グランピングランタン

あお

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第十七章

思いすれ違い

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『いらっしゃいませー!』

店内に響く声。師走に入り、バイト先の居酒屋は書き入れ時だ。

「今日も忙しいな。」
「あぁ。ほら、早く料理持って行かないと。」

龍と田口が忙しい合間をぬって話す。

「君たち、ちょっと後で話があるから。」
「え、あ…はい。」

2人に話しかけてきたのは宮下。

〔珍しいな話なんて…。〕

そう思いながら龍と田口は慌ただしく動き始めた。

ー22時。

「おーい。木村、田口、宮下。上がっていいぞ~。」

店長が3人に伝える。

『お疲れ様でしたー!』

3人は更衣室へ行き着替えていた。

「宮下さん。話しってなんですか?」
「あ、そうそう。クリスマス当日はバイト入ってる?」
「俺は入ってないんすけど、木村は入ってます。」
「そうか。クリスマス当日は閉店後、お店でちょっとパーティーするから。予定なかったらおいでよ。」
「パーティー?」
「うん。従業員でパーティーするんだ。店長から君たちにも誘っといてくれって。」
「そうなんですね。わかりました。」
「女の子達は後藤さんが誘ってるから。」
「そうなんですね。」
「ま、忘年会みたいなもんだよね。それじゃお先に。」
『お疲れ様でした。』

宮下はそそくさと更衣室を出て帰宅して行った。
龍達も外に出て、それぞれ帰宅していった。

「あれ?着信着てる?」

家に帰り着く龍。携帯には加奈子からの着信だ。

「もしもし?」
「あ、龍。バイト終わった?」
「あぁ。今帰ってきたよ。」
「クリスマスの話し聞いた?」
「ついさっき聞いた。」
「どうするの?」
「どうするも何も、当時バイトだしさ。そのまま残るつもりだけど。」
「そうなんだ!綾子はさ、バイトだけど私は休みだから行くの気まずくない?」
「そんなことはないだろ。いち従業員なんだから。」
「龍が参加するなら私も行くから!」
「なんだよそれ。」

ー学校もテストが終わり、2学期の終業式を迎えていた。

「綾子!」
「どうしたの加奈子?」

終業式後、2人はコソコソ話をしていた。

「あのさ…。ちょっと時間ある?」
「夕方からバイトだから…。それまでなら大丈夫だよ?」
「ちょっと買い物、付き合ってくんない?」
「買い物?」
「うん。買い物!」

2人は隣町の大きなショッピングモールに向かった。

「で…。なんでこんな大きなところに来たの?」
「えへへ。それはね…」

去年のクリスマス、加奈子は龍からマフラーを貰っていた。それで加奈子は、貰ったマフラーと一緒の色のマフラーをプレゼントしたかった。

「それって好きです。って言ってるようなもんだけど、大丈夫なの?」
「うん。大丈夫。」
「なんか…木村君と何かあったの?」
「え?」
「そんなにガツガツするようなタイプじゃなかったんじゃ…。」

歩きながら話していたが、加奈子が止まる。

「私ね…。この前、龍が助けてくれて思ったんだ。やっぱり私は龍が好き。」
「そっか。それならアタックして行かないとね!」

ーその頃。

『っくしゅん!!!!!』
「誰か噂でもしてんのか?」

こたつの中でぬくぬくと温まりながらみかんを食べる龍。加奈子の気持ちも知らずにー

ークリスマス当日。

「今日はそんな忙しくないですね。」
「まぁね。クリスマスに居酒屋ってなんか合わなくない?」
「はは…。そうですね。」

バイト先で龍と後藤が話していると、出勤していない面々が次々現れる。

「あ、お疲れ様です。」
「木村ぁ。なんか食べたいのあるか?」
「えっと…唐揚げ。」
「そんなんでいいのか?もっと贅沢してもいいんだぞ?」

笑いながら話しかけて来たのは、大学生で厨房担当の本田だ。

「女の子達もいるからサラダも作らないとな。」
「優しいっすね。」
「だろ?酒でも飲むか?」
「いや、まだ未成年なんで。」
「今日ぐらいいいんじゃないの?一杯ぐらい付き合えよ。」

そこに店長が現れる。

「未成年に酒を勧めるとか、大人としてどうなんだぁ本田!?」
「い、いえ!今日ぐらいいいかなーって…。」
「まぁ一杯だけな。閉店後にこっそりだな。」

ー23時を回り、店の前を通る人も少ないのを見計らって店の暖簾を下げた。
座敷にはたくさんの料理が準備されていた。

「えー。ささやかですが忘年会を開きたいと思います。未成年もいますので、小一時間ぐらいで切り上げたいと思います。親御さんから連絡など来たら、帰ってもらっても構いませんので。」

店長が乾杯の音頭を取り、店内に声高らかに響く。
ワイワイガヤガヤと盛り上がって行く。

『まじ、あの客がさぁー』
『そういえばこの前の合コンさー』
『学校でねー』

無礼講。同じ窯の飯を食う仲間同士。みんな時間を忘れて、食べて飲んでとオープン時の満席な時よりも、盛り上がっているように思えた。

ー時間は0時を十分過ぎていた。

「やばーい!親から電話かかってきてる!」

後藤がそういうと、みんなが携帯を開いた。

「あ、俺もだ。」
「あ、私もだ。」

龍と加奈子も親から電話がかかっていた。龍が席を外し、加奈子はその場で電話をかける。

「もしもし?」
「まだ終わらないの?」
「店長は、いつ帰ってもいいって。」
「じゃもう迎えに来てもいい?私眠くてさ。お父さん寝ちゃったし。」
「うん。わかった。」
「龍君もいるんでしょ?一緒に連れて帰っちゃおうか?」
「そうだね。龍に話してみる!」
「わかった。じゃ、店に着いたら連絡するね。」

電話を切ると、店長に話す。

「親から連絡来たので、私先に帰ります。」
「うんうん。ごめんね遅くまで。気をつけて帰りな。大人組はまだ飲んでるから。」

そう言って店長や、本田、大人組は加奈子に手を振った。

「綾子ごめん。先に帰るね。」
「私も親が迎えにくるからもう帰るよ!」
「そっか。じゃまたね!」
「加奈子!ちゃんと渡すんだよ。」
「おっけー!」

プレゼントの紙袋を持ち、龍を探す。

〔あれ…?龍いないなぁ…〕

加奈子は外に出た。キョロキョロすると人影があった。

〔あ、龍だ。それと…〕

龍と後藤が外にいた。その時ー

〔え…。〕

背伸びした後藤が、龍の頬にキスをした。


続く。
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