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べりーくるしみます
べりーくるしみます
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今年もこの季節が来てしまった。
俺にとってのこの季節はいつも、恐怖と隣り合わせだ。
子供の頃から、近所で評判の悪ガキだった俺は当時仲の良かったダイちゃんとその日も遊びまわっていた。
「早く来いよーダイちゃん!」
ダイちゃんは、学校の勉強は得意じゃないし、運動音痴だけど仲間思いで面白い。だから、俺はダイちゃんが好きだった。
「待ってよーセンちゃん!」
その日の俺たちは、サンタクロースが本当にいるのかっていう小さな頃からの疑問を解消するため、地元にあるサンタクロースの家にやってきていた。
サンタクロースの家は、外から見てもカーテンが閉まっていて中の様子は分からず、誰もいないように思えた。
「やっぱりサンタクロースなんていないんだよ」
ダイちゃんが、息を弾ませながら、そういう。
「やっぱりそうなのかなぁ」
「そもそもセンちゃん。プレゼントなんてもらった事ないでしょ」
ダイちゃんが元も子もないことをいう。
「ダイちゃんだってないじゃないか」
俺は頬を膨らませながら、ダイちゃんに反論する。
「だからいないんだよ」
そう呟くダイちゃんの後ろに黒い影が見えた気がした。
「センちゃん? どうかした?」
「え? あ、ううんなんでもない」
きっと気のせいだ。そう思って家の方をもう一度名残惜しそうに見る。
「もう帰ろうか。ダイちゃん」
振り向いた時ダイちゃんはもういなかった。その後大人たちがサンタクロースの家の周辺を捜索したけど、ダイちゃんは見つからなかった。
その後、聞かされた話だとサンタクロースの家はもう何十年も空き家状態で誰も管理はしていなかったらしい。
10年たった今も、ダイちゃんは見つかっていない。
代わりに毎年この季節になると奴が現れるようになった。奴は、一晩中ドアの前で何事かぶつぶつと呟き、朝になるといつのまにかいなくなっている。
ドアの前でぶつぶつ、
「・・・・・・リー・・・・・・マス・・・・・・」
インターホンにも触れずに、その言葉をずっと繰り返している。
「もう、やめてくれ! 俺が一体何をしたっていうんだ!」
その言葉にも、奴は反応しない。ただ、今日はいつもと違う言葉を発した。
「セン・・・・・・チャン・・・・・・」
その声は、10年前に消えたはずのダイちゃんのものに思えた。10年ぶりの思いが溢れた。
「もしかしてダイちゃん? ダイちゃんなのか?いままで一体どこに?」
ドアの鍵を開けて、その黒い影を見る。そいつは、ニヤァっと笑うと、
「ベリークルシミマス」
俺にとってのこの季節はいつも、恐怖と隣り合わせだ。
子供の頃から、近所で評判の悪ガキだった俺は当時仲の良かったダイちゃんとその日も遊びまわっていた。
「早く来いよーダイちゃん!」
ダイちゃんは、学校の勉強は得意じゃないし、運動音痴だけど仲間思いで面白い。だから、俺はダイちゃんが好きだった。
「待ってよーセンちゃん!」
その日の俺たちは、サンタクロースが本当にいるのかっていう小さな頃からの疑問を解消するため、地元にあるサンタクロースの家にやってきていた。
サンタクロースの家は、外から見てもカーテンが閉まっていて中の様子は分からず、誰もいないように思えた。
「やっぱりサンタクロースなんていないんだよ」
ダイちゃんが、息を弾ませながら、そういう。
「やっぱりそうなのかなぁ」
「そもそもセンちゃん。プレゼントなんてもらった事ないでしょ」
ダイちゃんが元も子もないことをいう。
「ダイちゃんだってないじゃないか」
俺は頬を膨らませながら、ダイちゃんに反論する。
「だからいないんだよ」
そう呟くダイちゃんの後ろに黒い影が見えた気がした。
「センちゃん? どうかした?」
「え? あ、ううんなんでもない」
きっと気のせいだ。そう思って家の方をもう一度名残惜しそうに見る。
「もう帰ろうか。ダイちゃん」
振り向いた時ダイちゃんはもういなかった。その後大人たちがサンタクロースの家の周辺を捜索したけど、ダイちゃんは見つからなかった。
その後、聞かされた話だとサンタクロースの家はもう何十年も空き家状態で誰も管理はしていなかったらしい。
10年たった今も、ダイちゃんは見つかっていない。
代わりに毎年この季節になると奴が現れるようになった。奴は、一晩中ドアの前で何事かぶつぶつと呟き、朝になるといつのまにかいなくなっている。
ドアの前でぶつぶつ、
「・・・・・・リー・・・・・・マス・・・・・・」
インターホンにも触れずに、その言葉をずっと繰り返している。
「もう、やめてくれ! 俺が一体何をしたっていうんだ!」
その言葉にも、奴は反応しない。ただ、今日はいつもと違う言葉を発した。
「セン・・・・・・チャン・・・・・・」
その声は、10年前に消えたはずのダイちゃんのものに思えた。10年ぶりの思いが溢れた。
「もしかしてダイちゃん? ダイちゃんなのか?いままで一体どこに?」
ドアの鍵を開けて、その黒い影を見る。そいつは、ニヤァっと笑うと、
「ベリークルシミマス」
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