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第二章
52 破邪顕正の剣
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北王門家に伝わる国宝、”破邪顕正の剣”。
二つとない至高の宝であり、
最高の攻撃力を誇る神剣。
本来、持ち主の側を離れるのであれば、
北王門家の宝物庫にて
厳重に保管されるべき貴重な品なのだ。
それをやすやすと恋人に持たせていたとは。
アヤハは戸惑いながらも、笑顔で尋ねる。
「あ、アイレンはそれを知っていて……」
上位華族の天満院家なら、
丁寧に保管することも可能だろう、が。
「いや、言っていない。
突っ返されたら困るからな」
レイオウの言葉に、アヤハはがっくりと肩を落とした。
その横でセーランが、
なぜかホッと息をついてつぶやく。
「……レイオウさまとのご婚約が嘘で、
本当に良うございました。
私には無理です、ついていけません」
同じことをされ、後から国宝だと知らされたら。
セーランだったら気絶し、
そののちレイオウから受け取るもの全てを
意味もなく恐れてしまうだろう。
しかしクーカイは別の事でドン引きしていた。
「……確か、君は数多くの妖魔を滅しただけでなく
世界中の羅刹を瞬殺したと聞いたが。
この一年あまりの戦い全て、
あの剣無しでの勝利だったということか?」
レイオウはそれがどうした、という顔で返す。
「俺はあの剣が無ければ戦えぬような者になるつもりはない。
元より、滅多なことでは使わぬつもりだ」
クーカイは幼馴染のこの男が、
急に遠く、恐ろしく感じられた。
では、破邪顕正の剣を持ったレイオウは
どれほどの強さを持つというのだろうか。
その時。
「ふふっ」
あぜんと話を聞いていた天帝妃が吹き出したのだ。
口元に袖を当て笑っていた。
その目にはうっすら涙がうかんでいる。
そして顔を上げ、4人の若き四天王家に告げたのだ。
「私は帝都の動きを知りながら、
病床の我が君を案じるばかりで
何も出来ずにおりました。
それは妃として恥じ入るばかりでございます」
そんなことはない、といいかけた4人を制し。
天帝妃は目を伏せて言葉を続けた。
「我が君が動けぬ今、彼らを止めることはできません。
このまま彼らに政を預けることが
良い事か悪い事なのかも判断つきませんでした。
……しかし」
彼女は顔を上げて、はっきりと命じたのだ。
「やはり、彼らにあるのは任務遂行の意識ではなく
私利私欲がからんだ悪しき意図のようです。
四天王家の方々にお願い申し上げます。
どうか、世を悪からお守りください」
レイオウ達は椅子からおり、
片膝をついて頭を下げ、返答する。
「承知いたしました。
……全ては世の平安のために!」
ーーーーーーーーーーーー
「アイレン、以前預けた龍笛だが……」
天帝妃の離宮を辞した後、
レイオウたちはすぐにアイレンのもとに向かった。
レイオウの問いに、アイレンはうなずき、
右手を胸元に当てたのだ。
「ここにございますわ……大切なものですもの」
それを相変わらずネックレスとして
身に着けていてくれたと知り、
レイオウの頬がゆるむ。
「あら、じゃあちゃんと大事なものだと
気付いていたのね?」
アヤハの問いに、アイレンはにこやかに答える。
「ええ、大切ですわ。
私にとっては国宝以上に宝物なんです。
リオ……レイオウ様から受け取った物ですもの」
国宝以上、と聞いて、クーカイたちは苦笑いしてしまう。
それはまぎれもなく国宝なのだが、と思いながら。
アイレンはするすると鎖を引き寄せ、
胸元から取り出した小さな龍笛を
レイオウへと手渡してつぶやく。
「……一年以上もの長い間、
私を支えてくださいました。
何よりも心の支えとなりましたわ」
その言葉にレイオウは感極まり、
アイレンを抱きしめる。
彼女を迎えるためとはいえ、
”両親と弟が生死不明”という、
一番不安な時期を独りにしてしまったのだ。
「もう大丈夫だ。
これからは俺が側で守ろう」
レイオウはそう言うと、アイレンもうなずく。
その時、レイオウの手のひらから強い光が漏れ出した。
驚くアイレンに、レイオウが優しく告げる。
「大丈夫だ。何か告げたいことがあるらしい」
見れば、小指くらいの龍笛だったのが
元の大きさに戻っていた。
それをレイオウは掴み、半眼で黙り込む。
クーカイたちは皆、気付いていた。
レイオウが龍笛……
つまり”破邪顕正の剣”と対話しているのだと。
やがて眼を開け、レイオウがつぶやいた。
「……そうか。ご苦労だった」
誰に言ってるの? という顔をするアイレンに
レイオウは呆れたような顔で言ったのだ。
「大変だったな。
ただでさえご両親のことが心労だったろうに
”シグネットリング”の盗難や
”偽の婚約者騒動”など許し難いな。
ツグロにはお灸をすえておかねばならぬ」
話したことも無い古い事件を言い当てられ、
アイレンは両手を口に当てて驚いた。
しかもそれだけではない。
「”私立学校への偽装辞退”、
さらにはジュアンの家に対する犯罪行為。
カアラの奴、もっと完全に潰しておくべきだったな」
あぜんとするアイレンに、
レイオウは不穏な言葉を吐き捨てる。
「どうして、それを?」
アイレンの問いに、レイオウは笑顔になり
龍笛を握り、前へとかざして言う。
「これの本当の姿は笛ではない。
……見ていてごらん」
目がくらむような光を放ち、
龍笛が大きな剥き身の剣へと姿を変えた。
柄も鍔も無骨でシンプルだが
銀色の刃身には、黒い文様が浮き出ている。
後ろでクーカイたちがゴクリと唾をのみ込んだ。
自分の親王たちでさえ見たことがないであろう
伝説のような存在の剣を
レイオウはあっさりとアイレンに見せてあげたのだ。
「これは”破邪顕正の剣”といい、
俺の家に代々伝わる剣だ。
しかし子孫の誰しもが扱えるわけではない。
この剣と”対話”でき、認められた者のみが
触れることを許されるのだ」
「……今、何と言った?」
クーカイが目を見開いて尋ねる。
それをレイオウはうなずき、話を続けた。
「この剣は君の側で、
君に降りかかる不正や悪事を振り払っていたのだ。
未然に防げたか、起きてもすぐに
真実が露呈したのではないか?」
レイオウが言う通りだった。
シグネットリングは、翌日には
犯人であるツグロが持ってきたのだ。
そして彼がついたさまざまな嘘もあっけなくバレ、
婚約者だと言い張ったのも
真実を知る者がアイレンの代わりに否定してくれたのだ。
カアラたちはアイレンへの郵便物を奪い、
代わりに入学辞退の届けを偽装したが
”偶然にも”家に訪れていた郵便局員の手に渡り
”勝手に気を利かせた”メイドのおかげに、
誰が発送したか明らかになる”書留”扱いで出されたのだ。
ジュアンの件も、残された証拠や目撃者により
あっという間に真相が明らかになった。
レイオウとアイレンの”答え合わせ”をすると
さまざまな事実が浮かび上がっていった。
「……まあ、そんなことが」
過去のこととはいえ、アイレンの苦労を思い、
優しいセーランがいたわりの声をあげる。
アヤハはひたすらに”破邪顕正の剣”の効果を感嘆していた。
「ずごいわ! 全てがおのずと導かれるのね!」
「そこまで万能ではないが、悪事を行った者や
それを暴こうとする者に接しさえすれば”反応”するようだ」
感心する彼女たちを置いて、
レイオウはどこか、不思議そうな顔をしていた。
しかしアイレンはしみじみと
剣に向かって頭を下げながら言う。
「知らず知らずのうちに、大変お世話になりました。
お力添えいただき、本当にありがとうございます」
その言葉に、剣が淡く光る。
礼には及ばぬ、とでも言っているようだった。
その時、八部衆たちが迎えに来たと
メイドが呼びに来た。
明るく見送るアイレンに手を振りながら、
4人は天満院家を後にする。
馬車に乗り込んで早々、クーカイがレイオウに問うた。
「先ほどの話だが。
”その剣に認められぬ者は、触れることも出来ない”
確かにそう言ったな?」
レイオウはうなずき、右手で支える剣を見た。
アヤハが試しにそれに触れようと手を伸ばすが。
バチッ!
「きゃ! 痛っ!」
慌てて手を引っ込めて、顔をしかめる。
レイオウは笑って言った。
「四天王家の姫だから、その程度で済んだのだ。
もし悪人が触れようとすれば、
手を近づけただけで体が微塵に切り刻まれるぞ」
「そんな物騒なもの、すぐにお収めください!」
思わずセーランが叫んだ。
レイオウは剣を龍笛に戻し、ふところにしまい込む。
そしてクーカイに向かって答えた。
「その通りだ。つまり」
「”破邪顕正の剣”は、あの娘を認めたのだな?」
クーカイが答えを引き継ぐ。
それを聞き、アヤハとセーランはハッとなる。
それもそうだ。
この一年以上、アイレンは
これを肌身離さず持っていたのだ。
レイオウは苦笑いしながら言う。
「俺も驚いたよ」
北に旅立つ数日前、机に置いたままの龍笛を
こともなげにアイレンに手渡されたのだ。
この件があったからこそ、
レイオウはこれを”お守り”にすることを思いついた。
「それは、アイレン様を
北王妃に選ばれたからでしょうか?」
セーランが言うと、レイオウは首をかしげて言う。
「いや、それは違うと思う。
何故なら俺の母はこれに触れることはできない」
「ええっ?!」
衝撃の発言に、クーカイたちは目を見開いて驚く。
レイオウはさらに、疑問を呈したのだ。
「先ほどアイレンから、
さまざまな事件について聞いたが。
剣から聞いたこととは少々異なるのだ」
不正を明らかにし、正義を示す剣。
しかしツグロやカアラが受けた”罰”は
剣によってもたらされたものではないものが含まれていた。
レイオウ達は知らなかった。
それはアイレンの生まれながらに持つ、
”意図反射”という力によるものだったのだ。
二つとない至高の宝であり、
最高の攻撃力を誇る神剣。
本来、持ち主の側を離れるのであれば、
北王門家の宝物庫にて
厳重に保管されるべき貴重な品なのだ。
それをやすやすと恋人に持たせていたとは。
アヤハは戸惑いながらも、笑顔で尋ねる。
「あ、アイレンはそれを知っていて……」
上位華族の天満院家なら、
丁寧に保管することも可能だろう、が。
「いや、言っていない。
突っ返されたら困るからな」
レイオウの言葉に、アヤハはがっくりと肩を落とした。
その横でセーランが、
なぜかホッと息をついてつぶやく。
「……レイオウさまとのご婚約が嘘で、
本当に良うございました。
私には無理です、ついていけません」
同じことをされ、後から国宝だと知らされたら。
セーランだったら気絶し、
そののちレイオウから受け取るもの全てを
意味もなく恐れてしまうだろう。
しかしクーカイは別の事でドン引きしていた。
「……確か、君は数多くの妖魔を滅しただけでなく
世界中の羅刹を瞬殺したと聞いたが。
この一年あまりの戦い全て、
あの剣無しでの勝利だったということか?」
レイオウはそれがどうした、という顔で返す。
「俺はあの剣が無ければ戦えぬような者になるつもりはない。
元より、滅多なことでは使わぬつもりだ」
クーカイは幼馴染のこの男が、
急に遠く、恐ろしく感じられた。
では、破邪顕正の剣を持ったレイオウは
どれほどの強さを持つというのだろうか。
その時。
「ふふっ」
あぜんと話を聞いていた天帝妃が吹き出したのだ。
口元に袖を当て笑っていた。
その目にはうっすら涙がうかんでいる。
そして顔を上げ、4人の若き四天王家に告げたのだ。
「私は帝都の動きを知りながら、
病床の我が君を案じるばかりで
何も出来ずにおりました。
それは妃として恥じ入るばかりでございます」
そんなことはない、といいかけた4人を制し。
天帝妃は目を伏せて言葉を続けた。
「我が君が動けぬ今、彼らを止めることはできません。
このまま彼らに政を預けることが
良い事か悪い事なのかも判断つきませんでした。
……しかし」
彼女は顔を上げて、はっきりと命じたのだ。
「やはり、彼らにあるのは任務遂行の意識ではなく
私利私欲がからんだ悪しき意図のようです。
四天王家の方々にお願い申し上げます。
どうか、世を悪からお守りください」
レイオウ達は椅子からおり、
片膝をついて頭を下げ、返答する。
「承知いたしました。
……全ては世の平安のために!」
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「アイレン、以前預けた龍笛だが……」
天帝妃の離宮を辞した後、
レイオウたちはすぐにアイレンのもとに向かった。
レイオウの問いに、アイレンはうなずき、
右手を胸元に当てたのだ。
「ここにございますわ……大切なものですもの」
それを相変わらずネックレスとして
身に着けていてくれたと知り、
レイオウの頬がゆるむ。
「あら、じゃあちゃんと大事なものだと
気付いていたのね?」
アヤハの問いに、アイレンはにこやかに答える。
「ええ、大切ですわ。
私にとっては国宝以上に宝物なんです。
リオ……レイオウ様から受け取った物ですもの」
国宝以上、と聞いて、クーカイたちは苦笑いしてしまう。
それはまぎれもなく国宝なのだが、と思いながら。
アイレンはするすると鎖を引き寄せ、
胸元から取り出した小さな龍笛を
レイオウへと手渡してつぶやく。
「……一年以上もの長い間、
私を支えてくださいました。
何よりも心の支えとなりましたわ」
その言葉にレイオウは感極まり、
アイレンを抱きしめる。
彼女を迎えるためとはいえ、
”両親と弟が生死不明”という、
一番不安な時期を独りにしてしまったのだ。
「もう大丈夫だ。
これからは俺が側で守ろう」
レイオウはそう言うと、アイレンもうなずく。
その時、レイオウの手のひらから強い光が漏れ出した。
驚くアイレンに、レイオウが優しく告げる。
「大丈夫だ。何か告げたいことがあるらしい」
見れば、小指くらいの龍笛だったのが
元の大きさに戻っていた。
それをレイオウは掴み、半眼で黙り込む。
クーカイたちは皆、気付いていた。
レイオウが龍笛……
つまり”破邪顕正の剣”と対話しているのだと。
やがて眼を開け、レイオウがつぶやいた。
「……そうか。ご苦労だった」
誰に言ってるの? という顔をするアイレンに
レイオウは呆れたような顔で言ったのだ。
「大変だったな。
ただでさえご両親のことが心労だったろうに
”シグネットリング”の盗難や
”偽の婚約者騒動”など許し難いな。
ツグロにはお灸をすえておかねばならぬ」
話したことも無い古い事件を言い当てられ、
アイレンは両手を口に当てて驚いた。
しかもそれだけではない。
「”私立学校への偽装辞退”、
さらにはジュアンの家に対する犯罪行為。
カアラの奴、もっと完全に潰しておくべきだったな」
あぜんとするアイレンに、
レイオウは不穏な言葉を吐き捨てる。
「どうして、それを?」
アイレンの問いに、レイオウは笑顔になり
龍笛を握り、前へとかざして言う。
「これの本当の姿は笛ではない。
……見ていてごらん」
目がくらむような光を放ち、
龍笛が大きな剥き身の剣へと姿を変えた。
柄も鍔も無骨でシンプルだが
銀色の刃身には、黒い文様が浮き出ている。
後ろでクーカイたちがゴクリと唾をのみ込んだ。
自分の親王たちでさえ見たことがないであろう
伝説のような存在の剣を
レイオウはあっさりとアイレンに見せてあげたのだ。
「これは”破邪顕正の剣”といい、
俺の家に代々伝わる剣だ。
しかし子孫の誰しもが扱えるわけではない。
この剣と”対話”でき、認められた者のみが
触れることを許されるのだ」
「……今、何と言った?」
クーカイが目を見開いて尋ねる。
それをレイオウはうなずき、話を続けた。
「この剣は君の側で、
君に降りかかる不正や悪事を振り払っていたのだ。
未然に防げたか、起きてもすぐに
真実が露呈したのではないか?」
レイオウが言う通りだった。
シグネットリングは、翌日には
犯人であるツグロが持ってきたのだ。
そして彼がついたさまざまな嘘もあっけなくバレ、
婚約者だと言い張ったのも
真実を知る者がアイレンの代わりに否定してくれたのだ。
カアラたちはアイレンへの郵便物を奪い、
代わりに入学辞退の届けを偽装したが
”偶然にも”家に訪れていた郵便局員の手に渡り
”勝手に気を利かせた”メイドのおかげに、
誰が発送したか明らかになる”書留”扱いで出されたのだ。
ジュアンの件も、残された証拠や目撃者により
あっという間に真相が明らかになった。
レイオウとアイレンの”答え合わせ”をすると
さまざまな事実が浮かび上がっていった。
「……まあ、そんなことが」
過去のこととはいえ、アイレンの苦労を思い、
優しいセーランがいたわりの声をあげる。
アヤハはひたすらに”破邪顕正の剣”の効果を感嘆していた。
「ずごいわ! 全てがおのずと導かれるのね!」
「そこまで万能ではないが、悪事を行った者や
それを暴こうとする者に接しさえすれば”反応”するようだ」
感心する彼女たちを置いて、
レイオウはどこか、不思議そうな顔をしていた。
しかしアイレンはしみじみと
剣に向かって頭を下げながら言う。
「知らず知らずのうちに、大変お世話になりました。
お力添えいただき、本当にありがとうございます」
その言葉に、剣が淡く光る。
礼には及ばぬ、とでも言っているようだった。
その時、八部衆たちが迎えに来たと
メイドが呼びに来た。
明るく見送るアイレンに手を振りながら、
4人は天満院家を後にする。
馬車に乗り込んで早々、クーカイがレイオウに問うた。
「先ほどの話だが。
”その剣に認められぬ者は、触れることも出来ない”
確かにそう言ったな?」
レイオウはうなずき、右手で支える剣を見た。
アヤハが試しにそれに触れようと手を伸ばすが。
バチッ!
「きゃ! 痛っ!」
慌てて手を引っ込めて、顔をしかめる。
レイオウは笑って言った。
「四天王家の姫だから、その程度で済んだのだ。
もし悪人が触れようとすれば、
手を近づけただけで体が微塵に切り刻まれるぞ」
「そんな物騒なもの、すぐにお収めください!」
思わずセーランが叫んだ。
レイオウは剣を龍笛に戻し、ふところにしまい込む。
そしてクーカイに向かって答えた。
「その通りだ。つまり」
「”破邪顕正の剣”は、あの娘を認めたのだな?」
クーカイが答えを引き継ぐ。
それを聞き、アヤハとセーランはハッとなる。
それもそうだ。
この一年以上、アイレンは
これを肌身離さず持っていたのだ。
レイオウは苦笑いしながら言う。
「俺も驚いたよ」
北に旅立つ数日前、机に置いたままの龍笛を
こともなげにアイレンに手渡されたのだ。
この件があったからこそ、
レイオウはこれを”お守り”にすることを思いついた。
「それは、アイレン様を
北王妃に選ばれたからでしょうか?」
セーランが言うと、レイオウは首をかしげて言う。
「いや、それは違うと思う。
何故なら俺の母はこれに触れることはできない」
「ええっ?!」
衝撃の発言に、クーカイたちは目を見開いて驚く。
レイオウはさらに、疑問を呈したのだ。
「先ほどアイレンから、
さまざまな事件について聞いたが。
剣から聞いたこととは少々異なるのだ」
不正を明らかにし、正義を示す剣。
しかしツグロやカアラが受けた”罰”は
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レイオウ達は知らなかった。
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