勝手に勘違いして、婚約破棄したあなたが悪い

猿喰 森繁

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リリーが、私のベッドに手紙を置いていた犯人…?
確かに、それならおかしな手紙が、毎回ルームメイトのベッドに置いてあっても怖がることも心配もする必要はない。差出人は、自分なのだから。
それに私のノートに手紙を挟むことだって、リリーならできるだろう。

「僕が、代わりに聞いてやろう」
「それはだめ」
「なぜ?君は、この手紙を不気味に思っていたじゃないか。それに、また変な手紙を置かれても迷惑だろう」
「……」

リリーは、この学校で一番の友達なのよ。
あなたは、この学校でたくさんの友達に恵まれているし、育ちゆえに小さいころからの知り合いだって多いでしょう。
でも、私は違うの。
私をどうしても元平民。一代貴族という目で見てくる人は、今でもたくさんいる。
ルドルフやアーサーが、私に近づいているのを見て、露骨に嫌そうな顔をしている女生徒は、たくさんいる。
それを嫌がって、私となかなかお話してくれない、ほかの女の子たちに目をつけられるのが、嫌で近づいても逃げてしまう女の子のほうが多いの。
リリーは、特別なの。
だから、リリーがいなくなってしまったら、私、ひとりぼっちなの。そんなの、あなたは知らないでしょうけど。

「私から言う。私の問題だもの…いえ、私とリリーの二人の問題だもの」
「だが、」
「ルドルフ。お願い。これ以上は踏み込んでこないで」
「……」

ルドルフは、とても傷ついた顔をして、教室を出て行ってしまった。
私は、それを見送ることしか出来なかった。

―言いすぎてしまったかしら。
でも、しかたない。
本当にリリーと私の問題なのだ。
もしかしたら、ベッドに手紙を置くように指示したのは、リリーではないかもしれない。
手紙の主が、リリーではなく、別の人の可能性だってある。
だから、香水だけでは決め手にならない。

―ゴーン。

授業の予鈴がなっていたが、私は、とても授業に出る気力は起きず、そのまま寮に帰ってしまった。

「アリシア。体の具合が悪いの?お薬もらってきましょうか?」
「…大丈夫よ。少し疲れただけだから」
「そうですの?…なにか食べられそうなものはある?ゼリー?プリン?サンドイッチなら食べられそう?」
「ありがとう。リリー…お腹は空いてないから大丈夫よ。悪いけど、このまま今日は寝かせてもらうわね」

私が、食事を抜くのが、よほど驚いたのか。

「本当に大丈夫なんですの?お医者さんに見てもらったほうがよろしいのではないですか?」
「大丈夫…大丈夫よ。本当に」

まるで、重症患者を見ているような慌てっぷりに、なんだか笑ってしまって、しばらく布団にもぐっていた。
そんな私の様子を不思議そうにリリーが見ていた。

「アリシア?」
「…ねぇ。リリー」
「なぁに?」
「私たち、お友達よね?」
「……」

リリーは、にっこりと、学園中の男子が見とれる笑顔で言った。

「はい。もちろんです」

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