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学校探索(1)
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エルンは学校への届け物があるとそのついでに学校内を散策するのが習慣となった。
そのたびに見つかって捕まりかけるが、寸でのところで逃げ切るのだ。
やがて、届け物が無いときでも時間を見つけては学校へと忍び込んだ。裏手の雑木林のところに柵があって、その柵の一本が壊れている。きっとこの学校の生徒もこっそり出たり入ったりする秘密の出入り口として使っているのだろう。それを利用させてもらうことにした。
この日も散策。一年生クラスだと授業がつまらないので四年生クラスの授業を覗くことにした。
何気なく見た廊下の掲示板に愕然とした。
『最近、学内に無断侵入する十歳くらいの子供がいる。見つけた場合には警備員へ通報すること。もしくは捕まえること。捕まえた者には賞金を授与する』
エルンは自分に賞金が掛けられていることにショックを受けた。そんなに悪いことだったのかと今更ながら思った。
——僕は賞金首になってしまった——
しかし、何だか嬉しくもあった。「捕まえられるものなら捕まえてみな」と嘯くエルンがいた。
四年生は四階の部屋だ。人の気配を探りながら四階まで行き、声のする教室の廊下側の窓をそっと開ける。明らかに授業中だ。
黒板に書かれている図からすると基礎的な攻撃魔法のようだ。
エルンは自分の攻撃魔法とどのような違いがあるか興味があった。
リンダさんの授業は特別だし……人から教授されたことがほとんどないので基礎が疎かになっていると思っていた。
先生が詠唱する。
「ゼルシュテューングストラール・アウス・マイナー・ハント」
呪文を聞いて、光を圧縮して高熱にして相手にダメージを与える魔法なのだろうと見抜いた。なるほど、意外とシンプルなんだとエルンは思った。基礎的だからこの程度なんだろうとも。
「ネズミがいるようですよ」と先生がエルンの方を指さした。
「見つかった」
先生も警戒していたらしい。
「捕まえなさい。賞金が出ますよ。これも授業の一環です」
生徒たちは立ち上がると一斉に廊下へと雪崩出た。
「ネズミだー」と誰かが叫ぶと他のクラスからも生徒が雪崩出てきて大騒ぎとなった。
——どうしよう、どうしよう——
エルンは泣きそうになった。
こんなはずじゃなかった。
皆が追いかけてくる。
頭の上を光の矢が通過する。たった今授業で習った攻撃魔法を使った者がいた。あの程度なら死ぬことはないが、ケガは負いそうだ。防御魔法……ダメだ、そんな余裕はない。
どうしよう。このままじゃ追いつかれてしまう。
エルンは校庭へ出て、逃げ回った。
校舎と校舎の間へと入り込んではまた、校庭へ……
しかたがない、攻撃をするしかない。誰もケガをさせないように。
エルンは後ろを振り返り、攻撃魔法ブランド・ブリッツを地面へと放った。
ドーーーン!
地面が地響きを上げて土埃を舞上げた。
背後から悲鳴のような声。
続けて二発三発。
ドーーーーン、ドーーーーン……
周辺一帯は土埃で視界が遮られた。
エルンはその隙に校門を駆け抜けた。
これほど必死に走ったのはベアツァーカーに追いかけられたとき以来だ。
店へと戻ったが不安で仕方がなかった。苦情が来るのではないかと。
ガルディから怒鳴りつけられると覚悟していたが、何日経ってもお咎めは無かった。
犯人の予測は付いているはずだが、なぜだろう?
だが、考えるとすぐにわかった。国立魔法学院の生徒が数十人かかっても、たった一人の十歳児を捕まえられず、しかも、魔法で返り討ちにあったことが世間に知れたら学校の威信にかかわる。だから表沙汰にできないのだと。
きっと、そうだ。
それはよかったのだが、もう学校へは行けそうにない。
そのたびに見つかって捕まりかけるが、寸でのところで逃げ切るのだ。
やがて、届け物が無いときでも時間を見つけては学校へと忍び込んだ。裏手の雑木林のところに柵があって、その柵の一本が壊れている。きっとこの学校の生徒もこっそり出たり入ったりする秘密の出入り口として使っているのだろう。それを利用させてもらうことにした。
この日も散策。一年生クラスだと授業がつまらないので四年生クラスの授業を覗くことにした。
何気なく見た廊下の掲示板に愕然とした。
『最近、学内に無断侵入する十歳くらいの子供がいる。見つけた場合には警備員へ通報すること。もしくは捕まえること。捕まえた者には賞金を授与する』
エルンは自分に賞金が掛けられていることにショックを受けた。そんなに悪いことだったのかと今更ながら思った。
——僕は賞金首になってしまった——
しかし、何だか嬉しくもあった。「捕まえられるものなら捕まえてみな」と嘯くエルンがいた。
四年生は四階の部屋だ。人の気配を探りながら四階まで行き、声のする教室の廊下側の窓をそっと開ける。明らかに授業中だ。
黒板に書かれている図からすると基礎的な攻撃魔法のようだ。
エルンは自分の攻撃魔法とどのような違いがあるか興味があった。
リンダさんの授業は特別だし……人から教授されたことがほとんどないので基礎が疎かになっていると思っていた。
先生が詠唱する。
「ゼルシュテューングストラール・アウス・マイナー・ハント」
呪文を聞いて、光を圧縮して高熱にして相手にダメージを与える魔法なのだろうと見抜いた。なるほど、意外とシンプルなんだとエルンは思った。基礎的だからこの程度なんだろうとも。
「ネズミがいるようですよ」と先生がエルンの方を指さした。
「見つかった」
先生も警戒していたらしい。
「捕まえなさい。賞金が出ますよ。これも授業の一環です」
生徒たちは立ち上がると一斉に廊下へと雪崩出た。
「ネズミだー」と誰かが叫ぶと他のクラスからも生徒が雪崩出てきて大騒ぎとなった。
——どうしよう、どうしよう——
エルンは泣きそうになった。
こんなはずじゃなかった。
皆が追いかけてくる。
頭の上を光の矢が通過する。たった今授業で習った攻撃魔法を使った者がいた。あの程度なら死ぬことはないが、ケガは負いそうだ。防御魔法……ダメだ、そんな余裕はない。
どうしよう。このままじゃ追いつかれてしまう。
エルンは校庭へ出て、逃げ回った。
校舎と校舎の間へと入り込んではまた、校庭へ……
しかたがない、攻撃をするしかない。誰もケガをさせないように。
エルンは後ろを振り返り、攻撃魔法ブランド・ブリッツを地面へと放った。
ドーーーン!
地面が地響きを上げて土埃を舞上げた。
背後から悲鳴のような声。
続けて二発三発。
ドーーーーン、ドーーーーン……
周辺一帯は土埃で視界が遮られた。
エルンはその隙に校門を駆け抜けた。
これほど必死に走ったのはベアツァーカーに追いかけられたとき以来だ。
店へと戻ったが不安で仕方がなかった。苦情が来るのではないかと。
ガルディから怒鳴りつけられると覚悟していたが、何日経ってもお咎めは無かった。
犯人の予測は付いているはずだが、なぜだろう?
だが、考えるとすぐにわかった。国立魔法学院の生徒が数十人かかっても、たった一人の十歳児を捕まえられず、しかも、魔法で返り討ちにあったことが世間に知れたら学校の威信にかかわる。だから表沙汰にできないのだと。
きっと、そうだ。
それはよかったのだが、もう学校へは行けそうにない。
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