彩光の詩 ~Eternal Echoes~

絹咲メガネ

文字の大きさ
4 / 29
1st STAGE ~Eternal Echoes~

第4話【雷鳴の序曲】

しおりを挟む
────────────────――――
 教室の片隅で響く雷鳴のようなギター。

 ハードロックユニット「NightReaverナイトリーヴァー」のはやてれいは、音に魂をぶつける。

 学園祭のステージを前に、怜の心は遠くのキーボードの音に揺れる。

 対極の音色が交わる運命が、静かに近づいていた――。
────────────────――――

・教室の轟音:魂の響き・

 霧咲《きりさき》高校の教室は、放課後の静寂に包まれていた。

 夕陽の赤みがカーテンを透かし、埃が舞う空気をほのかに照らす。

 窓際の机に置かれた小型アンプから、エレキギターの弦を震わせる轟音が響く。

 はやてれい、ハードロックユニット「NightReaverナイトリーヴァー」の二人は、学園祭のステージに向けてオリジナル曲「Thunderサンダー Pulseパルス」を磨き上げていた。

 雷鳴のような重低音が教室を揺らし、彼らの魂を刻む。

 颯はがっしりした体を少し前傾させ、短く刈った黒髪の下で鋭い目がギターのネックを貫く。

 制服のシャツは袖をまくり、動きにキレのあるリーダー格の姿。

 ギターを低く構え、パワフルなリフを刻むその姿は、まるで伝説のメタルバンドの若き魂を彷彿とさせる。

「怜、さっきのフィル、もう半拍早く入ってくれ。」

 低く落ち着いた声が、教室の空気を引き締める。

「俺のリフに合わせて、もっと魂がぶつかり合う感じにしたいんだ。」

この音、観客の心をぶち抜く……。

颯の瞳に、燃えるような情熱が宿っている……

 怜はふと、そう思った。

 怜は隣で、華奢な肩を少し縮こませながらギターを抱える。

 長めの前髪が整った顔を半分隠し、繊細な雰囲気を漂わせる。

 指が弦を滑り、情感豊かなアルペジオが颯のリフに寄り添うように響く。

「うん、わかった……」

 怜の声は控えめだが、瞳には音楽への情熱が揺れる。

颯の音に、俺の音、ちゃんと届くかな……

 怜の心に、かすかな不安と闘志が交錯する。

 颯は小さく笑い、怜の肩を軽く叩いた。

「お前、キーボードやってただけあって、音に深みがあるんだよ。その繊細さが、うちのサウンドに色を付ける。絶対カッコよくなるって。」

 サッカー場でチームを引っ張った経験が、颯の言葉に力強さを与える。

怜の音は、俺の雷鳴に魂を吹き込む…… 

 颯は怜をハードロックの世界に引き込んだ兄貴分であり、怜の迷いを支える存在だった。


・制服の誓い:音で勝負する魂

「そういえば、ステージ衣装どうする? 俺、制服のままでいいと思うんだけど。」

 颯がギターを膝に置き、夕陽に目を細める。怜は前髪をそっとかき上げ、控えめに頷いた。

「うん、俺もそう思う。派手なの、ちょっと苦手だし……制服なら動きやすいし、颯と息を合わせやすいよね。」

 颯はニヤリと笑い、ギターの弦を軽く弾く。
 バーン!と響く音が教室を震わせた。

「だろ?俺たちは音で勝負だ。衣装なんかに頼らず、ギターの轟きで観客の心をぶち抜くぞ!」

 彼の瞳は燃え、怜を巻き込んで雷鳴のようなステージを夢見た。

「もう一回、頭から合わせてみよう!」

 二人の練習は、校舎裏の静かな片隅や空き教室で続いた。

 人目を避け、ひたすら音を重ねる。颯が骨太なリフを刻み、怜が繊細なアルペジオで奥行きを添える。

 怜がリズムを外しても、颯は「気にすんな、次だ!」と笑い、怜は小さく頷いて弦を握り直す。

 スマホのドラムアプリのビートを軸に、重厚なツインギターのサウンドが教室を満たす。

「NightReaver」の世界観が、少しずつ固まっていった。

颯のギター、まるで雷が地面を割るみたい……

 怜は心の中で呟き、颯の背中を見つめる。

俺の音、ちゃんと届くかな…… 
でも、颯と一緒なら、絶対響くはず……

 彼の指が弦を強く弾き、初めての自信が胸に灯る。


 ・運命の交錯・

 颯と怜の目標はシンプルだった――

 学園祭で「自分たちの音」を響かせること。観客の目は気にせず、ただ魂を音にぶつける。

「NightReaver」は、教室の片隅で生まれた小さな夢だったが、雷鳴のように大きく響く可能性を秘めていた。

 同じ学園、同じクラスにいながら、颯と怜は「BlossomEcho」のりんと彩花と交わる機会はなかった。

 凛の明るい笑顔は教室を照らし、颯や怜もその存在に気づいていたが、言葉を交わすことはなかった。

 彩花は凛のそばに影のように寄り添い、颯や怜とは目も合わず、互いの世界は平行線のままだった。

 だが、学園祭のステージが近づくにつれ、運命の糸が静かに絡み始める。

 ある放課後、校舎裏でギターを調整していた颯と怜は、音楽室から漏れるメロディを耳にした。

 彩花のキーボードが紡ぐ柔らかな音と、凛の力強い歌声が響き合う。

 颯はギターを手に立ち止まり、呟いた。

「……あの音、めっちゃ心に響くな。学園祭のバンドなんて、流行りの曲をコピーするだけだと思ってたけど、これはマジで本物だ。面白くなってきたぜ。」

 怜は目を細め、音楽室の窓を見つめる。

「うん、なんか……心が揺れる音だね。あのキーボード、優しくて、でも力強い。誰が弾いてるんだろ……」

 怜の心に、初めての好奇心が芽生える。

 二人は知らなかった。

 自分たちの雷鳴のようなハードロックが、凛と彩花の花びらのようなサウンドと、同じステージで交錯する運命を。

 凛と彩花もまた、教室の片隅で黙々とギターを弾く二人の少年が、どんな魂を音に込めているのか知らなかった。

 夕陽が沈み、教室にアンプの残響だけが残る。

 颯はギターをケースにしまい、怜に声をかけた。

「怜、俺たちの音、絶対響くぜ。学園祭、ぶちかまそう!」

 怜は小さく微笑み、ギターを抱きしめるように頷いた。

「うん、颯と一緒なら、きっとやれるはず!」
────────────────――――
・次回予告:第5話【星と雷鳴のステージ】

 いよいよ学園祭当日! 「BlossomEcho」の彩花は、生まれて初めてのライブに震えながらステージへ。
 だが、鍵盤に触れた瞬間、彼女は天才的な輝きを放ち、体育館を星空のような音で満たす! 凛の情熱的な歌声、怜の注がれる視線、颯の雷鳴のようなギター。4人の魂がぶつかり合い、どんな青春のハーモニーを響かせるのか? 次回、「星と雷鳴のステージ」、心揺さぶるライブが始まる!

・読者の皆さまへ

 颯の雷鳴のようなギターと、怜の繊細なアルペジオ…… 教室に響く二人の音、夕陽に輝く制服、運命の糸が絡み始めた瞬間……
 この第4話で、あなたの心に残ったものはありましたか? どんな小さな感想でも嬉しいです。
 颯と怜が学園祭のステージでどんな音をぶつけるのか、一緒に想像しながら、次回もお待ちしています。
────────────────――――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...