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一歩前進
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エルンは、もう一カ月も空気を使った攻撃魔法ルフトシュラーグを練習している。
最初はなかなか制御ができず攻撃とは程遠かったが、次第にコツを掴み、なんとか形になってきた。
子供の胴体くらいの太さの幹なら一撃で倒すほどの威力まで高めることができた。
小さなトロールくらいなら倒せそうだとエルンは満足した。しかも、この魔法はそれほどの魔力を消費しないので連続攻撃も可能だ。
しかし、大きめのオークのようなグロイエルだったら、対処することはできそうにない。さらなる研鑽を積む必要を感じた。
いつまでも同じ魔法に固執するわけにはいかないので、次の魔法へと進む。
次は攻撃魔法ヘレン・グレイド。炎により焼き滅ぼす魔法だ。
イルゼからプレゼントされたバッグから魔導書を取り出すと呪文のページを開き、呪文を確認する。すでに予習はしているので思い出すだけである。
エルンは息を止めると手ごろな木を狙い、心を落ち着け、目標である幹へと集中する。
そして両手をそちらへと向け、黙唱。
——アウス デア ヘレ、フェアブレンネ アレス… ヘレン・グレイド!——
『疑獄より来たれ、すべてを焼け、ヘレン・グレイド』
すると人の頭ほどもある火球が瞬時に発生し一瞬で閃光が走り幹へと向かった。そして轟音とともに幹は粉々に消し飛んだ。同時に背後の木々も広範囲にわたって吹き飛んだ。
「嘘……」
エルンはその威力に驚き、立ちすくんだ。しかし、驚きはすぐに終わった。急激に意識が遠のき目の前が暗くなった。体から力が抜けて立っていられなくなった。
エルンはその場へと崩れ落ちた。
火球の放出は強力ではあるが相当に体力、魔力を消費することがわかった。
今のエルンでは一発が精一杯というところ。
「エルン、すごいじゃない。こんなの初めて見たわ」
「えぅ、だれ?」
「私、フィリア」
「ああ、見てたんだ。フィリア……」
エルンはにっこりと笑ってフィリアの膝にうつ伏した。
気がつくとエルンはフィリアの膝枕で眠っていることに気付いた。
「あっ、ごめん」
「いいよ、別に。エルンの顔、ずっと見られたから」
「どれくらい?」
「三十分くらい」
「そんなに……」
「でもすごかったよね。見てよ、あれ」
フィリアが指さしたところを改めて見るとそこは数メートルにわたって爆薬で吹き飛ばしたかのように地面までえぐれていた。
「僕もこんなになるなんて思わなかった……もう大丈夫だから」
エルンは起き上がった。
しかし、まだ、頭がふらふらしている。
「私もね、あれから少しできるようになったのよ。見てて」 手で受け皿を作った。「エルタイル・ミア・ディ・フェアキヒカイト・ツィ・ベヘアシュェン」
フィリアは呪文を詠唱すると、やがて白い光の玉が現れた。
「すごいじゃない。こんなに早くできるようになるとは思わなかった。さすが僕の弟子だ」
エルンとフィリアはお互いの成長を喜んだが、まだまだこんな程度ではいけないことはわかっていた。
フィリアは炎の種ができただけで、エルンは一発放っただけで気を失っていては話にならない。しかし、エルンは、もう少し、魔力を制限して相手に合わせた火球にすればいいんじゃないかとも思った。
魔力の制限が今後の課題だ。
「ひとつフィリアに言いたいんだけど、呪文は詠唱するより黙唱の方がいいよ。心の中で唱えるんだ。その方が発動は早いからね。最初は難しいけど、そのうち呪文を思い浮かべるだけで発動するようになるんだ。相手に悟られる心配もないし」
「エルン、すごい」
エルンは何だか本当の先生になったみたいで嬉しかった。
でも、これでいいのかなと疑問もあった。
最初はなかなか制御ができず攻撃とは程遠かったが、次第にコツを掴み、なんとか形になってきた。
子供の胴体くらいの太さの幹なら一撃で倒すほどの威力まで高めることができた。
小さなトロールくらいなら倒せそうだとエルンは満足した。しかも、この魔法はそれほどの魔力を消費しないので連続攻撃も可能だ。
しかし、大きめのオークのようなグロイエルだったら、対処することはできそうにない。さらなる研鑽を積む必要を感じた。
いつまでも同じ魔法に固執するわけにはいかないので、次の魔法へと進む。
次は攻撃魔法ヘレン・グレイド。炎により焼き滅ぼす魔法だ。
イルゼからプレゼントされたバッグから魔導書を取り出すと呪文のページを開き、呪文を確認する。すでに予習はしているので思い出すだけである。
エルンは息を止めると手ごろな木を狙い、心を落ち着け、目標である幹へと集中する。
そして両手をそちらへと向け、黙唱。
——アウス デア ヘレ、フェアブレンネ アレス… ヘレン・グレイド!——
『疑獄より来たれ、すべてを焼け、ヘレン・グレイド』
すると人の頭ほどもある火球が瞬時に発生し一瞬で閃光が走り幹へと向かった。そして轟音とともに幹は粉々に消し飛んだ。同時に背後の木々も広範囲にわたって吹き飛んだ。
「嘘……」
エルンはその威力に驚き、立ちすくんだ。しかし、驚きはすぐに終わった。急激に意識が遠のき目の前が暗くなった。体から力が抜けて立っていられなくなった。
エルンはその場へと崩れ落ちた。
火球の放出は強力ではあるが相当に体力、魔力を消費することがわかった。
今のエルンでは一発が精一杯というところ。
「エルン、すごいじゃない。こんなの初めて見たわ」
「えぅ、だれ?」
「私、フィリア」
「ああ、見てたんだ。フィリア……」
エルンはにっこりと笑ってフィリアの膝にうつ伏した。
気がつくとエルンはフィリアの膝枕で眠っていることに気付いた。
「あっ、ごめん」
「いいよ、別に。エルンの顔、ずっと見られたから」
「どれくらい?」
「三十分くらい」
「そんなに……」
「でもすごかったよね。見てよ、あれ」
フィリアが指さしたところを改めて見るとそこは数メートルにわたって爆薬で吹き飛ばしたかのように地面までえぐれていた。
「僕もこんなになるなんて思わなかった……もう大丈夫だから」
エルンは起き上がった。
しかし、まだ、頭がふらふらしている。
「私もね、あれから少しできるようになったのよ。見てて」 手で受け皿を作った。「エルタイル・ミア・ディ・フェアキヒカイト・ツィ・ベヘアシュェン」
フィリアは呪文を詠唱すると、やがて白い光の玉が現れた。
「すごいじゃない。こんなに早くできるようになるとは思わなかった。さすが僕の弟子だ」
エルンとフィリアはお互いの成長を喜んだが、まだまだこんな程度ではいけないことはわかっていた。
フィリアは炎の種ができただけで、エルンは一発放っただけで気を失っていては話にならない。しかし、エルンは、もう少し、魔力を制限して相手に合わせた火球にすればいいんじゃないかとも思った。
魔力の制限が今後の課題だ。
「ひとつフィリアに言いたいんだけど、呪文は詠唱するより黙唱の方がいいよ。心の中で唱えるんだ。その方が発動は早いからね。最初は難しいけど、そのうち呪文を思い浮かべるだけで発動するようになるんだ。相手に悟られる心配もないし」
「エルン、すごい」
エルンは何だか本当の先生になったみたいで嬉しかった。
でも、これでいいのかなと疑問もあった。
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