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2章 人間領へ行くことになりました
12.加虐心
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今日も平和な一日でありますように。
村に住む女性クレアは小さな神殿で光の神セシウスに祈りを捧げた。
ここ最近、プレイヤー達が国々を牛耳るようになってから、国は荒れ放題となっていた。
クレアの住む村も人事ではないのである。
かつてのアケドラル帝国は、ノエル皇帝が収め、善政をしいていた。
不作の村があれば、豊作だった村から物資を分け与え、すぐに国より魔導士を派遣し、その村がなぜ不作なのか調べてくれた。
病気が流行ればすぐにでも神官を派遣し、平定に務めた。
その昔善帝と呼ばれた皇帝テオドールが治めていた時代に築いた制度を忠実に守っていたのだ。
人々はのどかに暮らし、あの時代はいつまでもこの平和が続くものだと思っていた――しかし。
今はどうだろう。
野盗や盗賊などといった部類の人間は野放しにされ、国は税金をとれば、あとは小さな村など知らんぷりなのである。
酷い時では、君主になったプレイヤーが横暴で村を滅ぼしたという噂さえあるのだ。
クレアの住む村は、かろうじて兵士の数が多く、モンスターの出没も少ない地域だったため、まだ存在しているが……
このままでは野盗やモンスターなどに襲われる日もそう遠くないようにも思えた。
ただ、一日、一日が無事である事を祈る。彼女にはそれくらいしかできない。
だが、その祈りも、神には届かなかった。
クレアが神殿から帰るその帰り道。
一人の猫耳金髪の男が、空飛ぶ絨毯からその村に降り立ったのだ。
クレアはその人物を知っていた――正確にはその噂を知っていた。
プレイヤーの一人レオン。とても残虐な性格で、趣味で村や街を襲っては、そこに住む住人を痛ぶり殺すと噂される――金髪の猫耳の悪魔。
レオン・マキュール。
クレアは絶望し、神を呪う――何故貴方はこうまで無慈悲なのかと。
△▲△▲△▲△▲△▲
「うん。なかなかいい村だね。この村にしよっか」
村に降り立ったレオンはニコニコ顔で、村を見渡した。
のどかでとてもよさそうな村だ。
子供いれば、女もいる。そこそこ強そうな兵士もいるのだ。
とても――殺しがいのありそうな村なのである。
さぁ、今日はどうやって殺そう?
レオンは高まる感情を抑えることなどなく、ただこれから始まる殺戮の景色に心震わせた。
この世界に来るまでは、とてもつまらない日常だった。
いい成績をとって、いい大学をでて、いい仕事について……。
すべてが親の望んだ通りの、ルートを歩き、無難な人生を歩んでいた。
けれど、心は満たされなかった。
人を殺すのはいけない事。
そんなくだらないルールが世界を縛っていたからだ。
何故、人を殺すのがいけないことなのか?そうネットで問うても、くだらない偽善めいた返事がくるだけで、何一つレオンの心を満たす返事はかえってこなかった。
レオンは思う。
人が人を殺したくなるのは本能なのだ。それを理性などというくだらない言葉で抑えているだけにすぎないと。
それを確信したのは、この世界に来てからだ。
なぜかVRMMOをプレイしていたはずなのに、召喚によってゲームの中の世界にきてしまったのだ。
女神にこの世界を救う勇者などとおだてられたが、どうも胡散臭い。
しかし、一緒に召喚された4人は勇者などという言葉を疑いもせず浮かれるばかりで、レオンはそれを冷めた目でみていた。
そして、別の事を考えていたのだ。
どうせここの連中はNPCなんだから殺してもいいよね?…と。
レオンはこっそり、一緒に召喚された4人が宿屋で寝ている間に人を殺してみた。
その時の感覚を今でも思い出す。
VRMMOでは感じられない肉を切り裂く感触。生暖かい血の臭い。
涙目になって命乞いする男の顔。
望んでいた全てがそこにはあった。
それからレオンはこっそりと、他4人には気づかれないようにNPCを殺していたのだが――。
レオンがその性癖を隠さなくなったのは、女神に命じられて、エルフのNPCを殺した時だ。
エルフのNPCなどすぐに殺せると油断していたが、予想外にエルフのNPCは反撃をしてきたのである。
いままで圧倒的レベル差で反撃や痛みなど感じた事のなかった他のメンバーは、反撃したエルフのNPCに怒り狂った。
そのおかげで、レオンが拷問しちゃおうか、などと言っても誰一人反対しなかったのである。
あの時の事は今でも思い出す。エルフのNPCの友人を人質にして、思いつく限りの拷問を実行してはみたが……
苦しみはすれ、エルフは決して命乞いも泣き叫びもしなかった。
この男を泣かせたい、命乞いさせたい……命乞いするその口から剣を突き刺して殺してやりたいと加虐心がそそられた。
だが、拷問などはじめてで加減のわからない仲間の一人がエルフを殺してしまい、結局その夢は叶わなかった。
復活呪文が仕えるシスターの✩ナナ✩も2度までは生き返らせてくれたが、拷問が激しくなると、流石にきつかったのか、これ以上は付き合っていられないと、帰ってしまったのである。
いまでも、加減がわからず殺してしまった馬鹿女のマリマリに腹がたってしかたがない。
後にも先にも泣きもせず命乞いもしなかったのは彼だけだったのだ。
この帝国を支配したときに捕まえた屈強そうな騎士達でさえ、苦痛を与えればすぐに泣き叫び命乞いをしたのにである。
あのエルフだけが自分の唯一の汚点だったのだ。思い出すだけで苛立って仕方がない。
そのせいか、彼に似た人物を見つけると問答無用で捕まえて痛ぶり遊んだ。
けれど、すぐ泣き叫び命乞いするばかりで、苛立ちは余計募るだけだったのだ。
また、ああいう、強情な相手が見つかれば面白いのだけれど。
レオンはそう思いながら、振り返り、レオンを見て固まったように動かなくなっている村の娘を見つける。
茶髪の女は驚いた表情のまま、無言でレオンを見つめていた。
……恐らく、この女はレオンの噂を知っているのだろう。
「第一村人発見♪」
そう言ってレオンは自らの手の爪を伸ばし、女に襲いかかる。
ザシュッ!!
という、音をたて、女の首が飛ぶ――はずだった。
だが、現実は
カシィン
という音とともに、その攻撃は防がれた。
白銀色の髪の少女の手によって。
茶髪の女を守るように、いつからそこに居たのか、銀髪の髪の少女が鍵爪のような武器でレオンの攻撃を受け止めたのだ。
「なっ!?」
レオンは慌てて、宙返りすると、少女との間に距離をとった。
「なんだお前は!!」
レオンが叫ぶ。プレイヤー以外でレオンの攻撃など受け止められる人物などいるはずがない。
なのにこの少女は簡単にレオンの攻撃を受け止めたのだ。
「答える必要ない お前、コロネひどい目あわせた奴 許さない」
まだあどけなさは残るが凛とした冷たい声で少女が告げる。
レオンは眉根をよせた、コロネというと、あの15年前拷問死させたエルフのNPCの名前だったはず。
この少女はあのNPCの知り合いということだろうか?
ああ、あのエルフのNPCは死んでまで僕を苛立たせる。本当にむかつく。
レオンは舌打ちした。
「へぇ。カタキ討ちってわけ?くだらない。僕そいういうの一番苦手なんだよね」
と、レオンは言うと、女神からもらったグラシクルの杖をとりだした。
確かにこの少女は強い。が、 精霊さえ召喚してしまえば、レオンの勝ちは確定している。
グラシクルの杖は自分と同レベル、つまりレベル200の精霊が20体も呼び出せるのだから。
「あのエルフのせいで、ムカついてしょうがなかったんだ。
君がエルフの代わりに僕の相手になってくれるのかな?
ああ、君みたいな可愛い女の子もなかなかいいよね。
痛ぶりがいがありそうだ。今からとてもワクワクするよ。
まずは腸から抜き出してあげようかな?」
と、杖を構えるが少女はレオンが杖を構えても、身動き一つしない。
じっとレオンの行動を見つめている。
好都合だ。
レオンは杖を掲げ――20体の精霊を召喚した。
――が、召喚し、精霊達が具現化したその瞬間。
レオンは肌に風を感じ……一瞬で精霊たちは霧散した。
何がおこったのか頭が理解できず、目を見開けば――少女がいつの間にかレオンの後ろに立っている。
どうやら一瞬で少女が20体の精霊を倒したらしい。
「……はぁ?」
信じられない出来事に、レオンはまの抜けた声をあげた。
切り札だったはずのものが簡単に倒されたのだ。
少女はチャリっと鍵爪を構え直すと
「それで終わり?切り札あるなら使っていいよ?」
と、無表情で告げる。
ありえない。ありえない。レオンは心の中で毒づいた。
いままで自分たちより強い存在など存在しなかったのに、何故ここにきて、こんな得たいの知れない少女が自分の前に現れるのか。
自分は女神にチートをもらった勇者でなかったのか!?
レオンが固まっていると、少女はため息をついて。
「切り札終わり?
あんな強そうな事言っておいて、この程度?
第二形態になってもいいよ?」
と、レオンの方に近づいてくる。
「く、来るなっ!!僕に何かすればわかってるのか!!」
「何されるの?」
慌てて威嚇するレオンに少女は特に気にした風でもなく、すたすたと近づいてくる。
「僕は女神に選ばれたプレイヤーなんだ!!僕を殺せば女神がただじゃおかないぞ!」
「女神最初から敵。今更何されても一緒」
と、少女はレオンの前に何事もなかったかのように立つ。
「なっ!!」
レオンは逃げようとするが――少女の鋭い視線に逃げられない。
「ねぇ?ねぇ?今どんな気持ち?
自分が殺される側になった時の気持ちってどんな感じ?
怖い?悔しい?なにその馬鹿顔。
自分が一番強いっていつから錯覚してたの?」
少女が無表情のまま、煽ってくる。
このセリフには覚えがあった。
かつてレオンが正義感丸出しのNPCを殺すときに好き好んでつかった言葉だ。
こいつ…っ!!
レオンが少女に反撃しようとしたその瞬間。
ザシュリ――。
レオンの首がそのまま宙に舞うのだった。
村に住む女性クレアは小さな神殿で光の神セシウスに祈りを捧げた。
ここ最近、プレイヤー達が国々を牛耳るようになってから、国は荒れ放題となっていた。
クレアの住む村も人事ではないのである。
かつてのアケドラル帝国は、ノエル皇帝が収め、善政をしいていた。
不作の村があれば、豊作だった村から物資を分け与え、すぐに国より魔導士を派遣し、その村がなぜ不作なのか調べてくれた。
病気が流行ればすぐにでも神官を派遣し、平定に務めた。
その昔善帝と呼ばれた皇帝テオドールが治めていた時代に築いた制度を忠実に守っていたのだ。
人々はのどかに暮らし、あの時代はいつまでもこの平和が続くものだと思っていた――しかし。
今はどうだろう。
野盗や盗賊などといった部類の人間は野放しにされ、国は税金をとれば、あとは小さな村など知らんぷりなのである。
酷い時では、君主になったプレイヤーが横暴で村を滅ぼしたという噂さえあるのだ。
クレアの住む村は、かろうじて兵士の数が多く、モンスターの出没も少ない地域だったため、まだ存在しているが……
このままでは野盗やモンスターなどに襲われる日もそう遠くないようにも思えた。
ただ、一日、一日が無事である事を祈る。彼女にはそれくらいしかできない。
だが、その祈りも、神には届かなかった。
クレアが神殿から帰るその帰り道。
一人の猫耳金髪の男が、空飛ぶ絨毯からその村に降り立ったのだ。
クレアはその人物を知っていた――正確にはその噂を知っていた。
プレイヤーの一人レオン。とても残虐な性格で、趣味で村や街を襲っては、そこに住む住人を痛ぶり殺すと噂される――金髪の猫耳の悪魔。
レオン・マキュール。
クレアは絶望し、神を呪う――何故貴方はこうまで無慈悲なのかと。
△▲△▲△▲△▲△▲
「うん。なかなかいい村だね。この村にしよっか」
村に降り立ったレオンはニコニコ顔で、村を見渡した。
のどかでとてもよさそうな村だ。
子供いれば、女もいる。そこそこ強そうな兵士もいるのだ。
とても――殺しがいのありそうな村なのである。
さぁ、今日はどうやって殺そう?
レオンは高まる感情を抑えることなどなく、ただこれから始まる殺戮の景色に心震わせた。
この世界に来るまでは、とてもつまらない日常だった。
いい成績をとって、いい大学をでて、いい仕事について……。
すべてが親の望んだ通りの、ルートを歩き、無難な人生を歩んでいた。
けれど、心は満たされなかった。
人を殺すのはいけない事。
そんなくだらないルールが世界を縛っていたからだ。
何故、人を殺すのがいけないことなのか?そうネットで問うても、くだらない偽善めいた返事がくるだけで、何一つレオンの心を満たす返事はかえってこなかった。
レオンは思う。
人が人を殺したくなるのは本能なのだ。それを理性などというくだらない言葉で抑えているだけにすぎないと。
それを確信したのは、この世界に来てからだ。
なぜかVRMMOをプレイしていたはずなのに、召喚によってゲームの中の世界にきてしまったのだ。
女神にこの世界を救う勇者などとおだてられたが、どうも胡散臭い。
しかし、一緒に召喚された4人は勇者などという言葉を疑いもせず浮かれるばかりで、レオンはそれを冷めた目でみていた。
そして、別の事を考えていたのだ。
どうせここの連中はNPCなんだから殺してもいいよね?…と。
レオンはこっそり、一緒に召喚された4人が宿屋で寝ている間に人を殺してみた。
その時の感覚を今でも思い出す。
VRMMOでは感じられない肉を切り裂く感触。生暖かい血の臭い。
涙目になって命乞いする男の顔。
望んでいた全てがそこにはあった。
それからレオンはこっそりと、他4人には気づかれないようにNPCを殺していたのだが――。
レオンがその性癖を隠さなくなったのは、女神に命じられて、エルフのNPCを殺した時だ。
エルフのNPCなどすぐに殺せると油断していたが、予想外にエルフのNPCは反撃をしてきたのである。
いままで圧倒的レベル差で反撃や痛みなど感じた事のなかった他のメンバーは、反撃したエルフのNPCに怒り狂った。
そのおかげで、レオンが拷問しちゃおうか、などと言っても誰一人反対しなかったのである。
あの時の事は今でも思い出す。エルフのNPCの友人を人質にして、思いつく限りの拷問を実行してはみたが……
苦しみはすれ、エルフは決して命乞いも泣き叫びもしなかった。
この男を泣かせたい、命乞いさせたい……命乞いするその口から剣を突き刺して殺してやりたいと加虐心がそそられた。
だが、拷問などはじめてで加減のわからない仲間の一人がエルフを殺してしまい、結局その夢は叶わなかった。
復活呪文が仕えるシスターの✩ナナ✩も2度までは生き返らせてくれたが、拷問が激しくなると、流石にきつかったのか、これ以上は付き合っていられないと、帰ってしまったのである。
いまでも、加減がわからず殺してしまった馬鹿女のマリマリに腹がたってしかたがない。
後にも先にも泣きもせず命乞いもしなかったのは彼だけだったのだ。
この帝国を支配したときに捕まえた屈強そうな騎士達でさえ、苦痛を与えればすぐに泣き叫び命乞いをしたのにである。
あのエルフだけが自分の唯一の汚点だったのだ。思い出すだけで苛立って仕方がない。
そのせいか、彼に似た人物を見つけると問答無用で捕まえて痛ぶり遊んだ。
けれど、すぐ泣き叫び命乞いするばかりで、苛立ちは余計募るだけだったのだ。
また、ああいう、強情な相手が見つかれば面白いのだけれど。
レオンはそう思いながら、振り返り、レオンを見て固まったように動かなくなっている村の娘を見つける。
茶髪の女は驚いた表情のまま、無言でレオンを見つめていた。
……恐らく、この女はレオンの噂を知っているのだろう。
「第一村人発見♪」
そう言ってレオンは自らの手の爪を伸ばし、女に襲いかかる。
ザシュッ!!
という、音をたて、女の首が飛ぶ――はずだった。
だが、現実は
カシィン
という音とともに、その攻撃は防がれた。
白銀色の髪の少女の手によって。
茶髪の女を守るように、いつからそこに居たのか、銀髪の髪の少女が鍵爪のような武器でレオンの攻撃を受け止めたのだ。
「なっ!?」
レオンは慌てて、宙返りすると、少女との間に距離をとった。
「なんだお前は!!」
レオンが叫ぶ。プレイヤー以外でレオンの攻撃など受け止められる人物などいるはずがない。
なのにこの少女は簡単にレオンの攻撃を受け止めたのだ。
「答える必要ない お前、コロネひどい目あわせた奴 許さない」
まだあどけなさは残るが凛とした冷たい声で少女が告げる。
レオンは眉根をよせた、コロネというと、あの15年前拷問死させたエルフのNPCの名前だったはず。
この少女はあのNPCの知り合いということだろうか?
ああ、あのエルフのNPCは死んでまで僕を苛立たせる。本当にむかつく。
レオンは舌打ちした。
「へぇ。カタキ討ちってわけ?くだらない。僕そいういうの一番苦手なんだよね」
と、レオンは言うと、女神からもらったグラシクルの杖をとりだした。
確かにこの少女は強い。が、 精霊さえ召喚してしまえば、レオンの勝ちは確定している。
グラシクルの杖は自分と同レベル、つまりレベル200の精霊が20体も呼び出せるのだから。
「あのエルフのせいで、ムカついてしょうがなかったんだ。
君がエルフの代わりに僕の相手になってくれるのかな?
ああ、君みたいな可愛い女の子もなかなかいいよね。
痛ぶりがいがありそうだ。今からとてもワクワクするよ。
まずは腸から抜き出してあげようかな?」
と、杖を構えるが少女はレオンが杖を構えても、身動き一つしない。
じっとレオンの行動を見つめている。
好都合だ。
レオンは杖を掲げ――20体の精霊を召喚した。
――が、召喚し、精霊達が具現化したその瞬間。
レオンは肌に風を感じ……一瞬で精霊たちは霧散した。
何がおこったのか頭が理解できず、目を見開けば――少女がいつの間にかレオンの後ろに立っている。
どうやら一瞬で少女が20体の精霊を倒したらしい。
「……はぁ?」
信じられない出来事に、レオンはまの抜けた声をあげた。
切り札だったはずのものが簡単に倒されたのだ。
少女はチャリっと鍵爪を構え直すと
「それで終わり?切り札あるなら使っていいよ?」
と、無表情で告げる。
ありえない。ありえない。レオンは心の中で毒づいた。
いままで自分たちより強い存在など存在しなかったのに、何故ここにきて、こんな得たいの知れない少女が自分の前に現れるのか。
自分は女神にチートをもらった勇者でなかったのか!?
レオンが固まっていると、少女はため息をついて。
「切り札終わり?
あんな強そうな事言っておいて、この程度?
第二形態になってもいいよ?」
と、レオンの方に近づいてくる。
「く、来るなっ!!僕に何かすればわかってるのか!!」
「何されるの?」
慌てて威嚇するレオンに少女は特に気にした風でもなく、すたすたと近づいてくる。
「僕は女神に選ばれたプレイヤーなんだ!!僕を殺せば女神がただじゃおかないぞ!」
「女神最初から敵。今更何されても一緒」
と、少女はレオンの前に何事もなかったかのように立つ。
「なっ!!」
レオンは逃げようとするが――少女の鋭い視線に逃げられない。
「ねぇ?ねぇ?今どんな気持ち?
自分が殺される側になった時の気持ちってどんな感じ?
怖い?悔しい?なにその馬鹿顔。
自分が一番強いっていつから錯覚してたの?」
少女が無表情のまま、煽ってくる。
このセリフには覚えがあった。
かつてレオンが正義感丸出しのNPCを殺すときに好き好んでつかった言葉だ。
こいつ…っ!!
レオンが少女に反撃しようとしたその瞬間。
ザシュリ――。
レオンの首がそのまま宙に舞うのだった。
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