彩光の詩 ~Eternal Echoes~

絹咲メガネ

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1st STAGE ~Eternal Echoes~

第5話【星と雷鳴のステージ】

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 学園祭のステージが、いま幕を開ける。

BlossomEchoブロッサムエコー」の花びらのようなメロディと、「NightReaverナイトリーヴァー」の雷鳴のようなハードロック。

 彩花のキーボードが紡ぐ音に、怜の心が静かに揺れる―― 同じ舞台で交錯する二つの魂が、青春の化学反応を起こす。
────────────────――――

・秋のステージ:彩花の試練・

 9月の霧咲きりさき高校は、秋の涼やかな風と紅葉に染まる桜並木に彩られていた。

 学園祭当日の体育館は、熱気と歓声に包まれる。

 舞台の幕が上がり、スポットライトがキラキラと輝く中、「BlossomEcho」のりんと彩花がステージに飛び出した。

 凛のレッドのサテンシャツが秋の光を浴びて情熱的に揺らめき、彩花のパステルピンクのサテンシャツが柔らかな輝きを放つ。

 黒いプリーツスカートが二人の動きに合わせてひらりと揺れ、膝下丈の黒いブーツが軽快なステップを刻む。

 凛はエレキギターを鳴らし、メインボーカルとして観客を煽る。

「霧咲のみんな、盛り上がるよー!」

 彼女の声が体育館を震わせる。

 彩花はキーボードで「Bloomingブルーミング Daysデイズ」を紡ぎ、穏やかなハモリを重ねる。

こんな大勢の前……私、ちゃんと弾けるかな…… 

 彩花は自分にそう問いかけた。

 彩花の心臓はバクバクと鳴り、シルバーフレームのメガネ越しに瞳が揺れる。

 スポットライトの熱……。
 観客の視線。
 歓声の嵐……。

 全てが、彼女を飲み込もうとする……。

息が、詰まる……。
失敗したら、凛の輝きに隠れてしまう……

 恐怖と不安が心を締め付けた。

「彩花、行くよ!」

 凛の力強い声が響く。

 彩花の震える指が鍵盤に触れた。

 彩花が奏でるキーボードは、決して高性能とはいえない。普及型で型遅れのモデル。

 それでも、彼女の指が動くたび、秋の夜空に星々が降り注ぐようなメロディが溢れ出す。

凛の歌声……私の音……一緒なら、怖くない……!

 彩花は目を閉じ、音に身を委ねた。

 サビで凛の声が高らかに舞い、彩花のハモリが紅葉の葉のように寄り添う。

 シンプルな機材を超え、情感豊かな響きが観客の心を掴む。

 体育館が、なんだか桜色の花園が星空に輝くような……光に包まれた気がした。

 彩花の音は恐怖を突き破り、初めての輝きを放っていた。

私の音……届いてる……!

 心に勇気が灯り、彼女の指が鍵盤を大胆に叩く。

凛と一緒なら……私の音、誰かの心に響くかな……。

 彩花はそう、そっと願った。


れいの視線:秘めた憧れ・

 舞台袖の薄暗い一角で、「NightReaver」のはやてれいが出番を待っていた。

 秋の夜風が体育館の窓から忍び込み、制服の袖をまくった颯は、がっしりした体をリラックスさせながらギターのチューニングを確かめる。

 怜の視線は、ステージの彩花に釘付けだった。

 長めの前髪が揺れる端正な顔が、熱く火照っていた。

あのキーボード……どうしてこんなに心を揺さぶるんだ……? 

 怜はふと、そう思った。胸がざわつく……。

 彼はこれまで、教室の片隅で静かに佇む彩花を遠くから見つめていた。

 彼女のシルバーフレームのメガネと控えめな笑顔に、密かに心を寄せていたが、話したことは一度もない。

彩花さんが音楽をやってるなんて……知らなかった……

 彼女のキーボードが紡ぐ音に、怜の心は震える。

 かつてキーボードを弾いていた彼は、普及型の機材の限界を知っていた。

あのモデル、本格的な音楽機材じゃないはず……音色の幅もタッチの感度もたかが知れてるはずなのに……彩花さんの音、こんなに深いなんて……

 彼女の指が鍵盤を滑るたび……星々が瞬くようなメロディが、怜の胸を熱くした……。

こんな音、初めて聞いた……。

なんだか、すごく不思議な音…… どうやっているのか? 俺には見当もつかない……

彩花さん……こんな才能、隠してなんて……

「おい、怜、しっかりしろよ。ちょっとボーッとしすぎだろ?」

 颯の低く落ち着いた声が怜を現実に引き戻す。
 颯は怜の動揺に気づき、片眉を上げてニヤリと笑った。

「え、う、うそ……!?」怜は慌てて頬を押さえ、目を逸らす。

「いや、大丈夫……ただ、あのキーボード、思ってた以上にすごいなって……」

 照れ隠しにギターの弦を軽く弾く。

 颯は肩をすくめ、ギターのストラップを調整した。

「そうだな。凛のギターもかなりのもんだ。歌いながらリズム刻んで、ソロだってバッチリ決めてる。学園祭のバンドなんて舐めてたけど、あの二人は本物だよ。」

 颯の瞳に賞賛が宿る。

「怜、俺たちの出番、負けらんねえぞ。音でぶちかますんだ!」

「うん……!」

 怜は頷き、彩花の音が脳裏に響く。

彩花さんのキーボード、俺のアルペジオと合わせたら……

 ギターを握り直し、心を奮い立たせた。

颯の支えがあって、俺の音も響くはず……!


・雷鳴と星空:魂の交錯・

「BlossomEcho」の演奏が終わり、観客の歓声が体育館を揺らす。

 凛と彩花が笑顔でステージを降り、舞台袖で「NightReaver」の出番がやってきた。

 制服姿の颯と怜は、派手な衣装とは無縁のまま、音で勝負する覚悟を胸に秘める。

 颯がギターを低く構え、「Thunderサンダー Pulseパルス」のパワフルなリフを刻む。

 怜が作成した打ち込みによるリズムパートが、ハードロックの重厚な世界を広げ、体育館が雷鳴のようなサウンドに飲み込まれる。

 怜は繊細なアルペジオを重ね、颯のリフに奥行きを添えた。

 颯の音、いつも俺を引っ張ってくれる……怜の心に、颯の励ましが響く。

颯と一緒なら、俺の音も観客に届く……!

 怜の指が弦を滑るたび、彩花のキーボードがフラッシュバックし、感情が音に溶け込む。

彩花さんの音と、俺のギター……どんなハーモニーになるんだろう……

 怜のアルペジオが……雷鳴に、静かに魂を吹き込んでいく……。

 舞台袖で、凛と彩花が「NightReaver」の演奏を見つめる。

 秋の夜風が体育館の隙間から忍び込み、彩花の髪を軽く揺らす。

 彼女の瞳が、怜のギターに引き寄せられる。

あのアルペジオ……優しいのに、力強い……

 彩花の心に、好奇心が芽生える。

 凛は彩花の肩を叩き、ニヤリと笑った。

「ねえ、彩花、あの二人、めっちゃカッコいいね! 怜くんの演奏、なんか彩花のキーボードに似てるんじゃない?」

 彩花は赤面し、「え、う、うん……そうかな?」と目を逸らす。

怜くん……あの音、なんだか私の演奏と響き合う気がする……

 小さな火が心に灯る。

 色鮮やかな花びらが散った後、ハードロックの嵐が体育館を飲み込む。

「BlossomEcho」と「NightReaver」の異なる魂が、同じ舞台で交錯した。

 学園祭の夜は、誰も予想しなかった化学反応で輝きを増す――。
────────────────――――
・次回予告:第6話【開花の夜】

 生まれて初めての大舞台で恐怖を乗り越えた彩花は、怜の視線を一身に浴びる! 凛の情熱的な笑顔、秋の光に輝くサテンの衣装、観客の歓声――全てが彩花を強くする。
 一方、彩花は怜の繊細なアルペジオに心を揺さぶられ、凛との絆に新たな想いを抱く。「BlossomEcho」の二人は、これからどんなメロディを奏でるのか? 次回、「開花の夜」、青春の音が新たな一歩を刻む!

・読者の皆さまへ   

 怜の視線が彩花の音に震える瞬間…… 颯の寡黙な瞳に宿る満足感、凛の弾ける笑顔が教室に響く瞬間…… この第5話で、あなたの胸に残ったものはありましたか?
 どんな一言でも、どんな気持ちでも、ぜひ聞かせてください。 
 怜と彩花、颯と凛の青春が、これからどんな音を鳴らすのか…… 一緒に感じながら、次回もお待ちしています。
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