Fragment〜ショートショート集〜

初瀬四季[ハツセシキ]

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男の娘

男の娘

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 その男の娘はとてもかわいかった。
 長い髪をたなびかせて佇む姿は、一枚の絵画を彷彿とさせた。
 隣に立つ男はどうやら、その子の肉親のようであった。

「こんにちわ。今日はどうなされましたか?」

「あの、言いづらいことなのですが。この子がその・・・・・・」

 その男はどうやら、言葉に詰まっているようであった。

「その子が?」

「自分の性別をですね。男だと言うんです」

 この男は、一体なにを言っているのだろう。
 ジッと目の前の子供を見つめる。
 退屈しているのか、しきりに長い髪を弄っている。

「えっと、確認しますけど、その子は女の子なんですよね?」

「見ればわかるでしょう?」

 と、男は何を馬鹿な事をとでもいうような表情で、こちらを見る。
 苦笑しながら、再び子供の方に目を向けると、何かを訴えかけるような目でこちらを見ていた。

「あの、一度この子と二人で話をさせてもらってもよろしいですか?」

 男はその子を一瞥すると、渋々といった表情をしながらも了承をしてくれた。
  男が部屋を出ていくと、その子は短く息をついた。

「本当に嫌になる」

 その子は、ポツリポツリと話し出した。
 男への不満を吐き出すように。

 「いつも、あんな風なんです」

「あれしろ、これしろっていっつも命令ばっかりで、こんな服なんて本当は着たくないのに。髪だって邪魔だし」

「日頃の鬱憤を晴らすためにちょっとからかってやったんです。そしたら、こんなところに連れて来られて」

 本当に嫌になる。とその子は繰り返した。
 その後、他愛ない話をして、男を部屋に呼び入れる。

「その子は、いたって正常ですよ」

 そう告げると、男は納得いったのか、いかないのかどうにも曖昧な表情で、

「そうですか。ありがとうございました」

 とだけいうと、その子を連れだって部屋を出ていく。
 帰り際、その子にちょっとした疑問をぶつけてみる。

「ところで、君はどっちなんだい?」

 それを聞いたその子は、

「どっちだと思う?」

 といたずらっぽく笑うのだった。
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