私が作るお守りは偽物らしいです。なので、他の国に行きます。お守りの効力はなくなりますが、大丈夫ですよね

猿喰 森繁

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「ぎゃあああああ!!!」
「わんわんわんわん」

そのころ、私はポン助の背に乗って、大陸を移動していた。
さて、なぜそんなことになったのかというと、



「疲れた」
「情けないなぁ」
「しかたないでしょ。基本的に座り仕事で、ずっと在宅勤務。散歩はしても、こんな長時間、慣れない道で歩き続けて疲れないほうがおかしいわよ」
「こんなんじゃあ、近くの国に行くまで日が暮れる」
「いや…そんな1日でつくような距離じゃないって」

ぐだぐだぼやきながら、歩いているとポン助が、お座りしてしまった。

「ポン助も疲れちゃったよね~」
「わんわん」
「そうだよね~…て、な、なに!?ぽ、ポン助?」
「わん!」

座り込んだポン助が、いきなり私の足の間に無理やり頭をねじ込ませてきた。

「股開けって」
「言い方…ん、これでいいの?」
「わん」

ポン助は、私の足の間に入り込むと吠えた。
何がしたいのやら。

「どうやら背に乗せてくれるらしいぞ。よかったな。飼い主以外は絶対に背に乗せないって言われているのに。ずいぶんとなつかれてるな」
「背に乗せる?」

この可愛いポン助が?
ははっ。むりむり。
いくら大きくても人を乗せて、移動できるなんて、馬や牛くらいの大きさじゃないと無理だ。
私が情けなくも「疲れた~」と弱音を吐いていたから、優しいポン助は気を使ったのだろう。人の言葉を理解できると言ってたし、その言葉は嘘じゃないのだろう。

「気持ちはうれしい…え」

ポン助が、光り輝いている。
そして、むくむくと足が太くなり、体がどんどん膨らんでいく。

「は?」

真っ白な体には、金色の模様が浮き出てきている。
体も神々しい光に包まれており、まるで神様みたいだ。

「いや。神様だったわ」
「正確には、神様の眷属だがな」
「どっちにしても恐れ多いこと、この上ない」
「背中に乗っておいて、よく言うぜ」
「ってか、いつの間に乗ってたの」
「許可なければ、人間が背に乗るなんざ不敬罪もんだぜ。もう少し感動してもいいんだぜ」
「なんで、あなたが偉そうなのよ…ポン助。本当は、私が関わっていい存在じゃなかったのね…」
「ウ゛ウ゛ッ」
「え?なんか怒ってる。…やっぱり背中に乗るのまずい?」
「いや。助けてくれた恩人に、そんなこと言われてショックなのさ」
「助けたっていうか、ご飯あげただけなんだけど」
「最近の人間は、神様に茶碗一杯のごはんすらあげるのをためらうやつの、多いこと。おまけにお前がいた国は、俺たちより、よほど邪神がお気に入りらしい。おかげで、俺達の存在は、まるで空気だったんだぜ。神様は寛容っていうが、さすがに忘れられていい気はしないもんだ…」
「ん?」

アスランの言葉に私は首をかしげる。
色々とすごいことを言っていなかったか?
邪神とか、なんとか。

「アスラン。私たちが住んでいた国って、邪神なんて崇拝していないと思うけど。むしろ、あそこの国は、どこよりも神様を敬わない国とまで言われているのよ」
「でも、お守りは買ってるじゃないか」
「お守り…え?」
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