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1巻
1-3
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思いがけず、山口さんと二人きりの時間が実現しそうだ。
会社では上司と部下という関係にある私たちが、幼い頃の思い出を共有する仲だなんて……誰も想像できないに違いない。
自分でもメールの内容が本当のことなのか信じられなくて、ベッドの上で心を落ち着けるためにうずくまっていた。
(初恋のお兄ちゃんと……またあの公園で会える)
彼はあの頃からとても優しくて、私はいつもドキドキしていた。そんな彼は、当時の面影をそのまま残して私の前に現れた。
運命……。まさに、これは運命ではないだろうかと期待が高まってしまう。
山口さんはただ昔が懐かしくて、私と話したがっているだけかもしれない。だけど、そこにほんの少しでもいいから恋愛的要素がないか、探ってしまう。
(ああっ、つい先日まで恋愛の「れ」の字の気配もなかった私とは思えない)
火照る頬を押さえながら、小さな頃と同じように、自分は今も山口さんに恋をしているんじゃないかと胸が高鳴る。
この日は眠りに落ちるまで、山口さんからもらったメールを読み返し、明後日にはプライベートの彼と会えるのだということを何度も確認した。
山口さんとの約束の日。
普段はお洒落をする用事もないせいで、最近のワードローブが適当になっていたことを猛烈に後悔した。それでも、去年買ったお気に入りのボレロが映えるコーディネートで、約束の場所へ向かう。
約束の午後一時少し前に到着したけれど、彼はもっと早く来ていたようだ。公園の様子を懐かしそうに眺めながら、ゆっくり歩いている姿が見えた。
「山口さん!」
思い切って声をかけると彼は私に気づき、嬉しそうに微笑みながら片手を上げた。
「来てくれてありがとう」
「待ちました?」
「ん……なんだか朝から落ち着かなくてね」
山口さんの笑顔が幼い頃の彼と重なって、ドキッとする。
「千紗都ちゃん、私服姿も可愛いね」
サラリとこういうことが言えるなんて、すごい。
彼は黒いパンツにチェックのシャツを着て、ピーコートを羽織っている。
その姿はまるで雑誌のモデルみたいだった。大人の男性でピーコートをこれだけ素敵に着こなせるとは。
だけど私は照れてしまって、彼の私服姿が素敵だと伝えられなかった。
「少し歩こうか」
「はい」
私はロボットのようにぎくしゃくしながら、山口さんの隣を歩く。
(私……山口さんと休日デートをしてるんだ)
ドキドキが止まらない。心臓の音が山口さんにも聞こえるんじゃないかと、心配になってしまうくらいだ。
「すっかり冬だね」
「そうですね」
クリスマスまでは、あと一月ちょっと。この時期に男性と肩を並べて歩いていることに、正直自分が一番驚いている。
(夢じゃないよね)
日が差しているところは暖かいけれど、日陰に入っただけでかなり寒い。コートを羽織っていても、襟元から入り込んでくる冷たい風に震えてしまう。
「まだ十一月なのに、今にも雪が降りそうなくらい寒いですよね」
冷えきった両手をごしごしとこすって、息を吹きかける。
「貸して」
山口さんはいきなり私に手を差し出した。
「え、何をですか?」
「千紗都ちゃんの手」
「あ……」
(山口さんと……手をつなぐってこと?)
「早く、このままだとお互い凍えちゃうでしょ」
「は、はい!」
私は戸惑いながらも、自分の右手を出した。
手をつないで歩くなんて、恋人じゃなければあり得ないことだと思うんだけど。とはいえ、私はそれを口に出すことができない。
私の右手は、フワリと温かい感触に包まれた。
「山口さんの手、温かい!」
思わず彼を見上げると、クスッと笑われた。
「千紗都ちゃんの手が冷たすぎるんだよ」
「そう……ですかね」
これでは、本当に恋人みたいだ。
私はとっても嬉しいけれど、山口さんはどういう気持ちで手をつなごうと思ったんだろう。
会社では雲の上の存在である山口さんとデートをしているなんて、まだ実感がわいてこない。
風に吹かれて気持ち良さそうに微笑んでいる彼の横顔を盗み見る。やっぱり素敵。
「懐かしいなあ……そうそう、ここでバロンと遊んだんだよ」
山口さんは足を止めて、つないでいた手をそっと離した。
そこはまさに、小さい頃に二人で遊んだ思い出の場所だった。
「バロン……可愛かったですよね」
「うん」
山口さんはギーギーと音を立てる古いブランコに腰を下ろすと、嬉しそうに公園の景色を見渡した。
私も隣のブランコに乗って、ユラユラと小さく漕ぐ。
「これだけ寒いと、子供も遊びにこないね」
山口さんは私の目を見て笑う。
「そうですね。なんだか貸しきりみたい」
「これでバロンがいれば、あの頃と同じなのになあ」
そう言った山口さんの表情は、少し悲しそうだった。
あの頃からずいぶんと時間が経っている。もうバロンは生きていないだろう。それは本当に悲しいことだけど、彼の表情が暗い原因は、他にもあるような気がした。
若いのにとても優秀で、仕事のできる山口さん。だけど彼にとって、今のポジションはまだまだ初期の段階なんだろう。だって、次期社長を期待されているんだもの。そのプレッシャーは、計り知れない。
「お仕事、大変ですか?」
当たり前だと怒られそうなことを、私は口にしてしまった。山口さんはちょっと困ったように、小首をかしげる。
「んー……仕事は嫌いじゃないけど。まあ、それなりに色々……ね」
言葉を濁す山口さんを見て、私はやっぱり聞いてはいけないことだったなと反省した。
「変なこと聞いて、ごめんなさい」
「いや、千紗都ちゃんに心配してもらえて嬉しいよ」
私を優しく見つめる山口さんの瞳は、キラキラと輝いている。
「私でよければ……なんでも話してください」
せめて休日くらいは笑顔でいてほしい。
私は、山口さんのお屋敷でご馳走になったアフタヌーンティーがきっかけで紅茶好きになったこと、学生時代のこと……彼が退屈しないといいなと思いながら、いろんな話をした。
山口さんは私の話を楽しそうに聞いてくれて、私も自然と笑顔になる。一緒にいる時間は、寒さも忘れさせてくれた。
ふと気がつくと三時近くになっていて、太陽も少し傾きはじめている。あっという間に時間が経ってしまったことに驚きながら、「もう少しこの夢みたいな時間を過ごしたいな」と思っていた。
すると、山口さんが私に尋ねてきた。
「ねえ、このあたりで美味しい紅茶を飲めるお店はないの?」
コーヒーが飲めるお店は多いけど、紅茶の専門店までは相当歩かなければならない。そう伝えると、山口さんは「千紗都ちゃんが嫌じゃなければ、そのお店まで歩かない?」と言った。
私の答えは、もちろん決まっている。
彼と一緒にいられるなら、どこまでも歩きたい……
「じゃあ、このまま喫茶店まで歩こうか」
まるで私の気持ちを見抜いたかのように、彼はにっこりと微笑んだ。
私はうなずいて、お店のある方向に足を進める。
「千紗都」
名前を呼ばれて振り返ると、山口さんが手をこちらに差し出していた。
(今……千紗都って呼び捨てだった?)
私は驚いて立ちすくんでしまう。彼はおかまいなしに、私の右手をそっと握った。
私は何も言えず、ただ彼の温かい手を握り返した。
二人で喫茶店までの道のりをゆっくりと歩く。
街路樹の葉はすっかり落ちて、少し寒そうだ。
道で人とすれ違うたびに、山口さんは私の体をそっと引き寄せた。山口さんの体温がすぐ近くに感じられて、私の心臓はドキドキする。
「結構人通りが多いね、この道」
「そう……ですね」
冷たい風が吹く中、私の頬は妙に熱かった。
二十分ほど歩くと、ようやくティーカップのイラストが描かれた看板が見えた。
「あ、あれですよ。紅茶専門の喫茶店」
私は嬉しくなって、山口さんの手を離して小走りで店に駆け寄った。
「そうか、もう着いちゃったのか」
二十分近くも歩いたというのに、彼は残念そうに言った。
歩いている時、山口さんの手のぬくもりが直接こちらに伝わってきて、私にとっても、この二十分間はとても嬉しい時間だった。
やってきたお店は、カントリー調のデザインで室内が統一されている、ファンシーショップのようなたたずまい。山口さんにはちょっと合わないかなと思ったけれど、私の心配をよそに、彼は楽しそうに案内された席に座った。
「僕……勝手にデートを進めちゃってるけど、こんなコースで良かった?」
テーブルの上でメニューを開き、山口さんは私の顔をのぞき込んだ。
ここはスコーンも美味しいから山口さんにもすすめてみようかな……そんなことを考えていた私は、彼の言葉に驚いた。
(今、デートって言ったよね?)
私はデートしているつもりだったけれど、もしかしたら山口さんは単純に昔を懐かしみたいだけなのかもしれないと、少し不安だった。だから彼の口からデートという言葉が聞けて、本当に嬉しい。
「私……山口さんと一緒にいられるだけで嬉しいですよ? 嬉しすぎて、時間が過ぎていくのが残念なくらい」
思い切ってそう告げると、山口さんはにっこりと微笑んだ。
「そっか……僕も同じ気持ちだよ。良かった」
「はい」
私たちの間に、まるで付き合いはじめのカップルのような、照れたムードが漂った。
私は定番のアッサムにミルクを付けて。山口さんはアールグレイをストレートで。
そして、ジャム付きのスコーンを一皿頼む。
「山口さんも紅茶、お好きですか?」
「ん……フランスでは、どちらかというとコーヒーを飲むことの方が多かったかな。でも千紗都ちゃんは紅茶派でしょ?」
そう言って山口さんはニコッと笑う。
彼がわざわざこの専門店まで足を運んでくれたのは、紅茶好きの私のためみたい。嬉しいやら申し訳ないやら、いろいろな感情がごちゃまぜになる。
「千紗都ちゃんが好きなものをいろいろ知りたい。君の喜ぶ顔が見たいんだ」
「山口さん……」
そこまで私のことを考えてくれていたなんて、感動してしまう。
「ありがとうございます。紅茶を飲むと心が落ち着くので、私はコーヒーより紅茶を飲んでしまいます」
「そう言われてみると、そうかもしれないね」
そう。今みたいな瞬間。
好きな男の人と向かい合って、紅茶を楽しむ。
そんな時間を過ごすことが私の夢だった。まさか実現する日が来るとは。
山口さんは私の初恋の人。当時の面影を残したまま、想像以上に素敵な紳士になって再会できた運命の人。彼のことを考えると、夜も眠れないほどドキドキしてしまう。
(……恋? やっぱりこれって恋なのかな)
私はこれまで、恋愛と呼べるほどの経験をしたことがない。だから、本当の恋がどういうものなのか、私にはわからない。
もしこれが本物の恋だったとすると、この先、私は彼とどうなりたいんだろう。
山口さんは、私とは別世界で生きている人。
大きな会社の御曹司で、部長の留守を預かれるくらい仕事のできる人。まさに期待の星だ。いくら私が好きになっても、この恋が成就するとは思えない。
(じゃあ、この気持ち……どうすればいいの?)
運ばれてきた紅茶に少しだけミルクを落とし、私は山口さんへの自分の気持ちをぐるぐると考えた。だけど答えがすぐに出るはずもなく、私は紅茶のカップを見つめた。
ミルクティーからは湯気が立ち上っている。今は、目の前の紅茶を味わおう。私はカップにそっと口をつけて、甘いミルクの味を楽しんだ。
ふかふかのスコーンにも手を伸ばす。マーマレードをたっぷり塗ってパクリ。
紅茶の作法では、ジャムをベッタリつけちゃダメって言われてるけど、甘党の私は山のようにジャムを載せてしまう。
幸せな気持ちが心にしみわたって、私はホッと息を吐いた。
「美味しいね」
山口さんが微笑んだ。彼が飲んでいるアールグレイも、ベルガモットのいい香りを漂わせている。
「はい。スコーンも、すごく美味しいですよ」
私が答えると、山口さんが私の顔に手を近づけてきた。そして、すっと口元をぬぐわれる。
(えっ……?)
「スコーンが付いてるよ」
驚く私に、彼は王子様のように優しい笑顔を見せた。
「す、すみません」
「いや。……千紗都といるだけで楽しいな。説明しにくいんだけど……こういう気持ちって、なんて言うんだろう」
彼は、色っぽい目で見つめてくる。名前も呼び捨てだし……山口さんは、これでもかというくらい私の心を揺さぶってくる。
「恋……みたいだな」
「え?」
私が目を見開くと、山口さんはちょっと慌てたように言葉を切った。
「いや、ごめん。今日の僕は、ちょっとおかしいな」
もっと先を聞きたかったけれど、それ以上追及することはできなかった。それから私たちは、静かにアフタヌーンティーを楽しんだ。
翌週。
十二月中旬に大がかりなプレゼンがあるということで、その業務に携わっている社員たちは、にわかに忙しくなった。
うちの部署では、かなり前から海外での再生可能エネルギーの導入を促進している。今回のプレゼンが成功すれば、再生可能エネルギーの施設を増設できるのだと聞いている。このプレゼンの行方が部署の命運を握っていると言っても、過言ではない。社員たちは、とても真剣に仕事に取り組んでいた。
普段はデータ入力がメインの仕事だけど、今回ばかりは、私もプレゼンの資料作りを手伝っている。修正に次ぐ修正で、てんてこ舞いだ。
「この資料、次の会議で使うの。メモを参考に、修正してくれる?」
「はっ、はい!」
原井さんから、修正指示の入った資料をどんどん渡される。
「本番を意識したリハーサルも、近いうちに行われると思うわ。資料作りはその前に終わらせなくちゃいけないから、引き続きよろしく頼むわね」
「はい、わかりました」
私の手元には、修正しなければならない資料、まとめなければならない資料が山のようにある。だけど、「間に合わない」なんて言えるわけがない。
(ここは……私も頑張らないといけないところだ)
とはいえ、まだまだ力不足だと痛感してしまう。どうしても修正に時間がかかるし、まわりのスピードに追いつかない。
さっそく資料の修正をはじめると、私の隣に立っている原井さんのもとに山口さんがやってきた。
プレゼンの指揮をとっている山口さんは、原井さんに話しかけることが多い。
「原井さん、この資料なんですが……」
ちらりと横目で二人をうかがう。山口さんが手にしている資料には、外国語がびっしりと並んでいた。私には、それが英語じゃないということしかわからない。フランス語だろうか。
(ひとり言をつぶやく時には、日本語、英語、フランス語のどれを使うんだろう)
三ヶ国の言語を理解できるなんて、山口さんはすごい人なのだと改めて実感した。
原井さんは、彼の資料をのぞき込んで言う。
「この間、おっしゃっていた資料ですよね。翻訳して、まとめておきますよ。山口さんは、発表の準備でお忙しいでしょう?」
「すみません、お願いしていいですか」
「ええ、もちろんです」
どうやら原井さんも、三ヶ国以上の言語に通じているようだ。
こんなに近くにいるのに、山口さんを遠くに感じた。先週末、一緒に紅茶を飲んだのは、夢だったのではないかと思えてくる。
だけど、今の私の力では、山口さんの仕事を手伝うことなんてできない。
(もっと、もっと頑張らなくちゃ)
私は焦る気持ちで、自分の仕事に戻った。
その日の午後。
頼まれていた会議の資料をコピーしながら、私の心はどうにも落ち着かなかった。
(明日のお昼休み、思いきって彼に声をかけてみようかな)
でも忙しそうにしている山口さんの顔を見ていると、それも申し訳ない気がする。やはりプレゼンが終わるのを待った方がいいかもしれない。
「あ、用紙が切れちゃった」
コピー機の画面には、用紙切れのマークが点滅している。コピー用紙などの備品が置かれている一階の倉庫に向かうため、私は部署の片隅にある台車を引っ張り出した。どうせなら、まとめてもらってこよう。
この会社では、節電と健康促進のため、社員のエレベーター利用が禁止されている。役職についている人たちは使っているのに。
ただし、重い荷物を運ぶ時には社員でも利用していいので、私はエレベーターホールに向かう。
到着したエレベーターに乗ると、いつの間にやってきたのか、山口さんも乗り込んできた。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様、何か取りに行くの?」
彼は台車をちらりと見てそう尋ねると、一階のボタンを押した。エレベーターの扉が閉まり、下降しはじめる。
思いがけず山口さんと言葉を交わすことになり、私の鼓動はどんどん速くなった。
「資料の準備で、コピー用紙が大量に必要で。なくなるスピードが早いみたいです」
密室に二人きりだということを意職しすぎないように、私はうつむきながら言った。
「そうか、ちょっと紙を無駄にしすぎているかもしれないな……」
「ただ資料をパソコンの画面上で確認するにしても、読みづらいから大変ですよね。印刷するのは仕方ないと思います」
「ん……そうだね。結局、紙ってどうしても使ってしまうよね」
彼と会話をしているだけで、とても嬉しくなる。こんなささいな会話でも、顔が火照ってくるくらいに。
とりとめもない話をしているうちに、無情にもエレベーターはさっさと一階に到着してしまった。
台車の持ち手に手をかけ、私は外に出ようとする。
「……あら?」
なかなかドアが開かない。
ふと山口さんの方を見ると、彼は『閉』ボタンを押していた。
「な、何やってるんですか?」
「今週は千紗都ちゃんと話すチャンスがなくて、ちょっと寂しいんだ。これって僕だけなのかな?」
気のせいだろうか。山口さんがやけに色っぽいような気がする。
まるでクラゲにでも刺されたように体がしびれて、私は動けなくなった。
会社では上司と部下という関係にある私たちが、幼い頃の思い出を共有する仲だなんて……誰も想像できないに違いない。
自分でもメールの内容が本当のことなのか信じられなくて、ベッドの上で心を落ち着けるためにうずくまっていた。
(初恋のお兄ちゃんと……またあの公園で会える)
彼はあの頃からとても優しくて、私はいつもドキドキしていた。そんな彼は、当時の面影をそのまま残して私の前に現れた。
運命……。まさに、これは運命ではないだろうかと期待が高まってしまう。
山口さんはただ昔が懐かしくて、私と話したがっているだけかもしれない。だけど、そこにほんの少しでもいいから恋愛的要素がないか、探ってしまう。
(ああっ、つい先日まで恋愛の「れ」の字の気配もなかった私とは思えない)
火照る頬を押さえながら、小さな頃と同じように、自分は今も山口さんに恋をしているんじゃないかと胸が高鳴る。
この日は眠りに落ちるまで、山口さんからもらったメールを読み返し、明後日にはプライベートの彼と会えるのだということを何度も確認した。
山口さんとの約束の日。
普段はお洒落をする用事もないせいで、最近のワードローブが適当になっていたことを猛烈に後悔した。それでも、去年買ったお気に入りのボレロが映えるコーディネートで、約束の場所へ向かう。
約束の午後一時少し前に到着したけれど、彼はもっと早く来ていたようだ。公園の様子を懐かしそうに眺めながら、ゆっくり歩いている姿が見えた。
「山口さん!」
思い切って声をかけると彼は私に気づき、嬉しそうに微笑みながら片手を上げた。
「来てくれてありがとう」
「待ちました?」
「ん……なんだか朝から落ち着かなくてね」
山口さんの笑顔が幼い頃の彼と重なって、ドキッとする。
「千紗都ちゃん、私服姿も可愛いね」
サラリとこういうことが言えるなんて、すごい。
彼は黒いパンツにチェックのシャツを着て、ピーコートを羽織っている。
その姿はまるで雑誌のモデルみたいだった。大人の男性でピーコートをこれだけ素敵に着こなせるとは。
だけど私は照れてしまって、彼の私服姿が素敵だと伝えられなかった。
「少し歩こうか」
「はい」
私はロボットのようにぎくしゃくしながら、山口さんの隣を歩く。
(私……山口さんと休日デートをしてるんだ)
ドキドキが止まらない。心臓の音が山口さんにも聞こえるんじゃないかと、心配になってしまうくらいだ。
「すっかり冬だね」
「そうですね」
クリスマスまでは、あと一月ちょっと。この時期に男性と肩を並べて歩いていることに、正直自分が一番驚いている。
(夢じゃないよね)
日が差しているところは暖かいけれど、日陰に入っただけでかなり寒い。コートを羽織っていても、襟元から入り込んでくる冷たい風に震えてしまう。
「まだ十一月なのに、今にも雪が降りそうなくらい寒いですよね」
冷えきった両手をごしごしとこすって、息を吹きかける。
「貸して」
山口さんはいきなり私に手を差し出した。
「え、何をですか?」
「千紗都ちゃんの手」
「あ……」
(山口さんと……手をつなぐってこと?)
「早く、このままだとお互い凍えちゃうでしょ」
「は、はい!」
私は戸惑いながらも、自分の右手を出した。
手をつないで歩くなんて、恋人じゃなければあり得ないことだと思うんだけど。とはいえ、私はそれを口に出すことができない。
私の右手は、フワリと温かい感触に包まれた。
「山口さんの手、温かい!」
思わず彼を見上げると、クスッと笑われた。
「千紗都ちゃんの手が冷たすぎるんだよ」
「そう……ですかね」
これでは、本当に恋人みたいだ。
私はとっても嬉しいけれど、山口さんはどういう気持ちで手をつなごうと思ったんだろう。
会社では雲の上の存在である山口さんとデートをしているなんて、まだ実感がわいてこない。
風に吹かれて気持ち良さそうに微笑んでいる彼の横顔を盗み見る。やっぱり素敵。
「懐かしいなあ……そうそう、ここでバロンと遊んだんだよ」
山口さんは足を止めて、つないでいた手をそっと離した。
そこはまさに、小さい頃に二人で遊んだ思い出の場所だった。
「バロン……可愛かったですよね」
「うん」
山口さんはギーギーと音を立てる古いブランコに腰を下ろすと、嬉しそうに公園の景色を見渡した。
私も隣のブランコに乗って、ユラユラと小さく漕ぐ。
「これだけ寒いと、子供も遊びにこないね」
山口さんは私の目を見て笑う。
「そうですね。なんだか貸しきりみたい」
「これでバロンがいれば、あの頃と同じなのになあ」
そう言った山口さんの表情は、少し悲しそうだった。
あの頃からずいぶんと時間が経っている。もうバロンは生きていないだろう。それは本当に悲しいことだけど、彼の表情が暗い原因は、他にもあるような気がした。
若いのにとても優秀で、仕事のできる山口さん。だけど彼にとって、今のポジションはまだまだ初期の段階なんだろう。だって、次期社長を期待されているんだもの。そのプレッシャーは、計り知れない。
「お仕事、大変ですか?」
当たり前だと怒られそうなことを、私は口にしてしまった。山口さんはちょっと困ったように、小首をかしげる。
「んー……仕事は嫌いじゃないけど。まあ、それなりに色々……ね」
言葉を濁す山口さんを見て、私はやっぱり聞いてはいけないことだったなと反省した。
「変なこと聞いて、ごめんなさい」
「いや、千紗都ちゃんに心配してもらえて嬉しいよ」
私を優しく見つめる山口さんの瞳は、キラキラと輝いている。
「私でよければ……なんでも話してください」
せめて休日くらいは笑顔でいてほしい。
私は、山口さんのお屋敷でご馳走になったアフタヌーンティーがきっかけで紅茶好きになったこと、学生時代のこと……彼が退屈しないといいなと思いながら、いろんな話をした。
山口さんは私の話を楽しそうに聞いてくれて、私も自然と笑顔になる。一緒にいる時間は、寒さも忘れさせてくれた。
ふと気がつくと三時近くになっていて、太陽も少し傾きはじめている。あっという間に時間が経ってしまったことに驚きながら、「もう少しこの夢みたいな時間を過ごしたいな」と思っていた。
すると、山口さんが私に尋ねてきた。
「ねえ、このあたりで美味しい紅茶を飲めるお店はないの?」
コーヒーが飲めるお店は多いけど、紅茶の専門店までは相当歩かなければならない。そう伝えると、山口さんは「千紗都ちゃんが嫌じゃなければ、そのお店まで歩かない?」と言った。
私の答えは、もちろん決まっている。
彼と一緒にいられるなら、どこまでも歩きたい……
「じゃあ、このまま喫茶店まで歩こうか」
まるで私の気持ちを見抜いたかのように、彼はにっこりと微笑んだ。
私はうなずいて、お店のある方向に足を進める。
「千紗都」
名前を呼ばれて振り返ると、山口さんが手をこちらに差し出していた。
(今……千紗都って呼び捨てだった?)
私は驚いて立ちすくんでしまう。彼はおかまいなしに、私の右手をそっと握った。
私は何も言えず、ただ彼の温かい手を握り返した。
二人で喫茶店までの道のりをゆっくりと歩く。
街路樹の葉はすっかり落ちて、少し寒そうだ。
道で人とすれ違うたびに、山口さんは私の体をそっと引き寄せた。山口さんの体温がすぐ近くに感じられて、私の心臓はドキドキする。
「結構人通りが多いね、この道」
「そう……ですね」
冷たい風が吹く中、私の頬は妙に熱かった。
二十分ほど歩くと、ようやくティーカップのイラストが描かれた看板が見えた。
「あ、あれですよ。紅茶専門の喫茶店」
私は嬉しくなって、山口さんの手を離して小走りで店に駆け寄った。
「そうか、もう着いちゃったのか」
二十分近くも歩いたというのに、彼は残念そうに言った。
歩いている時、山口さんの手のぬくもりが直接こちらに伝わってきて、私にとっても、この二十分間はとても嬉しい時間だった。
やってきたお店は、カントリー調のデザインで室内が統一されている、ファンシーショップのようなたたずまい。山口さんにはちょっと合わないかなと思ったけれど、私の心配をよそに、彼は楽しそうに案内された席に座った。
「僕……勝手にデートを進めちゃってるけど、こんなコースで良かった?」
テーブルの上でメニューを開き、山口さんは私の顔をのぞき込んだ。
ここはスコーンも美味しいから山口さんにもすすめてみようかな……そんなことを考えていた私は、彼の言葉に驚いた。
(今、デートって言ったよね?)
私はデートしているつもりだったけれど、もしかしたら山口さんは単純に昔を懐かしみたいだけなのかもしれないと、少し不安だった。だから彼の口からデートという言葉が聞けて、本当に嬉しい。
「私……山口さんと一緒にいられるだけで嬉しいですよ? 嬉しすぎて、時間が過ぎていくのが残念なくらい」
思い切ってそう告げると、山口さんはにっこりと微笑んだ。
「そっか……僕も同じ気持ちだよ。良かった」
「はい」
私たちの間に、まるで付き合いはじめのカップルのような、照れたムードが漂った。
私は定番のアッサムにミルクを付けて。山口さんはアールグレイをストレートで。
そして、ジャム付きのスコーンを一皿頼む。
「山口さんも紅茶、お好きですか?」
「ん……フランスでは、どちらかというとコーヒーを飲むことの方が多かったかな。でも千紗都ちゃんは紅茶派でしょ?」
そう言って山口さんはニコッと笑う。
彼がわざわざこの専門店まで足を運んでくれたのは、紅茶好きの私のためみたい。嬉しいやら申し訳ないやら、いろいろな感情がごちゃまぜになる。
「千紗都ちゃんが好きなものをいろいろ知りたい。君の喜ぶ顔が見たいんだ」
「山口さん……」
そこまで私のことを考えてくれていたなんて、感動してしまう。
「ありがとうございます。紅茶を飲むと心が落ち着くので、私はコーヒーより紅茶を飲んでしまいます」
「そう言われてみると、そうかもしれないね」
そう。今みたいな瞬間。
好きな男の人と向かい合って、紅茶を楽しむ。
そんな時間を過ごすことが私の夢だった。まさか実現する日が来るとは。
山口さんは私の初恋の人。当時の面影を残したまま、想像以上に素敵な紳士になって再会できた運命の人。彼のことを考えると、夜も眠れないほどドキドキしてしまう。
(……恋? やっぱりこれって恋なのかな)
私はこれまで、恋愛と呼べるほどの経験をしたことがない。だから、本当の恋がどういうものなのか、私にはわからない。
もしこれが本物の恋だったとすると、この先、私は彼とどうなりたいんだろう。
山口さんは、私とは別世界で生きている人。
大きな会社の御曹司で、部長の留守を預かれるくらい仕事のできる人。まさに期待の星だ。いくら私が好きになっても、この恋が成就するとは思えない。
(じゃあ、この気持ち……どうすればいいの?)
運ばれてきた紅茶に少しだけミルクを落とし、私は山口さんへの自分の気持ちをぐるぐると考えた。だけど答えがすぐに出るはずもなく、私は紅茶のカップを見つめた。
ミルクティーからは湯気が立ち上っている。今は、目の前の紅茶を味わおう。私はカップにそっと口をつけて、甘いミルクの味を楽しんだ。
ふかふかのスコーンにも手を伸ばす。マーマレードをたっぷり塗ってパクリ。
紅茶の作法では、ジャムをベッタリつけちゃダメって言われてるけど、甘党の私は山のようにジャムを載せてしまう。
幸せな気持ちが心にしみわたって、私はホッと息を吐いた。
「美味しいね」
山口さんが微笑んだ。彼が飲んでいるアールグレイも、ベルガモットのいい香りを漂わせている。
「はい。スコーンも、すごく美味しいですよ」
私が答えると、山口さんが私の顔に手を近づけてきた。そして、すっと口元をぬぐわれる。
(えっ……?)
「スコーンが付いてるよ」
驚く私に、彼は王子様のように優しい笑顔を見せた。
「す、すみません」
「いや。……千紗都といるだけで楽しいな。説明しにくいんだけど……こういう気持ちって、なんて言うんだろう」
彼は、色っぽい目で見つめてくる。名前も呼び捨てだし……山口さんは、これでもかというくらい私の心を揺さぶってくる。
「恋……みたいだな」
「え?」
私が目を見開くと、山口さんはちょっと慌てたように言葉を切った。
「いや、ごめん。今日の僕は、ちょっとおかしいな」
もっと先を聞きたかったけれど、それ以上追及することはできなかった。それから私たちは、静かにアフタヌーンティーを楽しんだ。
翌週。
十二月中旬に大がかりなプレゼンがあるということで、その業務に携わっている社員たちは、にわかに忙しくなった。
うちの部署では、かなり前から海外での再生可能エネルギーの導入を促進している。今回のプレゼンが成功すれば、再生可能エネルギーの施設を増設できるのだと聞いている。このプレゼンの行方が部署の命運を握っていると言っても、過言ではない。社員たちは、とても真剣に仕事に取り組んでいた。
普段はデータ入力がメインの仕事だけど、今回ばかりは、私もプレゼンの資料作りを手伝っている。修正に次ぐ修正で、てんてこ舞いだ。
「この資料、次の会議で使うの。メモを参考に、修正してくれる?」
「はっ、はい!」
原井さんから、修正指示の入った資料をどんどん渡される。
「本番を意識したリハーサルも、近いうちに行われると思うわ。資料作りはその前に終わらせなくちゃいけないから、引き続きよろしく頼むわね」
「はい、わかりました」
私の手元には、修正しなければならない資料、まとめなければならない資料が山のようにある。だけど、「間に合わない」なんて言えるわけがない。
(ここは……私も頑張らないといけないところだ)
とはいえ、まだまだ力不足だと痛感してしまう。どうしても修正に時間がかかるし、まわりのスピードに追いつかない。
さっそく資料の修正をはじめると、私の隣に立っている原井さんのもとに山口さんがやってきた。
プレゼンの指揮をとっている山口さんは、原井さんに話しかけることが多い。
「原井さん、この資料なんですが……」
ちらりと横目で二人をうかがう。山口さんが手にしている資料には、外国語がびっしりと並んでいた。私には、それが英語じゃないということしかわからない。フランス語だろうか。
(ひとり言をつぶやく時には、日本語、英語、フランス語のどれを使うんだろう)
三ヶ国の言語を理解できるなんて、山口さんはすごい人なのだと改めて実感した。
原井さんは、彼の資料をのぞき込んで言う。
「この間、おっしゃっていた資料ですよね。翻訳して、まとめておきますよ。山口さんは、発表の準備でお忙しいでしょう?」
「すみません、お願いしていいですか」
「ええ、もちろんです」
どうやら原井さんも、三ヶ国以上の言語に通じているようだ。
こんなに近くにいるのに、山口さんを遠くに感じた。先週末、一緒に紅茶を飲んだのは、夢だったのではないかと思えてくる。
だけど、今の私の力では、山口さんの仕事を手伝うことなんてできない。
(もっと、もっと頑張らなくちゃ)
私は焦る気持ちで、自分の仕事に戻った。
その日の午後。
頼まれていた会議の資料をコピーしながら、私の心はどうにも落ち着かなかった。
(明日のお昼休み、思いきって彼に声をかけてみようかな)
でも忙しそうにしている山口さんの顔を見ていると、それも申し訳ない気がする。やはりプレゼンが終わるのを待った方がいいかもしれない。
「あ、用紙が切れちゃった」
コピー機の画面には、用紙切れのマークが点滅している。コピー用紙などの備品が置かれている一階の倉庫に向かうため、私は部署の片隅にある台車を引っ張り出した。どうせなら、まとめてもらってこよう。
この会社では、節電と健康促進のため、社員のエレベーター利用が禁止されている。役職についている人たちは使っているのに。
ただし、重い荷物を運ぶ時には社員でも利用していいので、私はエレベーターホールに向かう。
到着したエレベーターに乗ると、いつの間にやってきたのか、山口さんも乗り込んできた。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様、何か取りに行くの?」
彼は台車をちらりと見てそう尋ねると、一階のボタンを押した。エレベーターの扉が閉まり、下降しはじめる。
思いがけず山口さんと言葉を交わすことになり、私の鼓動はどんどん速くなった。
「資料の準備で、コピー用紙が大量に必要で。なくなるスピードが早いみたいです」
密室に二人きりだということを意職しすぎないように、私はうつむきながら言った。
「そうか、ちょっと紙を無駄にしすぎているかもしれないな……」
「ただ資料をパソコンの画面上で確認するにしても、読みづらいから大変ですよね。印刷するのは仕方ないと思います」
「ん……そうだね。結局、紙ってどうしても使ってしまうよね」
彼と会話をしているだけで、とても嬉しくなる。こんなささいな会話でも、顔が火照ってくるくらいに。
とりとめもない話をしているうちに、無情にもエレベーターはさっさと一階に到着してしまった。
台車の持ち手に手をかけ、私は外に出ようとする。
「……あら?」
なかなかドアが開かない。
ふと山口さんの方を見ると、彼は『閉』ボタンを押していた。
「な、何やってるんですか?」
「今週は千紗都ちゃんと話すチャンスがなくて、ちょっと寂しいんだ。これって僕だけなのかな?」
気のせいだろうか。山口さんがやけに色っぽいような気がする。
まるでクラゲにでも刺されたように体がしびれて、私は動けなくなった。
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