彩光の詩 ~Eternal Echoes~

絹咲メガネ

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1st STAGE ~Eternal Echoes~

第16話【赤い翼】後編

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 れいの赤い翼が、彩花の音に新しい息吹を与えた。

 「Autumnオータム Whisperウィスパー」が生まれる瞬間、コメント欄に現れた懐かしい名前が、過去の記憶を呼び覚ます。

 りんの願いが、彩花の心を揺らし、怜との絆が試される。

 切なくも温かな選択の先にあるものとは――?
────────────────――――

・Autumn Whisper:新たな輝き・

 二人は「Northノース Elementエレメント3」を使い、初の楽曲「Autumnオータム Whisperウィスパー」を作曲。

 彩花の提案した紅葉のイメージを基に、怜《れい》のギターが秋風のように流れ、彩花のキーボードが葉の揺れる音を奏でるインストゥルメンタルが誕生した。

 音楽室で何度も試奏を重ね、音を磨く。

 録音を終え「Crystalクリスタル Veilヴェール」として動画サイト、TubeStreamチューブストリームにアップロードする夜、音楽室で画面を見つめ、緊張と期待で手を握り合う。

「これ……みんなに届くかな……?」

 彩花の声が小さく震える。

「絶対届くよ。彩花の紅葉の音、俺のギターと一緒に……最高だもん」

 怜の笑顔が、彼女の不安を包む。

「Autumn Whisper」は爆発的な注目こそ集めなかったが、歌のない透明なサウンドがコアな音楽ファンの心を掴む。

 コメント欄には「心に響く透明な音」「ギターとキーボードの絡みが絶妙」「秋の夜にぴったりの曲」と温かい声が集まる。

 ある夜、彩花はスマホでコメントをチェックし、目を輝かせる。

「怜! コメント増えてる……!」

 一つのコメントに目が止まる。

「このキーボードの音、どこか懐かしい…… 中学の図書室で、夕陽の中で笑った誰かを思い出す。もう一度会えたら……ユウナ」

ユウナ……優奈ゆうな……?

 懐かしい名前が胸を締め付ける。

 中学時代の親友、明るい笑顔で図書室を照らした優奈の記憶が、霧のように蘇る。

転校で突然いなくなった彼女…… 
あの笑顔、リボンの揺れる制服、秘密を共有したメモの感触……

この「ユウナ」は、優奈なの……? 

それとも、ただの偶然……?

 彩花の指がスマホを握りしめ、心がざわめく。

 あの夕陽の図書室で交わした約束…… 彼女の声が、遠くで響くようだ。

 コメントの言葉が、彩花の音に隠された過去をそっと呼び覚ます。

「怜……このコメント、なんか……懐かしい感じがする……」

 彩花はメガネを直し、声を震わせる。

 怜は彼女の手を握り、「彩花の音、誰かの心に届いてるんだ。すごいよ……」と励ます。


・ライブハウスの孤独:りんの喪失感・

 別の日の夜、商店街の地下にある小さなライブハウス「Roseローズ Neonネオン」は、激しいバンドの演奏と観客の熱気でざわめく。

 ドラムの重低音が胸を叩き、ギターのリフが空気を切り裂く。

 凛《りん》は一人、客席の隅に座り、膝に肘をついて物思いにふける。

彩花……「Crystal Veil」の動画、めっちゃよかった……

 だが、BlossomEchoブロッサムエコーは彩花の不在で活動が縮小し、凛はソロで曲作りを進めるも、思うように進まない。

 彩花のキーボードの才能がいかに大きかったか…… 彼女の優しいメロディが私の歌をどう引き立てていたか……

 フェスティバルのピンクの輝き、教室での知的な制服姿が、凛の心を静かにざわめかせる。

彩花の笑顔……いつも私の歌を支えてくれてた……
会えないだけで、こんなに寂しいなんて……

 ふと壁に貼られたポスターに目を留める。

Neonネオン Sparksスパークス Nightナイト 来月開催! 新進気鋭のアマチュアバンド大募集!』と赤いネオン文字が躍り、添えられたキーボードのイラストが彩花を思い出させる。

彩花……また一緒に音を響かせたい……

 凛の瞳は、ライブの照明に揺れながら、彩花への深い友情と喪失感で滲む。

 同じライブハウスを訪れていた颯は、自身の曲の参考にするため、ステージの演奏に耳を傾ける。

このビート、タイトだ…… ドラムのフィル、俺の曲に活かせる……

 ふと客席を見渡すと、隅でステージには目もくれず、複雑な表情でポスターを眺める凛の姿が目に入る。

凛……いつもあんな明るいのに、珍しく元気ないな……

 気遣いがよぎるが、声をかけず、クールに見守る。

俺は俺の音楽を突き詰める。それが仲間への応援だ


・凛の願い:揺れる心・

 翌日の昼休み、教室は生徒たちの笑い声で賑わう。

 彩花は窓際で「Crystal Veil」の新曲のアイデアをノートに書き留める。

怜との音楽…… ほんと幸せ……

 だが、ユウナと書かれたコメントと凛への淡い憧れが心をざわめかせる。

そういえば、最近の凛、あまり話しかけてこなくなった。元気ないのかな……?

 優奈を失ったあの寂しさが蘇る……

凛と離れたくない……

 彩花は勇気を振り絞り、凛に声をかける。

「凛、最近元気ない? また一緒に歌いたいな……」

 凛の目がパッと輝く。

「彩花、ほんと? めっちゃ嬉しい……!」

 深呼吸し、真剣な瞳で続ける。

「彩花、怜との『Crystal Veil』、見たよ。めっちゃよかった……! あの透明な音、彩花と怜の優しさが伝わってくる……」

 声に熱がこもり、だがすぐにトーンが落ちる。

「最近、ソロ活動やってたけど…… やっぱり彩花のキーボードがないと…… 私の音楽、物足りないんだ……。
『BlossomEcho』、また一緒にやりたい……。来月、『Rose Neon』の『Neon Sparks Night』ってイベントでさ、アマチュアバンドのライブあるんだ。」

 凛は少し目を細めて、懐かしそうに笑う。

「実は……店長が、うちの母さんと昔一緒にバンドやってた人でね。彩花と録ったデモ聴いてもらったら、『お前の母ちゃんに似てるな』って笑って、特別枠で出させてくれることになった! 友達もチケット買ってくれるって言ってるし、気軽に出れるよ! 彩花、一緒にどう?」

 彩花の心が弾む。

凛……私とまた……?

凛の母さんも音楽やってたんだ……
だから凛は、こんなに音楽に真っ直ぐなんだね……

 凛の真剣な眼差しに、かつての淡い憧れが蘇る。

私、凛のこと…… まだ意識してる…… でも、怜との時間も…… どっちも失いたくない……


・葛藤と決断:新たな旋律・

 放課後、彩花は音楽室の窓辺で一人、夕陽を見つめる。

 凛の情熱と怜への愛が交錯する。

 ライブハウスのステージ、緊張する…… 知らない人の前で、ちゃんと響くかな…… 
でも、凛と輝きたい! 優奈を失ったあの寂しさ、繰り返したくない……

 教室の窓際、数人の生徒が残る中で、彩花は怜に決断を伝える。

「怜…… 凛と話して…… 来月まで『BlossomEcho』の活動に専念しようと思うの。凛とライブハウスで演奏したい……。だから……『Crystal Veil』、ちょっとだけ中断して……いい……?」

 怜は一瞬驚き、胸が締め付けられる。

彩花…… 凛と……?

 恋人としての絆と配信の成功に喜びを感じていただけに、寂しさがこみ上げる。

 だが、彩花の真剣な瞳を見て、彼女の気持ちを尊重したいと思う。

「うん……分かった。凛との友情……大事だもんね。俺、応援するよ……」

 笑顔を見せるが、寂しげな瞳で彩花を見つめる。

 彩花は怜の優しさに胸が温まり、安堵する。

「怜……ありがとう。終わったら、すぐ『CrystalVeil』、新しい曲で再開しようね…… 紅葉の続き、作りたいな!」

 二人の視線が絡み合い、夕陽が音楽室を柔らかく照らす。
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・次回予告:第17話「魅惑のライバー」

 彩花が凛の願いを受け入れ、BlossomEchoのライブへ突き進む! 「Crystal Veil」は一時休止も、怜と彩花の絆は揺るがない…はずだった。
 ツインボーカルで開花する彩花と凛の音に、怜の心が揺れる。次回、「魅惑のライバー」、青春の旋律が新たなドラマを切り開く!

・読者の皆さまへ

 彩花と怜の「Autumn Whisper」、ユウナと名乗るコメント、凛の願い、どの瞬間があなたの心を震わせましたか? BlossomEchoのライブ、彩花たちのどんな輝きを期待しますか? ぜひその想いを聞かせてください。どんな小さな言葉でも、すごく嬉しいです。
 二人の愛と音のハーモニーを、次回も、一緒に見守ってください。
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