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2部 人魚とチートな彼氏編
12 大胆に
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「わぁー……こうやって仕込みしてるんだぁ」
今日は昼からお店を開けるそうで、フィックスさんが食材を切ったりタレを作る姿をカウンターから眺めた。大好きな彼がエプロン姿で真剣な顔で料理するのってなんかクるよね。自然と顔がニヤけてしまう。
「わぁ、フィックスさん達人ですね」
フィックスさんが切ったお肉も魚も断面が艶々だぁ。普通の包丁使ってるから腕がいいんだろうな。
「そんなことないよ。リリーも料理するでしょ?」
「たまにしかしないよ」
ついでに料理と作業高速化のスキルでラクをしている。おまけにテンプレ装備と同じようにテンプレ料理もあるので、収納の中に材料が揃っていれば一瞬で作られたペペロンチーノが出てくるのだ。
「横顔かっこいぃ~包丁使いが上手~フィックスさんて器用よねぇ。指も長いし、そのおっきな手に包まれてる食材が羨ましぃ~」
あ、包丁落とした。
「リリぃ……」
「あ! そういや後で養殖場に食材取りにいくって言ってたよね! 私、行ってくるー」
いかんいかん。
髪の蛇に睨まれた。
走ってドアを開けた瞬間、目の前に現れた手にドアが押し戻された。
「さっきもそれくらい大胆だったらよかったんだけどね」
ひぇっ……さっきおあずけされたこと、根に持ってる。うわぁ……舌がちろちろとうなじをつつく。
「すみ、ません……恥ずかしがり屋なので」
「いつまでそれが通用するかな」
「っ……! あ、いや……それでも、ちょっとはマシになってると思いますよ? だってフィックスさんと出会ってまだ1週間ですよ? 私の世界では、こんな急速に深い仲になる人殆どいませんよ」
「……ふぅん」
ヤルだけなら、いるだろうけど。
ここまで自分をさらけ出すのって、普通ならもっと時間がかかっただろうし。
うぅ……また蛇が耳穴をぐりぐりしてくる。おまけに奥でチロっと舌を出されて、下腹部がズクっと疼いた。
あかん。真剣な顔で振り返ってフィックスさんの首に腕をまわす。
「フィックスさんだから、恥ずかしがり屋な私でもこんなに大胆になれているんです。それじゃあ、養殖場に行くので、いってらっしゃいのキスをして下さい」
うん。おでこも頬も髪の蛇にカプられてて真剣な顔が決まらない
「リリぃ……」
目を閉じてキスを待つも、首にまわした両手を髪の蛇に拘束され、服の中に侵入してきた手に両方のお尻を鷲掴みされた。
「ちょ、……フィックスさん!」
「なら俺の為にいま大胆になって?」
足が割られ、腰が押し付けられる。
「だ、大胆に……これでも頑張ったんですぅ!」
「もっと。足りない」
「あ、っ!」
お尻を掴んでいた手にジャージ(下)がずり下ろされた。舌でジャージ(上)のチャックまで下ろされていく。ほんと器用だよねぇ。
てかここ、ドア一枚後ろは外なんですけど。
やばい……フィックスさんが腰を押し付けてくるので背中のドアがミシッと軋みだした。このままドアが外れて倒れこんだら衆人環視にあられもない姿を晒すことになる。
こうなったら二人とも隠密で包んで──発動しない。なんで?
「ん……? なにこれ」
「ちょ、フィックスさ……」
違う。発動して、そのあとすぐ髪の蛇が暴れて相殺させている。
成る程。確かに隠密でも本人が暴れまわったら気取られるもんな。浜辺でフィックスさんに襲い掛かった時がそうだった。
「もうっ! このままドアが外れて私のおっぱいとお尻が他の人に見られてもいいんですか!」
「見せないよ。見る前に目を潰しとく」
こらこらこらこら!
「やっ……ダメぇ……んもうっ、さっき拒んだのだって、今日は夜になったらすっごい大胆な姿でフィックスさんを誘惑しよぅと思ってたからなの、にぃ……っ、」
「……言ったね」
言ってしまった。
夜までに腹をくくることになりそうだ。
シリンちゃんとマリンちゃんのお母さん、マリアーナさんが経営する巨大養殖場にやってきた。
今日は契約してる淡水に生息する光スッポンを5匹、そしてフィックスさんのかわりに来たことを伝えようとしたが、マリアーナさんは既に私の事を知っているようだった。
「あんたがリリーだろ?」
「あっ……はい!」
わお。メイクもしてないのに女優みたいなド迫力のある美人ママさんだ。双子と同じ見事な赤毛を掻きあげたマリアーナさんは、少し声を潜めた。
「さっきフィックスから報せがあったんだ。逃げないよう見てろと……リリーあんた何かしたのかい?」
逃げないように?
って、はあああ!?
「いやいや何もしてませんよ? あ、今夜約束があって、それのことじゃないですか?」
「それならいいんだけど」
マリアーナさんは心配するような笑みで光スッポンが入ったカゴを渡してきた。甲羅は玉のようにつるつるで、鑑定すると最上質の光スッポンだった。
「わぁ、凄い肉厚……天然物よりでかいですね」
「リリーあんた……これを獲ったことがあるのかい?」
「スッポン系は確か……湿地と沼地で何度か」
「そうか……」
「どうしたんですか?」
「いや、……リリーはもう戻らないといけないんだろ? フィックスの奴も、早くあんたに戻ってきて欲しいだろうし……その、」
言い難そうにしてるマリアーナさんに首を振る。どのみち光スッポンは丸2日煮込まなきゃいけない食材だし、急いでるわけじゃないと思う。
「もしかして、なにか問題でも?」
「…………実は海水温が上がって、海水の生け簀にいる黒スッポンをもう引き揚げなくちゃいけなくなったんだ。でも今は人手が足りてなくてね」
黒スッポン……確かイカのように墨袋を持つスッポンだ。獲らえたことはないが、市場には黒スッポンエキスとか、黒スッポン墨汁インクとかが売られていた。
「あ、なら手伝いますよ」
「……いいのかい?」
「フィックスさんからも、スッポンと遊んでおいでって言われたし」
嘘である。
私が黒スッポン獲ってみたかっただけ。
海と繋がった黒スッポンの生け簀にきた。
へぇ。一面に広がる光景は、田舎の田んぼみたい。でかい生け簀だ。海は用水路的な役割で、海水を足すときに使っているらしい。
「広い生け簀ですね……」
それに海水が真っ黒。
海水温が上がると、黒スッポンが成熟して墨袋から墨を吐くようになり、生け簀が黒くなる。それが引き揚げのサインらしい。
う~む。見た感じどこに黒スッポンがいるのか解らない。
「ほら、あそこ、石の上で甲羅を干してるだろ? あれはまだ捕獲しやすいが、昼を過ぎたら出てこなくなるんだ」
「あ、逃げた」
え。マリアーナさんが指さしただけで?
「この生け簀があと3面もあるんだ。他は人員を確保できたけど、ここだけ人手が足りてなくてね」
「へぇ。あ、全部獲ってしまっていいんですか?」
「……そりゃあ、全部獲っちまいたいけど、フィックスの奴は手伝ってくれないしねぇ」
あぁ……そうだよね。
ここ海水の生け簀だし、フィックスさん居たら一瞬だもんな。
「とりあえず午前中に獲れるだけ獲ってみます!」
「ああ、すまないね……獲らえた黒スッポンはそこのカゴに移しておいてくれ」
「はい!」
さーて。
でっかい田んぼを探知探索。
お……3000匹はいる。
収納から網を出して飛行を発動。
ちょうど甲羅を干していた黒スッポンの後ろから手を伸ばすと生け簀にぼちゃん。
うそ……逃げられた。
動きが速いし野性の勘みたいなものがある。
「……そうきたか」
遠くの石に甲羅を干しに別の個体が現れた。
高速で近付いて瞬時に結界で包む。
「ピギイイィィ」
「へぇ……黒スッポンて鳴くんだぁ」
獲らえて網に入れる。
この要領で1匹、2匹、3匹と獲らえ、カゴに移していく。
ここまでで15分。
てか甲羅を干しにくるまで、待つのがだるい。
「仕方ない……手掴みやるか」
靴を脱いでジャージを膝まであげる。
よし、探知探索。生け簀の海水に足が触れた途端、サアァァ……と黒スッポン達が離れていく。速い。それに警戒度があがった。
身体強化で速度上昇。
「ッシャアコラアアアアッ!」
最高速度で両手で2匹確保。
生まれてからずっとぬるま湯に浸かってた割には野性味を帯びた素早さがある。天然物ならやばかったな。
お。
生け簀からひょこっと顔だけ出した黒スッポンが、私に向けて口から水を飛ばしてきた。
顔が真っ黒に染まった。
「ん、海水の味じゃないな……鑑定」
黒スッポンの墨──黒スッポンが下位と認識した敵に冷やかしで出す墨。
……へぇ。
雑魚と認識されてるのね。
「…………やめてお願い私を本気にさせないで優しくしたいのにぃ」
目玉ルアーを50個投入!
「フハハハハハハハハハハ!」
その場で量産して再び50個投入!!
「フハハハハハハハッは、はー、一気に百匹は獲らえたねぇ~!」
生け簀にいる黒スッポンには目玉ルアーに入れた泳ぐ眼が見えているみたいだ。わざと空にしたルアーには引っ掛かってない。
大量にあるカゴに移して再び目玉ルアーを百個投入。
おまけに結界で逃げれる範囲を狭めてそこに再々量産した目玉ルアーを50個投入。
それの繰り返し。
「フハハハハハハハ! スッポン狩りじゃ~!」
全ての黒スッポンを小一時間で獲り尽くした。
「リリー、リリー! あんたやるじゃないか! 午前中に終らせちまうなんてっ」
「いやぁ、久々に本気だしましたっ」
「あぁ、こんなに顔が汚れて、頑張ってくれたんだねぇ」
タオルでごしごしと顔を拭いてくれるマリアーナさん。いい匂いがする。
「まだ時間あるかい? ちょうどさっき煮込み光スッポン鍋ができたんだ。賄いだけど、うちで昼飯食べていきなっ」
ええっ!?
二日もかかる光スッポン鍋が、今すぐ食べれると?
「わーい、食べまーす!」
ばんざーいした瞬間、背後から羽交い締めにされた。
体に卍固めと顔に蛇コンボ。
間違いない。
「イ、テテ……フィックスさ、」
「ご飯が出来たよ。食べに帰っといで」
「……は、はぁい」
うわ。フィックスさんが首筋に舌を這わせてきて、マリアーナさんがドン引きしてる。えらいとこ見られた。
「大変だねぇリリー……」
「へへっ……大胆な彼氏でして」
「……そう、だねぇ」
帰宅して体に洗浄をかけた。
帰るまでの間にやたらフィックスさんが匂いを嗅いできたのでもう気になって気になって。
「私……汗臭いですか?」
「リリーの汗はいい香りがするよ」
そうかなぁ。汗は汗の匂いだけど。
フィックスさんがフォークにさした牛肉を私の口に持ってきた。
「はぅ……おいちー……ワイン煮だぁ」
もぐもぐしてるとフィックスさんが髪に頬にキスを落とし、またフォークで餌を与えられる。
「ひゃっ……とろとろぉ~」
んんっ……この煮卵のタレ、ご飯にかけたら絶対美味しいやつだ。
「よかった……亀臭くはなっていないね」
「あ、うぅ……チロチロしないでぇ」
亀? スッポンと遊んでたから?
てか今日は随分と物理的に絡んでくる。今も膝の上に乗せられながらのご飯だし。
「はぁ……ご馳走さまです。美味しかったぁ……幸せぇ~」
やばいな。胃がすこぶるご機嫌だよ。
本当にフィックスさんいないと物理的にもダメになりそうだ。
「リリーは俺の匂いが付きにくいね」
「え?」
「昨日もたくさん注いだし、飲ませたのに」
「……ちょっと、食卓でそういう話はダメですよ」
「大丈夫。もうご馳走さましたし、それにリリーも食卓じゃなくても美味しいって言ってる」
「……っ」
ああ、そうそうマリアーナさんが光スッポン鍋を鍋ごとくれたので収納から出した。
それを見たフィックスさんがぷくっとしたのでウフフと耳元で囁いた。
「フィックスさん、知ってます? スッポンって性欲が高まるんですよ」
「それで? 俺に性欲を高めて欲しいの?」
「ッ……」
いや、既に発情期でしょうに。
あ、服の中に手が……!
「ち、違いますよ……夜までに、心と体の準備をしているんです!」
ぴくっと反応したフィックスさんが服から手を抜いた。
「そうだね。どのみち夜になったらリリーが大胆に誘惑してくれる約束だからね」
「……がんばり、ます」
夜7時には戻るように、と念押しされて店を出た。周りのお店も開店準備に忙しそうだ。
……ってどうするよ?
フィックスさんを大胆に誘惑?
どうやって?
収納を探りながら歩く。
可愛いらしい服やマントはあるけど、前世で見たようなエロい下着はないぞ。
「こういう時の為に作っておけばよかった!」
あぁ……ガッデム!
歩きながら浜辺に着いた。
小屋がある方だ。
探知探索。ふむ。
美少女人魚がいる浜辺には、あまり人間がいないので好都合だ。
遠くの方で私に気付いたアリエルちゃんが手を振ってくれた。
「リリーおねいさん、どうしたの?」
「……考え事です。歩きながら捻り出そうとしてます。一流アーティストも人混みを歩くとアイデアが生まれると言ってました。逆に一流料理人は奇抜なアイデアは料理している最中に生まれることもあると言っていました。私は最中にアイデアを考える余裕なんてないので、こうしてひたすらに歩くしかない無能なんです」
「ちょ、ちょっと……リリーおねいさん?」
アリエルちゃんに背中を撫でられながら小屋に誘導された。
小屋には真ん中に囲炉裏があった。
そこでアリエルちゃんが温かいお茶を入れてくれた。他の3人はもう帰ったそうだ。アリエルちゃんだけ残って浜辺のゴミ拾いをしていたらしい。なんてしっかりした子だろう。お菓子を貢ぎたくなる。
「フィックスさんを大胆に驚かせる方法?」
「……はぃ」
正座でお茶を啜りながら口の渇きを癒す。悩み事なら相談してくれって言われたけど、内容があれなので言葉は濁した。
「全裸で飛びかかっちゃえば?」
「なっ……アリエルちゃん」
「アリエル人間の彼氏3人いるから、たまにやるよ?」
「はうあっ……」
収納からプリンアラモードを献上した。
「えぇー……そんな約束しちゃったのー? てかフィックスさんてしつこそう、ねちこそう、どこまでも追いかけてきそう」
「……あ、うん。発情期特有のものかな」
「それもあるだろうけど、発情期の間は、誰にも会ってほしくないんだと思う」
「……どうして?」
「海王蛇の習性かなー。物理的に体に絡み付くのも含めて、リリーおねいさんを独占したいんだよ」
「……な、成る程」
「でも昨日のあの様子なら発情期が終わるのは3日後くらいじゃないかなー?」
「え?」
「人間と違って短いの。1年のうち、数日しかないの」
「……へぇ」
「アリエルの彼氏もしつこくってさぁー、」
……そういや泳ぎに誘われたのも発情期手前だった。発情期が終わったら……落ち着くのかな?
これまでみたいに、絡んでくることは無くなる?
"人間と違って短いの"
え? まさか発情期しか、しないとか?
ぅ……胸がもやつく。
「リリーおねいさん聞いてる? やっぱり全裸で飛びかかっちゃうのが簡単だと思うよ?」
「うぇ!? ……や、流石にそこまでする根性はいまは無くてですね、」
「たわけ! 出来る出来ないじゃない、今やるのです! 考えてもみて下さい。いえ、考えてる時間はありません。リリーおねいさんが考えてる間に、発情期が終わったフィックスさんに全裸で飛びかかっても、感動は少ないと思いますよ? 」
「…………うそんアリエルちゃん」
怖い。
支離滅裂なのに説得力がある。
「だ、だって色気のある下着も持ってないし、誘惑する言葉も思い付かないし、」
「たわけ! 身一つで飛び込むのです! 言葉なんていらない! アリエルならこのデザートを相手の顔にぶちまけて舐めとってやりますよ! いいですか、全て行動で示すのです!」
「っ、ひぃ大胆っ」
あかん。
胸ぐらを掴まれたまま力説が終わらない。
収拾がつかないのでおかわりのプリンアラモードを献上してそそくさと小屋を去った。
今日は昼からお店を開けるそうで、フィックスさんが食材を切ったりタレを作る姿をカウンターから眺めた。大好きな彼がエプロン姿で真剣な顔で料理するのってなんかクるよね。自然と顔がニヤけてしまう。
「わぁ、フィックスさん達人ですね」
フィックスさんが切ったお肉も魚も断面が艶々だぁ。普通の包丁使ってるから腕がいいんだろうな。
「そんなことないよ。リリーも料理するでしょ?」
「たまにしかしないよ」
ついでに料理と作業高速化のスキルでラクをしている。おまけにテンプレ装備と同じようにテンプレ料理もあるので、収納の中に材料が揃っていれば一瞬で作られたペペロンチーノが出てくるのだ。
「横顔かっこいぃ~包丁使いが上手~フィックスさんて器用よねぇ。指も長いし、そのおっきな手に包まれてる食材が羨ましぃ~」
あ、包丁落とした。
「リリぃ……」
「あ! そういや後で養殖場に食材取りにいくって言ってたよね! 私、行ってくるー」
いかんいかん。
髪の蛇に睨まれた。
走ってドアを開けた瞬間、目の前に現れた手にドアが押し戻された。
「さっきもそれくらい大胆だったらよかったんだけどね」
ひぇっ……さっきおあずけされたこと、根に持ってる。うわぁ……舌がちろちろとうなじをつつく。
「すみ、ません……恥ずかしがり屋なので」
「いつまでそれが通用するかな」
「っ……! あ、いや……それでも、ちょっとはマシになってると思いますよ? だってフィックスさんと出会ってまだ1週間ですよ? 私の世界では、こんな急速に深い仲になる人殆どいませんよ」
「……ふぅん」
ヤルだけなら、いるだろうけど。
ここまで自分をさらけ出すのって、普通ならもっと時間がかかっただろうし。
うぅ……また蛇が耳穴をぐりぐりしてくる。おまけに奥でチロっと舌を出されて、下腹部がズクっと疼いた。
あかん。真剣な顔で振り返ってフィックスさんの首に腕をまわす。
「フィックスさんだから、恥ずかしがり屋な私でもこんなに大胆になれているんです。それじゃあ、養殖場に行くので、いってらっしゃいのキスをして下さい」
うん。おでこも頬も髪の蛇にカプられてて真剣な顔が決まらない
「リリぃ……」
目を閉じてキスを待つも、首にまわした両手を髪の蛇に拘束され、服の中に侵入してきた手に両方のお尻を鷲掴みされた。
「ちょ、……フィックスさん!」
「なら俺の為にいま大胆になって?」
足が割られ、腰が押し付けられる。
「だ、大胆に……これでも頑張ったんですぅ!」
「もっと。足りない」
「あ、っ!」
お尻を掴んでいた手にジャージ(下)がずり下ろされた。舌でジャージ(上)のチャックまで下ろされていく。ほんと器用だよねぇ。
てかここ、ドア一枚後ろは外なんですけど。
やばい……フィックスさんが腰を押し付けてくるので背中のドアがミシッと軋みだした。このままドアが外れて倒れこんだら衆人環視にあられもない姿を晒すことになる。
こうなったら二人とも隠密で包んで──発動しない。なんで?
「ん……? なにこれ」
「ちょ、フィックスさ……」
違う。発動して、そのあとすぐ髪の蛇が暴れて相殺させている。
成る程。確かに隠密でも本人が暴れまわったら気取られるもんな。浜辺でフィックスさんに襲い掛かった時がそうだった。
「もうっ! このままドアが外れて私のおっぱいとお尻が他の人に見られてもいいんですか!」
「見せないよ。見る前に目を潰しとく」
こらこらこらこら!
「やっ……ダメぇ……んもうっ、さっき拒んだのだって、今日は夜になったらすっごい大胆な姿でフィックスさんを誘惑しよぅと思ってたからなの、にぃ……っ、」
「……言ったね」
言ってしまった。
夜までに腹をくくることになりそうだ。
シリンちゃんとマリンちゃんのお母さん、マリアーナさんが経営する巨大養殖場にやってきた。
今日は契約してる淡水に生息する光スッポンを5匹、そしてフィックスさんのかわりに来たことを伝えようとしたが、マリアーナさんは既に私の事を知っているようだった。
「あんたがリリーだろ?」
「あっ……はい!」
わお。メイクもしてないのに女優みたいなド迫力のある美人ママさんだ。双子と同じ見事な赤毛を掻きあげたマリアーナさんは、少し声を潜めた。
「さっきフィックスから報せがあったんだ。逃げないよう見てろと……リリーあんた何かしたのかい?」
逃げないように?
って、はあああ!?
「いやいや何もしてませんよ? あ、今夜約束があって、それのことじゃないですか?」
「それならいいんだけど」
マリアーナさんは心配するような笑みで光スッポンが入ったカゴを渡してきた。甲羅は玉のようにつるつるで、鑑定すると最上質の光スッポンだった。
「わぁ、凄い肉厚……天然物よりでかいですね」
「リリーあんた……これを獲ったことがあるのかい?」
「スッポン系は確か……湿地と沼地で何度か」
「そうか……」
「どうしたんですか?」
「いや、……リリーはもう戻らないといけないんだろ? フィックスの奴も、早くあんたに戻ってきて欲しいだろうし……その、」
言い難そうにしてるマリアーナさんに首を振る。どのみち光スッポンは丸2日煮込まなきゃいけない食材だし、急いでるわけじゃないと思う。
「もしかして、なにか問題でも?」
「…………実は海水温が上がって、海水の生け簀にいる黒スッポンをもう引き揚げなくちゃいけなくなったんだ。でも今は人手が足りてなくてね」
黒スッポン……確かイカのように墨袋を持つスッポンだ。獲らえたことはないが、市場には黒スッポンエキスとか、黒スッポン墨汁インクとかが売られていた。
「あ、なら手伝いますよ」
「……いいのかい?」
「フィックスさんからも、スッポンと遊んでおいでって言われたし」
嘘である。
私が黒スッポン獲ってみたかっただけ。
海と繋がった黒スッポンの生け簀にきた。
へぇ。一面に広がる光景は、田舎の田んぼみたい。でかい生け簀だ。海は用水路的な役割で、海水を足すときに使っているらしい。
「広い生け簀ですね……」
それに海水が真っ黒。
海水温が上がると、黒スッポンが成熟して墨袋から墨を吐くようになり、生け簀が黒くなる。それが引き揚げのサインらしい。
う~む。見た感じどこに黒スッポンがいるのか解らない。
「ほら、あそこ、石の上で甲羅を干してるだろ? あれはまだ捕獲しやすいが、昼を過ぎたら出てこなくなるんだ」
「あ、逃げた」
え。マリアーナさんが指さしただけで?
「この生け簀があと3面もあるんだ。他は人員を確保できたけど、ここだけ人手が足りてなくてね」
「へぇ。あ、全部獲ってしまっていいんですか?」
「……そりゃあ、全部獲っちまいたいけど、フィックスの奴は手伝ってくれないしねぇ」
あぁ……そうだよね。
ここ海水の生け簀だし、フィックスさん居たら一瞬だもんな。
「とりあえず午前中に獲れるだけ獲ってみます!」
「ああ、すまないね……獲らえた黒スッポンはそこのカゴに移しておいてくれ」
「はい!」
さーて。
でっかい田んぼを探知探索。
お……3000匹はいる。
収納から網を出して飛行を発動。
ちょうど甲羅を干していた黒スッポンの後ろから手を伸ばすと生け簀にぼちゃん。
うそ……逃げられた。
動きが速いし野性の勘みたいなものがある。
「……そうきたか」
遠くの石に甲羅を干しに別の個体が現れた。
高速で近付いて瞬時に結界で包む。
「ピギイイィィ」
「へぇ……黒スッポンて鳴くんだぁ」
獲らえて網に入れる。
この要領で1匹、2匹、3匹と獲らえ、カゴに移していく。
ここまでで15分。
てか甲羅を干しにくるまで、待つのがだるい。
「仕方ない……手掴みやるか」
靴を脱いでジャージを膝まであげる。
よし、探知探索。生け簀の海水に足が触れた途端、サアァァ……と黒スッポン達が離れていく。速い。それに警戒度があがった。
身体強化で速度上昇。
「ッシャアコラアアアアッ!」
最高速度で両手で2匹確保。
生まれてからずっとぬるま湯に浸かってた割には野性味を帯びた素早さがある。天然物ならやばかったな。
お。
生け簀からひょこっと顔だけ出した黒スッポンが、私に向けて口から水を飛ばしてきた。
顔が真っ黒に染まった。
「ん、海水の味じゃないな……鑑定」
黒スッポンの墨──黒スッポンが下位と認識した敵に冷やかしで出す墨。
……へぇ。
雑魚と認識されてるのね。
「…………やめてお願い私を本気にさせないで優しくしたいのにぃ」
目玉ルアーを50個投入!
「フハハハハハハハハハハ!」
その場で量産して再び50個投入!!
「フハハハハハハハッは、はー、一気に百匹は獲らえたねぇ~!」
生け簀にいる黒スッポンには目玉ルアーに入れた泳ぐ眼が見えているみたいだ。わざと空にしたルアーには引っ掛かってない。
大量にあるカゴに移して再び目玉ルアーを百個投入。
おまけに結界で逃げれる範囲を狭めてそこに再々量産した目玉ルアーを50個投入。
それの繰り返し。
「フハハハハハハハ! スッポン狩りじゃ~!」
全ての黒スッポンを小一時間で獲り尽くした。
「リリー、リリー! あんたやるじゃないか! 午前中に終らせちまうなんてっ」
「いやぁ、久々に本気だしましたっ」
「あぁ、こんなに顔が汚れて、頑張ってくれたんだねぇ」
タオルでごしごしと顔を拭いてくれるマリアーナさん。いい匂いがする。
「まだ時間あるかい? ちょうどさっき煮込み光スッポン鍋ができたんだ。賄いだけど、うちで昼飯食べていきなっ」
ええっ!?
二日もかかる光スッポン鍋が、今すぐ食べれると?
「わーい、食べまーす!」
ばんざーいした瞬間、背後から羽交い締めにされた。
体に卍固めと顔に蛇コンボ。
間違いない。
「イ、テテ……フィックスさ、」
「ご飯が出来たよ。食べに帰っといで」
「……は、はぁい」
うわ。フィックスさんが首筋に舌を這わせてきて、マリアーナさんがドン引きしてる。えらいとこ見られた。
「大変だねぇリリー……」
「へへっ……大胆な彼氏でして」
「……そう、だねぇ」
帰宅して体に洗浄をかけた。
帰るまでの間にやたらフィックスさんが匂いを嗅いできたのでもう気になって気になって。
「私……汗臭いですか?」
「リリーの汗はいい香りがするよ」
そうかなぁ。汗は汗の匂いだけど。
フィックスさんがフォークにさした牛肉を私の口に持ってきた。
「はぅ……おいちー……ワイン煮だぁ」
もぐもぐしてるとフィックスさんが髪に頬にキスを落とし、またフォークで餌を与えられる。
「ひゃっ……とろとろぉ~」
んんっ……この煮卵のタレ、ご飯にかけたら絶対美味しいやつだ。
「よかった……亀臭くはなっていないね」
「あ、うぅ……チロチロしないでぇ」
亀? スッポンと遊んでたから?
てか今日は随分と物理的に絡んでくる。今も膝の上に乗せられながらのご飯だし。
「はぁ……ご馳走さまです。美味しかったぁ……幸せぇ~」
やばいな。胃がすこぶるご機嫌だよ。
本当にフィックスさんいないと物理的にもダメになりそうだ。
「リリーは俺の匂いが付きにくいね」
「え?」
「昨日もたくさん注いだし、飲ませたのに」
「……ちょっと、食卓でそういう話はダメですよ」
「大丈夫。もうご馳走さましたし、それにリリーも食卓じゃなくても美味しいって言ってる」
「……っ」
ああ、そうそうマリアーナさんが光スッポン鍋を鍋ごとくれたので収納から出した。
それを見たフィックスさんがぷくっとしたのでウフフと耳元で囁いた。
「フィックスさん、知ってます? スッポンって性欲が高まるんですよ」
「それで? 俺に性欲を高めて欲しいの?」
「ッ……」
いや、既に発情期でしょうに。
あ、服の中に手が……!
「ち、違いますよ……夜までに、心と体の準備をしているんです!」
ぴくっと反応したフィックスさんが服から手を抜いた。
「そうだね。どのみち夜になったらリリーが大胆に誘惑してくれる約束だからね」
「……がんばり、ます」
夜7時には戻るように、と念押しされて店を出た。周りのお店も開店準備に忙しそうだ。
……ってどうするよ?
フィックスさんを大胆に誘惑?
どうやって?
収納を探りながら歩く。
可愛いらしい服やマントはあるけど、前世で見たようなエロい下着はないぞ。
「こういう時の為に作っておけばよかった!」
あぁ……ガッデム!
歩きながら浜辺に着いた。
小屋がある方だ。
探知探索。ふむ。
美少女人魚がいる浜辺には、あまり人間がいないので好都合だ。
遠くの方で私に気付いたアリエルちゃんが手を振ってくれた。
「リリーおねいさん、どうしたの?」
「……考え事です。歩きながら捻り出そうとしてます。一流アーティストも人混みを歩くとアイデアが生まれると言ってました。逆に一流料理人は奇抜なアイデアは料理している最中に生まれることもあると言っていました。私は最中にアイデアを考える余裕なんてないので、こうしてひたすらに歩くしかない無能なんです」
「ちょ、ちょっと……リリーおねいさん?」
アリエルちゃんに背中を撫でられながら小屋に誘導された。
小屋には真ん中に囲炉裏があった。
そこでアリエルちゃんが温かいお茶を入れてくれた。他の3人はもう帰ったそうだ。アリエルちゃんだけ残って浜辺のゴミ拾いをしていたらしい。なんてしっかりした子だろう。お菓子を貢ぎたくなる。
「フィックスさんを大胆に驚かせる方法?」
「……はぃ」
正座でお茶を啜りながら口の渇きを癒す。悩み事なら相談してくれって言われたけど、内容があれなので言葉は濁した。
「全裸で飛びかかっちゃえば?」
「なっ……アリエルちゃん」
「アリエル人間の彼氏3人いるから、たまにやるよ?」
「はうあっ……」
収納からプリンアラモードを献上した。
「えぇー……そんな約束しちゃったのー? てかフィックスさんてしつこそう、ねちこそう、どこまでも追いかけてきそう」
「……あ、うん。発情期特有のものかな」
「それもあるだろうけど、発情期の間は、誰にも会ってほしくないんだと思う」
「……どうして?」
「海王蛇の習性かなー。物理的に体に絡み付くのも含めて、リリーおねいさんを独占したいんだよ」
「……な、成る程」
「でも昨日のあの様子なら発情期が終わるのは3日後くらいじゃないかなー?」
「え?」
「人間と違って短いの。1年のうち、数日しかないの」
「……へぇ」
「アリエルの彼氏もしつこくってさぁー、」
……そういや泳ぎに誘われたのも発情期手前だった。発情期が終わったら……落ち着くのかな?
これまでみたいに、絡んでくることは無くなる?
"人間と違って短いの"
え? まさか発情期しか、しないとか?
ぅ……胸がもやつく。
「リリーおねいさん聞いてる? やっぱり全裸で飛びかかっちゃうのが簡単だと思うよ?」
「うぇ!? ……や、流石にそこまでする根性はいまは無くてですね、」
「たわけ! 出来る出来ないじゃない、今やるのです! 考えてもみて下さい。いえ、考えてる時間はありません。リリーおねいさんが考えてる間に、発情期が終わったフィックスさんに全裸で飛びかかっても、感動は少ないと思いますよ? 」
「…………うそんアリエルちゃん」
怖い。
支離滅裂なのに説得力がある。
「だ、だって色気のある下着も持ってないし、誘惑する言葉も思い付かないし、」
「たわけ! 身一つで飛び込むのです! 言葉なんていらない! アリエルならこのデザートを相手の顔にぶちまけて舐めとってやりますよ! いいですか、全て行動で示すのです!」
「っ、ひぃ大胆っ」
あかん。
胸ぐらを掴まれたまま力説が終わらない。
収拾がつかないのでおかわりのプリンアラモードを献上してそそくさと小屋を去った。
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