君と僕とで異世界転生!?

翼姫

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勇者と魔王の密かな同盟

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「シエラ様を今すぐ城へ……。セーラの力を……今すぐ……」
「……わ…った」
「私も……」
遠くでみんなの声が聞こえた気がした。必死になにかを話しているようだった。







「……シエ……めを…て」
(……ん…誰だ?)
「シエ………ま、シエラ……ま!」
(2人…いる?)
「シエラ!」「シエラ様!」
「うるさいな…今起きるよ」
「「!?」」
ムクリと体を起こすと、そこに居たのは美琴とロードだった。
「ここは?」
(まだ頭がボーっと…)
「ここはデリオラです。魔王様の城にございます、もう5日間も眠ってらしたんですよ?」
「そんなにか…?ん?なんで美琴が?」
「大丈夫。ある程度の話はもう聞いたわ。後でゆっくり話すから、まずはセーラさんとエルさんに起きたことを知らせなきゃ」
「ガイオスさんにも知らせましょう」
頭はまだボーッとするものの、意識を取り戻したシエラは、美琴に呼ばれて飛んできたエルとセーラに苦しくなるほど強く抱きしめられた。その後2人は大声で泣いていた。ロードも、その後ろで泣いていた。



ー1時間後ー
「落ち着いたか?2人とも」
「「……はい」」
ロード以上に泣きじゃくっていた2人がようやく泣きやみ、美琴にどこまで話したか、意識を失っている間に何があったか、ルナがいるエルフの国はどうなったかなどを順々に聞いた。
美琴にはシエラが10年前に目覚めた魔王であることや、なぜ旅に出たか、そしてロードはシエラに作られた魔物だということや、ガイオスも魔物であるということ、人族と魔族が戦うことになったいきさつなどを教えたときいた。
意識を失っている間はロードとセーラが必死になって治療してくれたらしい。
そしてエルフの国、【エルフェーネ】は、ルナの両親が見つかり、いい方向に進んでいるらしく、掟も1ヶ月後には無くなるらしい。
「ところで…悪いんだが美琴と話したいんだけど…いい?」
「「わかりました」」
申し訳ないけど2人には部屋を出てもらった。そして入れ替わるようにして美琴が入ってきた。

沈黙がつづく。


「「…………………………。」」

そして……

「「ごめんなさい!!」」

「「え?」」

お互い同時に謝り、驚く。
「え?なんで美琴が謝るんだ?」
「だって……私最初から知ってたから。」
「え?」
「あなたがセーラさんを助けに来たあの日から知ってたの。知ってて近づいたの。森を抜けた先で出会ったのも偶然じゃなくてわざとなの。どうしても拓弥としての記憶があるのか確かめたくて。」
「……そっ…か。黙っててほんとに悪かったと思ってる。記憶はしっかり残ってるし、今も……今もすごく美琴のことが好きだよ。こんな姿になっちゃったけどさ」
「私だって!……けど、なんで…。なんで先に死んだの……?私…私ずっと苦しくて悲しくて怖くて……。」
「ごめん……。」
「いや…いいの。これじゃ責めてるみたいだもんね。…拓弥、助けてくれてありがとう」
「美琴……」
2人の目が合う。今は自分の置かれている立場を忘れ、生きていることを確かめるように互いの頬に触れ、抱きしめあった。




数分後、落ち着きを取り戻した2人は今後についての話を始めた。拓弥は魔王シエラとして。美琴は勇者として。

「美琴。これからどうするつもりなんだい?俺を殺す?」
「絶対いや!だって昔の記憶がある以上拓弥は…シエラは他者を殺すことなんてできないもの!そうでしょ?」
「…………。いや、俺は殺すと思う。少なくとも魔王としての本能があることを今回自覚したんだ。俺はあの幼い少女が来なければオーエンのことを……殺してた。」
「あれは私たちのことを殺そうとしてたからで…」
「どんな理由があっても事実だ。」
「そんな……でも戦う理由なんて私たちにはないじゃない!人族と魔族の戦うことになったきっかけは別にあるって……」
「そうだね。だから俺も探してるんだ。その理由を。そして見つけた、たった一歩にしかならない事だとしても。」
「じゃぁ…」
「うん。このままいけば俺達は戦わなくてすむかもしれない。でも忘れないで欲しいんだ。君は人間側の味方でなくてはならない。いくら魔王と言っても現状配下じゃない魔物だって多くいるし。それらから罪のない人々を助けて欲しい。これは俺の仕事じゃない。“勇者”の仕事だ。」
「……わかった。でも約束して?もう私を庇って死ぬなんてことしないで。それと真犯人を倒すまで手伝わせて。今度は私が助けたい…」
「うん、わかった。無理はしちゃだめだよ」
「お互いね」



こうして2人の間に[魔王と勇者の]

  “魔勇共闘同盟”が密かに組まれることとなった。

あれからロードやガイオスはこれからを共にする仲間だということもあって、自分の前世の記憶と、前世の美琴との関係を打ち明けた。


















この頃、の本拠地では。



「ただいま戻りましたわ」
黒く重たい鉄扉を勢いよく開いてあのが中へ入ってきた。
「よく帰ってきたねミーナ。オーエンは無事だったかい?」
「いいえ、ボロボロでしたわ。全くなんてことをしてくれるのかしら……魔王の分際で私のお兄ちゃんを…。まぁ私があと少し遅かったらお兄ちゃんは魔王を殺してたわ。」
「彼は私のお気に入りだからね。そう簡単に死なれては困る。それよりオーエンが危険だ。早くこっちへ連れておいで」
「すみません…マジェスティ…。」
「かまわないさ。この傷は私が君に演技をするようにいったことが原因で……ん?もうだいぶ回復してるじゃないか。さすがだよオーエン。この調子なら私の治癒は必要ないね。」
「これもマジェスティのおかげです。あなたの加護があってこそのこと。」
「自己再生は君の元々の力だ。加護が発動するのは君たちが命の危険を感じた時だけだ。」
「はい。まさか魔王があんなにも弱いとは思わず…。弱いという演技でもせねば殺してしまっていました。」
「怒っていたのは本当だけど、さすがにお兄ちゃんが弱いなんて演技を見ているのは少し嫌だったわ。お兄ちゃんがあんな魔王にやられるはずないもの。」
「ごめんよミーナ。お詫びに今日は私がケーキを作ってあげよう。」
「ほんとう!?」
「あぁ。」
「相変わらず仲がいいね、見てるだけで私も幸せな気持ちになるよ。さぁ、今日までお疲れ様オーエン、ミーナ。偵察も今日で終わりだし、今日はもう帰っていいよ」
2人は一礼し幸せそうな顔をしながら外へでていった。
















「さて……これからだよシエラ。あぁ、楽しみだ、はやく強くなって私に会いに来てくれ。久々に君に会いたいよ。魔王の血を引く者、くん。」
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