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17話 いるべき場所(2)最終話
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エリーゼは城に仕える美しい召使いだったが、ある日国王に気に入られ、無理矢理体を奪われてしまった。その行為は一回に止まらず、アンリを身ごもるまで続いた……。
アンリが悲しい幼少時代を過ごしたのは、エリーゼを失ってからのこと。
男性になったエリオは、それでも本能に突き動かされるようにアンリの従者として働くようになり、今に至ったようだ。
(国王に無理やり……それでエリオは『女は悲しいですね』と私に言ったんだ)
私を力で押さえつけながら、悲しそうに言ったエリオの言葉が蘇る。
自分も同じようにされたことを、無意識に覚えていたんだろう。アンリに対しての従順さも、その事実を知ると納得がいく。
(それにしたって、悪いのはエリオじゃない。全て国王のせいなのに……どうしてこんなことに)
私は出過ぎてるとは思いながらも口を開いた。
「もしかして、この国に呪いをかけたのは……国王ではなく、王妃なんですか」
私の言葉を聞き、王妃はジロリとこちらへ視線を寄こした。その形相は女性でもなく男性でもなく……まさに悪魔のようだった。
『私の国をどうしようと勝手でしょう?女のいない国……最高じゃない』
王妃の嫉妬は女性全体への恨みに転化し、国の女性は全て男性になってしまった。その暴走を止めるために立ちはだかった国王もその場で呪い殺され、全てを知っていたエリオの記憶は封印された。
結局、残された幼いアンリがこの国の王子として全てを背負って生きてきた……それがカリーナの長い暗黒時代を作った理由だった。
「許されることじゃない。あなたは……罪のない人をこんなに苦しめて、それで満足なんですか?」
『国王は浮気性だった。だから死んで償ってもらった。でも、エリーゼには簡単に楽になられても癪だったから……男としてここで奴隷のように働いてもらって、最後に私がとどめをさすつもりだったのよ』
「何てことを……」
嫉妬の炎は時として、世界の全てを焼き尽くす恐ろしい黒い感情だと改めて思い知る。
(いき過ぎた嫉妬……もはや怨念と言った方がいいくらいだよ)
私は言葉にならない憤りを感じた。
裏切られる辛さは誰にでもある。そこは同情するけれど、王妃のしたことは罪のない人をあまりにも多く巻き込みすぎている。
しかも王妃本人に悪いことをした意識はなく、未だエリオへの憎しみで溢れていた。
『誤算だったわ。自分が呪いの魔法をかけすぎたせいで実体を失ってしまうなんてね……しかも死に際の国王に地下牢にしっかりと鍵までかけられてしまって』
(それで彼女はずっと地下牢で誰かがそこを開けるのを待っていたんだ)
エリオに最後の復讐を果たすため、私を使って彼を呼び寄せた……。
「……そういうことだったんですね」
ベッドから降りたエリオが、落ち着いた視線で王妃を見つめる。そこには恐れも怒りもなく、慈愛のようなものが浮かんでいた。
「それで、王妃様は私をどうしたいのですか」
『エリーゼ……私の前でひざまづき、命乞いをしなさい。涙を流して許しを請いなさい。そうすれば少しは楽な死に方をさせてあげてもいいわ』
王妃は醜く歪んだ顔でそう告げるが、エリオはそれに対して何も動かない。
「命はもう惜しくありません。私の意志はアンリ様に引き継いでおりますので。
……お可哀想な王妃様」
『……っ』
王妃の前に静かに膝間づくエリオを見て、彼女奇声を発する。
『哀れみはやめて!お前のせいで私は不幸になったのよ』
「そう思うのは自由です。でも私にも人生があったのです……でもそれは力によって奪われました。もう今は、女としてもエリーゼとしても生きることも望んでいません。命を奪うならご自由に……」
全てを許し、恐れを一切なくしたエリオは崇高な光を放っているように見えた。
アンリが悲しい幼少時代を過ごしたのは、エリーゼを失ってからのこと。
男性になったエリオは、それでも本能に突き動かされるようにアンリの従者として働くようになり、今に至ったようだ。
(国王に無理やり……それでエリオは『女は悲しいですね』と私に言ったんだ)
私を力で押さえつけながら、悲しそうに言ったエリオの言葉が蘇る。
自分も同じようにされたことを、無意識に覚えていたんだろう。アンリに対しての従順さも、その事実を知ると納得がいく。
(それにしたって、悪いのはエリオじゃない。全て国王のせいなのに……どうしてこんなことに)
私は出過ぎてるとは思いながらも口を開いた。
「もしかして、この国に呪いをかけたのは……国王ではなく、王妃なんですか」
私の言葉を聞き、王妃はジロリとこちらへ視線を寄こした。その形相は女性でもなく男性でもなく……まさに悪魔のようだった。
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結局、残された幼いアンリがこの国の王子として全てを背負って生きてきた……それがカリーナの長い暗黒時代を作った理由だった。
「許されることじゃない。あなたは……罪のない人をこんなに苦しめて、それで満足なんですか?」
『国王は浮気性だった。だから死んで償ってもらった。でも、エリーゼには簡単に楽になられても癪だったから……男としてここで奴隷のように働いてもらって、最後に私がとどめをさすつもりだったのよ』
「何てことを……」
嫉妬の炎は時として、世界の全てを焼き尽くす恐ろしい黒い感情だと改めて思い知る。
(いき過ぎた嫉妬……もはや怨念と言った方がいいくらいだよ)
私は言葉にならない憤りを感じた。
裏切られる辛さは誰にでもある。そこは同情するけれど、王妃のしたことは罪のない人をあまりにも多く巻き込みすぎている。
しかも王妃本人に悪いことをした意識はなく、未だエリオへの憎しみで溢れていた。
『誤算だったわ。自分が呪いの魔法をかけすぎたせいで実体を失ってしまうなんてね……しかも死に際の国王に地下牢にしっかりと鍵までかけられてしまって』
(それで彼女はずっと地下牢で誰かがそこを開けるのを待っていたんだ)
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「……そういうことだったんですね」
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『エリーゼ……私の前でひざまづき、命乞いをしなさい。涙を流して許しを請いなさい。そうすれば少しは楽な死に方をさせてあげてもいいわ』
王妃は醜く歪んだ顔でそう告げるが、エリオはそれに対して何も動かない。
「命はもう惜しくありません。私の意志はアンリ様に引き継いでおりますので。
……お可哀想な王妃様」
『……っ』
王妃の前に静かに膝間づくエリオを見て、彼女奇声を発する。
『哀れみはやめて!お前のせいで私は不幸になったのよ』
「そう思うのは自由です。でも私にも人生があったのです……でもそれは力によって奪われました。もう今は、女としてもエリーゼとしても生きることも望んでいません。命を奪うならご自由に……」
全てを許し、恐れを一切なくしたエリオは崇高な光を放っているように見えた。
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