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第二章 新たなる出会い
13 相棒ができた
しおりを挟む子ライオンに名前をつけた。
花子と太郎にした。
母さんに殴られた。俺もネーミングセンスがなかった。
姉ライオンには、ライヤ。
弟ライオンには、レオ。
家族構成が違うがアニメからパクった。
名前をつけたら、驚いたことがおきた。
『ぼく、もっと小さくなれるよ。』
レオが言うと、なんと普通の猫の大きさに変化したのだ。レベルが関係しているのかライヤは変化できないらしい。
ふたりとも毎日ミルクを半端なく飲んでいるので、元気になった。
ちなみに小さくなったレオならミルク代を節約できると思ったが、小さくなっても飲む量は変わらなかった。
それと、流暢にしゃべるようになった。
特にレオは興味津々でいろんなことを質問してくる。
さすがに、この大きさでは外へ連れていけず、家の中でしか行動できなかったが、普通の猫と同じくらいの大きさになれるなら外に連れだせる。
うーん、耳が少し丸くて、手足がまあまあ太いが、外国のめずらしい猫といえば通るだろう。
ライヤも、体力がついてダンジョンでレベル上げすれば、変化できるようになるだろう。
母さんも少しずつだが二人に慣れ、レオが抱っこできる大きさに変化したので大喜びだ。
言葉はわからないようだが、「ライヤちゃんも早く小さくなれるといいわね。」というと「にゃーん(はい)。」と会話が成立している。
母さんもファンタジーに馴染んでいる。
家の中もにぎやかになった。
小さいレオをつれて、牛舎に行った。
牛を見てレオが言った。
『おいしそう』
「まてまて。いいか、レオ。これは牛といって牛乳をだしてもらっている。
食べるんじゃないぞ。」
『牛乳ってなあに?』
「乳の事だがミルクともいう。ミルクでおいしい食べ物が作れるんだ。レオももう少し大きくなれば、食べれるようになるから、牛たちとは仲良くするんだぞ。」
『わかった。』
キラキラした瞳を牛たちに向けたレオだったが、レオより何倍も大きいのに牛たちは本能なのか、レオをみて怖がって固まっている。そして、牛たちはレオの強さを感じてか、後ずさりしていった。
かわいそうなので、牛舎をあとにした。次は鶏小屋だ。
あれ、鶏小屋に一羽もいない。どこにいったのかと探したら、遠くにやはり固まって集団でこちらをうかがっていた。
どうやら、レオの強さを感じ取った鶏らは、逃げ出していたようだ。
そちらを指差して、レオに言った。
「レオ、あれは鶏といって卵産んでもらっている。
やはり、おいしい食べ物に使うから、鶏も食べるんじゃないぞ。」
『卵知ってるよ。白くて丸いもの。母さんが持ってるのを見たことあるよ。』
なぜ俺のことをママと呼ぶのか聞いてみたら、単に乳をくれる者はすべてママと呼んでいるらしい。
俺が母さんと言っているのを覚えたレオたちは、俺の母親の事は『母さん』と呼んでいる。
ちなみに俺のことはなんとか説明して、今は『パパ』と呼ばれている。
そのあと、畑や田んぼに行った。
「こんなふうに整地された土地は、畑や田んぼと呼んでいる。畑や田んぼに入って荒らすんじゃないぞ。うちだけじゃなく、違う家の田畑もダメだぞ。」
『わかった。』
「賢いな。」
うちの子、素直で可愛い。抱き上げて頭をなでてやる。
そのまま、工場に向かう。
工場は、今では近隣20名くらいの、高齢男女が働いている。
ダンジョン野菜やネット用高級きのこ果物の袋詰め、チーズケーキなどを中心とした乳製品製造、ワインの瓶詰など俺でも把握できないほど商売を広げている。
自家製チーズ作りもはじめ、本格的な酵母室まで作られている。
ネット販売はもちろん、大手スーパーとの取引きも順調らしく、あいかわらず活気にあふれている。
すべて母さんとその仲間たちに任せている。
俺はというと、材料倉庫にせっせとダンジョンアイテムを運びこんだり、こっそりとワイン作りをしている。
ふと気づいたが、近隣の高齢者たちが若返っている。
ひざが痛くて歩けないとこぼしていた70代の佐々木のばあちゃんが走っているのをみた。
やはり、高齢と糖尿病で目が霞むと言っていた、60代の高田のばあちゃんがパソコンを使って事務仕事をしていた。ものすごいタイピング技術だった。
70代の田所のじいちゃんが米俵を素手でもちあげていた。
などなど例をあげるときりがない。
どうやら、スライム水やダンジョン野菜などを食べているせいか、みな健康になり元気に働いているので、気力も体力も充実しているようだ。
衛生上動物は入れないので、レオを抱きながら工場の窓から中をのぞくと、10人くらいのじいさんとばあさんが働いていた。近隣のほとんどの人がいるんじゃないだろうか。
「レオ、ここは母さんたちが食べ物を作っている場所だから、清潔な人しか入れないんだ。みんな仕事中だから邪魔しちゃだめだぞ。あと、俺や母さん以外にもたくさんの人がここにはいるが、絶対襲うなよ。それと、大きい姿だと皆、驚くから気をつけろよ。」
『うん。わかった。』
レオを抱いたまま、工場のすぐ横にある事務所に向かった。
事務所には4人のばあさん、もとい母さんを含め奥様方がいた。
「あら、たっちゃん。その子が拾った子猫なの?ちょっと大きいのね。」
60代タイピング技術に特化している、高田のばあちゃんが声をかけてきた。
「そ、そうなんだ。きっと海外の猫なんだよ。捨てられ野生化したから大きいのかな?うちで育てることにしたからいじめないでね。ハハハ。」
俺は顔を引きつかせながら言った。
レオがナイスタイミングで鳴いてくれた。
『みゃあ、みゃあ、みゃあ(ぼく、レオだよ。よろしくね。)』
「あら、みてくれは大きいけど鳴き声は子猫ね。」
鳴き声で事務所にいた、奥様達が集まってきた。
「あら、真っ白真っ青な瞳の猫ね。」
「ふわふわね。」
レオは奥様達の人気者になり、おとなしく頭をなでられていた。
「今、悪さしないよう教えているところ。賢いから可愛がってやって。あっ電話鳴ってるよ。それじゃ。」
俺はそそくさと、レオを抱きしめ事務所を出た。
ライヤもすっかり元気になり、レオとじゃれている。
「レオ、ライヤ。明日から一緒にダンジョンにはいるぞ。まずは、ライヤのレベル上げをするから、狙いはメタルスライムだな。」
『うん、パパと一緒にダンジョンに行くの楽しみだわ。』
赤い瞳をキラキラさせて、うちの娘はなんて可愛いんだ。元気になってよかった。
『僕も、僕も。』
「そうだな。三人でレベル上げをがんばろう。」
レオとライヤが俺に飛びかかり、じゃれついてきた。今はふたりとも抱き上げることができるが、あっという間に大きくなるだろう。小型に変化できてよかったと思う。
しばらく三人して遊んだ。
ライヤがまだ変化できないので、姿を見られないよう夜明け前にダンジョンにいった。
3階に行こうとしたら俺とレオは入れたが、ライヤに立体スクリーンの表示がでず3階魔法陣部屋にいけなかった。
聞いたところ、ライヤはまだ魔物を倒したことがないらしい。
そこで、一階層のスライムを倒して、下の階層に向かうことにした。
普通のスライムがいたので、ライヤに倒させることにする。
ライヤのダンジョン・デビューだ。
せっかくなので、携帯カメラで撮りたいが、ダンジョンや魔物の事は極秘なのでやめておく。
俺とレオはすぐ助けに入れるよう構えながら、ライヤを見守った。
俺たちの心配をよそに、ライヤはいとも簡単に、爪でスライムを一太刀で倒した。
あっという間のできごとだった。
それに、戦う時、爪が通常より3倍も長さが伸びた。爪って伸びるんだ。さすが、猫族最強種。
それからは、ライヤが先頭で、次々と出会うスライムを倒していった。
俺があれほど苦労した複数のスライムも、いとも簡単に倒していく。
迷路を迷うことなく、最短でボス部屋へと向かっている。なんとなく方向がわかるそうだ。
ふたりは走りながらスライムを倒して行く。俺は、その後をひたすらアイテムを拾いながら追っかけた。
あっという間に1階層ボス部屋にたどりついた。
魔法陣に乗ると、俺は【4階まで】、レオは【3階まで】、ライヤは【2階まで】とばらばらの表示が出た。
やっぱりレベルが関係しているらしい。
2階層にいき、やはりライヤを先頭に、2階層スライムを倒していく。
『野菜すら』が爆発しない。どうやら、【威圧】スキルで爆発しないようだ。
苦もなく2階層スライムを倒していく。集団スライムも二人して簡単に倒していく。
ドロップするアイテムの量がすごい。
俺は母ライオンのおかげで収納魔法を譲り受けていたので、どんどん詰め込んでいった。
収納魔法、便利だ。大量に保管できるうえ、いわゆる状態保存、劣化や腐りもせず温度も保管した時のままで、重量も関係なく収納できる。
とりあえず、かたっぱしから詰め込んでいった。
またも走り抜けながら、あっという間に2階層ボス部屋にたどりつく。
魔法陣に乗ると、俺は【4階まで】、レオとライヤが【3階まで】の表示になった。
【鑑定】
種族:ホワイトエンペラーライオン ライヤ 生後10日 メス
レベル5
契約者:神崎達也
ダンジョンネコ科系モンスターの最強種。リーダーの雄に雌が数匹、群れを作り集団生活をしている。
すごい、たった数時間でライヤのレベルが5まであがった。
3階層にも行ける。
ここからはひたすら『メタすら』でレベル上げをしていこう。
魔法陣を使って三人で3階層に行く。
3階層を一日中探索したが、『メタすら』は3匹しか出なかった。
2匹をライヤが倒し、1匹はレオが倒した。
さすが、レアスライム、出現率が低い。
しかし、ふたりの攻撃力がものすごく高い。
【鑑定】
種族:ホワイトエンペラーライオン レオ 生後10日 オス
レベル13
契約者:神崎達也
ダンジョンネコ科系モンスターの最強種。リーダーの雄に雌が数匹、群れを作り集団生活をしている。
【鑑定】
種族:ホワイトエンペラーライオン ライヤ 生後10日 メス
レベル11
契約者:神崎達也
ダンジョンネコ科系モンスターの最強種。リーダーの雄に雌が数匹、群れを作り集団生活をしている。
1日でかなりレベルも上がった。
この調子でいけば2・3日で、4階層にも行けるだろう。
今まで、ボッチだったが、やはり仲間がいると楽しい。
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