二度転生令嬢の落ち着く先

蒼黒せい

文字の大きさ
16 / 27

第16話

しおりを挟む
 襲撃してきた者たちが何者なのか。
 それは、陛下が率いてきた騎士団に委ねられた。

 そして、新たな護衛の中、私は再び馬車に乗り、王宮へと向かった。


 王宮に着くや否や、私はあっという間に侍女たちに連れ去られた。
 事前に陛下から手筈されていたようで、待ち構えられていたのである。

 …まぁ確かに、激しい戦闘でスカートを自ら切り裂いたり、泥だらけになったり、見た目は散々だ。
 かすり傷でも生傷を負わなかったことは不幸中の幸いだった。

 しかし、だからといってそんな恰好で王宮内をうろつけるわけもなく。あっという間に服を脱がされ、湯船に投げ込まれ、清められ、真新しいワンピースに身を包むこととなった。
 陛下に投げ渡された『グリエ』の剣は、なし崩し的に持ってきてしまった。今は宛がわれた王宮の一室の、部屋の片隅に立てかけられている。

 本当は、到着したらすぐ神殿に向かうはずだったけれど、襲撃事件で事後処理が発生してしまい、陛下含め処理に追われている。

 なので、手持無沙汰の私は『グリエ』の剣を手入れしていた。

 既に手入れはされており、血糊は拭われている。
 けれど、かつての愛剣が再びこの手に戻ってきているのは純粋にうれしかった。

 見慣れた、けれどいつ見ても美しいと思う装飾に、まっすぐで煌めく刀身。
 骨や鎧にぶつけたことのない切っ先は、その鋭さを維持したまま。

「綺麗なままね…」

 そのあまりの綺麗さに、当時ずっとその剣に魅せられていた『グリエ』は一部では危ない人間扱いされていた。
 …確かに、刀身をうっとりと眺める様は、近寄りがたい雰囲気もあったかもしれない。

 と、ノックの音が聞こえた。

「はい」
「私だ」

 陛下の声だった。
「入るぞ」の声と同時に扉が開く。
 私は剣を鞘に仕舞い、立てかけ、立ち上がる。

「…すまない。お前を危険な目に合わせた」

 開口一番の謝罪に、私はどうしたものかと頭を巡らせる。
 襲撃事件が、はたして陛下のせいなのか、そうでないのか。
 もともと陛下に謝罪を要求できるわけなどないし、かといって謝罪を受けるということも難しい。

「いえ……」

 私は無難に、そう返すしかなかった。

「疲れてはいないか?」
「…多少は」

 重いドレスを身に纏い、中にも衣服を纏った状態で動き続ければ疲労も出てくる。
 湯船につからせてもらったとはいえ、そう簡単に疲れは取れてはいない。
 しかし、それは陛下も同じはずだ。

「陛下もお疲れでは?」
「気にするな。それより……早急に用件を済ませたい」
「……はい」

 要件…とは、神殿に赴くこと、宣託を受けることだ。
 私が、陛下の王妃として相応しいか、判定される。

 ドクン、と鼓動が跳ねる。
 もし、何も知らないままなら、選ばれるのか選ばれないのか、ただどちらかだけだ。
 それだけで済んだ。

 けれど、私は違う。
 私は、かつて『グリエ』が選ばれたことを知っている。
 そして、選ばれた者は既に亡くなっている。
 以降、誰も新たな王妃は選ばれていない。
 何者も、キラルド陛下の王妃となることはない。

 私が、『シセリア』が選ばれることはない、はず。




 神殿に赴くために正装に着替えた。
 実家から持ってきた白を基調とした華美な装飾を控えたドレスに、髪は簡単に編み込む程度。
 首元まで覆うデザインは、夜会で男を誘うような色気は微塵もない。
 陛下の伴侶か否か、ただその宣託を待つ純白の令嬢として。

 陛下に続いて、神殿へと向かう。
 以前に陛下と大勢の令嬢が連れ立って神殿へ向かっていたのを思い出した。

 今は私だけだ。

 道中、誰も声を発しない。
 キラルド陛下も、護衛の親衛隊も、お付きの神官も、私も。

 やがて神殿に辿り着くと、あの例の間『宣託の間』に向かった。
 既に待ち構えていた大神官。
 かつて、『グリエ』が立ち会った際の大神官とは別の方だ。
 既に高齢で、辞したらしい。

 太陽が真上に上る正午を、もうすぐ迎える。
 正午になると、神殿の最頂点に開け放たれた窓から降り注ぐ光が、宣託の間の中央にある水晶を照らす。
 そして、その水晶で光が屈折し、陛下と、王妃となるものを指し照らす。

 その時を、私は徐々に激しくなる鼓動を感じながらただ静かに待った。
 隣に立つ陛下も、その顔つきは険しい。

(もし……)

 選ばれたら…選ばれなかったら……
 もう間もなくその結果は分かるのに、そこに何か不安を感じているかのように思考が巡る。
 選ばれたらどうしよう。
 選ばれなかったらどうしよう。

 光が徐々に水晶へと向かう中、そんな不安がピークに達した時。

 正午を迎えた。

「っ!」
「!!」

 水晶へと振り注いだ光。
 まぶしくも暖かいその光は、陛下を……そして、私を…『シセリア』を照らした。

 その光景が『見える』大神官は驚愕の表情で、そして陛下は…どこか安堵したような表情だった。
 そして私は……

「なん…で……」

 かつて『グリエ』を指し照らした光。
 何故その光が、私を照らすのか。

「どうして…」

 意味が分からない。
 宣託は、選んだ者が無くなると別の者を選ぶのか?

 そんな疑問につい口を滑らせた私のつぶやきを、陛下は聞き逃さなかった。
 安堵したはずの表情を、再び険しくさせていく。

「っ!」

 陛下の手が、私の腕を掴む。
 その険しい表情のまま、私を見下ろす。

「陛下…?」

 何故掴まれているのか、それがわからず困惑する私に陛下は言った。

「どうして、とはどういう意味だ?私の王妃になりたくないというのか?」
「それ、は……」

 陛下の言葉に親衛隊の面々がざわつく。
 彼らには理由は分からないが、言葉から私が陛下の王妃に選ばれたというのは理解したからだろう。

 けれど、私の困惑は別にあった。
 王妃になりたいとか、なりたくない、ではなく。

「だって、選ばれたのは『グリエ』…っ…!」

 気づいたときにはもう遅かった。
 咄嗟に自分の口を手でふさぐも、陛下の顔はみるみる険しくなっていく。

 絶対に陛下の前で出してはならない名前。
 それも、この場では絶対にまずいのに。

「大神官、見ての通りだ。王妃は決まった」
「え、ええ、はい、その通りですね」
「手続きを進めておけ」

 そう大神官に指示を出すと、陛下は掴んだままの私の腕を引き寄せると、あっという間に抱き上げてしまった。

「陛下!?」

 突然の陛下の奇行に親衛隊の面々も動揺する。
 陛下の顔は険しいまま、その放つプレッシャーに私は何も言えずにいた。

「二人だけで話をする。貴様らは外せ」

 言うや否や、陛下はずんずんと進んでいく。

「お待ちください!その…婚前に相応しくないことは…」
「しないわ馬鹿者!」




 抱き上げられたまま向かった先は陛下の私室だった。
 扉の前に立っていた護衛も下がらせ、中に入ると私はゆっくりとソファーに下ろされた。
 そのすぐ隣に陛下も腰を下し、私は肘掛と陛下に挟まれる形になる。
 …逃げられそうにはない。

「………」
「………」

 無言の間が続く。
 何を言っていいのか、分からない。
 陛下は今一体何を考えているのか、その険しいままの表情からは分からない。

 私が不用意に口走ってしまった名『グリエ』。

「…何故、お前が『グリエ』を知っている?」
「それ、は………」

 どう答えたらいいのか。
 まさか、私が『グリエ』の生まれ変わり、だなんて間違っても言えない。
 信じてもらえるわけがない。
 表情を悟られたくなくて、陛下とは反対の方を向いた。

「…あの『剣』の元の持ち主だと…教えてもらいました」
「………」

 私の回答に、陛下の表情は変わらない。
 いや、むしろプレッシャーが強くなった気がする。

「正直に言え」
「………」

 誤魔化すことはできなかった。とはいえ、だったらどうすればいいのか。
 言いあぐねている私に痺れを切らしたのか、陛下は私の顎を掴み、むりやり自分の方に顔を向けさせた。

「っ!」

 向けさせられると、陛下の顔は目前だった。
 少し距離感を間違えただけで唇が触れてしまいそうな…そのくらいの際どい距離。
 陛下の紅い瞳が、私のすべてを見通そうと強い光を灯している。

「目を逸らすな」

 せめて目だけでも…そう思って逸らそうとすることすら許されなかった。
 でも、直視してしまうと胸が落ち着かない。ざわつく鼓動が、不安なのか、緊張なのか、それともそれ以外なのか……分からない。

「答えろ」

 そう言われても、高鳴る鼓動が冷静な思考を阻害する。口を出る言葉は無く、ただ沈黙が場に流れていくだけ。

「答えなければ……」

 言うが早いか、再び抱き上げられ、今度は……ベッドに下された。
 そしてすぐさま、陛下は私の上に覆いかぶさる形になった。

「シセリア。お前は私の王妃として選ばれた」
「…は、はい……」

 何故それを今告げるのか。
 しかし、今の状況と、その言葉の意味。
 それが頭の中でつながったとき、陛下が何をしようとしているのかの答えが出た。

「答えないなら……お前を抱く」
「っ!!!」

 陛下の口から答えが告げられ、その意味を理解し体中が熱くなった。
 抱く…とはそういうことであり、それはつまり『グリエ』が……
 そこまで考えたとき、頭が急速に冷えていった。

 陛下は目の前の存在が、『グリエ』だと。
 元『男』だと知らない。
 なら、もし……それを知ったら?
 元『男』だと知ったら……?
 陛下はきっと拒絶する。
 元『男』なんて抱きたくないはずだ。

(じゃあ言ってしまったら…?)

 元『男』でも。
 神殿で、光の宣託は私を選んだ。
 何故私なのかは分からない。
 でも、元は男でも今は間違いなく女で。
 ちゃんと月のものは来ている。
 子を成すことだってできる。
『グリエ』とは違う。

 王の義務として……私を王妃にし、子を成させることを陛下は拒否できない。
 国の為に。

 ここで、答えず、抱かれて子を成せばいい。
 秘密は秘密のまま、一生このまま黙っていればいい。
 それで、私の義務は果たせるのだから。
 王妃となる私に拒否権はなく、わざわざ『グリエ』の生まれ変わりであることを明かす必要はない。

「………」

 真剣に私を見下ろす陛下の眼は、その言葉通りに私を抱く…というつもりには見えない。
 むしろ、何としても私の答えを聞こうと待っている。
 その眼を前に、黙っていればいいと思った私の考えが崩れていく。
 言うことが、その瞳への答えだと、そう思った。

 腕を、胸の前で交差させてしまう。
 答えを言うことへの不安が、身体を勝手に動かしていた。
 陛下はわざわざそのことを見咎めはしなかった。ただじっと待っていた。

 一度目を閉じ…そして開く。
 覚悟を決めた私の眼に、陛下もまた表情を引き締めた。
 そして、ゆっくりと口を開く。

「『お久しぶりですね…キラルド殿下』」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます

由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。 だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。 そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。 二度目の人生。 沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。 ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。 「今世は静かに生きられればそれでいい」 そう思っていたのに―― 奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。 さらにある日。 皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。 「沈薬は俺の妃だった」 だが沈薬は微笑んで言う。 「殿下、私は静王妃です」 今の関係は―― 皇叔母様。 前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。 それを静かに守る静王。 宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

辺境伯夫人は領地を紡ぐ

やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。 しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。 物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。 戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。 これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。 全50話の予定です ※表紙はイメージです ※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

男装の側近 〜双子の妹は腹黒王子の溺愛からは逃げられない〜

恋せよ恋
恋愛
「お前、なんだか......女っぽいよな?」 病弱な兄の身代わりで、男装し学園に入学したレオーネ。 完璧で美麗な騎士「レオン」として、 冷徹な第二王子・マクシミリアンの側近となったが…… 実は殿下には、初日から正体がバレていた!? 「俺を守って死ぬと言ったな。ならば一生、俺の隣で飼い殺されろ」 戦場では背中を預け合い、寝室では甘く追い詰められる。 正体がバレたら即破滅の「替え玉側近ライフ」は、 王子の執着全開な溺愛ルートへと強制突入する――! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

〖完結〗終着駅のパッセージ 

苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。 その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。 婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。 孤独な結婚生活を送る中。 ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。 始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。 他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。 そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。 だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。 それから一年ほどたった冬の夜。 カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。 そこには彼の想いが書かれてあった。 月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。 カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。 ※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。 ※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。 稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。

処理中です...