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その3*
しおりを挟む琥太郎くんが甘えてくる。
その姿が、何か、すごく懐かしくて、嬉しくて。
お弁当をあーんで食べてもらった記憶が蘇って、くすぐったい。
ちょっと笑いながら、彼の開けたお口に、またトリュフチョコを転がした。
「ふぁっ?」
その途端、ぐい、と引き寄せられて、唇が塞がった。
ポカンとしていた私の口の中に、ビターな塊が押し込められて。
くちゃ、くちゃ、と音を立てながら、私と琥太郎の舌の間を行き来する。
洋酒の香りと、あまりにもエッチな感覚に、頭がぼんやりしてきた。
耐えられなくなって、ぷは、と口を離そうとしたら、ぢゅ、と舌を吸われて。
離れていく琥太郎くんの顔が、色っぽ過ぎて・・・
「ずっと、こうしたかった・・・俺、あのバレンタインの時に、繋がるつもりでいたから・・・」
はぁ、と、息をつき、私の頬に手を当てて。
疑いようもない愛情をぶつけてくれる。
「もう、いい?」
「う・・・ん。」
もう、断らない。
先延ばしにしない。
だって、私のちょっとした不安すら、笑わず、真剣に、一生懸命に解消してくれようとする。
この誠実な人と、一緒になりたい。
そっと、彼の頬を両手で挟んで、見つめてみた。
「ありがと、琥太郎くん。大好き。優しく・・・して?」
「ーーー っ!!」
「ひゃぁっ!?」
ぶわ、と、真っ赤になった琥太郎くんが、ガバっと私を抱え上げて、勢いよく部屋の奥に進んでいく。
そのまま何も言わずに、その先にあった扉を乱暴に開けて。
薄暗い部屋は、寝室で・・・
ぎしり、と音を立てて、豪華な天蓋付きベットに膝をつけると、そっと私をベットの上に下ろした。
横たわる私の上にのしかかり、首元に顔を埋め、グリグリと甘えてくる。
そして、何か堅いものが太腿あたりに当たってて・・・
多分、これが、男の人の大切なモノで。
よくわかんないけど、恥ずかしくって、顔が熱を持ってしまう。
「あー、夢みたいだ、桜がいる。妄想の中で、いっぱい桜とヤったけど。本当に、本物だぁ・・・」
感慨深げに、琥太郎くんが呟く。
あの時の次の日のバレンタインデー。
金曜日で、学校終わったら、琥太郎くんの家に行く約束してて。
もしかしたら、琥太郎くんのお部屋でこうなっていたのかもしれなくて・・・
「こんな事言うのも、憚られるんだけど、さ。俺、桜とのことを妄想するだけで、ガッツリ反応してたんだよ。あんな顔して、こんな可愛い声で喘いで、俺のこと欲しがっておねだりして、って。でも・・・生身じゃないから、虚しくて。
顔だけすげ替えるイメージして、そーゆーお店で無理矢理ヤろうとした事もあったけど、やっぱダメで、最後までなんて到底出来なくて。
・・・だから、今日は、幸せすぎて、暴発するかもしんない。先に謝っておく。ごめんな。」
一生懸命、誠実であろうと言葉を紡いでくれる。
不器用だけど優しい、その気持ちが嬉しい。
「ん。だいじょーぶ、だよ。回復は任せて?」
「っぷっ・・・また、そーゆー事を・・・っ。も、寝かせらんないから。覚悟してな。」
「はい。どんとこいです。」
言うや否や、琥太郎くんに、がぷ、と食べられるかのように、唇を合わせられて。
いっぱいキスした後に、するするとドレスを脱がされて、色んなところを撫でられ、舐められて・・・
ハジメテだったのに、色々凄くて、訳わかんなくなって。
「こたろ、くんっ、やぁっ、も、こわいのっ、あぁっっダメぇっ!」
「桜ぁっ、ホンっと、可愛い・・・もっと、もっと・・・あぁ・・・イイっ!」
いっぱい、愛してくれて、甘やかしてくれて。
とにかく、すごくて。
痛さも、切なさも、甘さも、愛しさも、キモチヨサも、全てが凝縮されたような、濃密な時間で・・・
私が気絶するように眠ったのは、多分、明け方な気がする・・・
**************
※ すみません。R15表記ですので、これくらいで、勘弁してくださいw
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