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勘違いΩの口説き方
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過去のトラウマを思い出し姫乃はブルリと身震いした。
いい加減気持ちの悪さも限界だった姫乃は、野々村にトイレを貸してもらえないか尋ねた。
「あぁ、いいよ!姫乃くんにはここに慣れてもらう予定だしちょうどいい」
野々村の発言に若干の違和感を抱きながらも、ありがたく姫乃はトイレに駆け込んだ。
内臓がまろび出る程に嘔吐した姫乃は,野々村に水を入れてもらった。
口直しが済んだところで,姫乃は先ほどの疑問を投げかけた。
「ところで野々村くん、、、、」
「呼び捨てで構わないよ、できれば下の名前で呼んでほしいなぁ」
「じゃあ、芳樹、なんなんださっきの慣れてもらうって」
姫乃は先ほどと様子が逆転し、野々村の様子を伺うように顔を見た。
具合の悪さで忘れかけていたが、野々村はおそらく、姫乃に復讐をするためにここに連れてきている。
先程自分の家庭のことを話していたが、それも恐らく自分の家の力を示すためだろう。
ジリ貧生活の姫乃では、金持ちの野々村には決して勝てない。
そう考えた途端,先ほどのトラウマなど吹き飛ぶほどの恐怖に襲われた。
慣れてもらうとはつまり、何度もここに姫乃を呼んで復讐に及ぶのではないか?
姫乃はそんなことを悶々と考えて勝手に怯えていた。
「いやぁ、俺、姫乃くんとは仲良くしたいと思っていたからさぁ、昔から」
昔と聞いてさらに血の気がひいた。
昔とはおそらく小学生の頃のことだろう。
姫乃が野々村を虐めていた頃。
当時は復讐には及ばなかったために、見下されているか、はたまた単なるヘタレだと思っていたが、まさか時期を狙っていたとは。
そんな怯えた姫乃の表情を読み取ったのか、野々村は俯きがちな姫乃に合わせるようにしゃがみ込んだ。
「別に変な意味とかじゃないよ、本当に昔から姫乃くんは俺の憧れだったからさ。」
(憧れ、、、?)
姫乃は意味がわからなかった。
なぜ自分をいじめていた相手に対して憧れの念を持つのか。
もしかして野々村はマゾなのか?
「姫乃くんはさ、すごく自信家だったでしょ?うちの家庭は必ず生まれてくる子はαじゃなきゃだめって感じで、
親も兄弟も親戚もみんなαで、だからその、なんていうか、自分に自信がなかったんだよ。それに、もしαじゃなかったらっていうプレッシャーもあったし」
野々村は,そう自分の過去について語った。
そうか、αばかりの家だとそんなこともあるのか。
自分はβの家庭でよかったと姫乃は心底思った。
「だから俺,姫乃くんのこと心から尊敬していた。自分がαだって信じて疑っていないところとか。こんな人が、立派なαになるんだろうなぁって、だから、姫乃くんがΩだった時本当に驚いたよ」
姫乃は自分が情けなくなった。
自分が見下して虐めていた相手が、まさか自分よりも格上で,さらに自分のことを尊敬してくれていたとは。
ここまで話してくれたんだ。
この言葉を信じたい。
姫乃は、野々村が自分に復讐するためにここに連れてきていないんだと思い、姫乃は心の底からの本音で,誠心誠意野々村に謝罪した。
「ごめんな、芳樹、その、昔のこと、」
野々村は,何も言わずただ微笑んだ。
その瞳の奥には,何かを確信したような何かが見えた。
その後しばらく気まずい沈黙が流れたあと、姫乃は体調不良を理由に家に帰った。
帰りまで送って行くと野々村はいったが、流石に悪いと今度こそタクシーを使った。
どこか残念そうな表情で、野々村は姫乃がタクシーに乗り見えなくなるまで見送った。
そして、フッと息を吐き出して背伸びをした。
「まぁ,今日は少しだけ姫乃くんのこと口説けたし、いっか。それにしても姫乃くん、可愛かったなぁ。あんな単純なんて。やっぱりあんなジジイに抱かせるのは勿体無かったかも」
そう言って野々村は、昨日の姫乃の画像を別のフォルダにも保存した。
野々村のフォルダには、他にも,沢山の姫乃の写真があったことに,この時の姫乃はまだ気づいていなかった。
いい加減気持ちの悪さも限界だった姫乃は、野々村にトイレを貸してもらえないか尋ねた。
「あぁ、いいよ!姫乃くんにはここに慣れてもらう予定だしちょうどいい」
野々村の発言に若干の違和感を抱きながらも、ありがたく姫乃はトイレに駆け込んだ。
内臓がまろび出る程に嘔吐した姫乃は,野々村に水を入れてもらった。
口直しが済んだところで,姫乃は先ほどの疑問を投げかけた。
「ところで野々村くん、、、、」
「呼び捨てで構わないよ、できれば下の名前で呼んでほしいなぁ」
「じゃあ、芳樹、なんなんださっきの慣れてもらうって」
姫乃は先ほどと様子が逆転し、野々村の様子を伺うように顔を見た。
具合の悪さで忘れかけていたが、野々村はおそらく、姫乃に復讐をするためにここに連れてきている。
先程自分の家庭のことを話していたが、それも恐らく自分の家の力を示すためだろう。
ジリ貧生活の姫乃では、金持ちの野々村には決して勝てない。
そう考えた途端,先ほどのトラウマなど吹き飛ぶほどの恐怖に襲われた。
慣れてもらうとはつまり、何度もここに姫乃を呼んで復讐に及ぶのではないか?
姫乃はそんなことを悶々と考えて勝手に怯えていた。
「いやぁ、俺、姫乃くんとは仲良くしたいと思っていたからさぁ、昔から」
昔と聞いてさらに血の気がひいた。
昔とはおそらく小学生の頃のことだろう。
姫乃が野々村を虐めていた頃。
当時は復讐には及ばなかったために、見下されているか、はたまた単なるヘタレだと思っていたが、まさか時期を狙っていたとは。
そんな怯えた姫乃の表情を読み取ったのか、野々村は俯きがちな姫乃に合わせるようにしゃがみ込んだ。
「別に変な意味とかじゃないよ、本当に昔から姫乃くんは俺の憧れだったからさ。」
(憧れ、、、?)
姫乃は意味がわからなかった。
なぜ自分をいじめていた相手に対して憧れの念を持つのか。
もしかして野々村はマゾなのか?
「姫乃くんはさ、すごく自信家だったでしょ?うちの家庭は必ず生まれてくる子はαじゃなきゃだめって感じで、
親も兄弟も親戚もみんなαで、だからその、なんていうか、自分に自信がなかったんだよ。それに、もしαじゃなかったらっていうプレッシャーもあったし」
野々村は,そう自分の過去について語った。
そうか、αばかりの家だとそんなこともあるのか。
自分はβの家庭でよかったと姫乃は心底思った。
「だから俺,姫乃くんのこと心から尊敬していた。自分がαだって信じて疑っていないところとか。こんな人が、立派なαになるんだろうなぁって、だから、姫乃くんがΩだった時本当に驚いたよ」
姫乃は自分が情けなくなった。
自分が見下して虐めていた相手が、まさか自分よりも格上で,さらに自分のことを尊敬してくれていたとは。
ここまで話してくれたんだ。
この言葉を信じたい。
姫乃は、野々村が自分に復讐するためにここに連れてきていないんだと思い、姫乃は心の底からの本音で,誠心誠意野々村に謝罪した。
「ごめんな、芳樹、その、昔のこと、」
野々村は,何も言わずただ微笑んだ。
その瞳の奥には,何かを確信したような何かが見えた。
その後しばらく気まずい沈黙が流れたあと、姫乃は体調不良を理由に家に帰った。
帰りまで送って行くと野々村はいったが、流石に悪いと今度こそタクシーを使った。
どこか残念そうな表情で、野々村は姫乃がタクシーに乗り見えなくなるまで見送った。
そして、フッと息を吐き出して背伸びをした。
「まぁ,今日は少しだけ姫乃くんのこと口説けたし、いっか。それにしても姫乃くん、可愛かったなぁ。あんな単純なんて。やっぱりあんなジジイに抱かせるのは勿体無かったかも」
そう言って野々村は、昨日の姫乃の画像を別のフォルダにも保存した。
野々村のフォルダには、他にも,沢山の姫乃の写真があったことに,この時の姫乃はまだ気づいていなかった。
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