君と僕とで異世界転生!?

翼姫

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ハーフエルフの長の意思

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「エルフの掟を壊す!?!?シエラさん何言ってるか分かってる!?」
「えぇ。僕はエルフの国に行き、国王に話をつけてきます。」
「もちろんロードはどこへでも行きますよ!!」
「まぁ俺も約束だからな。何より暇だし。」
「シエラさんもロードちゃんも、ガイオスさんもむちゃくちゃだよ…。掟を壊すってことは国を壊すようなもの。しかもよそ者がよ。」
「でしょうね。しかし困っている方がいる以上そんなこと言ってられない。その掟のせいで両親を無くした方も。離れ離れになっているんだよ?ここにいるハーフエルフのお子さんたちは実のお父さんと。奥さんはみんな自分の旦那さんを忘れてしまっている。そんな掟が正解だなんて思えない。少なくとも僕は間違いだと思ってる。」
「そんなこと聖騎士達は一言も……」
「知られては困ることがあるんだよ。きっと他にも沢山あるよ。魔物を裏切った王もきっとそのうちの一つ。とにかく明日の朝僕らは出るよ。勇者さんには申し訳ないけど来られないのならあなたとはここでお別れになる。」
「なんだかシエラさんは私よりもよっぽど勇者みたいね。拓弥もそうだった。私よりもちっさいくせにどんな事があっても私を守る。おかしいよね。」
(失礼だな……小さいは関係なかっただろ。)
「でも、だからこそ私は惹かれたんですけどね……。あっ、すみません話がズレたね。私も一応子どもではあるけど勇者です。私が帰るわけにはいきません。何より強くなれる何かがここにあると聞いたし、きっとこれがその事かも……。ぜひ私も行かせて。」

「わかった。それでは明日一緒に行こう。」

僕らはひとまず眠りについた。




















次の日の朝、僕はみんなよりも早く起きて、美琴を起こして基本の剣術を叩き込んだ。身を守るだけの剣術じゃきっと無理だ。魔法の力はあるんだろうが体がまだ追いついていない。そんな状態で魔法をつかわすわけにいかない。思っていたよりも美琴は覚えが早かったから2時間もすれば剣を上手く扱えるようになった。

もう一度美琴を守りたい。今度は死なずに守りきる。そうすれば罪悪感に駆られて、あんな悲しい顔をすることなんてなかったのだから。僕のことを語る時の美琴は見てられないほど悲しい顔をするから。






3時間ほどでエルフの国、エルフェーネに到着した。


「シエラ様、ここがエルフの国で間違いありません。ここは何か変な感じがします。」
「ロードもそう思うか?僕もそう思っていたところだ。」
「そもそもなんで誰もいねぇんだ?どうやらこの国、何かあるらしいな。」
「一体なんなの?このどんよりしたまとわりつくような変な空気。」
「これは空気じゃないよ。魔力だ。けれどエルフのものじゃない。この魔力は感じたことがない。」
「この魔力はもしかしたらあの事件の時と同じやつのものかもしれないな。とにかく王様とやらのとこに行こうぜ。」

僕らはすぐさま国王の元へ向かった。
しかし……
「誰だ貴様ら?とっとと帰れよそ者が。この国に入ることすらおこがましい。」
と言われそのまま門前払いだった。


しかしひとつわかったことがある。
「間違いなく城の中にいるな。この魔力の正体が。」
「ですね。私この魔力とても嫌いです。」
「私もよ。出来れば近づきたくないほどの嫌な感じ。」
「どうすんだよシエラ。」
「そうだね……まずは別のところから入れないか探そうかな。ロードとガイオスは城の周りを探索してきてくれないか?僕は勇者さんと一緒に情報を集める。」

ひとまず僕らは二手に別れることに。

「ねぇ、シエラさん。私の事その勇者さんってゆうのやめてくれないかな?美琴でいいよ。」
「別にいいけど、それなら僕のこともシエラでいいよ。あまりさん付けは好きじゃないんだ」
「わかったわシエラ。」
「早く情報集め行こう、美琴」
「うん!」
こうしてそれぞれの仕事が始まった。
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