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憂季と宏高 6
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*
「・・・大学は?」
「・・・うん・・・」
従兄の匡貴がお見舞いがてら来た。
「・・・憂季」
「・・・」
「・・・先生も子供も無事だったんだから・・・な?」
「・・・」
匡貴が何を言いたいのかは解ってる。
「・・・もう15年だよ・・・姉さん達も
憂季が――」
「その結果がこれじゃない・・・」
「・・・」
:
「う゛っ・・・!!」
「・・・大丈夫だよ」
夕方になるとクラスメイトの李菜がお見舞いに来てくれた。
「・・・大丈夫だよ」
「ハァ・・・ハァ・・・!!」
「落ち着いた?」
頷くと李菜はティッシュと水が入ったコップを差し出した。
口を綺麗にすると李菜は私の隣に座った。
「・・・何で妊娠したこと言ってくれなかったの?」
「・・・宏高と約束したから・・・卒業式が終わったら、皆に話そうって・・・」
「・・・それと、これ」
李菜は小さな小箱と便箋を差し出した。
「赤先生の机の引き出しに入ってたって。30人分の手紙が・・・」
「・・・読んでないのは憂ちゃんだけだよ」
「・・・」
―――――
藤沢 憂季さん
まずは卒業おめでとう
初めて憂季を見かけたのは館濱高校の学校説明会でした。
てっきり、憂季は館濱に入るものだとばっかり思っていました。
でも憂季は館濱ではなく東宮原に入ったと聞きました。
翌年には俺が東宮原に赴任という形になり、憂季に再会出来た。
だから、友紀の担任になった時は嬉しかった。
たった1年間だけど憂季の担任が出来て、担任として憂季を見送れ、大勢の前で『藤沢 憂季』と呼べる。
それがどんなに嬉しいか。
だから、これから先も憂季と一緒にいたい。
こんな俺でも好かったら
結婚して下さい――
―――――
「宏高ッ・・・///!!」
あの事件以降、泣けなかった私は
声が出なくなるまで泣いた。
彼の話したいこと・・・
それがプロポーズだったなんて・・・
しかも・・・
卒業式の日に・・・誕生日に・・・数ヶ月後には母となる・・・私に・・・
宏高のバカ・・・
バカ・・・
憂季...
愛してる...
――・・・
「アアッ・・・!!ンアアッ・・・!!」
「頭見えてますよ・・・」
「アアアッ・・・!!」
10月25日、予定日まで1ヶ月あった私は破水した。
「ッアアア・・・!!」
(赤ちゃんの泣き声)
「ハァ・・・ハァ・・・///!!」
「ほれ、あと1人!!」
「マジかよ!!」
午後16時00分、第一子の女の子誕生。
その45分後、第二子の女の子誕生。
私は双子を出産した。
1人目は陽菜、2人目は悠可と名付けた。
――・・・
「・・・」
「・・・なら、俺のと交換する?」
「・・・交換して」
「ふん、憂ちゃんにしては素直だね~(笑)」
「・・・だってカシス嫌い」
三年ぶりに再会した宏高は、昔と変わらず優しかった。
憂季...
「・・・大学は?」
「・・・うん・・・」
従兄の匡貴がお見舞いがてら来た。
「・・・憂季」
「・・・」
「・・・先生も子供も無事だったんだから・・・な?」
「・・・」
匡貴が何を言いたいのかは解ってる。
「・・・もう15年だよ・・・姉さん達も
憂季が――」
「その結果がこれじゃない・・・」
「・・・」
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「う゛っ・・・!!」
「・・・大丈夫だよ」
夕方になるとクラスメイトの李菜がお見舞いに来てくれた。
「・・・大丈夫だよ」
「ハァ・・・ハァ・・・!!」
「落ち着いた?」
頷くと李菜はティッシュと水が入ったコップを差し出した。
口を綺麗にすると李菜は私の隣に座った。
「・・・何で妊娠したこと言ってくれなかったの?」
「・・・宏高と約束したから・・・卒業式が終わったら、皆に話そうって・・・」
「・・・それと、これ」
李菜は小さな小箱と便箋を差し出した。
「赤先生の机の引き出しに入ってたって。30人分の手紙が・・・」
「・・・読んでないのは憂ちゃんだけだよ」
「・・・」
―――――
藤沢 憂季さん
まずは卒業おめでとう
初めて憂季を見かけたのは館濱高校の学校説明会でした。
てっきり、憂季は館濱に入るものだとばっかり思っていました。
でも憂季は館濱ではなく東宮原に入ったと聞きました。
翌年には俺が東宮原に赴任という形になり、憂季に再会出来た。
だから、友紀の担任になった時は嬉しかった。
たった1年間だけど憂季の担任が出来て、担任として憂季を見送れ、大勢の前で『藤沢 憂季』と呼べる。
それがどんなに嬉しいか。
だから、これから先も憂季と一緒にいたい。
こんな俺でも好かったら
結婚して下さい――
―――――
「宏高ッ・・・///!!」
あの事件以降、泣けなかった私は
声が出なくなるまで泣いた。
彼の話したいこと・・・
それがプロポーズだったなんて・・・
しかも・・・
卒業式の日に・・・誕生日に・・・数ヶ月後には母となる・・・私に・・・
宏高のバカ・・・
バカ・・・
憂季...
愛してる...
――・・・
「アアッ・・・!!ンアアッ・・・!!」
「頭見えてますよ・・・」
「アアアッ・・・!!」
10月25日、予定日まで1ヶ月あった私は破水した。
「ッアアア・・・!!」
(赤ちゃんの泣き声)
「ハァ・・・ハァ・・・///!!」
「ほれ、あと1人!!」
「マジかよ!!」
午後16時00分、第一子の女の子誕生。
その45分後、第二子の女の子誕生。
私は双子を出産した。
1人目は陽菜、2人目は悠可と名付けた。
――・・・
「・・・」
「・・・なら、俺のと交換する?」
「・・・交換して」
「ふん、憂ちゃんにしては素直だね~(笑)」
「・・・だってカシス嫌い」
三年ぶりに再会した宏高は、昔と変わらず優しかった。
憂季...
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