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世界の終わりを君に捧ぐ
世界の終わりを君に捧ぐ 急 2
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他の露店でも、いくつか民芸品等をお土産として購入する。
そんな事をしていると、屋台から良い匂いが漂ってくる。ちょうど小腹が空いてきたので、軽く食事をとる事にした。
「次はどこに行きましょうか?」
アルマさんが、皿に盛られた野菜料理に口をつけながら、そう聞いてくる。
「そうですね、尾張さんはどこか行きたいところありますか?」
「そうね。砂漠の中にあるオアシスっていうものには少し興味があるわね」
尾張さんは口元に指を触れさせる。
「オアシスですか。ーーつまり、水着ということですよね?」
「なんでそうなるのよ! 水辺から風景を眺めるだけに決まってるでしょう!」
「いえ、泳げますよ?」
アルマさんが、尾張さんの言葉を否定する。
「やっぱり水着じゃないですか!」
「泳ぐとは言ってないでしょう!」
尾張さんがまだグダグダと言っているが、とりあえずオアシスまで行くことになった。
「それじゃあ、行きますか!」
急にやる気を見せはじめる僕とは対照的に、尾張さんがため息をついている。
「・・・・・・そうね」
座っていた椅子から立ち上がる。
その時、背中にドンッと衝撃を受け、つんのめる。
僕にぶつかってきたのは、顔を大きな布で隠した人物であった。
その人物は、現地の言葉で何事か叫ぶと、狂気に満ちたような目で周囲を見回す。
その言葉を聞いた周囲の人々は、ざわざわと騒ぎ出すと一斉に逃げ惑う。
「紀美丹君‼︎」
訳もわからず、困惑している僕を尾張さんの緊迫感に満ちた声が現実に引き戻す。
その人物は、また繰り返し何かを叫ぶと手に持ったスイッチを押す。
眩い閃光と爆音が鳴り響いた。
彼の仕事のことはあまりよく思っていない。
必要な事だと分かってはいるけれど、それでも彼が自ら危険に飛び込むことを手放しで喜べるほど、彼らとの付き合いは短くはなかった。
昼食をとるために入った馴染みの定食屋さんで、サバ味噌定食を頼んでお冷に口をつける。
何となく見ていたテレビのニュースでは、外国での自爆テロの事件を取り扱っていた。
あれ? この国、紀美丹君達が行くって言ってた所。ーー複数の邦人の安否が不明だと、アナウンサーの女性が告げる。
自然とガラスのコップを掴む手に力が入るのがわかった。
溶けかけの氷が、カランと音をたてる。
そんな事をしていると、屋台から良い匂いが漂ってくる。ちょうど小腹が空いてきたので、軽く食事をとる事にした。
「次はどこに行きましょうか?」
アルマさんが、皿に盛られた野菜料理に口をつけながら、そう聞いてくる。
「そうですね、尾張さんはどこか行きたいところありますか?」
「そうね。砂漠の中にあるオアシスっていうものには少し興味があるわね」
尾張さんは口元に指を触れさせる。
「オアシスですか。ーーつまり、水着ということですよね?」
「なんでそうなるのよ! 水辺から風景を眺めるだけに決まってるでしょう!」
「いえ、泳げますよ?」
アルマさんが、尾張さんの言葉を否定する。
「やっぱり水着じゃないですか!」
「泳ぐとは言ってないでしょう!」
尾張さんがまだグダグダと言っているが、とりあえずオアシスまで行くことになった。
「それじゃあ、行きますか!」
急にやる気を見せはじめる僕とは対照的に、尾張さんがため息をついている。
「・・・・・・そうね」
座っていた椅子から立ち上がる。
その時、背中にドンッと衝撃を受け、つんのめる。
僕にぶつかってきたのは、顔を大きな布で隠した人物であった。
その人物は、現地の言葉で何事か叫ぶと、狂気に満ちたような目で周囲を見回す。
その言葉を聞いた周囲の人々は、ざわざわと騒ぎ出すと一斉に逃げ惑う。
「紀美丹君‼︎」
訳もわからず、困惑している僕を尾張さんの緊迫感に満ちた声が現実に引き戻す。
その人物は、また繰り返し何かを叫ぶと手に持ったスイッチを押す。
眩い閃光と爆音が鳴り響いた。
彼の仕事のことはあまりよく思っていない。
必要な事だと分かってはいるけれど、それでも彼が自ら危険に飛び込むことを手放しで喜べるほど、彼らとの付き合いは短くはなかった。
昼食をとるために入った馴染みの定食屋さんで、サバ味噌定食を頼んでお冷に口をつける。
何となく見ていたテレビのニュースでは、外国での自爆テロの事件を取り扱っていた。
あれ? この国、紀美丹君達が行くって言ってた所。ーー複数の邦人の安否が不明だと、アナウンサーの女性が告げる。
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溶けかけの氷が、カランと音をたてる。
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