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1章 異世界に召喚されました
19話 校舎裏
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結局。3つの聖樹も調べたがすべて鑑定結果は正常だった。
どうやら魔族が細工をしていたのはカルネル山脈の聖樹のみらしい。
いまここで異常がないのなら、すぐにまた結界が破られるなんてこともないだろう。
カルネル山の結界だって解くまでに300年かかってるわけだし。
あと一箇所は流石に日が暮れたので明日しようという事になった。
「うおー疲れた!」
私が転移の魔方陣で神殿に戻るなり背筋を伸ばす。
いや、別に鑑定するだけだから疲れる事もないんだけど移動がね。
他の人もいるから瞬間移動もできないし、結局ガタガタと馬車に揺られるしかなかったわけで。
転移の魔方陣で近くに移動したといっても慣れない馬車は疲れるものがある。
そのほか神殿にも罠を貼るために回ったわけで 、結構な長時間移動してたせいで超疲れた。
「お疲れさまでした。猫様。
おかげで助かりました」
と、リュート王子が背後にバラの花でもしょってるんじゃないかという感じで微笑んでくる。
くやしいがこいつ本当に美形。まぁ、内面は腹黒だけど。
「ああ、ならよかった」
と、答える私。
「今日は皆さんお疲れでしょうし、こちらに泊まられては?
今から移動も大変かと。すぐ部屋も用意させますので」
と、リュート。
確かに。いくら瞬間移動とはいえこの暗闇を移動するのはちょっときついものがある。
どうしようかなとチラリとコロネとリリを見やれば
『猫様にお任せします。もし断りづらいのであれば私から断ります』
と、パーティーチャットでコロネが答える。
『リリもどっちでもいいよ』
と、リリ。
「うーん。じゃあお願いしようかな。今から移動は面倒だし」
私が言えば
「それではすぐ部屋を準備させます。お茶を飲みながら待ちましょう」
と、リュートが微笑みながらテーブルに案内するのだった。
△▲△
「おや、誰かと思えば、こんなところで会うとはな」
と、何やらエルフ耳の偉そうな男の人に話しかけられる。
後ろには護衛だろうか何人ものやはり偉そうな格好のエルフの騎士が控えていた。
もちろん話しかけられたのは私ではない。私にエルフの知り合いなんていないし。
声をかけられたのはリュート王子だ。
そのエルフの顔を見るなり、クランベールやコロネの顔が強ばるのがわかった。
「これはセズベルク様」
リュート王子の声のトーンが明らかに変わり、セズベルクと呼ばれた長身の青髪短髪の美形中年エルフに向き直り、頭を下げる。
「こちらがプレイヤー猫まっしぐら様ですか。
私、第1王子のセズベルクです。以後お見知りおきを」
言って私にセズベルクが綺麗な仕草でお辞儀をした。
「こちらこそよろしくお願いします」
と、自分も一応ぺこりと頭を下げる。
「しかし、愚弟を貴方にお付き合いさせることになって申し訳ありません。
是非とも私が猫まっしぐら様とご一緒したかったのですが」
と、笑みを浮かべる。何だろう顔は物凄くにこやかなのに、嫌味を隠す気は全くないらしい。
うん。何だこいつ。
確かにリュートは腹黒だけど、基本いい奴だし。
『エルフでもこういう人種っているんだな。
エルフってもっと温和な性格なのかと思っていたのだけれど』
私がパーティーチャットで言えば、コロネがため息をついて
『猫様がどのようなイメージをお持ちかは解りかねますが
人間ほど裏表がないというだけであって、エルフ全体が温和なわけではありません。
その中でもあの王子は酷い方ではありますが……』
と、答えた。
まぁ、とにかく、リュートが虐められるのを見ているのも面白くないのでフォローしてあげないと。
「いえ、リュート王子はよく案内してくれています。
逆に自分が迷惑をかけてしまったくらいです」
と、私がリュート王子の一歩前にでて言えば
「愚弟が迷惑をかけているのにそのような言葉をかけてくださるとは、流石猫まっしぐら様は寛大なお方だ」
と、何故かリュート下げ、私上げのセリフを言い始めるセズベルク。
うおーなんだよ、こいつ。性格の悪い新人虐めのお局様かなにかかよ。
他人下げする奴嫌いなんだよ!基本!
『ネコ この人 リリ 嫌い。
リュートの悪口 ばかり考えてる』
リリがぷぅっーと嫌そうにほっぺたを膨らませた。
そういえばリリちゃんは自分よりレベルが低い人の心を読めるんだったっけか。
「兄上、猫様達はお疲れです。私への悪口ならいつでも私が聞きますので今日は 遠慮願えますでしょうか?」
リュートが鋭い口調でいい
「な、何を言う!私はレベルが一番低いお前が迷惑をかけているのではないかと心配してだな」
と、セズベルク。
その言葉に私がリュートとセズベルクのレベルを鑑定すれば、確かにリュートがレベル65でセズベルクは82だ。
結構な差である。
『コロネ、エルフの王族にレベルなんてそんなに重要なのか?』
『はい。そのまま王位継承にも影響します』
コロネに問えば、コロネもすぐに答えた。
リュートはため息をついて
「だからこそ、師であるコロネ様も付き添ってくださっているのです。
これ以上は……」
「そうですね。貴方は私では不満だとでもいいたいのでしょうか?セズベルク様」
今まで黙って聞いていたコロネがジロリとセズベルクを睨めば、彼は冷や汗をかいて
「いえ、まさか!そのように受け取られてしまったのなら謝ります」
とセズベルクは丁寧な謝罪をして、お付きの者を連れて去っていってしまう。
……うん。役職にはつけないと前言ってた気がするが、王子に睨みを利かせられるとかコロネの立ち位置が今ひとつよくわからん。
△▲△
リュートに用意してもらった寝室で目を覚せば、まだ夜があけたばかりなのだろうか、ほんのりと空が明るくなっていた。
なんとなく目が冷めてしまって、隣で当然のように寝ているリリが起きないように、気を付けながらベットから起き上がる。
そしてなんとなく神殿の窓から外を見てみれば……セズベルクの取り巻きに囲まれたリュートの姿を見つける。
うお。なんだよあの図。
校舎の裏で虐めをしている男子の図かよ。
なんとなく気になって身体強化のスキルで聴力と視力をあげてみれば
「……譲れません。我が師コロネ様は私を指名したのですから。
兄上も我が師がどれほど頑固な方かご存知でしょう」
と、ニコニコ顔でリュート。話の流れ的に、私の付き添いを譲れとでも話しているのだろうか。
やだよ。セズベルクが付き添いとか。あんな底意地の悪いそうな奴。
「お前が体調不良ということにすればいいだろう。
まさかここで私より点数を稼いで王位に就こうとしているのか?」
「まさか。そんな野心などありませんよ。
お話がそれだけなら失礼します」
言ってリュートが立ち去ろうとすると取り巻きに止められる。
「大賢者様のお気に入りというだけで図にのるなよ。
人間に股を開いた下賎な女の子共の分際で」
とセズベルク。
リュートの端正な顔が一瞬強ばるのがわかった。
――ああ、もう校舎裏かっ!虐めかっ!
くそっ、もうみてられない!!
「おーい。リュート!!」
いかにも今気づいたかの風を装って窓から声をかければ
リュートとセズベルク達がぎょっとする。
私が瞬間移動して彼らの前に飛び降りれれば
「これは猫まっしぐら様。おはようございます」
と、セズベルクが営業スマイルを浮かべ、長々とヨイショ言葉を続ける。
うーん。なんでこの人こんなに、私におべっかをつかうのだろう?
私の護衛をするとなんか点数稼げるとかあるのだろうか。
どちらにせよ、うっとおしい。
私はそこそこにセズベルクの挨拶を切り上げると、リリがリュートに用があるからと、彼を瞬間移動で部屋まで連れ込むのだった。
どうやら魔族が細工をしていたのはカルネル山脈の聖樹のみらしい。
いまここで異常がないのなら、すぐにまた結界が破られるなんてこともないだろう。
カルネル山の結界だって解くまでに300年かかってるわけだし。
あと一箇所は流石に日が暮れたので明日しようという事になった。
「うおー疲れた!」
私が転移の魔方陣で神殿に戻るなり背筋を伸ばす。
いや、別に鑑定するだけだから疲れる事もないんだけど移動がね。
他の人もいるから瞬間移動もできないし、結局ガタガタと馬車に揺られるしかなかったわけで。
転移の魔方陣で近くに移動したといっても慣れない馬車は疲れるものがある。
そのほか神殿にも罠を貼るために回ったわけで 、結構な長時間移動してたせいで超疲れた。
「お疲れさまでした。猫様。
おかげで助かりました」
と、リュート王子が背後にバラの花でもしょってるんじゃないかという感じで微笑んでくる。
くやしいがこいつ本当に美形。まぁ、内面は腹黒だけど。
「ああ、ならよかった」
と、答える私。
「今日は皆さんお疲れでしょうし、こちらに泊まられては?
今から移動も大変かと。すぐ部屋も用意させますので」
と、リュート。
確かに。いくら瞬間移動とはいえこの暗闇を移動するのはちょっときついものがある。
どうしようかなとチラリとコロネとリリを見やれば
『猫様にお任せします。もし断りづらいのであれば私から断ります』
と、パーティーチャットでコロネが答える。
『リリもどっちでもいいよ』
と、リリ。
「うーん。じゃあお願いしようかな。今から移動は面倒だし」
私が言えば
「それではすぐ部屋を準備させます。お茶を飲みながら待ちましょう」
と、リュートが微笑みながらテーブルに案内するのだった。
△▲△
「おや、誰かと思えば、こんなところで会うとはな」
と、何やらエルフ耳の偉そうな男の人に話しかけられる。
後ろには護衛だろうか何人ものやはり偉そうな格好のエルフの騎士が控えていた。
もちろん話しかけられたのは私ではない。私にエルフの知り合いなんていないし。
声をかけられたのはリュート王子だ。
そのエルフの顔を見るなり、クランベールやコロネの顔が強ばるのがわかった。
「これはセズベルク様」
リュート王子の声のトーンが明らかに変わり、セズベルクと呼ばれた長身の青髪短髪の美形中年エルフに向き直り、頭を下げる。
「こちらがプレイヤー猫まっしぐら様ですか。
私、第1王子のセズベルクです。以後お見知りおきを」
言って私にセズベルクが綺麗な仕草でお辞儀をした。
「こちらこそよろしくお願いします」
と、自分も一応ぺこりと頭を下げる。
「しかし、愚弟を貴方にお付き合いさせることになって申し訳ありません。
是非とも私が猫まっしぐら様とご一緒したかったのですが」
と、笑みを浮かべる。何だろう顔は物凄くにこやかなのに、嫌味を隠す気は全くないらしい。
うん。何だこいつ。
確かにリュートは腹黒だけど、基本いい奴だし。
『エルフでもこういう人種っているんだな。
エルフってもっと温和な性格なのかと思っていたのだけれど』
私がパーティーチャットで言えば、コロネがため息をついて
『猫様がどのようなイメージをお持ちかは解りかねますが
人間ほど裏表がないというだけであって、エルフ全体が温和なわけではありません。
その中でもあの王子は酷い方ではありますが……』
と、答えた。
まぁ、とにかく、リュートが虐められるのを見ているのも面白くないのでフォローしてあげないと。
「いえ、リュート王子はよく案内してくれています。
逆に自分が迷惑をかけてしまったくらいです」
と、私がリュート王子の一歩前にでて言えば
「愚弟が迷惑をかけているのにそのような言葉をかけてくださるとは、流石猫まっしぐら様は寛大なお方だ」
と、何故かリュート下げ、私上げのセリフを言い始めるセズベルク。
うおーなんだよ、こいつ。性格の悪い新人虐めのお局様かなにかかよ。
他人下げする奴嫌いなんだよ!基本!
『ネコ この人 リリ 嫌い。
リュートの悪口 ばかり考えてる』
リリがぷぅっーと嫌そうにほっぺたを膨らませた。
そういえばリリちゃんは自分よりレベルが低い人の心を読めるんだったっけか。
「兄上、猫様達はお疲れです。私への悪口ならいつでも私が聞きますので今日は 遠慮願えますでしょうか?」
リュートが鋭い口調でいい
「な、何を言う!私はレベルが一番低いお前が迷惑をかけているのではないかと心配してだな」
と、セズベルク。
その言葉に私がリュートとセズベルクのレベルを鑑定すれば、確かにリュートがレベル65でセズベルクは82だ。
結構な差である。
『コロネ、エルフの王族にレベルなんてそんなに重要なのか?』
『はい。そのまま王位継承にも影響します』
コロネに問えば、コロネもすぐに答えた。
リュートはため息をついて
「だからこそ、師であるコロネ様も付き添ってくださっているのです。
これ以上は……」
「そうですね。貴方は私では不満だとでもいいたいのでしょうか?セズベルク様」
今まで黙って聞いていたコロネがジロリとセズベルクを睨めば、彼は冷や汗をかいて
「いえ、まさか!そのように受け取られてしまったのなら謝ります」
とセズベルクは丁寧な謝罪をして、お付きの者を連れて去っていってしまう。
……うん。役職にはつけないと前言ってた気がするが、王子に睨みを利かせられるとかコロネの立ち位置が今ひとつよくわからん。
△▲△
リュートに用意してもらった寝室で目を覚せば、まだ夜があけたばかりなのだろうか、ほんのりと空が明るくなっていた。
なんとなく目が冷めてしまって、隣で当然のように寝ているリリが起きないように、気を付けながらベットから起き上がる。
そしてなんとなく神殿の窓から外を見てみれば……セズベルクの取り巻きに囲まれたリュートの姿を見つける。
うお。なんだよあの図。
校舎の裏で虐めをしている男子の図かよ。
なんとなく気になって身体強化のスキルで聴力と視力をあげてみれば
「……譲れません。我が師コロネ様は私を指名したのですから。
兄上も我が師がどれほど頑固な方かご存知でしょう」
と、ニコニコ顔でリュート。話の流れ的に、私の付き添いを譲れとでも話しているのだろうか。
やだよ。セズベルクが付き添いとか。あんな底意地の悪いそうな奴。
「お前が体調不良ということにすればいいだろう。
まさかここで私より点数を稼いで王位に就こうとしているのか?」
「まさか。そんな野心などありませんよ。
お話がそれだけなら失礼します」
言ってリュートが立ち去ろうとすると取り巻きに止められる。
「大賢者様のお気に入りというだけで図にのるなよ。
人間に股を開いた下賎な女の子共の分際で」
とセズベルク。
リュートの端正な顔が一瞬強ばるのがわかった。
――ああ、もう校舎裏かっ!虐めかっ!
くそっ、もうみてられない!!
「おーい。リュート!!」
いかにも今気づいたかの風を装って窓から声をかければ
リュートとセズベルク達がぎょっとする。
私が瞬間移動して彼らの前に飛び降りれれば
「これは猫まっしぐら様。おはようございます」
と、セズベルクが営業スマイルを浮かべ、長々とヨイショ言葉を続ける。
うーん。なんでこの人こんなに、私におべっかをつかうのだろう?
私の護衛をするとなんか点数稼げるとかあるのだろうか。
どちらにせよ、うっとおしい。
私はそこそこにセズベルクの挨拶を切り上げると、リリがリュートに用があるからと、彼を瞬間移動で部屋まで連れ込むのだった。
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