神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空

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魔法のキノコ?(2)

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 ちょうどそのとき、玄関の方で音がした。
 ゲオルクが昼飯を食べに戻ったのだ。
「エルンはどうした?」
 ゲオルクが昼食の準備をするイルゼに聞いている。
「自分の部屋でお勉強みたい」
「すごいな、あの年で、勉強熱心だな。俺とは大違いだ」と言い、「エルン、昼飯食べようぜ。何してる?」
 どうしよう。このままでは部屋から出られない。固くて痛くて……。
「今、ちょっと無理……」
「どうした、具合でも悪いのか?」
「そうじゃないけど……」
「遠慮するな。お腹が痛いのなら言わなきゃだめだぞ。腹痛の薬くらいはあるぞ」
「そうじゃないよ」と言いながら、ちょっとドアを開けた。「おじさん、ちょっといい?」
「なんだ?」
「ちょっと中へ入って」
 ゲオルクは怪訝な顔つきでエルンの部屋へと入った。
「困ったことになったんだ。絶対におばさんには言わないでね」
「わかった、男と男の約束だ。絶対に言わない」
 エルンは安心してパンツを下ろした。
 そこにはビンビンと屹立するエルンの一物があった。
「お前、すごいぞ、その年でこれか……将来は大物だ。だが、俺のはもっとすごいぞ。見るか?」
「そうじゃないんだ。魔導書に魔力が強くなるキノコって書いてあったから煎じて飲んでみたら、こうなっちゃたんだ。時々は固くなることはあるけど、こんなにビンビンするのって初めてなんだ。どうしよう」
「どうしたらいいかって、そりゃあ、じきに元に戻ると思う。普通はな……」
「ほんと? どれくらい?」
「それはわからん。俺だったら終わったらすぐに元に戻るけどな」
「終わるって?」
「それは、ちょっと説明しにくいが、お前はこの状態がいつから続いてるんだ?」
「もう一時間くらい」
「一時間だって?……そのキノコの粉末はまだあるのか。子供が持っていたら危険だ。俺が預かる」
「どうするの?」
「これは何というキノコだ?」
「ツァウバー・ピルツ。珍しいキノコで、森の奥に行かないと手に入らないよ」
「ツァウバー・ピルツ……聞いたことあるぞ。それって……——精力剤だったよな。この辺りではよく採れるキノコだよな—— とにかく預かる。全部出しなさい」
 エルンは残ったツァウバー・ピルツの粉末を全部渡した。
「エルンはどれくらいの粉末でそうなった?」
「スプーン一杯分くらいかな」
「そうか……じゃあ、イルゼには風邪気味と説明しておくから少し休んでろ。きっとすぐによくなる。これは俺が責任をもって始末しておく。これ以上、変なキノコを飲むな」
 ゲオルクは何だか嬉しそうだった。
 エルンにはその意味はわからなかった。
 それから一時間ほどでエルンの股間は元に戻ったが、股間のほてりは半日ほども続いた。
 エルンは、これに懲りて少し実験は控えようと思った。もう一つのキノコ、シュヴァルツァー・トッドピルツの服用は先延ばしとなった。
 なぜか、その夜、家が小刻みに揺れる現象が起こった。エルンは当初、グリフスが集団で襲ってきたかと身構えたが、外の方の騒ぎはないらしいことがわかった。どうやら家の中で何かが激しく動いているのだ。時折うめき声のようなものも聞こえる。しかし、しばらくすると収まった。明日、ゲオルクに聞いてみようと思い、その夜は眠ることにした。

 翌朝、昨夜の騒ぎが嘘だったかのようにゲオルクもイルゼも上機嫌だった。
「どうしたの?」
 イルゼがエルンの怪訝な目つきに気が付いたようで聞いてきた。
「いえ、別に……」
 エルンは何だか聞くことを躊躇した。機嫌がいいのならそれに越したことはない。わざわざ水を差す必要はないと。
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