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第26話
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目覚めた京哉は壁に掛かった時計を見た。
この季節は五時が午前なのか午後なのか窓外の明るさから判別するのは困難だ。でも自分の傍に突っ伏して眠ってしまっている霧島を眺め、夕方に爆睡するとは考えにくいので朝だと確信する。
せめて霧島に毛布を被せたくて隣のベッドに左手を伸ばすも届きそうで届かない。
仕方なく裸足で床に降りると隣のベッドの毛布を左手で丸めて抱え、ごく静かに移動して霧島の肩から被せてやった。すると霧島は顔を上げ、灰色の目を覗かせる。
「何だ、もう起きたのか。まだ早い。あと少し大人しく寝ていろ」
「はい。でも忍さんこそベッドでちゃんと寝て下さい」
「いや、私はもう充分寝たからいい」
「それなら僕も起きてます。どうせ沙織のガードに戻らなきゃならないですから」
何のこだわりもなく言った京哉を霧島は凝視した。どうやら本気らしいと見取る。
「京哉お前、正気か?」
「ええ、自分ではそのつもりですけど。忍さんのお蔭で頭も打ちませんでしたし」
「沙織は自宅で仕事をすると言っていた。私たちの出る幕はない。ガードも終了だ」
八日後の会合時のガード依頼には触れず、涼しく言ったが京哉は納得しない。
「終了する訳にいかないでしょう。まだ僕の秘密を洩らした人物が割れていません」
「沙織自身も知らん、張り付いても無駄だ。お前も腕の骨がバラけたパズルらしい。私の時と殆ど状況は同じだ、安静にしていてくれ。絶対安静だぞ絶対安静」
「その絶対安静で何時間も運転してSIT突入班の先陣を切ったのは誰でしょう?」
しれっとして霧島は空っぽの缶コーヒーを飲むふりだ。そんな霧島に京哉は食い下がる。京哉にしてみれば自分自身の死活問題だと思えばこその言動だった。
「糸口は沙織だけです。今後も何者かが沙織に接触してくる可能性は大ですから」
「だめだ。お前の仕事は怪我を治すこと、ガードには就かせんからな!」
「急に怒鳴らないで下さい。それに僕は貴方との生活を護りたい。喩え単独でも僕はガードに就きますからね。今は無理でも八日後にはギプスも巻いているでしょうし」
「八日後か……分かった。その件はあとでじっくり話し合おう」
誤魔化す気、満々ながら涼しい顔で言った霧島だったが、京哉には通じず念を押される。
「忘れたふりしないで下さいね。僕、今は何かに集中していたいんです、その方が気が楽なので。それもできれば沙織に関わっていたい気分なんですよね」
「集中したいのは分からんでもないが、沙織に関わっていては『気が楽』どころか逆ではないのか? 毎晩のようにお前が熱を出しているのに私も気付いているんだぞ。おまけに粉砕骨折だ。物理的に無理という判断もつかん訳ではあるまい」
何故か自虐的行動を取ろうとする年下の恋人を諭しつつも、霧島は京哉自身すら掴めていない心理が理解できるような気がしていた。
これはおそらく京哉にとって自罰行為なのだ。裁かれてしかるべき身が裁かれずにいることをずっと京哉のヒビ割れかけた心は良しとしなかった。
お蔭で自分を簡単に危険に晒す。無意識に偶然の死を願う慢性自殺願望とまではいかなくても、自己肯定感が極度に低いが故の自罰・自傷行為と何ら変わりない。今回の怪我しかり、沙織を庇って最初に右腕を撃たれた時もしかりだ。
やはりPTSDによる自尊心の損失は痛いと霧島は思う。
京哉は決してプライドの低い男ではない。プライドが非常に高いからこそ自分を赦せないのだから。
辞書を引けば自尊心の中にプライドも含まれるが、この場合の自尊心とは読んで字の如く純粋に自分を尊ぶ心のことである。自分自身を大切にする気持ち、心も身体も大事にして害するものから護ろうとする本能だ。
長期に渡り殺人を強要され己の内に湧く忌避感情からも心を護ろうとしたのは京哉の本能が正常に働いたからだろう。
だが異常な状態でストレスが掛かり過ぎた京哉の場合、心の取った防御反応も異常なものだった。
飄々としながら本人曰く、『暗殺スナイプで一度としてターゲットを外したことがない』ので暗殺肯定派に『必要とされ』ている上に『自分は向いている』から『居心地が悪いとは思っていない』と自分に思い込ませたのである。
平たく言えば人殺しの腕を誇っていたのだ。
表面上は暢気なふりをしつつ間違った基礎の上に建てた歪んだプライドで心をガチガチに固めて武装していた。
その歪んだプライドを叩き割ったのが霧島だ。京哉にすれば相当ショックだった筈である。五年間の心の拠り所をいきなり破壊されたのだから。
今にしてみれば拙いやり方だったと思うが、あの時は霧島も衝動を抑えきれなかったのだ。
もう少し霧島自身に知識と余裕があったなら、喩えどんな形であっても五年間ずっと京哉の心を護ってきた殻を叩き割り剥ぎ取って生身を晒させるような酷い真似はしなかっただろう。もっと緩やかに穏やかに京哉の心を解きほぐしてやれたのにと考えるが今更である。
言い訳ではないが霧島は京哉の間違ったプライドを叩き割ったことを後悔していない。京哉にはそんなものなんか持って欲しくない。間違ったプライドを砕かれたくらいで鳴海京哉という男がPTSDに陥ったとは思っていなかった。
そもそも兆候は暗殺スナイパー時代から始まっていたのだ。
非常に高いプライドに対しアンビヴァレントな自罰感情を抱えて既にフラッシュバックや不眠に悩まされていたらしい。
更にはスナイプ殺人の後に必ず原因不明の高熱を出すが我が身にまるで構わない。最終的には知り過ぎた男として殺されると分かっていながらスナイパーを辞めるため、わざと暗殺スナイプを失敗した。
死を以て清算すると決めたのは霧島に蔑まれたくないという理由だったが。
ともかくそんな時に霧島が京哉の心の殻を叩き割り、暗殺者を辞めるきっかけともなった。
だが辞められて良かったと喜ぶ間もなく京哉の抱えていた相反するものが表面化した。何故なら自分でも許せない罪が看過されてしまったからだ。何らかの形で罰されていたならまだマシだったかも知れないが、事実として京哉は放置された。
結果、京哉の心は自らヒビを入れ、赦せない部分のみ分離しなければ元々の真っ当な自分を維持できなくなった。
分離させられた心の一部は過去という負を溜め込んで寝ても覚めても悪夢を見せ、これもお前だと泣き喚くように自己主張する。
おまけに沙織が現れた。これでは過去の亡霊が幻覚レヴェルで蘇っても仕方ない。アパシーというらしいが無感情な反応と表情も時折見受けられる。
だが京哉は耐え抜いてきて更に耐えてゆく気でいるらしい。自ら沙織のガードに進んで就きたがるくらいだ。フラッシュバックや悪夢には負けたりしないだろう。
それより問題は本人が負の方向に誘われる理由を理解していないことである。これに限っては由々しきことだった。何せ職務が日々危険と隣り合わせなのだから――。
専門家ではないので全て独学と推測でしかない。治るかどうかは分からないが霧島はそれでも京哉を愛しているし、この自分が癒してやるのだと決めていた。
けれどひとつ確信的に言えるのは京哉の心が弱いからPTSDになった訳ではないということだ。条件を満たしてあり余る暴力に京哉の心は晒された。
五年も強要殺人の実行に耐え続け、心理的防御壁を叩き壊されても今、生きているし泣きも笑いもする。
むしろ強靭な精神の持ち主である証しだと思う。
霧島は京哉の強靭な精神力とこの自分の慈しむ想いが癒すと信じて口にした。
「京哉。『一生、一緒に同じものを見てゆく』と誓ったのは嘘ではないぞ。これから先も必ず私はお前の傍にいるからな、夫として」
急に何事かと京哉は目を瞬かせてから嬉しそうに、にっこり笑う。
「僕も妻として一緒にいますよ。けど確かに今すぐガードは無理だってことくらい判断はつきますけど、ケリは付けたいじゃないですか」
「それも話はあとだ。取り敢えず私は朝飯を食ったら詰め所に行ってくるからな。有休届けを出すのを忘れていた」
「隊長は休ませられません。沙織の会合までちゃんと出勤して下さい」
看護師が検温にくるまで話し合ったが堂々巡りの平行線で京哉は折れなかった。押し切られた形の霧島は後ろ髪を引かれる思いで出勤したまでは良かったが、秘書がいないと書類に手も付けなくて、つまりは使い物にならない。
更には警邏の途中で病院に立ち寄った栗田巡査部長と相勤者の吉岡《よしおか》巡査長が見舞いと称して顔を出し、隊長の現状報告をしたから堪らない。
「あれじゃあボスも近いうちに呆けちまうんじゃないか?」
「そんなに酷いんですか?」
「飯を食うのも忘れて窓の外か鳴海のデスクばかり眺めてるよ」
ギャハハと笑い栗田たちが警邏に戻ると京哉は居ても立ってもいられなくなり霧島が持ってきてくれた衣服に着替える。スーツでなくてもこの際文句は言えない。アームホルダーを装着し苦労して銃入りヒップホルスタのついた帯革を締めた。
自分にも捜一と組対が聴取に来るかも知れないという可能性は既に思考から消え去っている。実際には霧島の段階で本部長がストップしてくれたのだが。
ともかく京哉は財布をポケットに入れて特別室のドアを開け、辺りを窺った――。
この季節は五時が午前なのか午後なのか窓外の明るさから判別するのは困難だ。でも自分の傍に突っ伏して眠ってしまっている霧島を眺め、夕方に爆睡するとは考えにくいので朝だと確信する。
せめて霧島に毛布を被せたくて隣のベッドに左手を伸ばすも届きそうで届かない。
仕方なく裸足で床に降りると隣のベッドの毛布を左手で丸めて抱え、ごく静かに移動して霧島の肩から被せてやった。すると霧島は顔を上げ、灰色の目を覗かせる。
「何だ、もう起きたのか。まだ早い。あと少し大人しく寝ていろ」
「はい。でも忍さんこそベッドでちゃんと寝て下さい」
「いや、私はもう充分寝たからいい」
「それなら僕も起きてます。どうせ沙織のガードに戻らなきゃならないですから」
何のこだわりもなく言った京哉を霧島は凝視した。どうやら本気らしいと見取る。
「京哉お前、正気か?」
「ええ、自分ではそのつもりですけど。忍さんのお蔭で頭も打ちませんでしたし」
「沙織は自宅で仕事をすると言っていた。私たちの出る幕はない。ガードも終了だ」
八日後の会合時のガード依頼には触れず、涼しく言ったが京哉は納得しない。
「終了する訳にいかないでしょう。まだ僕の秘密を洩らした人物が割れていません」
「沙織自身も知らん、張り付いても無駄だ。お前も腕の骨がバラけたパズルらしい。私の時と殆ど状況は同じだ、安静にしていてくれ。絶対安静だぞ絶対安静」
「その絶対安静で何時間も運転してSIT突入班の先陣を切ったのは誰でしょう?」
しれっとして霧島は空っぽの缶コーヒーを飲むふりだ。そんな霧島に京哉は食い下がる。京哉にしてみれば自分自身の死活問題だと思えばこその言動だった。
「糸口は沙織だけです。今後も何者かが沙織に接触してくる可能性は大ですから」
「だめだ。お前の仕事は怪我を治すこと、ガードには就かせんからな!」
「急に怒鳴らないで下さい。それに僕は貴方との生活を護りたい。喩え単独でも僕はガードに就きますからね。今は無理でも八日後にはギプスも巻いているでしょうし」
「八日後か……分かった。その件はあとでじっくり話し合おう」
誤魔化す気、満々ながら涼しい顔で言った霧島だったが、京哉には通じず念を押される。
「忘れたふりしないで下さいね。僕、今は何かに集中していたいんです、その方が気が楽なので。それもできれば沙織に関わっていたい気分なんですよね」
「集中したいのは分からんでもないが、沙織に関わっていては『気が楽』どころか逆ではないのか? 毎晩のようにお前が熱を出しているのに私も気付いているんだぞ。おまけに粉砕骨折だ。物理的に無理という判断もつかん訳ではあるまい」
何故か自虐的行動を取ろうとする年下の恋人を諭しつつも、霧島は京哉自身すら掴めていない心理が理解できるような気がしていた。
これはおそらく京哉にとって自罰行為なのだ。裁かれてしかるべき身が裁かれずにいることをずっと京哉のヒビ割れかけた心は良しとしなかった。
お蔭で自分を簡単に危険に晒す。無意識に偶然の死を願う慢性自殺願望とまではいかなくても、自己肯定感が極度に低いが故の自罰・自傷行為と何ら変わりない。今回の怪我しかり、沙織を庇って最初に右腕を撃たれた時もしかりだ。
やはりPTSDによる自尊心の損失は痛いと霧島は思う。
京哉は決してプライドの低い男ではない。プライドが非常に高いからこそ自分を赦せないのだから。
辞書を引けば自尊心の中にプライドも含まれるが、この場合の自尊心とは読んで字の如く純粋に自分を尊ぶ心のことである。自分自身を大切にする気持ち、心も身体も大事にして害するものから護ろうとする本能だ。
長期に渡り殺人を強要され己の内に湧く忌避感情からも心を護ろうとしたのは京哉の本能が正常に働いたからだろう。
だが異常な状態でストレスが掛かり過ぎた京哉の場合、心の取った防御反応も異常なものだった。
飄々としながら本人曰く、『暗殺スナイプで一度としてターゲットを外したことがない』ので暗殺肯定派に『必要とされ』ている上に『自分は向いている』から『居心地が悪いとは思っていない』と自分に思い込ませたのである。
平たく言えば人殺しの腕を誇っていたのだ。
表面上は暢気なふりをしつつ間違った基礎の上に建てた歪んだプライドで心をガチガチに固めて武装していた。
その歪んだプライドを叩き割ったのが霧島だ。京哉にすれば相当ショックだった筈である。五年間の心の拠り所をいきなり破壊されたのだから。
今にしてみれば拙いやり方だったと思うが、あの時は霧島も衝動を抑えきれなかったのだ。
もう少し霧島自身に知識と余裕があったなら、喩えどんな形であっても五年間ずっと京哉の心を護ってきた殻を叩き割り剥ぎ取って生身を晒させるような酷い真似はしなかっただろう。もっと緩やかに穏やかに京哉の心を解きほぐしてやれたのにと考えるが今更である。
言い訳ではないが霧島は京哉の間違ったプライドを叩き割ったことを後悔していない。京哉にはそんなものなんか持って欲しくない。間違ったプライドを砕かれたくらいで鳴海京哉という男がPTSDに陥ったとは思っていなかった。
そもそも兆候は暗殺スナイパー時代から始まっていたのだ。
非常に高いプライドに対しアンビヴァレントな自罰感情を抱えて既にフラッシュバックや不眠に悩まされていたらしい。
更にはスナイプ殺人の後に必ず原因不明の高熱を出すが我が身にまるで構わない。最終的には知り過ぎた男として殺されると分かっていながらスナイパーを辞めるため、わざと暗殺スナイプを失敗した。
死を以て清算すると決めたのは霧島に蔑まれたくないという理由だったが。
ともかくそんな時に霧島が京哉の心の殻を叩き割り、暗殺者を辞めるきっかけともなった。
だが辞められて良かったと喜ぶ間もなく京哉の抱えていた相反するものが表面化した。何故なら自分でも許せない罪が看過されてしまったからだ。何らかの形で罰されていたならまだマシだったかも知れないが、事実として京哉は放置された。
結果、京哉の心は自らヒビを入れ、赦せない部分のみ分離しなければ元々の真っ当な自分を維持できなくなった。
分離させられた心の一部は過去という負を溜め込んで寝ても覚めても悪夢を見せ、これもお前だと泣き喚くように自己主張する。
おまけに沙織が現れた。これでは過去の亡霊が幻覚レヴェルで蘇っても仕方ない。アパシーというらしいが無感情な反応と表情も時折見受けられる。
だが京哉は耐え抜いてきて更に耐えてゆく気でいるらしい。自ら沙織のガードに進んで就きたがるくらいだ。フラッシュバックや悪夢には負けたりしないだろう。
それより問題は本人が負の方向に誘われる理由を理解していないことである。これに限っては由々しきことだった。何せ職務が日々危険と隣り合わせなのだから――。
専門家ではないので全て独学と推測でしかない。治るかどうかは分からないが霧島はそれでも京哉を愛しているし、この自分が癒してやるのだと決めていた。
けれどひとつ確信的に言えるのは京哉の心が弱いからPTSDになった訳ではないということだ。条件を満たしてあり余る暴力に京哉の心は晒された。
五年も強要殺人の実行に耐え続け、心理的防御壁を叩き壊されても今、生きているし泣きも笑いもする。
むしろ強靭な精神の持ち主である証しだと思う。
霧島は京哉の強靭な精神力とこの自分の慈しむ想いが癒すと信じて口にした。
「京哉。『一生、一緒に同じものを見てゆく』と誓ったのは嘘ではないぞ。これから先も必ず私はお前の傍にいるからな、夫として」
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「僕も妻として一緒にいますよ。けど確かに今すぐガードは無理だってことくらい判断はつきますけど、ケリは付けたいじゃないですか」
「それも話はあとだ。取り敢えず私は朝飯を食ったら詰め所に行ってくるからな。有休届けを出すのを忘れていた」
「隊長は休ませられません。沙織の会合までちゃんと出勤して下さい」
看護師が検温にくるまで話し合ったが堂々巡りの平行線で京哉は折れなかった。押し切られた形の霧島は後ろ髪を引かれる思いで出勤したまでは良かったが、秘書がいないと書類に手も付けなくて、つまりは使い物にならない。
更には警邏の途中で病院に立ち寄った栗田巡査部長と相勤者の吉岡《よしおか》巡査長が見舞いと称して顔を出し、隊長の現状報告をしたから堪らない。
「あれじゃあボスも近いうちに呆けちまうんじゃないか?」
「そんなに酷いんですか?」
「飯を食うのも忘れて窓の外か鳴海のデスクばかり眺めてるよ」
ギャハハと笑い栗田たちが警邏に戻ると京哉は居ても立ってもいられなくなり霧島が持ってきてくれた衣服に着替える。スーツでなくてもこの際文句は言えない。アームホルダーを装着し苦労して銃入りヒップホルスタのついた帯革を締めた。
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