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1章
大切な娘
しおりを挟むあぁ!やっと愛しの我が子に会える!!
何年待ったことか!
ティアラがいなくなって、私の心にはポッカリと大きな穴が空いたように、何も感じなくなった。
そう、ものすごい喪失感…………
ティアラがいた時は毎日がとても明るく、皆の笑顔が、楽しそうな声が溢れかえっていた。
神殿だって、光り輝いていたんだ.........
でも、彼女が!ティアラが、ティアラがいなくってから!何もかもが変わってしまった!!
神殿は、まるで闇堕ちしたかのように暗く、なんの音も、声もしなくなった。
神界全体が、光をなくし、まるで邪界と同じようになり、神達皆笑顔を見せなくなった。
ティアラがいた頃いつも、笑っていた神達は皆まるで亡霊のように存在感を消すようになってしまった..................
私はティアラを失った後、本当に一日一日を過ごすことが辛く、もう生きるのをやめようか、これからどうやって生きていこうか、そんなことばっかり考えていた。
でも、そんな私に一筋の希望になる一報がコアトリクエ様によって伝えられたんだ。
『ティアラは、お前にもう一度会うために何度も転生を繰り返している。
どこの誰に生まれ変わるのか、俺にも分からないが、かなり神としての力が弱くなっているようだったから人間として転生をしているのは確かだ。
だから、早く見つけてやれ。
俺の力によって数千年いや、数万年は、ティアラが妊娠していた赤子は生まれてこないようにしてやるから、主神の力を使ってこの世界のお前が分かる場所に条件をつけてティアラの魂が生まれるように限定しろ。
時が満ちた時、正真正銘お前の娘も生まれるはずだ。
少しでも長くもつように、少しずつお前の力をティアラの魂に送るようにしておく。
だか、もし見つけるのが遅れた場合、最悪の事態になることを覚悟しておけ。』
その言葉は、私にとって一筋の希望でもあり、違えれば最悪の吉報でもあった。
それを聞いて、すぐ私は他の神達を集めた。
「皆、聞いてくれ!!もう一度ティアラに会うことが出来るかもしれない!!
コアトリクエ様がティアラは、神としての力が弱くなっているから人間に何度も転生をしていると教えてくれたんだ!」
その言葉に即座に反応したのは、他でもないティアラと一番中が良かった3人の女神達だった。
そう、復讐の女神 エリーニュスと慈愛と慈悲の女神 クァンインと自愛と淫猥の女神 エウメニデスだ。
いつもは、喧嘩ばかりしている3人の女神達ではあるが、ティアラとは本当に仲が良かったからアトゥールのように、いやそれ以上に悲しんで、遂には喧嘩もしなくなった.........
でも、それが嘘のように3人とも久しぶりに、顔に笑顔を浮かべ、私に真偽を尋ねてきた。
「ほ、本当ですか!?」
「ほ、本当になの!?」
「本当に!?」
そして3人の心配そうな声は、重なり合った。
いつもは、それだけのことでも小さな喧嘩が始まるのだが、今日はそれどころではないようで、やけに大人しいため他の神達が心配するという不思議な空間が出来上がった。
「あぁ、本当だよ!
だから、皆ティアラの魂の持ち主を探すのを手伝ってほしいんだ。
私一人では、どうしても見つけるのにかなり時間がかかってしまうから.........お願い出来ないだろうか?」
「「「「もちろんです!!ティアラ様にもう一度会えるのなら!!」」」」
皆、よっぽどティアラに会いたいのだろう。
拒否されることなく引き受けてくれたのだ.......
私は、とても嬉しかった!
本人はそんなことは無いと笑って誤魔化していたが、ティアラがこんなにも多くの神に慕われていたことが.........
「ありがとうっ.........!」
それから全員で、毎日、毎日、毎日交代で自らと自分の聖獣とでこの世界を探し回った。
でも、いくらたっても見つからなくて諦めかけたその時だった.........
ティアラと似た魂を持った人の子を見つけたんだ!
その時見つけた魂、それがソフィアだった。
すぐに、迎えに行こうと思った。でも、何故かすぐに消えたり、現れたりを繰り返していた。
少しの間なら平気だろうと思った。これが一生後悔することになることに私は、気づけなかった。
それに、ソフィアがいつの間にか神の愛し子の証を持っていたことも.........
そして、この国に何かあるのではと思い聖獣を派遣し調査をしようと思った、なのに!なぜか聖獣が入ることが出来なかったんだ。
後々わかったことだけど、あの国は、堕天使の力によって血界をはられていたことがわかった.........
そう、あの時すぐにソフィアを迎えに行ってれば、痛い思いをさせなくて済んだんだ.........
私は、とても後悔した。私の判断ミスでソフィアの身体を精神をとても傷つけたのだから。
でも、その時の調査のお陰で必要のない国をこの世界から消すことが出来た。
他の神達もデーヴィド帝国がソフィアを連れて帰ってくるまで、焦るあまりあのアルテスでさえも気づくことが出来なくて皆後悔していた。
私も、あまりの出来事に驚きを隠せなかった。
魂の感じが似ているなと思っていたらまさか、本当にソフィアが私とティアラの子どもだと知ったからだ.........
自分で言うのもなんだが、ソフィアの傷を癒してからの私の行動は早かった。
ソフィアに仇なす国を、神達全員で滅ぼしたり、必要のない国民をタリスと国の贄にしたりと大掃除を楽しんだ。
そして、やっとソフィアが無事目覚め、再会した。
『お父様.........!!』
その一言がとても嬉しかった。
こんな私を父と、父と呼んでもらえたのだ!
ソフィアは、ティアラに似てとても美人に成長していて、あんな環境でよくここまで健やかに育ってくれた.........と感動の思いでいっぱいになった。
これから、ずっと一緒にいたい。そう思っていたら、ソフィアも同じこと考えていたようで、少し悲しそうな表情でずっと一緒にいられるのかって聞いてきた。
もちろんそのつもりだから、もちろんってこたえたら、満面の笑みを見せてくれた。
その笑みは、とても美しくまるで、月の女神のような優しい笑顔だった。
当然それを見た他の神達は、顔を赤くしていたが、それをいちいち注意しているとキリがないので、無視をしてソフィアとのはじめて2人っきりで話をした。
エドワード君が、少し嫉妬してソフィアを取り返そうとしていたが、皇帝に止められていた。
皇帝ナイスだと心の中で賞賛を送った.........
途中でコアトリクエ様が、突然現れていたが、アガウスが嬉しそうなので良しとする。
結局ティアラの魂の持ち主は、見つからなかったが、いつか会えること信じ、ソフィアとの日々を大切に過ごしていこう。
今度こそ、大切な人を失わないようにする。
そう、心に誓った。
ティアラと再開する日に思いを馳せて.........
_________
明日は、更新をお休みします。
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