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第29話(BL特有シーン・回避可)
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何かの気配を感じて京哉は目を見開いた。幾ら眠たくても部屋に侵入者がいて安穏と寝ているような京哉ではない。
だが起き出そうとした瞬間に点けっ放しだった明かりが消えて真っ暗になった。反射的に夜光の腕時計を見ると日付もとっくに変わった午前三時前である。
そうしていると暗さに目が慣れてきた。
物の輪郭程度なら判別できるようになったが、それだけではなくドアのステンドグラスの小窓から廊下の明かりが僅かに透けている。
大体とっくに侵入者は霧島だと察知していた。近づく気配と共に濃くアルコールが匂う。混じって香るのはブレナムブーケだった。
「忍さん、何杯飲んだんですか?」
「……二本だ」
「ったく、幾ら殆ど酔わなくても肝臓に悪いですよ。ここにきて横になって下さい」
やってきた霧島はどうやらドレスシャツにスラックス姿で緩めたタイすら解いていない。そんな状態で霧島はベッドに上がると京哉の隣であぐらをかく。
何があったか知らないが、これはかなりの重症だと思った京哉は柔らかく声を掛けた。
「どうしたんですか、忍さん。貴方らしくないですよ?」
「私らしいとは、何なんだ?」
「いつも迷うことを知らない人じゃないですか」
「ならば単刀直入に言う。京哉、縛られてくれないか?」
「縛られて……へっ?」
思わずマヌケな声が出た。放置プレイの次は緊縛プレイときたか、などと暫し考えてはみたけれど年上の愛しい男が自分より余程経験があるのも知っていて、普通のナニでは満足できなくなった可能性もあると真面目な京哉は思う。
霧島を悦ばせられるのなら何をされても構わない。京哉自身も行為を愉しむことに対してやぶさかではないのだ。頷いて見せると霧島は自分のタイを解いた。
「痛くはしない。だから我慢してくれ」
「いいですけど、明かりくらい点けたらどうですか?」
縛って悦ぶのなら普通は見たいだろうと推察したが、返事もなくパジャマと下着を脱がされる。クローゼットから調達したタイも使い右手首と右足首を縛られた。
タイの端はベッドのベッドボードの枠に縛ったようだ。更に左手首と左足首も同様に縛められる。開かされたまま脚は閉じることもできなくなった。
その間も霧島の荒い息づかいを耳にして京哉は徐々に自分の鼓動が激しく高鳴り始めるのを自覚する。まだ本当の意味で触れられてもいないのに、霧島を迎え入れてもおかしくない格好をさせられているのだ。
もう腰が蠢いてしまいそうな淫らな思いが支配する。成長した己のものを蜜が伝うのが分かった。何故か酷く身が疼く。
「んっ、忍さん……僕、何か変、かも」
「明かりを点けてもいいか?」
「……僕の、いやらしい姿を、見て下さい」
ベッドから降りた霧島が明かりを点けて戻ってきた。そしてベッドに上がりじっと京哉を見る。隠れなく照らされた霧島の首筋には大きな赤いキスマークがあった。
「すまん、京哉。油断した。許してくれ」
「許せって……まさか乗っかられたんじゃないですよね?」
「これを付けられただけだ。だが私はどうしてもお前が欲しかったんだ」
「もしかして僕に殴られるとでも思って縛ったんですか?」
一足飛びに京哉は答えに行きついたようで、ウィスキーを二本も飲み珍しく少々酔いの回った男は頷く。呆れた京哉は天井に向かって巨大な溜息をついた。
殴らなくてもそこまで怒れば躰の方がついてこないに決まっている。幾ら霧島が求めようと京哉の態勢が整わないのだ。
考えれば分かるだろうに何をここまで凹んでいるのか。
そこで京哉は思いつく。過去に二回ほど霧島に平手打ちを食らわせていることを。
殴ったのは浮気でも何でもない他の理由だったが、本人曰く『学習能力は低くないと自負している』のに二回だ。それも思い切りまともに食らっている。
三度目こそプライドが許さなかったのだろう。
しかし寝込みを襲い無理矢理にでも奪おうすれば出来た筈なのに、それを潔しとせず素直にありのままを告げにきた霧島に京哉は微笑みを浮かべる。
「こんなことまでしなくたって、僕はもう貴方を殴ったり誰かみたいに膝蹴りを入れたりしませんから安心して下さい。忍さんは自分で望んでそれを付けられた訳じゃないでしょう。そんなの事故じゃないですか。気にするだけ損ですよ」
「そうか、許してくれるのか。すまなかった、では、すぐに解くから……」
「待って下さい。忍さんが嫌でなければそのままで……んっ、はぁん」
甘く喘いだ京哉は縛られてからずっと躰の中心を熱く硬くして、白い腹に蜜をとろとろと零してしまっていた。本能的な恥じらいで細い両脚を勝手に合わせようとするが、大きく広げられた膝を閉じることは叶わない。
その様子はとんでもなく蠱惑的で、霧島は耐え難くなり華奢な躰に吸い寄せられるようにのしかかっている。
衣服を身に着けたままの霧島に躰を擦りつけられ、京哉はもっと身を熱くした。右胸の小さな尖りを指先で弄られ、左胸にガリッと歯を立てられて躰が跳ねる。
「あうっ! あっ、あ……忍さん、やだ、いい!」
「京哉……私の京哉、もっとお前を味わいたい。いいか?」
夢中で京哉は頷いた。胸の痛みは甘さに変換され疼きとなって腰に溜まってゆく。時折触れる霧島のスラックスの前も張り詰め切っていて、京哉はオーダーメイドスーツを汚してしまうのは勿体ない気がしたが、そんな思いも一瞬だった。
濃厚なキスを仕掛けられ、息が上がるほど求め合い舌を絡ませて唾液を吸い合うと、京哉は我慢できなくて訴える。
「忍さん、こんないやらしい僕で良ければ下さい……欲しい、欲しいよ」
「私も我慢の限界だ。指、入れるぞ」
霧島から右手指を差し出され、京哉はその長い指を口に含んだ。舌を巻きつけてたっぷりの唾液で濡らすと口から抜いたその指を下の窄まりに挿し込まれる。一本目から内襞を巧みに擦り上げられて京哉は白い喉を仰け反らせ、震え声で喘ぎを放った。
「んっあ……や、あん、そんな……出ちゃう!」
「だめだ、いかせはしない。だが思い切り気持ち良くしてやる」
早々に増やされた指が体内を掻き回す。これ以上無理なくらいに深爪した指先がポイントを優しく引っ掻いては突いた。その一方で指の根元を揺り動かし霧島自身を受け入れさせるべく拡張している。
「いいですから……忍さん、来て下さい」
「もう少しだ。怪我をさせたくない。我慢しろ」
「やだ、我慢できない! お願いです、忍さんが欲しい!」
縛ったタイを白い肌に食い込ませて悶える京哉に霧島も我慢の限界を超える。服を脱ぐ余裕もなくベルトを緩め、スラックスの前をくつろげて下着を押し下げると滾って濡れそぼった屹立が弾けるように露わになった。目にして京哉が息を呑む。
霧島自身どうかと思うほどそれは太く反り返っていて、これを京哉に受け入れさせるのは可哀相なくらいだ。華奢な躰に無理はさせたくなかったが互いに我慢する方が無理だった。一秒も待てない想いで霧島は京哉にあてがうと一気に挿し貫く。
「あっふ……ああんっ!」
「くっ、京哉、私の全てを受け入れてくれ!」
ほぐしたとはいえ狭くきついそこに霧島は太すぎるものを更に捩じ込んだ。悲鳴のような京哉の喘ぎを聞きながらも動きを止められずに芯の奥まで届かせる。
僅かな隙間さえも許せない想いで躰同士を密着させ、霧島は欲しくて堪らなかった京哉のきつく狭く温かい感触に安堵と昂ぶりを得た。
だが毎回ながら本当にここまで挿入していいのかと思う。
過去はどうでもいいのだが事実として霧島は他の男性との経験が豊富だ。しかしこんなに深い挿入を許した相手はいなかった。
いや、許す許さないではなく無理だったのだ。霧島の側が滾らせすぎて物理的に。それ故に男性同士の行為に必需品の潤滑剤や感染症防止の避妊具も欠かせたことはなかった。
それなのに京哉に対しては何故だか分からないが、何の隔てもなく互いの熱をダイレクトに感じたいと思った。一応それまでと同じように交わる準備はしていたが、結局は人工物を何も使わずこの自分を受け入れてくれた初めての男が京哉になったのだ。
確かに最初は傷つけてしまったが、受け入れられて嬉しかったのが本音だった。
京哉に一から男を教えたのはこの自分ではあるが、通常なら使用するのが当然の物を使用せずじかに触れ合いたい想いで霧島はずっとそのまま来たものだから、京哉がどの程度の知識があるのかは知らないし訊いたこともない。
苦しい思いも痛い思いもさせてしまうが、文句も言わず京哉は全てを受け止めてくれる。
だからこそ霧島もこんなに深く交わってもいいのか、ここまで激しく攻めても許されるのかと時折疑問と怖さが湧くのだ。だが甘くも高い声で鳴かれ、確実に感じている華奢で白い躰を目に映すと悦びを感じてくれているのは当然分かる。
霧島の方もこんなに深い行為を数えきれないほど重ねながら、きつく狭く淫らな躰のまま変わらない京哉に溺れ切っていて、本来はいけないことだと知りつつ二人の間を隔てる物を使う気にはなれなかった。
僅か目を上げると京哉の仰け反らせた喉は咬みつきたいほど白い。霧島は頑丈なセミダブルベッドが揺れ始める勢いで腰を律動させている。
「京哉、耐えてくれ……京哉!」
「あぁん、激しい……忍さん、忍さん!」
幾度も愛しい年上の男の名を呼びながら、縛られ動けない京哉はそれでも応えようとしていた。強烈な快感を味わいつつ細い腰を捩っては霧島を締めつけ呻かせる。
「もう、忍さん、だめ――」
「私も、いくからな!」
粘膜が張り裂けそうなくらい京哉の中で霧島が己を膨れ上がらせた。二度、三度と突かれて京哉は眩暈を感じる。直後にもっと強い眩暈が京哉を襲った。
粘膜を熱く濃く濡らされるのを感じながら、京哉も自分の腹から胸に熱を迸らせていた。
だが一度くらいで霧島が満足したとは思っていない。太すぎる霧島はまだ京哉の体内を押し広げ、内襞を擦り上げ始めていた。縛った京哉の躰にのしかかり組み敷いて、更に激しく腰をスライドさせる。
「すごい、気持ちいい……おかしくなりそう、あうんっ!」
「最高だ、京哉! くうっ、まだ、きつい!」
続けざまに攻められ、律動で飽くことなく揺らされて、京哉は閉じ込めきれなかった霧島の欲望をシーツに零した。喘ぎの合間に淫らな水音が響く。それを耳にして声のトーンを高くした京哉はもはや霧島が理性をとばしてしまったのに気付いていた。
「京哉、すまん……お前を壊してしまう……京哉、私を止めてくれ!」
「はぁんっ! 忍さん、僕はいいから、貴方の好きなだけ――」
堪らない快感に晒されながらも京哉は頭の片隅で今日明日は休日だと思い出して安堵している。本当に霧島が満足する頃には京哉自身の意識がないことも多いのだ。いわゆる絶倫と分類される男を愛したのが運のツキである。
それでも京哉だって決して嫌な訳ではなく悦ばせる悦びを知っていた。これでも男だ、そういう欲望はある。
霧島の天性のテクニックに溺れているうちに京哉まで理性をとばした。身動きできないのに無理に細い腰を振って霧島を呻かせる。締め付けると仕返しのようにもっと強引な挿入で体内を抉られた。
身体中を熱い霧島で埋め尽くされた気がした途端に、もう何度目かも分からず達したが何も零せない。そこまでは覚えていたが、あとの記憶は京哉になかった。
徐々に意識が浮上してきて、はっきり覚醒してみたら、知らず力任せに引っ張っていたらしい縛めのタイを霧島が食いちぎるようにして解いてくれていた。結び目の固く締まったタイに霧島は難儀していたようがまもなく京哉は自由の身になる。そっと抱き締められた。
「起こしてしまったか。眠っていても構わんぞ」
「いえ、今は眠くないですから」
「酷い声だな。ちょっと待っていろ」
水を汲んできて貰い起き上がろうとした京哉だったが、いつにも増して身体中がこわばっていて身を起こすのも叶わず、結局は霧島に口移しで飲ませて貰うことになった。
グラス半分を嚥下して喘ぎ疲れた喉からまともな声が出せるようになる。
だが起き出そうとした瞬間に点けっ放しだった明かりが消えて真っ暗になった。反射的に夜光の腕時計を見ると日付もとっくに変わった午前三時前である。
そうしていると暗さに目が慣れてきた。
物の輪郭程度なら判別できるようになったが、それだけではなくドアのステンドグラスの小窓から廊下の明かりが僅かに透けている。
大体とっくに侵入者は霧島だと察知していた。近づく気配と共に濃くアルコールが匂う。混じって香るのはブレナムブーケだった。
「忍さん、何杯飲んだんですか?」
「……二本だ」
「ったく、幾ら殆ど酔わなくても肝臓に悪いですよ。ここにきて横になって下さい」
やってきた霧島はどうやらドレスシャツにスラックス姿で緩めたタイすら解いていない。そんな状態で霧島はベッドに上がると京哉の隣であぐらをかく。
何があったか知らないが、これはかなりの重症だと思った京哉は柔らかく声を掛けた。
「どうしたんですか、忍さん。貴方らしくないですよ?」
「私らしいとは、何なんだ?」
「いつも迷うことを知らない人じゃないですか」
「ならば単刀直入に言う。京哉、縛られてくれないか?」
「縛られて……へっ?」
思わずマヌケな声が出た。放置プレイの次は緊縛プレイときたか、などと暫し考えてはみたけれど年上の愛しい男が自分より余程経験があるのも知っていて、普通のナニでは満足できなくなった可能性もあると真面目な京哉は思う。
霧島を悦ばせられるのなら何をされても構わない。京哉自身も行為を愉しむことに対してやぶさかではないのだ。頷いて見せると霧島は自分のタイを解いた。
「痛くはしない。だから我慢してくれ」
「いいですけど、明かりくらい点けたらどうですか?」
縛って悦ぶのなら普通は見たいだろうと推察したが、返事もなくパジャマと下着を脱がされる。クローゼットから調達したタイも使い右手首と右足首を縛られた。
タイの端はベッドのベッドボードの枠に縛ったようだ。更に左手首と左足首も同様に縛められる。開かされたまま脚は閉じることもできなくなった。
その間も霧島の荒い息づかいを耳にして京哉は徐々に自分の鼓動が激しく高鳴り始めるのを自覚する。まだ本当の意味で触れられてもいないのに、霧島を迎え入れてもおかしくない格好をさせられているのだ。
もう腰が蠢いてしまいそうな淫らな思いが支配する。成長した己のものを蜜が伝うのが分かった。何故か酷く身が疼く。
「んっ、忍さん……僕、何か変、かも」
「明かりを点けてもいいか?」
「……僕の、いやらしい姿を、見て下さい」
ベッドから降りた霧島が明かりを点けて戻ってきた。そしてベッドに上がりじっと京哉を見る。隠れなく照らされた霧島の首筋には大きな赤いキスマークがあった。
「すまん、京哉。油断した。許してくれ」
「許せって……まさか乗っかられたんじゃないですよね?」
「これを付けられただけだ。だが私はどうしてもお前が欲しかったんだ」
「もしかして僕に殴られるとでも思って縛ったんですか?」
一足飛びに京哉は答えに行きついたようで、ウィスキーを二本も飲み珍しく少々酔いの回った男は頷く。呆れた京哉は天井に向かって巨大な溜息をついた。
殴らなくてもそこまで怒れば躰の方がついてこないに決まっている。幾ら霧島が求めようと京哉の態勢が整わないのだ。
考えれば分かるだろうに何をここまで凹んでいるのか。
そこで京哉は思いつく。過去に二回ほど霧島に平手打ちを食らわせていることを。
殴ったのは浮気でも何でもない他の理由だったが、本人曰く『学習能力は低くないと自負している』のに二回だ。それも思い切りまともに食らっている。
三度目こそプライドが許さなかったのだろう。
しかし寝込みを襲い無理矢理にでも奪おうすれば出来た筈なのに、それを潔しとせず素直にありのままを告げにきた霧島に京哉は微笑みを浮かべる。
「こんなことまでしなくたって、僕はもう貴方を殴ったり誰かみたいに膝蹴りを入れたりしませんから安心して下さい。忍さんは自分で望んでそれを付けられた訳じゃないでしょう。そんなの事故じゃないですか。気にするだけ損ですよ」
「そうか、許してくれるのか。すまなかった、では、すぐに解くから……」
「待って下さい。忍さんが嫌でなければそのままで……んっ、はぁん」
甘く喘いだ京哉は縛られてからずっと躰の中心を熱く硬くして、白い腹に蜜をとろとろと零してしまっていた。本能的な恥じらいで細い両脚を勝手に合わせようとするが、大きく広げられた膝を閉じることは叶わない。
その様子はとんでもなく蠱惑的で、霧島は耐え難くなり華奢な躰に吸い寄せられるようにのしかかっている。
衣服を身に着けたままの霧島に躰を擦りつけられ、京哉はもっと身を熱くした。右胸の小さな尖りを指先で弄られ、左胸にガリッと歯を立てられて躰が跳ねる。
「あうっ! あっ、あ……忍さん、やだ、いい!」
「京哉……私の京哉、もっとお前を味わいたい。いいか?」
夢中で京哉は頷いた。胸の痛みは甘さに変換され疼きとなって腰に溜まってゆく。時折触れる霧島のスラックスの前も張り詰め切っていて、京哉はオーダーメイドスーツを汚してしまうのは勿体ない気がしたが、そんな思いも一瞬だった。
濃厚なキスを仕掛けられ、息が上がるほど求め合い舌を絡ませて唾液を吸い合うと、京哉は我慢できなくて訴える。
「忍さん、こんないやらしい僕で良ければ下さい……欲しい、欲しいよ」
「私も我慢の限界だ。指、入れるぞ」
霧島から右手指を差し出され、京哉はその長い指を口に含んだ。舌を巻きつけてたっぷりの唾液で濡らすと口から抜いたその指を下の窄まりに挿し込まれる。一本目から内襞を巧みに擦り上げられて京哉は白い喉を仰け反らせ、震え声で喘ぎを放った。
「んっあ……や、あん、そんな……出ちゃう!」
「だめだ、いかせはしない。だが思い切り気持ち良くしてやる」
早々に増やされた指が体内を掻き回す。これ以上無理なくらいに深爪した指先がポイントを優しく引っ掻いては突いた。その一方で指の根元を揺り動かし霧島自身を受け入れさせるべく拡張している。
「いいですから……忍さん、来て下さい」
「もう少しだ。怪我をさせたくない。我慢しろ」
「やだ、我慢できない! お願いです、忍さんが欲しい!」
縛ったタイを白い肌に食い込ませて悶える京哉に霧島も我慢の限界を超える。服を脱ぐ余裕もなくベルトを緩め、スラックスの前をくつろげて下着を押し下げると滾って濡れそぼった屹立が弾けるように露わになった。目にして京哉が息を呑む。
霧島自身どうかと思うほどそれは太く反り返っていて、これを京哉に受け入れさせるのは可哀相なくらいだ。華奢な躰に無理はさせたくなかったが互いに我慢する方が無理だった。一秒も待てない想いで霧島は京哉にあてがうと一気に挿し貫く。
「あっふ……ああんっ!」
「くっ、京哉、私の全てを受け入れてくれ!」
ほぐしたとはいえ狭くきついそこに霧島は太すぎるものを更に捩じ込んだ。悲鳴のような京哉の喘ぎを聞きながらも動きを止められずに芯の奥まで届かせる。
僅かな隙間さえも許せない想いで躰同士を密着させ、霧島は欲しくて堪らなかった京哉のきつく狭く温かい感触に安堵と昂ぶりを得た。
だが毎回ながら本当にここまで挿入していいのかと思う。
過去はどうでもいいのだが事実として霧島は他の男性との経験が豊富だ。しかしこんなに深い挿入を許した相手はいなかった。
いや、許す許さないではなく無理だったのだ。霧島の側が滾らせすぎて物理的に。それ故に男性同士の行為に必需品の潤滑剤や感染症防止の避妊具も欠かせたことはなかった。
それなのに京哉に対しては何故だか分からないが、何の隔てもなく互いの熱をダイレクトに感じたいと思った。一応それまでと同じように交わる準備はしていたが、結局は人工物を何も使わずこの自分を受け入れてくれた初めての男が京哉になったのだ。
確かに最初は傷つけてしまったが、受け入れられて嬉しかったのが本音だった。
京哉に一から男を教えたのはこの自分ではあるが、通常なら使用するのが当然の物を使用せずじかに触れ合いたい想いで霧島はずっとそのまま来たものだから、京哉がどの程度の知識があるのかは知らないし訊いたこともない。
苦しい思いも痛い思いもさせてしまうが、文句も言わず京哉は全てを受け止めてくれる。
だからこそ霧島もこんなに深く交わってもいいのか、ここまで激しく攻めても許されるのかと時折疑問と怖さが湧くのだ。だが甘くも高い声で鳴かれ、確実に感じている華奢で白い躰を目に映すと悦びを感じてくれているのは当然分かる。
霧島の方もこんなに深い行為を数えきれないほど重ねながら、きつく狭く淫らな躰のまま変わらない京哉に溺れ切っていて、本来はいけないことだと知りつつ二人の間を隔てる物を使う気にはなれなかった。
僅か目を上げると京哉の仰け反らせた喉は咬みつきたいほど白い。霧島は頑丈なセミダブルベッドが揺れ始める勢いで腰を律動させている。
「京哉、耐えてくれ……京哉!」
「あぁん、激しい……忍さん、忍さん!」
幾度も愛しい年上の男の名を呼びながら、縛られ動けない京哉はそれでも応えようとしていた。強烈な快感を味わいつつ細い腰を捩っては霧島を締めつけ呻かせる。
「もう、忍さん、だめ――」
「私も、いくからな!」
粘膜が張り裂けそうなくらい京哉の中で霧島が己を膨れ上がらせた。二度、三度と突かれて京哉は眩暈を感じる。直後にもっと強い眩暈が京哉を襲った。
粘膜を熱く濃く濡らされるのを感じながら、京哉も自分の腹から胸に熱を迸らせていた。
だが一度くらいで霧島が満足したとは思っていない。太すぎる霧島はまだ京哉の体内を押し広げ、内襞を擦り上げ始めていた。縛った京哉の躰にのしかかり組み敷いて、更に激しく腰をスライドさせる。
「すごい、気持ちいい……おかしくなりそう、あうんっ!」
「最高だ、京哉! くうっ、まだ、きつい!」
続けざまに攻められ、律動で飽くことなく揺らされて、京哉は閉じ込めきれなかった霧島の欲望をシーツに零した。喘ぎの合間に淫らな水音が響く。それを耳にして声のトーンを高くした京哉はもはや霧島が理性をとばしてしまったのに気付いていた。
「京哉、すまん……お前を壊してしまう……京哉、私を止めてくれ!」
「はぁんっ! 忍さん、僕はいいから、貴方の好きなだけ――」
堪らない快感に晒されながらも京哉は頭の片隅で今日明日は休日だと思い出して安堵している。本当に霧島が満足する頃には京哉自身の意識がないことも多いのだ。いわゆる絶倫と分類される男を愛したのが運のツキである。
それでも京哉だって決して嫌な訳ではなく悦ばせる悦びを知っていた。これでも男だ、そういう欲望はある。
霧島の天性のテクニックに溺れているうちに京哉まで理性をとばした。身動きできないのに無理に細い腰を振って霧島を呻かせる。締め付けると仕返しのようにもっと強引な挿入で体内を抉られた。
身体中を熱い霧島で埋め尽くされた気がした途端に、もう何度目かも分からず達したが何も零せない。そこまでは覚えていたが、あとの記憶は京哉になかった。
徐々に意識が浮上してきて、はっきり覚醒してみたら、知らず力任せに引っ張っていたらしい縛めのタイを霧島が食いちぎるようにして解いてくれていた。結び目の固く締まったタイに霧島は難儀していたようがまもなく京哉は自由の身になる。そっと抱き締められた。
「起こしてしまったか。眠っていても構わんぞ」
「いえ、今は眠くないですから」
「酷い声だな。ちょっと待っていろ」
水を汲んできて貰い起き上がろうとした京哉だったが、いつにも増して身体中がこわばっていて身を起こすのも叶わず、結局は霧島に口移しで飲ませて貰うことになった。
グラス半分を嚥下して喘ぎ疲れた喉からまともな声が出せるようになる。
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