俺はヒーローなんかじゃない

ここクマ

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俺は君のヒーローだ。

27 壊した君の好き side智也

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初めは、ただ利用するためだった。酷いことをする自覚もあった。全ては、あいつに嫌われるためだった。
だけど、手を出した花はあまりにも複雑だった。
僕はそれに気が付かないで、その花を折ってしまったのかもしれない。
本当は時間をかけてゆっくりと育つはずだったその花を……。

壊してから手を出してはいけない領域にいることが初めてわかった。

『と、もやさんが好き。』

その言葉とともに流れた涙があまりにも儚くて、か細くて。
僕は思わず抱き締めた。

(壊してしまった。僕が、壊してしまった。だめだ、だめだ、だめだ!)

『うん。ごめん。ごめんね。ちゃんと、大事にするから。ずっと、僕が側にいるから。』

反射的に出た言葉は嘘じゃなかった。

この瞬間から、僕の中で嫌われるためという目的が消えた。
この子は駄目だと、もう傷付けたらいけないと思ったから。

僕のせいで、散ることさえできずに壊れた花。これ以上、この花を壊すことはできない。いくら、自分が残酷な人間だとしても、これ以上この花を汚したくはない。

こんな事を思ったのは初めてだった。

だから、自分でも自分の行動に戸惑ってしまう。けれど、これだけは絶対だ。これ以上優翔を傷付けない。
優翔のためならどんな役割だってやろう。
どんな願いだって叶えよう。

『……俺の中の智也さんは良い人です。』

本当は、そんな人間じゃないけれど。

『……怖いよ。』

君をそんな風に壊したのは僕だから。
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