ。昨夜程じゃないけど黒い蛇が出てきてる。そして頬を食まれた。カプっと。
「いて、フィックスさん……その蛇噛んできます」
「そう。リリーの事が好きなんだろうね」
「いてて、ちょ、耳穴やめ……って昨夜は噛んでこなかったじゃないですか!」
「昨夜より今日はもっとリリーが好きなんだろうね」
「えぇ……仕方ないですね」
地味にチクチクするけど、攻撃でないのは解る。全ての蛇の頭を撫でると、落ち着ついたのか髪に引っ込んだ。
気付くとミラさんが目を見開いて固まっていて、エメラルドちゃんもこの世の終わりを見たかのように青ざめていたのでフィックスさんから離れた。うん。人前で不味った。私がバカップルやるのは、人の目がない時だけと決めているのだ。
「それであの、庇護下とは?」
「……あ、ううん。エメラルドの涙を貰ってくれるだけでいいの」
「そう……じゃあこうしよう。それは預かっておくから、エメラルドちゃんがお嫁にいくとき金貨にかえたらいいよ。支度金は多い程いいからねっ」
「…………う、うん」
ミラさんから人魚の大粒涙を受け取る。
このまま収納に入れたら他の大粒涙と混ざってしまうので布に包んでからにしよう。
「用件はそれだけ? なら早く帰りなよ」
「っ~! なによっ、フィックスお兄さんとリリーおねいさんだと、あと一年はかかるじゃないっ。エメラルドだったらすぐにでもリリーおねいさんのヒッ……!」
あーあー……また髪から蛇が顔を出した。おまけに瞼と下唇に噛み付かれて思いっきり引っ張られてるんですけど。今度は結構痛いぞ。
「……さっきから二人して私の解らない事で盛り上がるのやめてもらえません? 二人ともそんなに仲いいんなら私いらないですよね? 私は神ですから、もう自分の世界に帰っちゃいますよ」
「っ、ダメ」
「やだぁ! リリーおねいさん帰っちゃやだぁ!」
もう。さっきから消え入りそうなか細い声で「すみません、本当にすみません」と青ざめてるミラさんがふらっふらになってるじゃないか。
「エメラルドちゃん。もう5時になるから、そろそろ行っといで。昨日の感じだと今日は西エリアにキノコが大群生してるよ」
「……ぅ……今日は、アリエルがいるからエメラルドいらないもん」
「でもアリエルちゃん久々に潜るんだよね? 勘を取り戻すまで、一番仲のいいエメラルドちゃんがいたら安心だと思うけどなぁ」
「ず、ずっとサボってたんだから、勘が鈍ってても自業自得でしょ? だってアリエルがいない間、エメラルドがずっと頑張ってきたのよ。今日くらい代わってもらったって……」
「いやそれは違うよ。エメラルドちゃんだって、アリエルちゃんが怖がりで心に傷を抱えてるって言ってたじゃない。それを心配してアリエルちゃんの分まで頑張ってきたんでしょ?」
「……そう、だけど」
「昨日はアリエルちゃん、浜辺に様子を見にきてたんだよ。5時前にすれ違ったからね。恐らく自分の代わりに頑張ってるエメラルドちゃんが気になって以前からしょっちゅう見にきてたんじゃない?」
「そうなの?」
「うん。アリエルちゃんは昨日いきなり元気になったんじゃないよ。日々エメラルドちゃんが頑張る姿にいつまでもこうしてはいられないって、自分を奮いたたせたんだよ。エメラルドちゃんの頑張りが、アリエルちゃんを救ったんだよ」
「そっ、か……」
いや知らんけど。
一番仲いいかどうかも知らんけど。
てか昨日のあの様子のアリエルちゃんならなんの問題もないと思うけど。武器も渡したしな。
とりあえずこの場を収拾しないとミラさんがやばい。人魚なのに冷や汗どころか脂汗までかいてきてるぞ。
「フィックスさん。そういや今日から店開けるって、昨夜の帰りにテリーさんが言ってましたよね? なのでそろそろ仕込みを、 」
「リリーは絶対いい母親になるよ。俺……楽しみだなぁ」
「フィックスさん、私の話聞いてます? どこかの海に耳を落としてきたんですか?」
「……いや、海の中に俺の耳落ちてないよ?」
うん。いま一瞬で探したな。
私のことよく抜けてるって言うけど、フィックスさんも結構……。
「そういうとこも、好きですよ。いつもテキパキ働いてて、凄いなぁって……フィックスさんみたいな素敵な彼氏がいて私は幸せです」
「俺もリリーが好き。頑張るから、ずっと俺の側にいて、離れないで」
「勿論離れません。今からミラさんを家に送って、必ずフィックスさんの胸に戻ってきます」
「わかった」
ミラさんを送る間、体調や喉の調子について色々聞いた。ミラさんは昨日から声が出るようになって、エメラルドちゃんに絵本を読んだり歌を聴かせたりしていたそうだ。それも朝まで。
「殆ど寝ないとはいえ、いきなり喉を酷使しすぎですよぉ」
家の前について、一応鑑定。
ふむ。体や喉に異常はなさそうだ。HPも満タン。よかった。
「えぇ……本当に。泣いて……喜ぶエメラルドが可愛くて、つい朝まで……」
「泣いて……喜ぶ?」
「リリーさん?」
「ミラさんもしかして、先程の真珠って……え……まさか……?」
「……はい」
ミラさんが警戒するように少し周りを確認してから頷いた。
え。やばない?
ポケットから出した大粒涙、布を外して鑑定と査定をした。
ホーリーパール──穢れなき乙女人魚の大粒涙。初潮に流す大粒涙と、人魚の感動が合わさった稀少品。人魚が一生のうち流す涙に相当する。年月と共に透明度が増していく。
推定価格──透明度による。
純金貨10000~100000000枚。
ホーリーパール──やべ。知ってる。背筋がゾッとして即ポケットに隠した。
「ミラさん……一度これを流したら、二度と涙を流せなくなります。で、でも錬金術でエメラルドちゃんの体に戻すことができれば、」
「いえ、違うのです。二度と真珠は生まれない、けれど、涙を流すことはできます。人間のように……これがエメラルドにとってどれだけ嬉しいことか……」
そこで両手をしっかりと握られた。
「我々は、人間の前では涙を流せないのです。一度でも見せれば永遠に真珠を生む家畜とされ、利用され……っ、」
隠密と結界でミラさんを包む。
「?……これは、」
「私の魔力で周りから見たり触れたりできないよう囲いました」
溢れ出したミラさんの涙を思わず離した手で受け止めていた。膜が薄い。真珠というより、白い石だ。鑑定すると──心が痛んだ。今までどれだけ涙を流してきたのだろう。
「……っ、まぁ……リリーさんはそのような事も出来るのですね……流石は神様です」
受けとめた涙は指の間をさらさらと砂のように流れて、地面に落ちる前に消えた。
「リリーさんには本当に……感謝しても足りません。私や、エメラルドに、声や命を与えるだけじゃなく第2の人生まで贈って頂きました。きっとリリーさんのように慈悲深い心を持つ方を、人は神と崇めるのでしょう……もしこの先なにか……リリーさんにとって都合の悪いことがあったら……いくらでも私達を使って下さい。なんでも構いません。どんな小さなことでも、リリーさんの、助けになりたいんです」
「…………」
「リリーさんの平穏が続きますように、いつまでもお祈りしています」
そう言ってミラさんは破顔した。
思わず息をのむような美しい涙と笑顔だった。
そのあと別れの挨拶をかわし、家に入るのを見届けてから隠密と結界を解除。
あぁ……。
これ神とか嘘こいたの絶対バレてるな。その上で何か困ったことがあったら頼ってくれと……ミラさんこそ女神すぎる。
「もう~っっ、フィックスさん、ホーリーパールならそう言ってよぉ……びっくりしちゃったじゃなぁい」
帰宅すると顔をフィックスさんの胸に押し付けられた。ただいまー。
「別にホーリーパールなんて珍しくもないから」
ホーリーパールだぞ!
透明度が上がってから売れば私の全財産を超越するぞ!
って売らんけどさぁ……。
一言いってよぉ。マジびびった。
「いや珍しいよ。あるのは知ってたけど、初めて見たもん」
「初めてじゃないよ……俺、リリーの目の前で出したことあるよ」
「…………え」
一瞬考えてふらっとした。
「まさかあの巨大真珠!?」
「そう」
「ってスイカくらいありましたけどぉ!?」
ってそれ、いまこの海の界隈に落ちてるんですけど……。
「スイカが食べたいの? スイカシャーベットならあるよ」
「えっ、食べます!」
「じゃあデザートに出してあげる」
「ありがとうございます!」
スイカとか久々すぎて滾る。
前世はともかく、今世ではまだ食べてないよ。
スイカグッツは沢山持ってるんだけどねー。
「スイカ♪スイカ♪あ、それスイカ♪」
収納から出したスイカ柄のビーチボールをプクーと膨らませているとフィックスさんが噴き出した。わぁ、そんな笑顔初めて見た。
「リリーは可愛いね」
「フィックスさんはかっこいいです。大好き」
フィックスさんが目を見開いて絶句した隙にスイカボールをパス!
ポン、とフィックスさんの頭に弾んでスルーされたスイカボール。あれ? 急に目の前が真っ暗。
「あ、アウウ」
顔を潰すように抱き締められてて苦しい。
「リリー、胸が苦しい」
「わ、私は息が苦しい」
「食べちゃいたい」
「ご飯のあとなら……っ」
なんとか胸を押して顔を上げると黒髪の殆どが蛇になったフィックスさん。満月みたいになったまん丸お目々がふわりと和み、次の瞬間、舌なめずりした。
「あれぇ?」
一瞬で反転した視界で一瞬階段が見え、一瞬廊下が見え、フィックスさんの部屋が見えた。
……凄い情景。動体視力が追い付かない。もう目前にフィックスさんの顔。
「ンっ、」
キスと同時に重なり合う素肌。一瞬で服まで脱がされてしまった。
「これ出ると我慢がきかなくなるんだ」
「んぅ……髪の、蛇?」
「そう」
頬肘をついてじっと私を見下ろしてくるフィックスさん。舌がちろちろと首や唇をなぞる。イチャイチャ感が凄い。今ならバカップルもできそう。
「ん、はぁ……きゃっ……擽った、い……」
「可愛い……可愛いリリー……大好き。なんでもする。リリーの為なら、俺なんでもする」
「んっ、フィックスさん」
「うん?」
「逃げないから、私のこと捨てないでね?」
「……捨てないよ。なんで?」
「フィックスさんに捨てられたら、私しんじゃう」
「捨てないよ。リリーが死んだら俺も死ぬよ」
「フィックスさんが他の子を好きになったり、誰かと浮気したら私しんじゃう。フィックスさんのこと大好きなの。フィックスさんがいなくなったら生きていけないの……だから捨てないで」
「しないよ。リリーしか愛さないよ。リリーが普通の女の子になっても壊れないようにずっと大事にするよ。リリーを傷つけるものがいたら消してあげる。この世界から他が全て消えても俺とリリーだけいればそれでいい。だから絶対に離さないよ」
そこでトントンと、開いたドアをノックするテリーさんがいた。
あ、閉め忘れ……。
「……全く。お嬢ちゃん、怖いな。今のフィックスの言葉だけで、海中にいる種族、半数は絶滅したぞ」
「……え」
「冗談だ、そうなる可能性を言った」
…………冗談かよ! 怖っ。
って私、全裸なんですけどぉ。いや、フィックスさんが乗ってるし、その上からシーツも被ってるけどさぁ。
「っ、あわわ……」
「フィックス、昨日は海水温を上げすぎた。船も出てる。客が殺到するぞ」
「また下げてみたら?」
「……そうだな。それも手か」
二人とも真顔でなんちゅー話してんの?
ってフィックスさんがもぞもぞしてきた!
「わ、わっ! 待っ……!」
「大丈夫。帰ったよ」
「ンっ、でもっ……お、店……開けない、と」
「リリーが不安がってるから、ずっと閉めとくよ」
「そ、それは駄目でしょ!」
「ご報告にきました」
そう言ってほんのりと頬を染めてぎゅっとスカートの裾を握り締めたエメラルドちゃん。
「……報告?」
「は、い」
意を決したように顔を上げると、真っ直ぐに私を見つめてきた。
……美少女やなぁ。こういうの男の子がされたら、告白かと勘違いするやろに──と、そこで「あ」と気付いた。
「ってまさか……好きな人ができた!? それで報告にきたの!? 相手は人間!? まだ海に引き摺りこんでないよね!?」
「……う、ううん。違うの。実は……初潮がきたの。だからリリーおねいさんには、言っておこうと思って」
え。初潮の報告?
なんで?
「エメラルド……リリーは俺のだよ」
話していたら背後から現れた全裸のフィックスさんに羽交い締めにされて、エメラルドちゃんを「ひっ」とドン引きさせてしまった。私はちゃんと服着てたからセーフだったのに、全裸のフィックスさんが絡むことでアウトになる。
「フィックスお兄さん……ほ、報告はただの風習で、昔からの決まりだから」
「……気にくわないね」
「ひっ」
「もー、フィックスさん、擽ったいってば!」
あ、ミラさんが入ってきた!
もう。フィックスさんには収納から出した外套を羽織らせた。
そしてミラさんに手を振ると不安げにおろおろしてから、こちらに歩いてきた。
「あの、すみません。こんな朝早く」
「いえいえ、どうしたんですか?」
「実は娘に……エメラルドに初潮がきまして」
「はい。はい?」
「もし嫌じゃなかったらこれを……受け取って頂けないでしょうか?」
ミラさんが見せたのは大きめの真珠──人魚の大粒涙だ。
「え……これ、」
「昨夜はじめて……エメラルドが流した涙です。全てリリーさんのおかげです」
人魚の大粒涙は、収納に大量にある。
小粒の人魚の涙と比べると、大きさは10倍はある。出所は解らないけど海底に落ちているのだ。
前世で拾いまくった。
「リリー」
「はい?」
「どうする? 受け取る?」
え。これ。
人魚の大粒涙だから、エメラルドちゃんが流した涙だよね? 何故それを私に?
「ミラ、俺は別に構わないよ。リリーがいいならね」
「いえ、エメラルドをリリーさんの庇護下に置いてもらおうとは思ってません。ただ、売るとそれなりの金額にはなりますので」
うん。知ってる。
大粒涙なら金貨500枚くらいかな。
……って庇護下とは?
「ねぇママ。リリーおねいさんの庇護下に入ったら、エメラルドにも可能性はあるよねー」
「こら、滅多な事を言うんじゃありません!」
「そんな可能性は無いよ、あったらとっくに潰してる」
「ぅ……」
……てか、この真珠。
エメラルドちゃんがはじめて流した涙ってミラさんが言ってたから……初潮ってこれのこと?
人魚の涙は、公式では雷魔法──極擽術で得られる。静電気で無理矢理擽って涙を出させるのだ。
まさか昨日の擽りが起爆剤となり、私がエメラルドちゃんに初潮を引き起こさせた?
"全てリリーさんのおかげです"
……え。ごめん。
11歳で初潮。人魚にとったら早いのか遅いのかは知らない。
「……あのぅ、そのぅ、エメラルドちゃんを庇護下に入れるとは……具体的にどういった?」
「エメラルドが、リリーおねいさんの妻になるの!」
「こら! やめなさいエメラルド! 全く意味が違います! すみません、リリーさん……」
妻? 初潮と同じでまた隠語?
ぴょんぴょん抱きついてきたエメラルドちゃんを落ち着かせ、どういった意味か聞こうとしたら背後からまたフィックスさんに羽交い締めにされた。
「魚臭くなるからリリーに触らないで」
「ひどいっ、エメラルド臭くないもん!」
「魚臭いよ。人魚は皆そう」
「フィックスお兄さんだって今日は蛇臭いじゃない!」
「今は発情期だからね」
ぶわぁっとフィックスさんの黒髪が広がり、顔面蒼白になったエメラルドちゃんが後ずさった。
うわぁ。昨夜程じゃないけど黒い蛇が出てきてる。そして頬を食まれた。カプっと。
「いて、フィックスさん……その蛇噛んできます」
「そう。リリーの事が好きなんだろうね」
「いてて、ちょ、耳穴やめ……って昨夜は噛んでこなかったじゃないですか!」
「昨夜より今日はもっとリリーが好きなんだろうね」
「えぇ……仕方ないですね」
地味にチクチクするけど、攻撃でないのは解る。全ての蛇の頭を撫でると、落ち着ついたのか髪に引っ込んだ。
気付くとミラさんが目を見開いて固まっていて、エメラルドちゃんもこの世の終わりを見たかのように青ざめていたのでフィックスさんから離れた。うん。人前で不味った。私がバカップルやるのは、人の目がない時だけと決めているのだ。
「それであの、庇護下とは?」
「……あ、ううん。エメラルドの涙を貰ってくれるだけでいいの」
「そう……じゃあこうしよう。それは預かっておくから、エメラルドちゃんがお嫁にいくとき金貨にかえたらいいよ。支度金は多い程いいからねっ」
「…………う、うん」
ミラさんから人魚の大粒涙を受け取る。
このまま収納に入れたら他の大粒涙と混ざってしまうので布に包んでからにしよう。
「用件はそれだけ? なら早く帰りなよ」
「っ~! なによっ、フィックスお兄さんとリリーおねいさんだと、あと一年はかかるじゃないっ。エメラルドだったらすぐにでもリリーおねいさんのヒッ……!」
あーあー……また髪から蛇が顔を出した。おまけに瞼と下唇に噛み付かれて思いっきり引っ張られてるんですけど。今度は結構痛いぞ。
「……さっきから二人して私の解らない事で盛り上がるのやめてもらえません? 二人ともそんなに仲いいんなら私いらないですよね? 私は神ですから、もう自分の世界に帰っちゃいますよ」
「っ、ダメ」
「やだぁ! リリーおねいさん帰っちゃやだぁ!」
もう。さっきから消え入りそうなか細い声で「すみません、本当にすみません」と青ざめてるミラさんがふらっふらになってるじゃないか。
「エメラルドちゃん。もう5時になるから、そろそろ行っといで。昨日の感じだと今日は西エリアにキノコが大群生してるよ」
「……ぅ……今日は、アリエルがいるからエメラルドいらないもん」
「でもアリエルちゃん久々に潜るんだよね? 勘を取り戻すまで、一番仲のいいエメラルドちゃんがいたら安心だと思うけどなぁ」
「ず、ずっとサボってたんだから、勘が鈍ってても自業自得でしょ? だってアリエルがいない間、エメラルドがずっと頑張ってきたのよ。今日くらい代わってもらったって……」
「いやそれは違うよ。エメラルドちゃんだって、アリエルちゃんが怖がりで心に傷を抱えてるって言ってたじゃない。それを心配してアリエルちゃんの分まで頑張ってきたんでしょ?」
「……そう、だけど」
「昨日はアリエルちゃん、浜辺に様子を見にきてたんだよ。5時前にすれ違ったからね。恐らく自分の代わりに頑張ってるエメラルドちゃんが気になって以前からしょっちゅう見にきてたんじゃない?」
「そうなの?」
「うん。アリエルちゃんは昨日いきなり元気になったんじゃないよ。日々エメラルドちゃんが頑張る姿にいつまでもこうしてはいられないって、自分を奮いたたせたんだよ。エメラルドちゃんの頑張りが、アリエルちゃんを救ったんだよ」
「そっ、か……」
いや知らんけど。
一番仲いいかどうかも知らんけど。
てか昨日のあの様子のアリエルちゃんならなんの問題もないと思うけど。武器も渡したしな。
とりあえずこの場を収拾しないとミラさんがやばい。人魚なのに冷や汗どころか脂汗までかいてきてるぞ。
「フィックスさん。そういや今日から店開けるって、昨夜の帰りにテリーさんが言ってましたよね? なのでそろそろ仕込みを、 」
「リリーは絶対いい母親になるよ。俺……楽しみだなぁ」
「フィックスさん、私の話聞いてます? どこかの海に耳を落としてきたんですか?」
「……いや、海の中に俺の耳落ちてないよ?」
うん。いま一瞬で探したな。
私のことよく抜けてるって言うけど、フィックスさんも結構……。
「そういうとこも、好きですよ。いつもテキパキ働いてて、凄いなぁって……フィックスさんみたいな素敵な彼氏がいて私は幸せです」
「俺もリリーが好き。頑張るから、ずっと俺の側にいて、離れないで」
「勿論離れません。今からミラさんを家に送って、必ずフィックスさんの胸に戻ってきます」
「わかった」
ミラさんを送る間、体調や喉の調子について色々聞いた。ミラさんは昨日から声が出るようになって、エメラルドちゃんに絵本を読んだり歌を聴かせたりしていたそうだ。それも朝まで。
「殆ど寝ないとはいえ、いきなり喉を酷使しすぎですよぉ」
家の前について、一応鑑定。
ふむ。体や喉に異常はなさそうだ。HPも満タン。よかった。
「えぇ……本当に。泣いて……喜ぶエメラルドが可愛くて、つい朝まで……」
「泣いて……喜ぶ?」
「リリーさん?」
「ミラさんもしかして、先程の真珠って……え……まさか……?」
「……はい」
ミラさんが警戒するように少し周りを確認してから頷いた。
え。やばない?
ポケットから出した大粒涙、布を外して鑑定と査定をした。
ホーリーパール──穢れなき乙女人魚の大粒涙。初潮に流す大粒涙と、人魚の感動が合わさった稀少品。人魚が一生のうち流す涙に相当する。年月と共に透明度が増していく。
推定価格──透明度による。
純金貨10000~100000000枚。
ホーリーパール──やべ。知ってる。背筋がゾッとして即ポケットに隠した。
「ミラさん……一度これを流したら、二度と涙を流せなくなります。で、でも錬金術でエメラルドちゃんの体に戻すことができれば、」
「いえ、違うのです。二度と真珠は生まれない、けれど、涙を流すことはできます。人間のように……これがエメラルドにとってどれだけ嬉しいことか……」
そこで両手をしっかりと握られた。
「我々は、人間の前では涙を流せないのです。一度でも見せれば永遠に真珠を生む家畜とされ、利用され……っ、」
隠密と結界でミラさんを包む。
「?……これは、」
「私の魔力で周りから見たり触れたりできないよう囲いました」
溢れ出したミラさんの涙を思わず離した手で受け止めていた。膜が薄い。真珠というより、白い石だ。鑑定すると──心が痛んだ。今までどれだけ涙を流してきたのだろう。
「……っ、まぁ……リリーさんはそのような事も出来るのですね……流石は神様です」
受けとめた涙は指の間をさらさらと砂のように流れて、地面に落ちる前に消えた。
「リリーさんには本当に……感謝しても足りません。私や、エメラルドに、声や命を与えるだけじゃなく第2の人生まで贈って頂きました。きっとリリーさんのように慈悲深い心を持つ方を、人は神と崇めるのでしょう……もしこの先なにか……リリーさんにとって都合の悪いことがあったら……いくらでも私達を使って下さい。なんでも構いません。どんな小さなことでも、リリーさんの、助けになりたいんです」
「…………」
「リリーさんの平穏が続きますように、いつまでもお祈りしています」
そう言ってミラさんは破顔した。
思わず息をのむような美しい涙と笑顔だった。
そのあと別れの挨拶をかわし、家に入るのを見届けてから隠密と結界を解除。
あぁ……。
これ神とか嘘こいたの絶対バレてるな。その上で何か困ったことがあったら頼ってくれと……ミラさんこそ女神すぎる。
「もう~っっ、フィックスさん、ホーリーパールならそう言ってよぉ……びっくりしちゃったじゃなぁい」
帰宅すると顔をフィックスさんの胸に押し付けられた。ただいまー。
「別にホーリーパールなんて珍しくもないから」
ホーリーパールだぞ!
透明度が上がってから売れば私の全財産を超越するぞ!
って売らんけどさぁ……。
一言いってよぉ。マジびびった。
「いや珍しいよ。あるのは知ってたけど、初めて見たもん」
「初めてじゃないよ……俺、リリーの目の前で出したことあるよ」
「…………え」
一瞬考えてふらっとした。
「まさかあの巨大真珠!?」
「そう」
「ってスイカくらいありましたけどぉ!?」
ってそれ、いまこの海の界隈に落ちてるんですけど……。
「スイカが食べたいの? スイカシャーベットならあるよ」
「えっ、食べます!」
「じゃあデザートに出してあげる」
「ありがとうございます!」
スイカとか久々すぎて滾る。
前世はともかく、今世ではまだ食べてないよ。
スイカグッツは沢山持ってるんだけどねー。
「スイカ♪スイカ♪あ、それスイカ♪」
収納から出したスイカ柄のビーチボールをプクーと膨らませているとフィックスさんが噴き出した。わぁ、そんな笑顔初めて見た。
「リリーは可愛いね」
「フィックスさんはかっこいいです。大好き」
フィックスさんが目を見開いて絶句した隙にスイカボールをパス!
ポン、とフィックスさんの頭に弾んでスルーされたスイカボール。あれ? 急に目の前が真っ暗。
「あ、アウウ」
顔を潰すように抱き締められてて苦しい。
「リリー、胸が苦しい」
「わ、私は息が苦しい」
「食べちゃいたい」
「ご飯のあとなら……っ」
なんとか胸を押して顔を上げると黒髪の殆どが蛇になったフィックスさん。満月みたいになったまん丸お目々がふわりと和み、次の瞬間、舌なめずりした。
「あれぇ?」
一瞬で反転した視界で一瞬階段が見え、一瞬廊下が見え、フィックスさんの部屋が見えた。
……凄い情景。動体視力が追い付かない。もう目前にフィックスさんの顔。
「ンっ、」
キスと同時に重なり合う素肌。一瞬で服まで脱がされてしまった。
「これ出ると我慢がきかなくなるんだ」
「んぅ……髪の、蛇?」
「そう」
頬肘をついてじっと私を見下ろしてくるフィックスさん。舌がちろちろと首や唇をなぞる。イチャイチャ感が凄い。今ならバカップルもできそう。
「ん、はぁ……きゃっ……擽った、い……」
「可愛い……可愛いリリー……大好き。なんでもする。リリーの為なら、俺なんでもする」
「んっ、フィックスさん」
「うん?」
「逃げないから、私のこと捨てないでね?」
「……捨てないよ。なんで?」
「フィックスさんに捨てられたら、私しんじゃう」
「捨てないよ。リリーが死んだら俺も死ぬよ」
「フィックスさんが他の子を好きになったり、誰かと浮気したら私しんじゃう。フィックスさんのこと大好きなの。フィックスさんがいなくなったら生きていけないの……だから捨てないで」
「しないよ。リリーしか愛さないよ。リリーが普通の女の子になっても壊れないようにずっと大事にするよ。リリーを傷つけるものがいたら消してあげる。この世界から他が全て消えても俺とリリーだけいればそれでいい。だから絶対に離さないよ」
そこでトントンと、開いたドアをノックするテリーさんがいた。
あ、閉め忘れ……。
「……全く。お嬢ちゃん、怖いな。今のフィックスの言葉だけで、海中にいる種族、半数は絶滅したぞ」
「……え」
「冗談だ、そうなる可能性を言った」
…………冗談かよ! 怖っ。
って私、全裸なんですけどぉ。いや、フィックスさんが乗ってるし、その上からシーツも被ってるけどさぁ。
「っ、あわわ……」
「フィックス、昨日は海水温を上げすぎた。船も出てる。客が殺到するぞ」
「また下げてみたら?」
「……そうだな。それも手か」
二人とも真顔でなんちゅー話してんの?
ってフィックスさんがもぞもぞしてきた!
「わ、わっ! 待っ……!」
「大丈夫。帰ったよ」
「ンっ、でもっ……お、店……開けない、と」
「リリーが不安がってるから、ずっと閉めとくよ」
「そ、それは駄目でしょ!」
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