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世界の終わりを君に捧ぐ
世界の終わりを君に捧ぐ 急 1
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ある程度、回復してから戦場を離脱する。
その後、あらかじめ示しあわせていた場所で、アルマさん達と合流して、念の為病院で怪我の状態を診断してもらう。
幸い軽い打撲程度で済んだようだった。湿布を処方してもらい、ホテルに戻る。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
病院に付き添ってくれていたアルマさんに謝罪する。
「いえ、こちらこそ、戦場に置き去りにするような形になってしまい申し訳ありませんでした」
逆に謝られてしまった。
「いえ、僕が言いだしたことなので、気にしないでください」
アルマさんは、それでもしょんぼりとした顔をしているので、話を変えようと、
「そんなことより、僕たちこの辺の観光したいんです。どこかオススメの場所ってありますか?」
頬をかきながら質問する。
アルマさんは、気分を切り替えるように頭を振ると、
「はい! じゃあ、とっておきの場所にご案内します!」
と言って、微笑んでくれた。
アルマさんが連れてきてくれたのは、有名な遺跡でも、砂漠に広がるオアシスでもなく、多くの地元民が集う露店だった。
「歴史にあまり詳しくないので、遺跡とかは別に興味はないんですが、何故露店に?」
僕の困惑をよそに、尾張さんとアルマさんは宝飾品を販売する露店の前で盛り上がっている。
「これとか、お似合いだと思いますよ?」
「そうかしら。どう、紀美丹君?」
尾張さんは、ガラス細工が施された首飾りを身につけて見せつけてくる。
それは、尾張さんの身につけている民族衣装によく映えていた。
「・・・・・・似合ってますけど」
僕の煮えきらない言葉に、尾張さんがにやりと笑いながら言う。
「細かいことは置いておきなさい。紀美丹君。人生は楽しんだもの勝ちよ。ーーそれに椎堂さんへのお土産買うんでしょ?」
「ーーそれもそうですね。じゃあ、それください!」
首飾りを購入しようとする僕を、アルマさんが手で制す。
その後、目配せをすると何事か店主と話しはじめる。
すると店主はやれやれといった顔で腕輪を差し出してくる。
「やるわね。アルマさん」
「どういうことですか?」
その会話を聞いていた尾張さんに質問する。
「彼女は、紀美丹君が払おうとした値段で、さらに腕輪をオマケにつけてもらうという高難度の値切りをやってのけたのよ」
私達のようなコミュニケーション能力の低い人間には出来ない荒技だわ。と尾張さんが続ける。
「自然に僕のコミュニケーション能力まで低いことにしないでください!」
「現地語が話せない紀美丹君のコミュニケーション能力なんて、赤ん坊レベルじゃない」
なにも言い返せない。
「僕だって、英語圏ならそれなりにコミュニケーション取れるようになりましたよ!」
「英語勉強したくないから、海外には行かないとか言っていた人の言葉とは思えないわね?」
尾張さんは微笑ましいものを見るように優しげな目つきでこちらを見てくる。
くっ! 昔のことを!
「ほら、紀美丹君お金払わないと?」
言い返そうとする僕が口を開く前に、尾張さんが支払いを促す。
ぐぬぬ。
僕が悔しそうにしながらお金を払おうとしていると、店主が顔を近づけてきて耳元で何事か囁いた。
そして、肩をポンと叩くとやれやれといった様子で首を振る。
言葉がわからなくとも、その様子からなんと言われたかなんとなくわかった。
お互い女には苦労するな?
きっとそう言ったであろう店主に、言語を越えた友情を感じ、熱く手を握り合った。
それを、尾張さんが冷ややかに見つめる。
「妙なことしてないで、次! 行くわよ! 紀美丹君?」
尾張さんはドライだなぁ。
新しい友に別れを告げて、次の店に行く。
その後、あらかじめ示しあわせていた場所で、アルマさん達と合流して、念の為病院で怪我の状態を診断してもらう。
幸い軽い打撲程度で済んだようだった。湿布を処方してもらい、ホテルに戻る。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
病院に付き添ってくれていたアルマさんに謝罪する。
「いえ、こちらこそ、戦場に置き去りにするような形になってしまい申し訳ありませんでした」
逆に謝られてしまった。
「いえ、僕が言いだしたことなので、気にしないでください」
アルマさんは、それでもしょんぼりとした顔をしているので、話を変えようと、
「そんなことより、僕たちこの辺の観光したいんです。どこかオススメの場所ってありますか?」
頬をかきながら質問する。
アルマさんは、気分を切り替えるように頭を振ると、
「はい! じゃあ、とっておきの場所にご案内します!」
と言って、微笑んでくれた。
アルマさんが連れてきてくれたのは、有名な遺跡でも、砂漠に広がるオアシスでもなく、多くの地元民が集う露店だった。
「歴史にあまり詳しくないので、遺跡とかは別に興味はないんですが、何故露店に?」
僕の困惑をよそに、尾張さんとアルマさんは宝飾品を販売する露店の前で盛り上がっている。
「これとか、お似合いだと思いますよ?」
「そうかしら。どう、紀美丹君?」
尾張さんは、ガラス細工が施された首飾りを身につけて見せつけてくる。
それは、尾張さんの身につけている民族衣装によく映えていた。
「・・・・・・似合ってますけど」
僕の煮えきらない言葉に、尾張さんがにやりと笑いながら言う。
「細かいことは置いておきなさい。紀美丹君。人生は楽しんだもの勝ちよ。ーーそれに椎堂さんへのお土産買うんでしょ?」
「ーーそれもそうですね。じゃあ、それください!」
首飾りを購入しようとする僕を、アルマさんが手で制す。
その後、目配せをすると何事か店主と話しはじめる。
すると店主はやれやれといった顔で腕輪を差し出してくる。
「やるわね。アルマさん」
「どういうことですか?」
その会話を聞いていた尾張さんに質問する。
「彼女は、紀美丹君が払おうとした値段で、さらに腕輪をオマケにつけてもらうという高難度の値切りをやってのけたのよ」
私達のようなコミュニケーション能力の低い人間には出来ない荒技だわ。と尾張さんが続ける。
「自然に僕のコミュニケーション能力まで低いことにしないでください!」
「現地語が話せない紀美丹君のコミュニケーション能力なんて、赤ん坊レベルじゃない」
なにも言い返せない。
「僕だって、英語圏ならそれなりにコミュニケーション取れるようになりましたよ!」
「英語勉強したくないから、海外には行かないとか言っていた人の言葉とは思えないわね?」
尾張さんは微笑ましいものを見るように優しげな目つきでこちらを見てくる。
くっ! 昔のことを!
「ほら、紀美丹君お金払わないと?」
言い返そうとする僕が口を開く前に、尾張さんが支払いを促す。
ぐぬぬ。
僕が悔しそうにしながらお金を払おうとしていると、店主が顔を近づけてきて耳元で何事か囁いた。
そして、肩をポンと叩くとやれやれといった様子で首を振る。
言葉がわからなくとも、その様子からなんと言われたかなんとなくわかった。
お互い女には苦労するな?
きっとそう言ったであろう店主に、言語を越えた友情を感じ、熱く手を握り合った。
それを、尾張さんが冷ややかに見つめる。
「妙なことしてないで、次! 行くわよ! 紀美丹君?」
尾張さんはドライだなぁ。
新しい友に別れを告げて、次の店に行く。
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