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私たちが案内されたのは、おそらくお客様をもてなすための部屋だろう。
室内が過剰にキラキラしていて、落ち着かない。
たまにSNSで見るような、スイートルームとロココ調を足したような、白と金を基調にしたキラッキラで、お姫様を夢見る幼女が、思い描くお城の部屋って感じがする。
真実ちゃんは、どう思ってるんだろう。
こういうの好きなのかな…ってちらっと見たら、真実ちゃんも私を見ていたようで、バチッと目が合った。

「えへへ。こういう部屋、来た事ないから落ち着かないですね」
「そうだね。お城自体行く機会ないよね」
「確かにそうですね」

「客人たち。こちらに座るといい」
「あ、はい……」

私から言ってなんだけど、王様じきじきにお茶のもてなしをされるのは、それはそれで、落ち着かない。落ち着く人間がいたら、大物すぎるけど。

「好きなだけ食べて、飲んでくれ。それとも別のものを望むなら、それを頼もう」
「あ、いいえ。大丈夫です」
「私も」

そう言って、お茶を飲むが、花のような味がする以外特に何も感じない。
緊張しているのかもしれない。
王子はブスッとしていて、ふてくされながら、まずそうに菓子を食べている。
その顔で、菓子を食べられて、こちらがおいしい顔できると思っているのか。

「それでは、客人たちがなぜこの国に連れてこられたかについて、話していきたいと思う」

ここ、クリムゾン王国は瘴気に悩まされていた。
前任の聖女が老衰でなくなって以来、この国の瘴気を浄化するものがいなくなってしまったからだそうだ。
そして、新たな聖女の誕生を国民全員で願っていたが、一向に現れることはなかった。神官たちによると、この国に聖女が誕生する神託もないため、ほかの国から迎える必要があるそうだ。
しかし、聖女がいないということは、国の弱さを明かすようなものだそうで、戦争の火種になりかねないそうで、そう簡単に聖女をくれとも言えないそうだ。
そこで考えたのは、異世界から聖女を引き抜こうということだったらしい。

昔から伝わる聖女召喚の儀式というものが各国に伝えられており、この国も例外ではなく、聖女召喚の儀式が存在していたらしい。
そして、その儀式によって、召喚されたのが、私たちだそうだ。

「……?」

頭がくらくらする。
王様の声が遠くなったような気がして、頭を振る。
話についていけないから、眠気がきているんだろうか。
確かに冷たい広間から、ほんのり暖かい部屋で、温かいお茶とお菓子を食べているから、眠くなるのもしかたないのかもしれないが。
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