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古魔道具屋本日オープン?(3)
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アマーリエの攻撃から一週間、ようやくすべての修復が終わって開店準備ができた。
何事も無いことを祈るばかりだ。
幸い、なんだかんだとトラブルがあったことが話題となり、開店前から店を訪れる人が絶えなかった。
当日になると、店の前に人だかりができていた。
見物客、冷やかし客、大きな荷物を背負った、おそらく魔道具を売りに来た客だろう、騒がしいほどの人で溢れた。
エルンはドアを開けると「開店です。どうぞ入ってください」と声を掛けながら客を迎え入れた。
人々は物珍しそうに入ってくる。
「意外と大きな店だな」
「面白そうな物が揃ってるな」
「奇妙な物もあるぞ」
「なんだこりゃ、ガラクタか?」
などと客の口から声が漏れた。
「どれがガラクタなんだ……?」とガルディが詰め寄ろうとするのをエルンは必死で止めた。
昼くらいまで客の入りは多かったが、午後からは客足がぱったりとなくなった。
結局、閉店までに売れたのは魔杖一本と古い壺一つ。
売上の合計は三六八〇デリラ。
買い取り希望も何点かあったがどれも骨董と言えるものでなかったり、偽物であったりでお断りをすることになった。
「お前の商売とはこんなものか?」
ガルディがエルンを睨んでいた。
「多分、まだ信用がないからでしょう。信用を得るには長くかかると思います」
魔道具には高額な物も多い。真贋を疑うため手を出せない様子も窺えた。
POPの効果も薄い。
「それでメシ食っていけるのか?」とガルディ。
「どうでしょう?」
エルンも不安に押し潰されそうだ。もう金も残り少ない。あと数日分の食事代しかない状態だ。
「しばらくご飯抜きでいいですか」
「俺は三日食わねえと死ぬこと知ってるだろ。知ってて言ってるのか?」
二日目の客は初日ほどではないにしても開店からぽつりぽつりとあった。
安い物から売れていくといった感じだ。
その日の売り上げは一万三五四〇デリラ。
「俺の日当はこれで出るだろうな」
「まだ勘弁してください。ここの家賃とかランプの油代とか、それに今後仕入れないといけませんのでその費用も貯金しておかないといけませんので……」
「いつまでだ……」
「あと、ひと月」
「ふざけるな。ひと月、飲まず食わずでいられるか」
「食費は僕が出してますけど」
「俺だって金が必要なんだ」
「わかります。ですがもう少し……」
「転職を考えなければならんかもしれんな」
「ここは、しばらく僕が店番をやりますから、ガルディさんはバウンティハンターで稼がれてもよいかと……」
「最近は魔獣の出没も少なくて、その仕事も少なくなっている。簡単には見つからんのだ。いったんそちらの方から離れると感覚も鈍る」
「そういうもんですか」
「まあ、しばらくはガマンするが。来月からはちゃんと払ってもらうぞ」
「……はい」
やっぱり思いつきだけで始めたのがいけなかったのか。甘い考えだったかもしれない。商売は簡単ではない。
何をいまさら……エルン自身呆れた。
ガルディも今の状況にイライラしてるようで客とのトラブルが絶えない。
「おい、そこのヴォルフガルド、この龍涎石は本物か?」
中には高圧的な客もいるので困ったものだ。
「何だと?」
「この龍涎石は本物かと聞いているんだ。本物と保証すれば買ってやるが」
「本物だが、本物か偽物かわからないお前のようなぼんくらには売れない代物だ」
「何だと。俺は客だぞ。ぼんくらとはなんだ」
「ぼんくらにぼんくらと言って何が悪い。誰に売るかは俺が判断する。お前には売らねえ」
「なんて店だ、どうせここにあるのは偽物ばかりだろ。インチキ道具屋だろ。言いふらしてやる」
「てめえ、妙な事言いふらしたら命はねえぞ。お前の顔と臭いは覚えたからな。二百キロ離れても追い詰められるぞ。命あるうちにとっとと失せろ。でないとミンチにして練り上げるぞ」
といった具合のトラブルが既に六件発生している。
「ダメじゃないですか、お客さんを怒らせちゃ。買ってもらわないと商売が成り立ちませんよ。しかも、ミンチはいかがなものでしょうか。その上、練り上げちゃだめでしょ」
「あんな連中にゴマするぐらいなら餓死した方がましだ」
「本心ですか? じゃあガルディさんの寿命は三日ですよ」
食欲には貪欲なガルディ。
「ちょっとでいいから愛想よくしてください。ケンカだけはしないでくださいね」
ガルディは終始不満顔。
何事も無いことを祈るばかりだ。
幸い、なんだかんだとトラブルがあったことが話題となり、開店前から店を訪れる人が絶えなかった。
当日になると、店の前に人だかりができていた。
見物客、冷やかし客、大きな荷物を背負った、おそらく魔道具を売りに来た客だろう、騒がしいほどの人で溢れた。
エルンはドアを開けると「開店です。どうぞ入ってください」と声を掛けながら客を迎え入れた。
人々は物珍しそうに入ってくる。
「意外と大きな店だな」
「面白そうな物が揃ってるな」
「奇妙な物もあるぞ」
「なんだこりゃ、ガラクタか?」
などと客の口から声が漏れた。
「どれがガラクタなんだ……?」とガルディが詰め寄ろうとするのをエルンは必死で止めた。
昼くらいまで客の入りは多かったが、午後からは客足がぱったりとなくなった。
結局、閉店までに売れたのは魔杖一本と古い壺一つ。
売上の合計は三六八〇デリラ。
買い取り希望も何点かあったがどれも骨董と言えるものでなかったり、偽物であったりでお断りをすることになった。
「お前の商売とはこんなものか?」
ガルディがエルンを睨んでいた。
「多分、まだ信用がないからでしょう。信用を得るには長くかかると思います」
魔道具には高額な物も多い。真贋を疑うため手を出せない様子も窺えた。
POPの効果も薄い。
「それでメシ食っていけるのか?」とガルディ。
「どうでしょう?」
エルンも不安に押し潰されそうだ。もう金も残り少ない。あと数日分の食事代しかない状態だ。
「しばらくご飯抜きでいいですか」
「俺は三日食わねえと死ぬこと知ってるだろ。知ってて言ってるのか?」
二日目の客は初日ほどではないにしても開店からぽつりぽつりとあった。
安い物から売れていくといった感じだ。
その日の売り上げは一万三五四〇デリラ。
「俺の日当はこれで出るだろうな」
「まだ勘弁してください。ここの家賃とかランプの油代とか、それに今後仕入れないといけませんのでその費用も貯金しておかないといけませんので……」
「いつまでだ……」
「あと、ひと月」
「ふざけるな。ひと月、飲まず食わずでいられるか」
「食費は僕が出してますけど」
「俺だって金が必要なんだ」
「わかります。ですがもう少し……」
「転職を考えなければならんかもしれんな」
「ここは、しばらく僕が店番をやりますから、ガルディさんはバウンティハンターで稼がれてもよいかと……」
「最近は魔獣の出没も少なくて、その仕事も少なくなっている。簡単には見つからんのだ。いったんそちらの方から離れると感覚も鈍る」
「そういうもんですか」
「まあ、しばらくはガマンするが。来月からはちゃんと払ってもらうぞ」
「……はい」
やっぱり思いつきだけで始めたのがいけなかったのか。甘い考えだったかもしれない。商売は簡単ではない。
何をいまさら……エルン自身呆れた。
ガルディも今の状況にイライラしてるようで客とのトラブルが絶えない。
「おい、そこのヴォルフガルド、この龍涎石は本物か?」
中には高圧的な客もいるので困ったものだ。
「何だと?」
「この龍涎石は本物かと聞いているんだ。本物と保証すれば買ってやるが」
「本物だが、本物か偽物かわからないお前のようなぼんくらには売れない代物だ」
「何だと。俺は客だぞ。ぼんくらとはなんだ」
「ぼんくらにぼんくらと言って何が悪い。誰に売るかは俺が判断する。お前には売らねえ」
「なんて店だ、どうせここにあるのは偽物ばかりだろ。インチキ道具屋だろ。言いふらしてやる」
「てめえ、妙な事言いふらしたら命はねえぞ。お前の顔と臭いは覚えたからな。二百キロ離れても追い詰められるぞ。命あるうちにとっとと失せろ。でないとミンチにして練り上げるぞ」
といった具合のトラブルが既に六件発生している。
「ダメじゃないですか、お客さんを怒らせちゃ。買ってもらわないと商売が成り立ちませんよ。しかも、ミンチはいかがなものでしょうか。その上、練り上げちゃだめでしょ」
「あんな連中にゴマするぐらいなら餓死した方がましだ」
「本心ですか? じゃあガルディさんの寿命は三日ですよ」
食欲には貪欲なガルディ。
「ちょっとでいいから愛想よくしてください。ケンカだけはしないでくださいね」
ガルディは終始不満顔。
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