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しおりを挟む我に帰った《ルークサンドラ》国の国王である剣士や、現国王派の貴族達が、取り繕うように、反対派の対処について礼を述べ。
これにより、憂いなく私を迎え入れることが出来ると、こちらを信じて欲しいと、開き直りのような巫山戯た言い訳をしてきた。
「私は、貴方がたの謝罪など受け入れる気は有りません。我々に指摘されなければ気づかぬ他貴族の目論見で、私を害しようとした事、。帰還陣など無いのに『有る』と言い張った、国を挙げての詐欺行為。それに・・・勇者パーティーで一緒だった時に、私の味方をしてくれなかった!それなのに、何をどう信じろと!!」
「何を?!私は、聖女殿、貴女の貞操を守り抜いたんですよ?それが無ければ、貴女は今頃・・・」
「ふざけないで!!」
ぐわっと、頭が沸騰する。
その瞬間、私の隣でぶわり、と風が舞い。
ドガン!
と、大きな音が鳴った。
目の前にいた剣士が消え。
謁見の間の壁に叩きつけられている姿となっていた。
剣士がいた所には、ティグレさんがいる。
王様ぶん殴っちゃった・・・
「・・・クソ野郎が、それ以上口開くんじゃねぇ。・・・つまりは、サクラがクソ勇者やクソ拳闘士に犯されそうになって、弱った所に、助けるフリでつけ込もうとしただけじゃねぇか。姫を窮地から救い出す王子としての演出か?
生憎なぁ、サクラは非力だったとしても、そこいらの女子どものように精神は弱くない。理不尽に屈さず、冷静に状況判断し、立ち向かう力を持っていた。お前如きの魂胆なんか、直感理解していたから!近寄らなかったんだよ!」
「な、なにを・・・」
「サクラと一緒になりたかったならなァ!サクラがこの国に現れた時から、彼女に寄り添うべきだった!祖国と切り離した事を詫び!下手な小細工や駆け引きなどせず!誠心誠意尽くすべきだった!違うか!」
ティグレさんの言う通りだ。
この男は、都合の良い事だけ、耳障りの良い事だけ言って、傍観に徹して、自己の保身に走る奴。私は、そう評価していた。
言いたい事を代弁してくれたティグレさんに近寄り、怒りで筋肉が隆起しているその腕にそっと手を添えて、私は剣士を見据える。
「・・・そう。此処に来てから、私の心を支えて、立ち向かう勇気をくれていたのは、決して貴方なんかじゃ無い。大切な私の家族と友達と・・・彼氏との思い出。そして、あの時、私を見つけたティグレさんがくれた言葉。
元の世界に戻れない、帰る術が見つからなかったとしても、私は二度とこの地は踏まない。私の居場所は《マジェスト》にできたんだから。
・・・貴方の顔なんかもう見たく無い。二度と会わない。私に申し訳ないと思うなら、自分達の力だけでこの国くらい統治してみなさいよ!」
溢れ出しそうになる涙を堪え、ティグレさんの左腕に縋り付く。
彼はなにも言わず、ふわりと私を左腕に抱え上げ。
よく言った、と言わんばかりに、右手で頭を撫でてくれた。
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