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しおりを挟む「まぁ、帰還陣については、僕とグラハムの永遠の研究テーマになりそうだから。期待しないで待ってて。」
シロエさんが申し訳なさそうに言う。
アイザックさんが、本来の龍王の姿のまま、前に進み出た。
「魔王ドゥーマからの沙汰だ。
『これにより、聖女サクラの居住は正式に《マジェスト》となった。サクラの希望は《ルークサンドラ》に関するものの接触不可。今後、これを無視し、使者や影など送り込んだ場合には、即刻切り捨てる』とな。」
「何故だ!これだけ謝罪をしているのに許さぬなどと!この強欲聖女め!!」
剣士は壁に叩きつけられた状態で動かない。
代わりに《ルークサンドラ》の別な貴族が声を上げた。
何それ。
この期に及んで、私が悪いの?
ぶわ、と黒い感情が生まれて、思わず抱え上げてくれていたティグレさんの首元に縋り付いた。
落ち着かせてくれるように、ぎゅ、と私を抱きしめると、腹の底から吠えるような大きな声で、その貴族に向けて言葉を放った。
「馬鹿か?ウッセェ加害者!お前らが何を言おうが、どんなに謝ろうが、許す許さないを決めるのは被害者当人の心情だ!それだけ許されない事をお前らがしてきたんだろうが!
『ゴメンナサイ』『イイヨー』なんて茶番で済むのはガキだけだ!!もう、生半可な対応では許されねぇんだよ!
我々は、聖女を害する事をしていない、悪いのは前の王族だ?だから、我々は許されて当然だ、とでも言いたいのか?!
聖女が憂き目にあっていたのを分かっていたのに、王族達の暴走を止めず、自分達の保身を優先して、それを放置した!それこそが許されない罪だろうが!それこそが、聖女の信頼を崩した行為だと分からんのか!!
これ以上、人族各国から爪弾きにあいたくなければ、二度とサクラに関わるな!」
「全く・・・この期に及んで、言い分が『自分達は悪くない』で変わらないことが、いっそ清々しいな。これ以上此処にいても、サクラにとって良くないから、サッサと魔王城に戻ろうか。」
ティグレさんの言葉に、何も言い返せない《ルークサンドラ》の面々。
それを横目で見ながら、グラハム様が声を上げる。
ゆるり、と顔をあげたら、ティグレさんの琥珀色の瞳が、心配そうに揺らぐ。
黙って頷いて、またティグレさんに縋り付いた。
「あぁ・・・帰ろう。俺達の国に。」
ぎゅ、と私を抱きしめ返して呟いたティグレさんの声色は、どっしりとしていて、とても安心できた。
これで、私と《ルークサンドラ》国との確執は終わった。
だから、私も、新しく、始めなきゃ・・・
********************
※ 予定よりも伸びてます・・・あと3~4話で終われる?予定です。
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