グランピングランタン

あお

文字の大きさ
18 / 25
第十八章

春愁

しおりを挟む
年が明け、短い冬休みも終わろうとしていた。
加奈子はバイトまでベッドでゴロゴロしていた。

『ピンポーン』

家のチャイムが鳴る。家族は買い物に行き、家には加奈子1人だ。
インターホンを覗くとそこには君島が居た。

「はーい。」

返事をし、扉を開ける。

「遊びにきたよー。」

2人とも今日はバイトだ。それまで加奈子の家でゴロゴロするつもりだ。

「…でさ、正月は親戚がさー」
「ーうん。」

どこか上の空の加奈子。空返事だ。

「…どうしたの?」

ー去年のクリスマス。

バイト先の先輩で高校の先輩でもある後藤が、龍のほっぺにキスをしていた。それがあまりにもショックで、せっかくの冬休みも楽しめなかった。
その時の状況を君島に話始める。

「…うんうん。そっかぁ。」
「そうなんだよね…。」
「田中も言ってたよね。後藤先輩と木村君って仲が良いって。」
「うん。」
「それでずっと元気なかったの?」
「うん。」
「本人には聞いたの?」
「聞けるわけないでしょ。怖いもん。」
「…それって、前加奈子が抱きしめられた時と同じだね。」
「うん…。」
「なんか強く言えないよね。私が聞こうか?」
「うーん。なんかどうしたらいいかな?」
「もう告っちゃう?」
「え!?」
「中学の時から進展ないじゃん?もう高校生だよ?周りだって彼氏・彼女の話とか多いのに、加奈子はずーっと木村君好き好きー!って止まってない?」
「そんなに好きではないけど…」

加奈子はちょっと苦笑いで、枕を抱きしめる。

「好きではないってさ、じゃなんでそんな気持ちになるの?」
「…好きだから。」
「でしょ?幼なじみのままじゃ嫌でしょ?」
「うん…。」

君島の怒涛の攻めにたじろむ加奈子。

「スッキリさせよ!ダメだったら次に行こうよ!」
「うん…」

『ピンポーン』

家のインターホンが鳴る。

加奈子がインターホンを覗くとそこには龍が居た。

「え!?どうしたの?」
「ちょっとさ、話があってー」

ー時は遡る事、2時間前。

「綾子。今から高梨の家に行くのか?」
「うん。今日バイトだから一緒に行こうかなって。」

ファーストフード店でご飯を食べていた田口と君島。

「田口もちょっと協力してよ。」
「何を?」
「そろそろさ、加奈子と木村君くっつけちゃおうよ。」
「あいつら何も進展がないもんな。互いに両思いなのに。」
「でしょ!?2人とも奥手なんだからさ。」
「俺も今から木村ん家に行くか。」

2人はファーストフード店を出て、田口は龍の家、君島は加奈子の家に向かった。

ー龍の家。

『ピンポーン』

龍が部屋から出てインターホンを覗く。

「何しに来たんだよ?」
「ちょっと開けろよ!」

龍がドアを開ける。

「なんだよ。新年早々。」
「へへ。お邪魔しまーす。」

龍の両親に挨拶をした田口は、龍の部屋に向かった。

「…で?なんだよ?今日俺バイトだぞ?」
「知ってるよ。」
「それまでゆっくりしてんだかー」
「お前。後藤さんに聞いたぞ?」
「な、なにを?」
「チューしたんだってな?」
「いやあれは違うよ。」

慌てる龍。

「まぁ確かに後藤さん、酒飲んでたみたいだしちょっとテンション上がってたってのは聞いたよ。」
「だろ?だから違うって。」
「お前、それから後藤さんのこと意識し始めたんじゃないか?」
「っー!?」

同様する龍。

「そ、そんなわけないだろ?」
「確かになあの人は美人だし、あの人目的で来るお客さんもいる。だけど、お前には高梨がいるだろ?」
「いるだろ。って…」
「ずっとそばにいただろ。結局、窪田とも何もなかったわけだし。」
「それはそうだけど…」
「実際お前は高梨のこと、どう思ってんだよ?」
「……。」

口ごもる龍。

「あのさ…。ただの幼なじみじゃないだろ?ただの幼なじみでわざわざ庇うか?好きだから高梨のこと守ったんだろ?」
「……。」
「お前が後藤さんのことを好きなら好きで構わない。けど、高梨はずっと待ってるんだぞ?」
「いやいやいや。待ってるなんて、なんでお前にー」
「ちょっと黙って聞いてろ。あのな。幼なじみが嫉妬したりするか?お前も窪田のことでだいぶモヤモヤしたりしただろ?それに、高梨の姉ちゃんの彼氏にも知らずに嫉妬してただろ?そんなにただの幼なじみが嫉妬するわけないだろ?だからー」

田口の怒涛の攻めが龍にも繰り広げられていた。黙って聞く龍。

「そろそろさ、決着つけようぜ?」
「決着?」
「向こうも知りたいはずだよお前の気持ち。ちゃんとお前の口で、言葉でな。」
「決着ってこのままじゃダメなのかよ?」
「もう互いに成長しようぜ?一歩前に進むべき時期なんだよ。それに、冬休みが終わって春になってクラス替えがあって高梨と別々になって高梨が他の男と仲良くしてなんてそれでいいのか?」
「…。」
「今、高梨の家に綾子がいる。」
「え?」
「向こうもそんな話をしてると思う。」
「なるほどね。」
「あのさ、これだけ心配してるのも親友だから。だからな?綾子もそうだし、高梨もそう。お前らの為なら俺と綾子は動くよ。」
「…ありがとな。」

そう言って龍は田中を置いて、加奈子の家に向かった。

ー加奈子の家の前。

『ピンポーン』

加奈子がインターホンを覗く。

「え!?どうしたの?」
「ちょっとさ、話があって。」
「今綾子が来てるから…。」
「あぁ聞いた。」
「…。」
「あのさ!今日バイト一緒じゃん?終わったら一緒に帰らないか?」
「うん…。」
「その時に、話しよう。」
「わかった。」

龍は家に戻り、加奈子は部屋に戻った。


続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

処理中です...