悪役令嬢は嫌なので、放浪して好き勝手します

cqrijy

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3部 人魚と選ばれし番編

6 おめかし大好き

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なんとその日の零時に、フィックスさんの育てのお母さん、フィクサーナさんと会うことが決まった。

フィクサーナさんは海の魔女だと前にフィックスさんが言ってたけど、魔女とは……以前エメラルドちゃんにそう叫ばれた経験から、魔法使い?  それとも薬師的な?
どういった職業なんだろう?

フィックスさんに聞いてみた。

「ドレスを作ってるよ」
「……ドレスを」

なら海の魔女とは、美魔女的な?
ファッションリーダー的な意味かな?

「あの、お会いしたいとは言いましたが、……いきなり今日、夜遅くに大丈夫なんでしょうか?」

恐らくテリーさんと一緒で寝ないのかもしれない……そういやフィクサーナさんは下半身が蛸だとも前にフィックスさんが言っていた。あ、それで人気のない時間帯を?

「月に一度海から上がってテリーの料理を食べにくるからね。今日がその日なんだ」

いまだベットであぐらをかいているフィックスさん。まだ全裸です。てかあと5分で零時ですよ。そろそろ身支度済ませて一階におりたいところだが、さっきから言ってるのになかなか腰をあげない。

「フィックスさん、お母さんとはいえその、全裸はダメですよ?」
「大丈夫。来たら解るから」

そうか。信じよう。
私は収納から出した鏡台の前に座って、さっきから隅々まで自分をチェックしている。

今は前世ゲームで課金して手に入れた和装を身を纏っているのだ。自力で着付けは出来ないので、勝手に着せてくれるテンプレ装備に設定してズルした。

テンプレNo.122
体:新成人へ贈る袴(A)
頭:新成人へ贈る髪止めセット(A)
足:新成人へ贈る和ブーツ(A)

上は桜色の華やかな柄、下は濃紺の袴。髪はハーフアップで複雑な編み込みになっている。髪止めも和柄でお洒落だ。それにこの焦茶色のブーツ、ピカピカでとても清潔感があっていい。

これはゲームで新規の新成人にのみ無料で贈られた成人式セット。新規の成人以外に対して運営は金を要求してきたが、袴(A)振り袖(B)スーツ(C)の全てのセットを買わずにはいられなかった。他にもあるけど、この新成人袴は見た目の初々しさが、今日の顔合わせにぴったりだと思ったんだぁ。

「リリー、そろそろ」

おっ、来られましたか!
よし、唇は荒れてないし鼻毛も出てないな。

「じゃあフィックスさんも、服着て」

鏡台で笑顔の練習をしながら立ち上が──れなかった。背後からの重力に思わず鏡台に手をつくと、真後ろにフィックスさんがいた。

「リリー、そろそろ……」
「え」
「我慢も限界」

袴の少し開いた腰の隙間からフィックスさんの性器が侵入してきた。

「……うそ」

鏡台に手をつきながら、唖然とフィックスさんを見上げると、腰をがっちりと持たれた。
足首からも侵入してくる。膝裏をなぞって、太腿の内側に絡みついてから、ずるりと中に性器が挿ってきた。

「可愛い服……リリーはもっと可愛い」
「……っ、ん、やっ!  なっ、な、」

さっきまでしてたのに、さっきまでしてたからこそそこはまだ柔らかくて、誘い込むようにフィックスさんを受け入れる。

「ア゛っっ、やっ、ダメぇ……挿れちゃダメぇ!」
「あぁ……凄い……可愛いリリーが……一気に赤く染まって……」

鏡を見るとだらしなく口から涎を垂らす自分が写っていて、その上に写ってるフィックスさんを見上げると、ビリっと袴が破られて一気に腰が加速した。悲鳴をあげて全力で抗うもびくともしない力で押さえつけられて、遠慮のない動きに犯されてる感が凄い。凄い。雄の力だ。

「ァア゛、はっ、ッア゛ァア!」
「まぁ、凄い美少女」

なんだ。今の声。どこから聞こえた。

ドアを見たくとも、フィックスさんに激しく揺さぶられて頭がまわらない。

でも鏡の端に、ドアから顔を出して柔らかい笑みを向けている小さな美幼女がいた。

「リリーちゃん、初めまして。フィクサーナです」

へっ?
フィクサー、ナさ、ん?
一気に頭が覚醒して鏡台から身を起こすも、ずるっと腰を引かれてまた尻を突き上げた瞬間、中に熱いものが放たれた。

「んんっー……って違っ、これは、アンっ、違っ、フィックスさっ、イヤぁんっっ!」
「その服はダメよ。いえ、違うの、その服が可愛いからダメだけどダメじゃなくてダメなのは、あれ?  あ、そうそう、リリーちゃんにチョコのお土産もあるのよ」
「ちがっ、違うんで、す!  これは、ぅ、あっ!」
「フィックスも食べる?」
「いらない。リリぃ、また出していい?」
「やっ……ぅんんっっ!」
「おいフィクサーナ、2階に上がるなと言ったろ」
「やだテリー、だってこのチョコ、朝には溶けちゃ、きゃ、ぅうんっ、ぁ、待っ、」

なんだ。今の喘ぎ声。どこから聞こえた。
もう色んな意味で頭がまっ白……。





「フィックスさん、なんてことしてくれたんですか!  あ、あああんなっ……信じられません!」
「……うん。信じられないくらい可愛かった」
「なんで赤くなってるんですか!」

砕けた腰を庇いながらベットで拳を握り締めた。もう朝の6時ですよ。

着崩れして両胸ポロンだし、破られた袴は左半分はお尻が丸見え。初対面でこんな姿を晒してしまったのか……。

終わった。
ビリビリに破られた袴を纏ったまま、目に涙を浮かべる。

「……っ、」

なんだ。今の生唾を飲み込む音。
すぐ目の前から聞こえた。

「リリぃ……ねぇ、ご飯食べた後に」
「ひぇっ……っ、ダメです!」

物凄くエロい顔で押し倒されるもテンプレ装備でジャージに早着替え。

そして収納からビリビリに破られた袴を出す。

「フィックスさんは私の大事な袴をこんなにしたんですよ!  これ1着しか持ってないんですよ!」

嘘である。
新成人に贈る袴(A)は1着しかないが、袴だけならアホ程持ってる。てかもっといいのも沢山ある。そして破られた時、変な扉を開きそうになった。

「えぇ……ごめんでも、破った時リリーの締め付けが今までで一番増して、俺、止まれなくて」
「ぁあああッ!?  あーっ聞こえない!  あっれぇ聞っこえないなぁ!」

耳を塞いでマッハで部屋を出ていく。しゅんとしたフィックスさんに気を遣ってなどいられない。こっちは初対面でえらいとこ見られたのだ。

二人ともまだ一階にいるかな?

ビッチ認識される前に弁解して都合の悪いことは全てテリーさんに誤魔化してもらおう。実はリリーは魔導師で鏡を使った禁術の開発に古代魔方陣で儀式してたとかなんとか嘘こいてもらってそれから──。

ぶつぶつと策を練っていたら一階へ下りる階段の途中で、ぶつぶつと呟く美幼女とすれ違った。

あまりの驚きに振り返って互いに目を見開いた。

「ひぇっ、すみましぇっ、」
「ぁあああッ!  違っ、違うのリリーちゃん、これはっ、わ、わたくし来る時はちゃんとドレスを着てっ、そしたらテリーがっ、て違っ、なにもないのよっ!  如何わしいことなんてなにもしてなっ……!」
「はわわわ、……あれ?」

彼シャツだ。
フィクサーナさんは大きなシャツにすっぽりと身を包んで耳まで真っ赤にして座り込んでいる。そして首筋や手の頂に至るまでえげつないほどキスマークだらけだ。

「この前はフィックスの発情期でリリーちゃん監禁されてて会わせてもらえなかったから、今日こそはとちゃんとしてきたのにぃ~……うぅ」
「……」

なんだろう、さっきまでの自分を見ているようなこのなんともいえない感情。

そっとフィクサーナさんの肩を抱いて遠い目でを見上げた。

一人じゃないよ、そんな言葉が頭を渦巻いていた。






収納から蜂蜜狩りの装備を出す。
見た目はヒマワリ柄のロングワンピだ。フリルたっぷり。お揃いのカーディガンは透け感がある短い丈で、ウエストを強調して脚長効果が出る。デザイン性のある麦わら帽子に、装飾の細かいアクセサリーや靴も出してフィクサーナさんに渡した。

「なんて美しい上着なの……こんなに薄い生地なのに、しっかりとビーズが縫い付けられているわ。おまけにこの絵画のような花模様……まぁ、全て刺繍だわ!  それなのになんて軽くて柔らかいのっ」
「気に入って頂けたなら嬉しいです」
「凄いですわっ!  腕を通したらわたくしの体にぴったりになりましたっ」
「装備品なのでそういう仕様でして、よかったらアクセサリーもためしてみて下さい」
「きゃあっ、これもすごいっ!」

間仕切りカーテンから聞こえてきた元気な声にホッとする。

あのあと……。
フィクサーナさんと階段で鉢合わせて、数分で色々悟って、「今日のドレスがっ……この日の為のドレスがぁ……うわぁあんっ」と泣いていたフィクサーナさんをフィックスさんの部屋へ連れていった。

あ、フィックスさんにはご飯の用意で席を外してもらってます。

私もジャージじゃあれだしなんか着ようかな。蝸牛狩りのワンピースセットでいいや。ヒマワリの紫陽花バージョン。早着替えすると声がかけられた。

「ど、どうかしらぁ?」

お!  身支度できましたか!
これでようやく顔合わせができる!

「わぁー…………!」

腰まである白い艶髪に、虹色の瞳をした美幼女がヒマワリを持って現れたぁ!

眠り姫の蔦で編まれたこの麦わら帽子のチョイス、正解だったな。白い艶髪をより強調してる。ヒマワリ柄のワンピースはぱっと見、最初に目をひく華やかやがあるけど、ワンピに目を奪われ、そのあと顔を見たら虹色の瞳に全て視線を持ってかれる。大成功としかいいようがない。

「素敵です!  びっくりするくらい可愛いです!」
「いや、恐ろしいほど綺麗だ」
「リリー、ご飯できたよ」

あれぇ?
いきなり左右からテリーさんとフィックスさんの声が聞こえたと思ったらいつの間にかフィックスさんの膝に乗ってて目の前にご飯が現れましたよ。

「……ぐ、るぐる」
「お腹ぐるぐる鳴った?  もっと用意しようか?」

頭がぐるぐるでも店内の四人席に所狭しに料理が並んでいるのはわかった。悔しいけれどフォークに刺された照り焼きを目の前に持ってこられてはアムアムするしかなかった。

「うぅ……ぉぃちぃ……ぁ、2階の二人は……?」
「可愛い……可愛い……ん?  ああ、さっき帰ったよ」


うぅ……来月こそは……。





ご飯を頂いたあと、私はフィックスさんの部屋でのんびりお茶を飲んでいた。

今日はお店、屋台のお客さんもこちらに買いにきて忙しくなるだろうな。
何故ならば明日までテリーさんは店にも屋台にも、てか海から上がってこないね、とフィックスさんが言ってたからだ。

完全に私のせいですね。
抜けてる私でもお察ししました。

フィクサーナさんは1日の殆どを服飾に費やしているらしいので、次に会ったらドレスに使えそうな素材を渡そう。せめてもの罪滅ぼしとして……。

よおおおうし!
今から沈没船探索すっかー!
またドレスとか靴が見つかったらいいなぁ。



船に転移して伸びをする。
数秒後に叫ばれた。

「っ、遅い!  昨日はずっと待っていたんだぞ!」

空中にコガネ色の髪と瞳の美丈夫がいた。
へぇ、金剛龍のマントだ。私も持ってる。
冒険者かな?  知り合いではないので隠密を発動して海にぼちゃん。

「──!?  ──、──!」

冒険者が海上でなんか叫んでる。

今日は深く潜りたいな。
装備はなににしよっかな~。


武器:うなぎ挟み
体:海の頂点
頭:氷海の王冠
肩:神隠しマント
足:社畜のパンプス

よし。これ着て、ついでにテンプレ装備に設定もしておこう。
王冠にマントにパンプス……なんか見た目が女王様っぽいな。

探知探索……沈没船はどこだー?
この前の三隻よりもっと深いところにある。
身体強化と夜目を発動。
どんどん潜っていく。
楽しい。ゲームでは海に境界があって、800mくらいしか潜れなかった。
魚も泳いでてまだ下があるのに、そこに素材があるのが見えているのに、下に進めなかったのだ。
1000mに到達~♪これぞ深海やね。

あ、岩に黄色い苔。鑑定。

人食いバクテリア──触れると黄色く発光する。かなり強い溶解毒を持つ。

毒はいいね!
偽りの天使で使えるぞぉ~♪
うなぎ挟みでつついたら発光して毒を出してきたので結界で囲んで毒を収納!

潜りながら色んなを採取できた。
やっぱり深海は未知の世界だぁ。

お。
小さな沈没船があった。
これは以前探知探索した沈没船とは別のやつだ。
かなり小さい。私の船くらいしかないな。

おまけに見た目から海賊船じゃない。
漁船より簡単な造り。
スルーしたいけど船の周りに何かいる。

細く長くて透明感があり、鮮やかな青と白の縞模様が美しい、クラゲみたいな生き物だ。確かあれ、見たことはあるけど、……確認すると収納にも二匹しかいない。名前も【海の漂流物】としか表示されていない。

浮いてるだけだけど、一応生き物だよね?

「成る程な……公式にはない深海の固有種か。どういった繁殖方法か解らないけど……綺麗だし分裂して増えてくれるなら持って帰る価値はあるな」

そうでなくても深海にいるなら他の領海であの素材を集められるかも。
前世ゲームで捕らえたのも深海の釣り場の近くで、800m付近だったし。

「よし、布やアクセサリーの素材としてゲットしよう」
「いや、あれは私の糞なんだ」
「…………」
「人魚を食べると、あのような糞が出てくる」

横を見ると、いかにもゾンビ風に損傷した腐鮫さんがいました。おまけに牙に鮮やかな珊瑚の欠片を引っ掻けております。

いや、おかしい。
お腹は骨が丸見えだし、顔も傷だらけだが腐ってはいない。

てか隠密なのによく私が解りましたね。ならば腐鮫というのは肉を求めてうろつくだけのゾンビではなく、知能があり魔法も使えるアンデットに属する生き物か?

そしてこれだけ間近にいて私の肌がビリっとしなかったということは、腐鮫さんはガッ君の時同様、空気や酸素と同じということ。

「鑑定してもいいですか?」
「よく解らないが、好きにすればいいんじゃないか?」

ありがとう、鑑定。
……うむ。HPもMPもゼロ。
ゾンビでもないしアンデットでもない。
ブレス系のスキルも多才だしドラゴン決定。

「……成る程。腐鮫さん、ドラゴンの時、呪いをかけられて腐鮫にされて、人魚を食い散らかした後に死んだんですね。そして死魂のスキル持ちだったので幽霊になったと……?」
「よく解らないが、合ってるんじゃないか?」
「いや、違うか……死魂のスキルは人殺しをすると失ってしまうから、でも人魚は人殺しに入るのか、入らないのか」
「よく解らないが、襲ってこない人魚を食い殺したことはない」
「じゃあ、そうだ。幽霊鮫ですね」

フーン、という感じで幽霊鮫さん──鑑定によると名前はエリオット・エルドラド・ルファーブルさん──船の中に入っていきました。

その船は家か?
あ、また出てきた。
牙に引っ掻けてた珊瑚が無くなってる。

「お家の補修中?」
「鮮やかな色が好きなんだ。いつも追い求めてる」
「へぇ……」

収納から例の海の漂流物を出す。
てか正体を聞いた途端に要らなくなったうんこを出した。にこっと笑って二個。

「ああ、それそれ、そういうの」
「喜んで頂けてよかったです」
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