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第22話
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武器庫にミラッドラインを返却しようとするとキースがそれを押し留める。
「それはもうハイファスのものだ」
「って、こんなのテラ本星に持ち帰れないんですけど」
「ここにいる間だけでも持っていたらいい」
「……はあ」
「じゃあ、ホテルに帰ってランチにしよう。オットーはもういい」
お目付役をすげなく本部庁舎に追い返しておいて、この上なく目立つ三人は徒歩で中央基地の正門を出た。
街なかでも銃を担いだ兵士や傭兵の姿は普通に見られ、大して人目も惹かないのだが、さすがにこれは誰もが振り返る。戦闘服でないのも却って目立つ要因らしい。更にシドは隻腕、おまけに鋼色の長髪のキースは街に出れば見知っている者もいるらしかった。
「しかしメタル・クレジットは大したモンだよな」
「すごいよね。スカイチューブこそないけど、あのビル群は五十階はありそうだよ」
「また戦争で木っ端ミジンコになるっていう計算はしねぇのか?」
キースは持論を人には押し付けないタイプらしく、見上げれば首が痛いような光景を振り仰いだのち、涼しげに笑って答えた。
「まあ、建てれば二次産業のクレジットも回るからな」
「上階は木っ端ミジンコになるのを覚悟の上なの?」
「みんな上階は載っけてるだけっていうのが多い」
そう答えたキースは手を振ってきた人々に手を振り返すだけでなく投げキッスをした。観衆がどよめくがキースは見られることに慣れているらしい。
人目さえ気にしなければ歩くには気持ちのいい日である。すっかり夜が明けた穏やかな日差しの下、どのビルの一階にもテナントが入り、オープンカフェやブティックに花屋などが建ち並んで、目にも愉しい散歩といった風だ。
ビルの掲げた電子看板にはテラ連邦でも大手の企業がずらりと名を載せていて、その中にはファサルートコーポレーションもあり二人は目配せして苦笑いをした。身内が火中の栗を拾いにきているとは思いも寄らなかったのだ。
「キース様、今日はうちでランチをいかがですか?」
カフェレストランのテラス席から銀の丸いトレイを手にした男が声をかけてくる。
「ジェラルド、今日のお勧めは何だ?」
「オマールエビのスープとアサリのピラフ、デザートに新作のバラのケーキです」
「よし、それにしよう」
そのままキースはテラス席に上がった。ジェラルドが引いたチェアに優雅に腰掛ける。促されてシドとハイファも着席した。巨大銃は足元にバイポッドを立てて置く。
「キースって、いつもこうして外を出歩いてるの?」
「そうでもない。今日はシドとハイファスがいるからクラウスも油断したんだ」
「油断を誘わねぇと外にも出られないっつーのも難儀だな」
「というより、暗殺防止だな」
「暗殺……そうか。誰かに狙われたことがあるのか?」
「まあな。仕方がない、向こうも仕事だ」
「仕事って、納得してる場合かよ」
「今日は君たちが護ってくれる、そうだろう?」
食事が運ばれてきて、暫し三人は腹を満たすことに没頭した。ランチという性質上か、片手のシドにも食べやすく加工されたエビのスープとアサリのピラフは文句なく旨かった。
食後のバラの香りのケーキを紅茶と一緒に頂きながらハイファはキースに訊く。
「みんないい人たちみたいだけど、そのためにキースは王になるの?」
「ああ、昨日言ったアレか。誰だって責任は嫌いだろう?」
「それでも玉座を背負うんだね」
青い目で通りを行き交う人々をキースは眺めた。
「停戦も崩れかけている。これ以上、一人たりとも失いたくない。それに隷属に後戻りもさせられない。勝つしかないんだ」
口についたクリームをハイファにナプキンで拭かれながらシドが訊く。
「具体案はあるのかよ?」
ふっとキースは笑ってから、声を潜めて二人に告げた。
「今後の予定なんだが……明日にでもリサリア軍本拠地まで行って、弟とリサリア軍総司令官を殺してこようと思うんだ」
「ふうん、弟のローマンと……って、待て待て、ちょっと待て!」
「ちょっとキース、冗談なら面白くないよ?」
「冗談のつもりじゃないから、笑わなくていい」
サーヴィスされた二杯目の紅茶を上品に啜りながらキースは涼しい顔だ。
「せっかく友達もできたんだ、そろそろ決着をつけてもいいんじゃないかと思ってな」
「それと友達は関係ねぇだろっ!」
「まさか僕たちを誘ったのも、この銃を持たせたのも……?」
「織り込み済みだ。友達甲斐に手伝ってくれるだろうな?」
シドもハイファも頭を抱えたくなる。何で武器密輸犯の捜査が暗殺に化けるのか。
「……他人に丸投げした罰なのかなあ?」
「お前がそんな銃で遊ぶからだろ」
「僕のせいじゃないよ……」
「喧嘩はよして聞いてくれるか? ローマンは今日、明日、明後日の予定で、この第四惑星ラーンに軍備の視察にやってきている。夜ならリサリア軍本拠地のキプルの街にいる筈、スポークスマンが正式発表した上に、張り付いているメディアの人間が言っていたから確実だ」
「理由になってねぇって」
「そうかな、充分理由になっている。僕がテレポートできるのはせいぜい二百メートル、これではいかにも心細い。僕は間違っても死ぬ訳にはいかない。人の殺し方も知らないから支援が必要だ。そして君たちという友人を得た。これでどうだ?」
「どうだもクソもねぇよ……」
少し落胆したような顔でキースはカップを置いた。
「引き金を引けば人は死ぬな? 狙うのは胸? 頭?」
そう言ってポケットから銃を取り出す。二連発のパウダーカートリッジ式旧式銃、AD世紀の名銃の復刻版で、ダブルデリンジャーというタイプだ。
「ンな、却って扱いづらいブツを……チクショウ、仕方ねぇな。ハイファ?」
疑問形で呼ばれてハイファは柳眉をひそめる。
「って、何で僕に……まさか別室に伺いを立てろって言うの?」
「だってこいつ、本気だぞ?」
「だからって何で僕らが星系を揺るがす暗殺に関わらなきゃならないのサ?」
「訊いてみるのはタダだろうが。……怖いのか?」
「……何が?」
「これだけの企業がキースに肩入れしてるんだ、別室ならゴーサインを出す。そうだろ?」
「うっ……貴方こそ、ちゃんとリスクを考えてる?」
「キース一人よりも成功率は上がるさ」
ポーカーフェイスで言い放って、食べ終わったプレートを前にシドは煙草を出すとキースに喫煙の許可を貰った。控えていたジェラルドが灰皿を持ってくる。
煙草を咥えて紫煙を吐くシドとテーブルに肘をついて顎を載せたキースの二人に見つめられ、別室員は気を落ち着けるために冷めた紅茶を一気飲みした。
「……分かったよ、訊けばいいんでしょ、訊けば!」
ムッとしながらハイファは素早く文面を練り、荒っぽくリモータのキィを叩いてダイレクトワープ通信で発振する。二杯目の紅茶を要求してカップを持つと、そっぽを向いた。
「返事がいつくるかまでは保障できませんからね。それにトップの頭に風穴空けたからって、上手くリサリア軍が瓦解するとは限らないし」
「そこんとこ、どうなんだ?」
優雅に紅茶の香りを愉しみながらキースは頷いた。
「ローマンは当年とってテラ標準歴五十歳だが子供は王女が二人で、まだ王子に恵まれていない。僕も知る軍総司令官ロタール=クリューガーは知謀に長けた名将、彼の存在だけでここ十数年のリサリア軍は保っていると言われている」
「そうか。どうせ殺るなら結果を伴う方が、やり甲斐もあるってモンだぜ」
「合わせてクラウスに叩かせる。犠牲は最小限にしたいが、やはり綺麗事では済まないだろうからな」
「クラウスは知ってるのか?」
「まさか。告げるのは無事に僕らが帰ってからだ。そろそろ出てもいいか?」
三人はジェラルドに礼を述べ、ナプキンを軽く乱して席を立った。
カフェレストランから仮宮のホテルまでは歩いて二十分ほどである。またも思い切り人目を惹きながら三人はのんびりと歩を進めた。
「さすがにキースの面は割れてるだろ、拙いんじゃないのか?」
「髪と目は染めるつもりだから平気だろう。じつは何度か忍んで行ったこともある」
「へえ、なかなか根性あるじゃねぇか。で、こんな銃を担いで行っても大丈夫なのか?」
「キプルの街には売り込み中の傭兵くらいごろごろしている」
「なるほど。まさか三キロ向こうから狙われるとも思っちゃいねぇだろうしな」
「そう。僕もこの目で見るまではまさかと思った。これぞ天の配剤だ」
黙って歩き続けるハイファは暢気なシドとキースにムカっ腹を立てていた。何が天の配剤だと思う。敵地に乗り込んだ上に、こんな特殊な銃を使用しての狙撃・暗殺など本来はありえないのだ。セオリーに反している。
狙撃をした時点でAPFSDS弾がバレる。つまりこんな銃を担いでいれば自分が犯人だと触れ回っているに等しいのだ。最低でも使った直後には捨てなければならない。ならば二人目はどうするのか。一度に両方殺れる僥倖などハイファは期待していなかった。
こんなことになるのが分かっていたら、最初から他の狙撃銃かビームライフルでも分捕ってくるのだったと思うが、もう遅い。再度武器庫を開けて貰うのは警戒を誘うだろう。
おまけにテレポーターとはいえズブの素人付きである。どう転ぶか分からないワイルドカードを当然のようにシドが容認しているのが理解できなかった。
イライラと考えを巡らせながら歩き、仮宮のホテルに辿り着いた。
「それはもうハイファスのものだ」
「って、こんなのテラ本星に持ち帰れないんですけど」
「ここにいる間だけでも持っていたらいい」
「……はあ」
「じゃあ、ホテルに帰ってランチにしよう。オットーはもういい」
お目付役をすげなく本部庁舎に追い返しておいて、この上なく目立つ三人は徒歩で中央基地の正門を出た。
街なかでも銃を担いだ兵士や傭兵の姿は普通に見られ、大して人目も惹かないのだが、さすがにこれは誰もが振り返る。戦闘服でないのも却って目立つ要因らしい。更にシドは隻腕、おまけに鋼色の長髪のキースは街に出れば見知っている者もいるらしかった。
「しかしメタル・クレジットは大したモンだよな」
「すごいよね。スカイチューブこそないけど、あのビル群は五十階はありそうだよ」
「また戦争で木っ端ミジンコになるっていう計算はしねぇのか?」
キースは持論を人には押し付けないタイプらしく、見上げれば首が痛いような光景を振り仰いだのち、涼しげに笑って答えた。
「まあ、建てれば二次産業のクレジットも回るからな」
「上階は木っ端ミジンコになるのを覚悟の上なの?」
「みんな上階は載っけてるだけっていうのが多い」
そう答えたキースは手を振ってきた人々に手を振り返すだけでなく投げキッスをした。観衆がどよめくがキースは見られることに慣れているらしい。
人目さえ気にしなければ歩くには気持ちのいい日である。すっかり夜が明けた穏やかな日差しの下、どのビルの一階にもテナントが入り、オープンカフェやブティックに花屋などが建ち並んで、目にも愉しい散歩といった風だ。
ビルの掲げた電子看板にはテラ連邦でも大手の企業がずらりと名を載せていて、その中にはファサルートコーポレーションもあり二人は目配せして苦笑いをした。身内が火中の栗を拾いにきているとは思いも寄らなかったのだ。
「キース様、今日はうちでランチをいかがですか?」
カフェレストランのテラス席から銀の丸いトレイを手にした男が声をかけてくる。
「ジェラルド、今日のお勧めは何だ?」
「オマールエビのスープとアサリのピラフ、デザートに新作のバラのケーキです」
「よし、それにしよう」
そのままキースはテラス席に上がった。ジェラルドが引いたチェアに優雅に腰掛ける。促されてシドとハイファも着席した。巨大銃は足元にバイポッドを立てて置く。
「キースって、いつもこうして外を出歩いてるの?」
「そうでもない。今日はシドとハイファスがいるからクラウスも油断したんだ」
「油断を誘わねぇと外にも出られないっつーのも難儀だな」
「というより、暗殺防止だな」
「暗殺……そうか。誰かに狙われたことがあるのか?」
「まあな。仕方がない、向こうも仕事だ」
「仕事って、納得してる場合かよ」
「今日は君たちが護ってくれる、そうだろう?」
食事が運ばれてきて、暫し三人は腹を満たすことに没頭した。ランチという性質上か、片手のシドにも食べやすく加工されたエビのスープとアサリのピラフは文句なく旨かった。
食後のバラの香りのケーキを紅茶と一緒に頂きながらハイファはキースに訊く。
「みんないい人たちみたいだけど、そのためにキースは王になるの?」
「ああ、昨日言ったアレか。誰だって責任は嫌いだろう?」
「それでも玉座を背負うんだね」
青い目で通りを行き交う人々をキースは眺めた。
「停戦も崩れかけている。これ以上、一人たりとも失いたくない。それに隷属に後戻りもさせられない。勝つしかないんだ」
口についたクリームをハイファにナプキンで拭かれながらシドが訊く。
「具体案はあるのかよ?」
ふっとキースは笑ってから、声を潜めて二人に告げた。
「今後の予定なんだが……明日にでもリサリア軍本拠地まで行って、弟とリサリア軍総司令官を殺してこようと思うんだ」
「ふうん、弟のローマンと……って、待て待て、ちょっと待て!」
「ちょっとキース、冗談なら面白くないよ?」
「冗談のつもりじゃないから、笑わなくていい」
サーヴィスされた二杯目の紅茶を上品に啜りながらキースは涼しい顔だ。
「せっかく友達もできたんだ、そろそろ決着をつけてもいいんじゃないかと思ってな」
「それと友達は関係ねぇだろっ!」
「まさか僕たちを誘ったのも、この銃を持たせたのも……?」
「織り込み済みだ。友達甲斐に手伝ってくれるだろうな?」
シドもハイファも頭を抱えたくなる。何で武器密輸犯の捜査が暗殺に化けるのか。
「……他人に丸投げした罰なのかなあ?」
「お前がそんな銃で遊ぶからだろ」
「僕のせいじゃないよ……」
「喧嘩はよして聞いてくれるか? ローマンは今日、明日、明後日の予定で、この第四惑星ラーンに軍備の視察にやってきている。夜ならリサリア軍本拠地のキプルの街にいる筈、スポークスマンが正式発表した上に、張り付いているメディアの人間が言っていたから確実だ」
「理由になってねぇって」
「そうかな、充分理由になっている。僕がテレポートできるのはせいぜい二百メートル、これではいかにも心細い。僕は間違っても死ぬ訳にはいかない。人の殺し方も知らないから支援が必要だ。そして君たちという友人を得た。これでどうだ?」
「どうだもクソもねぇよ……」
少し落胆したような顔でキースはカップを置いた。
「引き金を引けば人は死ぬな? 狙うのは胸? 頭?」
そう言ってポケットから銃を取り出す。二連発のパウダーカートリッジ式旧式銃、AD世紀の名銃の復刻版で、ダブルデリンジャーというタイプだ。
「ンな、却って扱いづらいブツを……チクショウ、仕方ねぇな。ハイファ?」
疑問形で呼ばれてハイファは柳眉をひそめる。
「って、何で僕に……まさか別室に伺いを立てろって言うの?」
「だってこいつ、本気だぞ?」
「だからって何で僕らが星系を揺るがす暗殺に関わらなきゃならないのサ?」
「訊いてみるのはタダだろうが。……怖いのか?」
「……何が?」
「これだけの企業がキースに肩入れしてるんだ、別室ならゴーサインを出す。そうだろ?」
「うっ……貴方こそ、ちゃんとリスクを考えてる?」
「キース一人よりも成功率は上がるさ」
ポーカーフェイスで言い放って、食べ終わったプレートを前にシドは煙草を出すとキースに喫煙の許可を貰った。控えていたジェラルドが灰皿を持ってくる。
煙草を咥えて紫煙を吐くシドとテーブルに肘をついて顎を載せたキースの二人に見つめられ、別室員は気を落ち着けるために冷めた紅茶を一気飲みした。
「……分かったよ、訊けばいいんでしょ、訊けば!」
ムッとしながらハイファは素早く文面を練り、荒っぽくリモータのキィを叩いてダイレクトワープ通信で発振する。二杯目の紅茶を要求してカップを持つと、そっぽを向いた。
「返事がいつくるかまでは保障できませんからね。それにトップの頭に風穴空けたからって、上手くリサリア軍が瓦解するとは限らないし」
「そこんとこ、どうなんだ?」
優雅に紅茶の香りを愉しみながらキースは頷いた。
「ローマンは当年とってテラ標準歴五十歳だが子供は王女が二人で、まだ王子に恵まれていない。僕も知る軍総司令官ロタール=クリューガーは知謀に長けた名将、彼の存在だけでここ十数年のリサリア軍は保っていると言われている」
「そうか。どうせ殺るなら結果を伴う方が、やり甲斐もあるってモンだぜ」
「合わせてクラウスに叩かせる。犠牲は最小限にしたいが、やはり綺麗事では済まないだろうからな」
「クラウスは知ってるのか?」
「まさか。告げるのは無事に僕らが帰ってからだ。そろそろ出てもいいか?」
三人はジェラルドに礼を述べ、ナプキンを軽く乱して席を立った。
カフェレストランから仮宮のホテルまでは歩いて二十分ほどである。またも思い切り人目を惹きながら三人はのんびりと歩を進めた。
「さすがにキースの面は割れてるだろ、拙いんじゃないのか?」
「髪と目は染めるつもりだから平気だろう。じつは何度か忍んで行ったこともある」
「へえ、なかなか根性あるじゃねぇか。で、こんな銃を担いで行っても大丈夫なのか?」
「キプルの街には売り込み中の傭兵くらいごろごろしている」
「なるほど。まさか三キロ向こうから狙われるとも思っちゃいねぇだろうしな」
「そう。僕もこの目で見るまではまさかと思った。これぞ天の配剤だ」
黙って歩き続けるハイファは暢気なシドとキースにムカっ腹を立てていた。何が天の配剤だと思う。敵地に乗り込んだ上に、こんな特殊な銃を使用しての狙撃・暗殺など本来はありえないのだ。セオリーに反している。
狙撃をした時点でAPFSDS弾がバレる。つまりこんな銃を担いでいれば自分が犯人だと触れ回っているに等しいのだ。最低でも使った直後には捨てなければならない。ならば二人目はどうするのか。一度に両方殺れる僥倖などハイファは期待していなかった。
こんなことになるのが分かっていたら、最初から他の狙撃銃かビームライフルでも分捕ってくるのだったと思うが、もう遅い。再度武器庫を開けて貰うのは警戒を誘うだろう。
おまけにテレポーターとはいえズブの素人付きである。どう転ぶか分からないワイルドカードを当然のようにシドが容認しているのが理解できなかった。
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