39 / 41
第39話
しおりを挟む
雪の中を爆走した救急車が病院に着くと、大事を取って京哉もストレッチャに乗せられ救命救急センターの処置室に運ばれた。
待ち構えていた医療スタッフによって二人は並行して傷の処置を受ける。
幸い京哉の左腕と右大腿部は掠り傷で、消毒されて薬を塗られ、防水ガーゼを貼り付けられただけで処置を終えた。怪我よりスーツの損傷の方が厳しいと思える程度で済み、幸いだった。
「鳴海さんは日頃の行いがいいからでしょう」
これも見知った看護師の優し気な言葉に、京哉は急に思い切り心配になり霧島の方を見た。まだ意識を取り戻さない霧島は退院時用に京哉が持ち込んでいたスーツの襟まで血で濡らしている。
だが悲愴な顔の京哉を霧島の傷の処置をしながら医師が笑った。
「大丈夫ですよ、脱走するほど元気なんですから。そのうち目が覚めます」
そのまま脱走患者は元の病棟個室送りとなったが、そこまで付き添った京哉とパトカーで付き従ってきた若い巡査二名の前ではついに目を開かなかった。
だが頃合いを見計らって若い巡査の片割れが申し訳なさそうに京哉を促す。
「では真城署での聴取に応じて頂いても宜しいですか?」
後ろ髪を引かれる思いで病室から出ると京哉は一ノ瀬本部長にメールした。
一階に降りて外に出ると待機していたパトカーに乗り込む。
真城署での事情聴取で京哉は敵四名が死亡、残る一名が右肩を撃たれた上に霧島の手錠で捕縛されていたのを信輔から聞く。その信輔は大声でぼやいた。
「海外マフィアがこんな所で抗争なんか起こしやがって、勘弁してくれってんだ」
なるほど、一ノ瀬本部長経由でそういうストーリーになったらしい。
「それにしても抗争に巻き込まれるとは京哉、お前らしいなあ、おい」
「何で僕らしいんだよ、いい加減なことを言わないでくれ」
「ふん、真城署にいた時は『幽霊署員』だったのに聞いてるぜ。県警本部じゃ会員五十名超えの『鳴海巡査部長を護る会』まで出来て、毎日黄色い声に囲まれてハーレムだそうじゃないか」
「僕が作った会じゃないし、黄色い声もハーレムも嘘っぱちだ」
「まあまあ、そう言わずに一人や二人、紹介してくれよ。な、な?」
県警本部長の威光は確かで五名の狙撃逮捕で被疑者四名死亡なる、大ごとの割にはそんな雑談プラス、通り一遍の質問だけで聴取もあっさり終わって、約一時間後には京哉も釈放される。そのあと京哉は自宅マンションまでパトカーで送られた。
自宅マンション周辺では鑑識班が強力なライトで照らしながら雪の降る中、まだ遺留品捜しで頑張っていた。
更に五〇一号室のドア前にはガードであろう制服警官二名の張り番まで立っていて、再び病院に行きたかった京哉は言い出しづらくなり、仕方なく警官たちを労うと二人の部屋のロックを解いた。
キッチンの明かりを点けながら玄関から上がる。
何気なく腕時計を見ると、それでももう二十三時五十一分だ。
暫く無人だった室内は底冷えがしていたが、リビングのエアコンを入れることすら思いつかず、寝室で穴開きコートとジャケットを脱いだ。最近どうも特別任務で霧島ともども衣服の損耗が激しくて困る。きちんとその辺りも話し合うべきだろう。
そんなことを考えつつ警官グッズとショルダーホルスタを外し、引き出しに入れてから夕食をどうしようかと思う。
今夜は病院で夕食を摂っていなかったが食欲も中途半端な上に買い物をしていないので食材もない。霧島のこと以外に何も考えられないまま簡単に夜食用カップ麺の買い置きで夕食を済ませた。
電気ポットの湯でティーバッグの玄米茶をマグカップに淹れて啜る。
飲み終えると換気扇の下で煙草を二本吸い、血の付いたドレスシャツやスラックスなどを脱いでシャワーを浴びた。久々のバスタイムを終えて髪もドライヤーで乾かし清潔で穴の開いていないドレスシャツとスラックスを身に着け、キッチンに出てみて仰天する。
「ちょ、何で貴方がここにいるんですか!」
リビングの二人掛けソファに霧島が座っていたのだ。涼しい顔に微笑みまで浮かべている。つい三日前に肝臓と肺を傷つけられて心臓も止まりかけ、さっき撃たれて大出血し意識さえトバした男が脱走し現れたのである。その男は暢気に言った。
「いや、コーヒーを飲もうと思ったんだがな」
確かにロウテーブルにマグカップが置かれ、インスタントコーヒーの香りが充満していた。普段ならホッとする香りだが京哉は傷からコーヒーが洩れやしないか心配だ。
「ついさっき帰ってきたんだが、お前もコーヒー飲むか?」
「なっ、そんな、貴方、病院、今日、さっき撃たれて……ええっ!?」
あまりのことに京哉は言葉にならない。そんな京哉をよそに霧島は腰を上げると、もうひとつのマグカップにコーヒーを淹れた。持ってくるとロウテーブルに並べる。
「まあ、これでも飲んで落ち着け」
「落ち着けってどういうことですか? ふざけないで、すぐ病院に戻って下さい!」
「いいからこれだけ飲ませてくれ」
「……」
絶句した京哉はふらふらと歩み寄ると、二人掛けソファの霧島の隣にすとんと腰掛けた。年上の愛し人を凝視する。
なるほど病院から直行したらしくオーダーメイドスーツの襟には血が付いたままだ。だが病院で共同のシャワーでも浴びたのか、淡いシャボンの匂いとペンハリガンのブレナムブーケの香りがしている。
行為の時だけまとう香りで自己主張され京哉は半ば呆れて霧島を眺めたが、事実としてこの元気な脱走患者のお蔭で京哉は命を拾ったのだ。
しかし人間、心配と正比例で腹が立つ。
マグカップに伸ばした手を掴まれ、きつく握られて霧島を睨んだ。
「本当に貴方は何処まで心配させれば気が済むんですか?」
「すまん」
「『謝らない』なんて言っておいてそれですか? もう冗談じゃないですよ!」
「いや、これだけは謝らせてくれ。忘れてしまって、悪かった」
「病院に戻らないなら一一九番にコールしちゃいますから……って、忍さん?」
気付くと霧島は珍しく表情を崩し、照れ臭そうな笑みを目元に浮かべている。
「記憶が戻ったことを携帯ではなく直接、お前に言いたかったんだ。それでここまで戻ってきたんだが、一回目のトライは銃撃戦で吹っ飛んでしまってな」
「ホントに……本当に記憶が戻ったんですか?」
「完全かどうかは分からんが、たぶん、殆ど思い出せたと思うぞ」
「……忍さん」
あれから初めて霧島の前で洩らす京哉の溜息が震えた。
安堵で全身の力が抜け、ソファに凭れ掛かる。そんな京哉を霧島は真正面からきつく抱き締めた。力強い腕に包まれた京哉は恐る恐るその背に腕を回す。
温かな霧島の体温が、慣れた息づかいが、泣きたいくらいに嬉しかった。
「何処か痛くないですか? 躰は? 頭は?」
「じつは頭が割れそうに痛いんだがな。おそらく思い出したショックだろう」
「そんな他人事みたいに言ってないで、病院に戻ってちゃんと治しましょうよ」
「ああ。だが今だけ痛みを忘れさせてくれないか?」
「って、忍さん、何を……って、あっ、忍さん、だめ!」
いきなり襲いかかられて京哉は逃れようと暴れた。だが両手の抗いを腕一本で封じられた上にのしかかられてソファに押し倒され身動きが取れなくなる。
しかし今現在の霧島に無理をさせられる状態でないのは明らかだ。きつく暴れて何処の怪我を悪化させるとも知れない。
言うことも聞けず京哉は必死で逃れようと、主に口で拒否して抗った。
「や、あ……んっ、忍さん、だめですってば!」
「だめでも我慢できん。記憶を失くした私ではなく、『この私』に抱かせてくれ」
「忍さん、いや……んっ、んんぅ!」
口づけられて息が詰まった。喘いだ途端に温かな舌が歯列を割って侵入し、届く限りを舐め回されて京哉は躰の力を抜いた。
少しコーヒーの香りがする舌に、もう思考を蕩かされ始めていた。
待ち構えていた医療スタッフによって二人は並行して傷の処置を受ける。
幸い京哉の左腕と右大腿部は掠り傷で、消毒されて薬を塗られ、防水ガーゼを貼り付けられただけで処置を終えた。怪我よりスーツの損傷の方が厳しいと思える程度で済み、幸いだった。
「鳴海さんは日頃の行いがいいからでしょう」
これも見知った看護師の優し気な言葉に、京哉は急に思い切り心配になり霧島の方を見た。まだ意識を取り戻さない霧島は退院時用に京哉が持ち込んでいたスーツの襟まで血で濡らしている。
だが悲愴な顔の京哉を霧島の傷の処置をしながら医師が笑った。
「大丈夫ですよ、脱走するほど元気なんですから。そのうち目が覚めます」
そのまま脱走患者は元の病棟個室送りとなったが、そこまで付き添った京哉とパトカーで付き従ってきた若い巡査二名の前ではついに目を開かなかった。
だが頃合いを見計らって若い巡査の片割れが申し訳なさそうに京哉を促す。
「では真城署での聴取に応じて頂いても宜しいですか?」
後ろ髪を引かれる思いで病室から出ると京哉は一ノ瀬本部長にメールした。
一階に降りて外に出ると待機していたパトカーに乗り込む。
真城署での事情聴取で京哉は敵四名が死亡、残る一名が右肩を撃たれた上に霧島の手錠で捕縛されていたのを信輔から聞く。その信輔は大声でぼやいた。
「海外マフィアがこんな所で抗争なんか起こしやがって、勘弁してくれってんだ」
なるほど、一ノ瀬本部長経由でそういうストーリーになったらしい。
「それにしても抗争に巻き込まれるとは京哉、お前らしいなあ、おい」
「何で僕らしいんだよ、いい加減なことを言わないでくれ」
「ふん、真城署にいた時は『幽霊署員』だったのに聞いてるぜ。県警本部じゃ会員五十名超えの『鳴海巡査部長を護る会』まで出来て、毎日黄色い声に囲まれてハーレムだそうじゃないか」
「僕が作った会じゃないし、黄色い声もハーレムも嘘っぱちだ」
「まあまあ、そう言わずに一人や二人、紹介してくれよ。な、な?」
県警本部長の威光は確かで五名の狙撃逮捕で被疑者四名死亡なる、大ごとの割にはそんな雑談プラス、通り一遍の質問だけで聴取もあっさり終わって、約一時間後には京哉も釈放される。そのあと京哉は自宅マンションまでパトカーで送られた。
自宅マンション周辺では鑑識班が強力なライトで照らしながら雪の降る中、まだ遺留品捜しで頑張っていた。
更に五〇一号室のドア前にはガードであろう制服警官二名の張り番まで立っていて、再び病院に行きたかった京哉は言い出しづらくなり、仕方なく警官たちを労うと二人の部屋のロックを解いた。
キッチンの明かりを点けながら玄関から上がる。
何気なく腕時計を見ると、それでももう二十三時五十一分だ。
暫く無人だった室内は底冷えがしていたが、リビングのエアコンを入れることすら思いつかず、寝室で穴開きコートとジャケットを脱いだ。最近どうも特別任務で霧島ともども衣服の損耗が激しくて困る。きちんとその辺りも話し合うべきだろう。
そんなことを考えつつ警官グッズとショルダーホルスタを外し、引き出しに入れてから夕食をどうしようかと思う。
今夜は病院で夕食を摂っていなかったが食欲も中途半端な上に買い物をしていないので食材もない。霧島のこと以外に何も考えられないまま簡単に夜食用カップ麺の買い置きで夕食を済ませた。
電気ポットの湯でティーバッグの玄米茶をマグカップに淹れて啜る。
飲み終えると換気扇の下で煙草を二本吸い、血の付いたドレスシャツやスラックスなどを脱いでシャワーを浴びた。久々のバスタイムを終えて髪もドライヤーで乾かし清潔で穴の開いていないドレスシャツとスラックスを身に着け、キッチンに出てみて仰天する。
「ちょ、何で貴方がここにいるんですか!」
リビングの二人掛けソファに霧島が座っていたのだ。涼しい顔に微笑みまで浮かべている。つい三日前に肝臓と肺を傷つけられて心臓も止まりかけ、さっき撃たれて大出血し意識さえトバした男が脱走し現れたのである。その男は暢気に言った。
「いや、コーヒーを飲もうと思ったんだがな」
確かにロウテーブルにマグカップが置かれ、インスタントコーヒーの香りが充満していた。普段ならホッとする香りだが京哉は傷からコーヒーが洩れやしないか心配だ。
「ついさっき帰ってきたんだが、お前もコーヒー飲むか?」
「なっ、そんな、貴方、病院、今日、さっき撃たれて……ええっ!?」
あまりのことに京哉は言葉にならない。そんな京哉をよそに霧島は腰を上げると、もうひとつのマグカップにコーヒーを淹れた。持ってくるとロウテーブルに並べる。
「まあ、これでも飲んで落ち着け」
「落ち着けってどういうことですか? ふざけないで、すぐ病院に戻って下さい!」
「いいからこれだけ飲ませてくれ」
「……」
絶句した京哉はふらふらと歩み寄ると、二人掛けソファの霧島の隣にすとんと腰掛けた。年上の愛し人を凝視する。
なるほど病院から直行したらしくオーダーメイドスーツの襟には血が付いたままだ。だが病院で共同のシャワーでも浴びたのか、淡いシャボンの匂いとペンハリガンのブレナムブーケの香りがしている。
行為の時だけまとう香りで自己主張され京哉は半ば呆れて霧島を眺めたが、事実としてこの元気な脱走患者のお蔭で京哉は命を拾ったのだ。
しかし人間、心配と正比例で腹が立つ。
マグカップに伸ばした手を掴まれ、きつく握られて霧島を睨んだ。
「本当に貴方は何処まで心配させれば気が済むんですか?」
「すまん」
「『謝らない』なんて言っておいてそれですか? もう冗談じゃないですよ!」
「いや、これだけは謝らせてくれ。忘れてしまって、悪かった」
「病院に戻らないなら一一九番にコールしちゃいますから……って、忍さん?」
気付くと霧島は珍しく表情を崩し、照れ臭そうな笑みを目元に浮かべている。
「記憶が戻ったことを携帯ではなく直接、お前に言いたかったんだ。それでここまで戻ってきたんだが、一回目のトライは銃撃戦で吹っ飛んでしまってな」
「ホントに……本当に記憶が戻ったんですか?」
「完全かどうかは分からんが、たぶん、殆ど思い出せたと思うぞ」
「……忍さん」
あれから初めて霧島の前で洩らす京哉の溜息が震えた。
安堵で全身の力が抜け、ソファに凭れ掛かる。そんな京哉を霧島は真正面からきつく抱き締めた。力強い腕に包まれた京哉は恐る恐るその背に腕を回す。
温かな霧島の体温が、慣れた息づかいが、泣きたいくらいに嬉しかった。
「何処か痛くないですか? 躰は? 頭は?」
「じつは頭が割れそうに痛いんだがな。おそらく思い出したショックだろう」
「そんな他人事みたいに言ってないで、病院に戻ってちゃんと治しましょうよ」
「ああ。だが今だけ痛みを忘れさせてくれないか?」
「って、忍さん、何を……って、あっ、忍さん、だめ!」
いきなり襲いかかられて京哉は逃れようと暴れた。だが両手の抗いを腕一本で封じられた上にのしかかられてソファに押し倒され身動きが取れなくなる。
しかし今現在の霧島に無理をさせられる状態でないのは明らかだ。きつく暴れて何処の怪我を悪化させるとも知れない。
言うことも聞けず京哉は必死で逃れようと、主に口で拒否して抗った。
「や、あ……んっ、忍さん、だめですってば!」
「だめでも我慢できん。記憶を失くした私ではなく、『この私』に抱かせてくれ」
「忍さん、いや……んっ、んんぅ!」
口づけられて息が詰まった。喘いだ途端に温かな舌が歯列を割って侵入し、届く限りを舐め回されて京哉は躰の力を抜いた。
少しコーヒーの香りがする舌に、もう思考を蕩かされ始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
明治かんなぎ少女の冥契 五百年の時を超えて、あなたに愛を
花籠しずく
キャラ文芸
――ですが、わたくしは生まれました。あなたに会うために。
月のものが来るようになってから、琥珀は不思議な夢を見る。誰かに探されている夢。きっと大切な人だったことは分かるのに、目が覚めると朧気で何も思い出せない。婚約者である志貴の言いなりの人形になる生活をし、生家とは会うと脅され、心が疲弊していたある日、家からひとり抜け出すと、妖魔のようなものに出会う。呪術師である志貴に、一時祓ってもらいはしたが、不思議と心が痛む。夢に美しい男が現れ、声に導かれるようにして、ある山のふもとの、廃れた神社の中に入ると、そこには苦しそうに蹲るあの妖魔がいた。琥珀はそれが夢に現れた、蘿月という男だと直感する。全身が黒い靄で包まれた彼の、靄を払う方法を、どうしてか琥珀は知っていた。口づけをし、息を吹き込むように、生きて、と願った。
帰ってすぐに志貴に殴られ、月のものがはじまっていたことが志貴にばれる。琥珀を穢そうとする志貴の様子に恐ろしさを覚えて、助けてと叫んだその瞬間、闇を裂くようにして、蘿月が現れた。
「琥珀は、俺が五百年待ち望んだ花嫁だ」
これは、時を超えて紡がれる愛の物語。そして虐げられた少女が、愛を知り、愛のために生きる自由を選ぶ物語。
※R-15っぽいゆるい性描写があります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞に応募しているので、応援して頂けましたら嬉しいです。【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる