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第一章 聖女転生
第5話 キツイ礼拝巡回
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俺がなんで聖女に生まれ変わったかを考える間もなく、次の日がきて仕事をさせられている。昨日はこの世界に来てしまった事を考える余裕も無く、祝賀会疲れですぐにベッドに入って眠ってしまった。朝になってスティーリアに起こされて今に至る。
お披露目会があった次の日の今日、教会へ挨拶回りの仕事が待っていた。馬車に揺られ、教会に行って形式ばった挨拶をして次の教会に移動する。そんな真面目な仕事を、朝から午後になっても続けている。
昨日の華々しい祝賀会とは打って変わって、めちゃくちゃ地味な仕事だ。
ヒモだった俺からすると…これはキツイ。こんなに真面目に働いた事なんてない。ちやほやされて女に食わせてもらってきた俺には過酷な仕事だ。
「ふう…」
次の教会へ向かう馬車の中で、ついため息をついてしまう。
「聖女様。お身体の具合でも悪いのでしょうか? 予定を明日に回すように調整をした方がよろしいのではありませんか?」
お付きの修道女スティーリアが言う。聖女の秘書のような仕事をする修道女だ。
「大丈夫、スティーリア。私は問題ない」
「やはり昨日はかなりお忙しかったのでしょう?」
スティーリアは儚げで華奢で、とてもまじめな性格だった。そんな女が俺の心配をしているのだ! こんなところで弱気なところを見せるわけにはいかない。きっと頑張る俺が好きに違いない! こんなんじゃ女を幸せに出来ない!
「大丈夫。そして待っている方がいるから、休むわけにはいかない」
そこまで思ってないけど。
「…あまりご無理をなさらぬよう」
「わかってる」
よし! 俺が頑張り屋さんだって分かってくれたかな? 俺は君の為ならめっちゃくちゃ頑張れるんだ! 心配なんかしないでくれ!
「そろそろ次の場所に到着します」
「わかった」
そして次に到着したのは、大変ご立派な教会だった。ここの司祭は確か…
俺がスティーリアに手を引かれて馬車を降りると、目の前には太った司祭が居た。この司祭は貴族とのつながりも深く、商人などにも顔がきいた。だがそんな事より俺が嫌なのは…、いや、この聖女の体が嫌がっているのはこの司祭自体だ。ふしゅふしゅ言いながら、俺に手を差し伸べて来る。どうやら握手を求めているらしいが、その手を気が付かなかったようにして話しかける。
「この度、晴れて聖女に任命されました。私はこの力を、国の為に役立てようと思います。教会におかれましては、その事を…」
「まあまあ、とにかく立ち話ではなんですから。教会にお立ち寄りください」
デブのおっさんがいらんことを言う。するとスティーリアが援護してくれる。
「本日は、ご予定がたくさんございまして。本来でしたらゆっくりしたい所なのでございますが、仕事を終わらせて城に帰らねば聖女様が叱られてしまいます」
「まったく、真面目な事ですな。まあ、昨日の大仕事の後ですし、お忙しいでしょう。それではまた今度と言う事で」
腹をブルンブルンさせて、脂ぎった顔を近寄らせて言ってくる。距離が近すぎるんだがパーソナルスペースというものを知らんのか? 願わくば死んでくれ。
「ええ。クビディタス様。お時間のある時にぜひ」
そう言って俺は、その場を去る事にした。挨拶などしなくてもいい、こいつは口も臭いし良いところが無い。キモデブのおっさんにニッコリと笑顔を振りまいて、俺は馬車に乗り込む。
「では聖女様、またの機会に」
商人のように揉み手をしている。こんな司祭はいやだ。
「ええ。出して」
私の声がけで、馬車は次の教会へと向かう。
「聖女様」
「なに?」
「クビディタス卿に笑顔など不要です。あの生臭い顔は、絶対に聖女様に良からぬことを考えておいでです」
「心配してくれるの?」
「当たり前です。聖女様は私達の希望ですから、聖女様にもしもの事があってはいけません」
あらぁ…、スティーリアってば。俺の身を案じてくれてるんだね。なんていうか清楚に磨きをかけたような、その表情にムラムラきちゃうよね…
いかんいかん…気を取り直して。
「コホン、次はどこ?」
「もう一軒周りましたら終わりです。休息を挟み、次は孤児院へと向かいます」
うへぇ…。まだ仕事あんの? きちぃ。女からもらった金で競馬にでも行きたいんだけどな。…と言っても、この世界には競馬などはないはずだ。てか! いかん!
俺は真面目に生きて女を幸せにするんだ!
俺は邪な気持ちを振り払うように、自分に言い聞かせるように言う。
「頑張りましょう」
「え、ええ」
スティーリアは何か不思議そうに俺を見る。
「どうしたの?」
「いえ。今日の聖女様は…なんというか、いつもよりも柔らかいというか…」
「そう?」
「し、失礼いたしました! どことなく雰囲気が変わられた気がしたもので」
するどい。聖女の中に俺が入った事を見抜いているのかもしれない。それがバレれば、一気に嫌われるかもしれない。それは避けたい。
「そんな事はありません」
「私の気のせいでした」
そんな会話をしながら次の教会につき、そして挨拶を済ませて休憩に入る。休憩はその教会の食堂でとることとなっていた。この教会は質素で、さっきのクビディタスの所とは全く違う。
「それでは司祭モデストス。よろしくお願いします」
スティーリアが言うと、司祭モデストスは深く礼をする。このおっさんは何処か、イエスキリストのような雰囲気がある。なんつーか、昔のイギリスのアーティストにもこんなおっさんがいた気がする。
「それでは食堂へ」
「はい」
「ありがとうございます」
モデストスが俺達を食堂に案内をしてくれた。食卓について出てきたのは、堅いパンと少しの野菜スープそして水だった。教会自体も質素だが食事も質素だ。
忙しかったんだから、牛丼とか食いたいけど仕方ない。
「いつもご協力感謝いたします」
スティーリアが言うので、俺も続いて言う。
「感謝いたします」
「聖女様! 当たり前のことです。お気になさらずに」
とても良い人そうに見えるが、間違いなく信心深い良い司祭なのだろう。変に儲けてもなさそうだし、まず俺にべたべたしてこないのが好感が持てる。好きではないけど。
そして俺達は昼食を終え、次の孤児院に向けて出発するのだった。
…休憩ってホント十五分くらいなんだな。硬ってえパンをかじって終わり。聖女の仕事ってマジでブラック。よくこんな生活を続けていられるもんだ。ゆっくりゴロゴロしてたいが、そんな事じゃ不幸な女を増やしてしまう。気を引き締めて行こう。
そして馬車は孤児院へと到着するのだった。
お披露目会があった次の日の今日、教会へ挨拶回りの仕事が待っていた。馬車に揺られ、教会に行って形式ばった挨拶をして次の教会に移動する。そんな真面目な仕事を、朝から午後になっても続けている。
昨日の華々しい祝賀会とは打って変わって、めちゃくちゃ地味な仕事だ。
ヒモだった俺からすると…これはキツイ。こんなに真面目に働いた事なんてない。ちやほやされて女に食わせてもらってきた俺には過酷な仕事だ。
「ふう…」
次の教会へ向かう馬車の中で、ついため息をついてしまう。
「聖女様。お身体の具合でも悪いのでしょうか? 予定を明日に回すように調整をした方がよろしいのではありませんか?」
お付きの修道女スティーリアが言う。聖女の秘書のような仕事をする修道女だ。
「大丈夫、スティーリア。私は問題ない」
「やはり昨日はかなりお忙しかったのでしょう?」
スティーリアは儚げで華奢で、とてもまじめな性格だった。そんな女が俺の心配をしているのだ! こんなところで弱気なところを見せるわけにはいかない。きっと頑張る俺が好きに違いない! こんなんじゃ女を幸せに出来ない!
「大丈夫。そして待っている方がいるから、休むわけにはいかない」
そこまで思ってないけど。
「…あまりご無理をなさらぬよう」
「わかってる」
よし! 俺が頑張り屋さんだって分かってくれたかな? 俺は君の為ならめっちゃくちゃ頑張れるんだ! 心配なんかしないでくれ!
「そろそろ次の場所に到着します」
「わかった」
そして次に到着したのは、大変ご立派な教会だった。ここの司祭は確か…
俺がスティーリアに手を引かれて馬車を降りると、目の前には太った司祭が居た。この司祭は貴族とのつながりも深く、商人などにも顔がきいた。だがそんな事より俺が嫌なのは…、いや、この聖女の体が嫌がっているのはこの司祭自体だ。ふしゅふしゅ言いながら、俺に手を差し伸べて来る。どうやら握手を求めているらしいが、その手を気が付かなかったようにして話しかける。
「この度、晴れて聖女に任命されました。私はこの力を、国の為に役立てようと思います。教会におかれましては、その事を…」
「まあまあ、とにかく立ち話ではなんですから。教会にお立ち寄りください」
デブのおっさんがいらんことを言う。するとスティーリアが援護してくれる。
「本日は、ご予定がたくさんございまして。本来でしたらゆっくりしたい所なのでございますが、仕事を終わらせて城に帰らねば聖女様が叱られてしまいます」
「まったく、真面目な事ですな。まあ、昨日の大仕事の後ですし、お忙しいでしょう。それではまた今度と言う事で」
腹をブルンブルンさせて、脂ぎった顔を近寄らせて言ってくる。距離が近すぎるんだがパーソナルスペースというものを知らんのか? 願わくば死んでくれ。
「ええ。クビディタス様。お時間のある時にぜひ」
そう言って俺は、その場を去る事にした。挨拶などしなくてもいい、こいつは口も臭いし良いところが無い。キモデブのおっさんにニッコリと笑顔を振りまいて、俺は馬車に乗り込む。
「では聖女様、またの機会に」
商人のように揉み手をしている。こんな司祭はいやだ。
「ええ。出して」
私の声がけで、馬車は次の教会へと向かう。
「聖女様」
「なに?」
「クビディタス卿に笑顔など不要です。あの生臭い顔は、絶対に聖女様に良からぬことを考えておいでです」
「心配してくれるの?」
「当たり前です。聖女様は私達の希望ですから、聖女様にもしもの事があってはいけません」
あらぁ…、スティーリアってば。俺の身を案じてくれてるんだね。なんていうか清楚に磨きをかけたような、その表情にムラムラきちゃうよね…
いかんいかん…気を取り直して。
「コホン、次はどこ?」
「もう一軒周りましたら終わりです。休息を挟み、次は孤児院へと向かいます」
うへぇ…。まだ仕事あんの? きちぃ。女からもらった金で競馬にでも行きたいんだけどな。…と言っても、この世界には競馬などはないはずだ。てか! いかん!
俺は真面目に生きて女を幸せにするんだ!
俺は邪な気持ちを振り払うように、自分に言い聞かせるように言う。
「頑張りましょう」
「え、ええ」
スティーリアは何か不思議そうに俺を見る。
「どうしたの?」
「いえ。今日の聖女様は…なんというか、いつもよりも柔らかいというか…」
「そう?」
「し、失礼いたしました! どことなく雰囲気が変わられた気がしたもので」
するどい。聖女の中に俺が入った事を見抜いているのかもしれない。それがバレれば、一気に嫌われるかもしれない。それは避けたい。
「そんな事はありません」
「私の気のせいでした」
そんな会話をしながら次の教会につき、そして挨拶を済ませて休憩に入る。休憩はその教会の食堂でとることとなっていた。この教会は質素で、さっきのクビディタスの所とは全く違う。
「それでは司祭モデストス。よろしくお願いします」
スティーリアが言うと、司祭モデストスは深く礼をする。このおっさんは何処か、イエスキリストのような雰囲気がある。なんつーか、昔のイギリスのアーティストにもこんなおっさんがいた気がする。
「それでは食堂へ」
「はい」
「ありがとうございます」
モデストスが俺達を食堂に案内をしてくれた。食卓について出てきたのは、堅いパンと少しの野菜スープそして水だった。教会自体も質素だが食事も質素だ。
忙しかったんだから、牛丼とか食いたいけど仕方ない。
「いつもご協力感謝いたします」
スティーリアが言うので、俺も続いて言う。
「感謝いたします」
「聖女様! 当たり前のことです。お気になさらずに」
とても良い人そうに見えるが、間違いなく信心深い良い司祭なのだろう。変に儲けてもなさそうだし、まず俺にべたべたしてこないのが好感が持てる。好きではないけど。
そして俺達は昼食を終え、次の孤児院に向けて出発するのだった。
…休憩ってホント十五分くらいなんだな。硬ってえパンをかじって終わり。聖女の仕事ってマジでブラック。よくこんな生活を続けていられるもんだ。ゆっくりゴロゴロしてたいが、そんな事じゃ不幸な女を増やしてしまう。気を引き締めて行こう。
そして馬車は孤児院へと到着するのだった。
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