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1章
レイシアの思い
しおりを挟むそのあと私は、再び1日ほど気を失っていたようでした。起きた時には太陽が昇っていたのです。
「ふわぁ~ぁ」
ん?メイド?確かあの子は.........
「レイシア様!!起きたのですね!良かったぁ~
今、お医者様を呼んで来ますね!!」
「さっきの子……誰だったかしら……」
それから暫くして......
「レイシア様、失礼します。
その表情ですから、私のことなど覚えていないでしょうね.........
一応自己紹介しますと私は、ティートと申します。お嬢様の専属医です。」
「そして、同じく専属医のカリーナですわ。」
ティート.........相変わらず私をからかうのが好きね.........
「覚えてなくてごめんなさい.......なんて、言うと思いました??
貴方達のこととかも、思い出したわよ?
ティート、貴方分かってたでしょ?それと、ティートもカリーナもレイシア様呼びをやめなさい。いつものように、呼んで欲しいわ。」
「ククっ、最高ですよ。お嬢
どんだけ、あんたは俺を楽しませてくれるんだよ。」
「お嬢様、記憶が戻られご無事で何よりです!お嬢様が死んでしまうかもしれないときいて、すぐにかけつけたのですよ!、」
「私は貴方を楽しませる気は全くなくってよ。ただ、いつも貴方からされていることを思い出して、つい仕返しにからかってみたくなったのよ…
カリーナも心配かけて本当に申し訳なかったわ…これから気をつけるから許してちょうだい…
って、二人ともそんなに睨まなくてもいいじゃない」
「みんなを心配させといて、お嬢がふざけてるからだよ…はぁ……
……で、本題なんだが、お嬢の中にいるあんたは誰だ?身体はお嬢でも人格はお嬢じゃないだろ?」
「…口調はお嬢様と似ていますが、、、やはり雰囲気が違いますわ…」
「あら、貴方達はそんなにも簡単に分かるの?
さすが、専属医なだけあるわね」
「分からなきゃ、医者なんか続けられていっつーの。なぁ、カリーナ?」
「えぇ。自分たちの対応している大切な患者様のお顔と雰囲気などなど覚えなければ、いつかミスが起こりますわ。
それに、お嬢様は私たちの命の恩人ですわ。私達が忘れる訳ありませんもの。」
「そう……貴方達は素晴らしい医者ね……。
その貴方たちの大切なお嬢様を私が奪ってしまって申し訳ないわ……本当にごめんなさい……
貴方たちを信用して名前を教えます。でも、他の人には決して言わないで貰えませんか?」
「「もちろんですとも!私たちは医者ですから。」」
「そう言って貰えて何よりです。
改めて自己紹介させていただきますね。名前、現在のレイシアさんのお身体?魂と言ったらいいのでしょうか?にいます桜凜 伽耶と言います。
前世では余命にかかわる重度の病気を患い、確か、16歳の時になくなり、昨日の出来事の際にレイシアさんの記憶を教えて貰いましたの。
私が憑依したということは、多分この身体にもなにか、病があるのではないでしょうか?
私には分かりませんが、そんな気がしてならないのです。」
「「っっっ……!!!」」
「や、病のことは、そうなのですが……
そ、そんな若さで亡くなって、、カヤ様には心残りなど、、なかったのですか……?」
ティートは、悲痛な面持ちで疑問に思ったことをきく。
「そうだね……
唯一心残りなのはお兄ちゃんのことかな……?
でも、お兄ちゃんには、一生涯愛してくれる人と、側から、影から守ってくれる人達がいるから、安心して任せられるんだよね…!」
伽耶……いや、レイシアは、潤んだ瞳で、笑った。
「お嬢様……いいえ……カヤ様、ここには私どもしかおりません、ご主人様に告げ口をするような者卑劣な者はいません。だから、どうか存分に泣いてください。カヤ様は頑張ったのです!泣いていいのですよ!」
カリーナはそういうと、レイシアの身体を抱き寄せ、赤子をあやすかのように、背中を〝トンっトン〟っと優しく叩いてあげた。
「……っっうわぁぁあんっっ」
レイシアは、しゃくりあげながら泣いた。
「お兄ちゃんはっ……お兄ちゃんは、私の側にいつも一緒にいてくれてっ、守ってくれて、色々なこと教えてくれてっ、、
いつも優しくて、カッコよくて、勉強も他のこともいーっぱいいーっぱい頑張って、自分こと後回しで、体調崩しちゃったり、倒れちゃったり、誰よりも一番の頑張り屋さんだから、私の事ばっかり気にしてくれて……
そんなお兄ちゃんにもね、彼氏さんが出来たのっ……
お兄ちゃん、無自覚に皆に愛されてるの知らないから、オタクバレたら、嫌われるって思ってるの……
そんな、鈍感なお兄ちゃんも好きなのっ……
私だってもっと、もーっと、お兄ちゃんと一緒にいたかったよぉ」
そういうと、カリーナの腕の中でレイシアは声をあげて泣いた。
泣くことを知らなかった無垢な瞳から、次から次へと、雫がこぼれ落ちる。
ポロポロと、こぼれ落ちる涙は、美しく見るのを魅了した。
その光景は、まるで、女神が涙を流すようだったと、この医者は自身の後を継いだ医者に、言い伝えそれは何代にも及ぶことになるとはまだ誰も知らない。
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