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溢れ出した思いを記す。

風船

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「僕じゃなくていいなら、そういってくれればいいのに」

虚空に放った言葉は、僕の耳にしか届かなかった。

他の人には〇〇するね。
他の人とは〇〇なんだね。

僕に〇〇してくれるけど、みんなにもしてるんだろ?

きっと、僕じゃなくても、よかっただろう?

僕は、僕にしかなれないのに、君が見ている僕は知らない人みたいだ。

だから、きっと、僕じゃなくてもよかったんだ。

君から離れる準備はできている。

『重りになりたくない』
そう、君は言った。

僕は、重りになって欲しかった。
僕が、どこかに行かないように。
君のもとへ帰れるように。
君が、無理矢理にでも、僕を持っていてくれればいいのに。
君になら、僕は掴まれてもいいと、そう、思ったのに。

いつでも離せるなら、今離せばいい。
君が離したら、僕はすぐにでも飛んで行こう。

だから、僕の手を離せるなら、離してくれ。
頼むから、これ以上、好きにさせないでくれ。

君の手を、離せない僕にさせないでくれ。

あぁ、でも、君は、初めから、僕の手を掴んではいなかった。

だから、もう、きっと、僕が離せば終わってしまう。

それでもいいよ。それでも、いいの?

あぁ、そうだ。お別れはいつがいいだろう。
いつ、君の手を離せばいいだろう。

いつになれば、君を好きじゃなくてよくなるんだろう。

君に好かれるのが苦しいと溢したなら、君は僕から離れてくれるんだろう。

“無理矢理にでも”なんて、君は優しいからしないだろう。

だから、僕も同じだ。

君が離したいなら、僕は離れよう。
君が僕じゃなくていいなら、僕は消えよう。



そうだ、僕が欲しいのは、僕を掴んでくれる人だ。帰って来いと、言ってくれる人だ。安心できる人の隣だ。


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