追放された私が、本当の聖女ですがなにか??

天音 翔

文字の大きさ
5 / 6
1章

先手

しおりを挟む


 「皇太子様!!!!大変です!!」
 とある城の一室に、ラティス王国にスパイとして潜入していた文官の一人が、文官らしくない足音を荒立てながら飛び込んできた。

 「なんだ!何があったんだ?」

 「ラティス王国が、聖女召喚を行いました!」

 「なんだと?遂に国は禁術魔法を使ったかっ!いつかはある意味何かをやらかしてくれると思ったぜ。
 で、お前がそんなに急いで戻ってくるんだ。他に何かあったんだろ?」

 「は、はい!そうなんです!!
 実は、聖女として召喚された娘は三人いたのですが……精霊様に尋ねた所、二人の魂は物凄い穢れを纏っているそうですして、しかもその二人を聖女と認め婚約すると王子達が言い出しまして.....唯一の穢れなき魂の持ち主の少女を〝追放〟しました!!!

 多分、その少女が本当の聖女様です!!

 つまりラティス王国は、本当の聖女をしたのです!!!

 これは、由々しき事態です!どうしますか、皇太子様。」

 「なんだと!!
 オルガ、父上に今すぐに伝えに行け!急ぐんだ!!」
 皇太子と呼ばれた彼は、側仕えの騎士に言伝を頼んだ。

 「そうだな.....父上に出来なくて俺達ができること.........

 そうか!

 よし。俺達は今すぐこの国を発ち聖女様を迎えに行くぞ!!
 すぐ、騎士と騎士全てが出られる準備をするんだ!」

 「ほ、本気ですか!?この二つの騎士団を出すと言うことは、宣戦布告も意味をしますが.........陛下の許可もなくよろしいのですか?」

 「何を聞く、私はこの国の次期皇帝だぞ。
 聖女はとても貴重な存在.........これが他国に知れれば、どうなるか嫌でも分かるだろう??
 だからこそ、俺は他国に聖女が監禁でもされる前に、救わなければならんのだ。」

 「!!!そうでした。私としたことが.........
 貴方様を甘く見ていたようですね.........わかりました。すぐ、準備を致します。

 皇太子様も準備をなさってください。これから向かうのは、聖女様の元なんですからもし、何かあった時のためにも、正装の方がいいでしょう。いかにも、皇太子という風貌を醸し出していた方がよろしいかと。貴方様に惚れてくれるかもしれませんよ?」

 「そ、そうか!よし。すぐ、準備をしよう!
 では、城門前の広場に半刻後集合だ!」

 「(案外、この人もチョロいんだよな........)わかりました。では、失礼します。」
 皇太子付きの文官のアレルは、かなり頭の切れる強者である。多くの貴族にも慕われている彼の言うことを、無視するものは居ないだろう......
 そして、今日もアレルは皇太子の発言により、軽く胃痛を覚えることになるのだった.........




 _________

 (said:皇帝)
 
 バタバタバタバタ

 ん?なんだ?今日はやけに騒がしいな.........

 「皇帝様!!!大変です!!」

 「なにがあった!?」

 「ラティス王国が禁術魔法を使い、聖女を呼び出しました!!」

 「なんだと!!!国際法で禁止したはずなのに、バカ国は何をやっておるのだ!!」

 「それが.........現国王が病に伏せている隙を見て、がやらかしたようです。」

 「.........はぁ......何をやってくれとるのだ。
 それで、まだ続きがあるのだろう?」

 「.........はい。実は召喚された聖女は三人いたのですが、そのうちの二人は物凄い穢れを纏っているらしいのです。でも、それに気づかない王子達はその二人と婚約するといい、唯一の穢れなき魂の持ち主の少女を追放したのです。」

 「.........バカだなそれは。穢れなんてもんは、赤子でも見えるってのに、本当に精霊に嫌われて見放されてるんだな、あの国は。

 それで、もうアティルスは動いたのだろう?
 そうだな.........竜騎士と龍騎士でも連れていったんじゃないか?」

 「!!はい!そうなんです!なぜわかったのですか!?」

 「それは、もちろん息子だからに決まっているだろう?」
 
 「........はい、そうでしたね。皇太子様は、昔の陛下のようですね(ふふっ)。」
 
 何を言ってくれるんだ!!このろくでなし宰相め!(※宰相に、仕事を押し付けられる腹いせに勝手にそう言っているだけで、宰相はとてもいい人物です!)

 「そんなことはないはずだ!!」

 「いや、そうなんですって。素直に認めましょうよ、陛下。」

 「み、認めんぞ!」

 「往生際が悪いですね.........されたいですか?」

 そ、そんなことを言われても、絶対に認めてなんぞやるか!(←宰相のお仕置きが、皇帝でも怖がるらしい)
 
 アティルスが帰ってきたら、なんて声をかけようか.........宰相のせいで.....(クソっ💢)

 早く聖女とともに戻ってこい、アティルス。
 
 そして、誰かこの宰相をどうにかしてくれ.......
 そろそろ胃に穴が開きそうなんだが.........

 誰か.........



 _________



 皇帝さん、とても苦労人のようですね(^ー^* )フフ♪類は友を呼ぶのでしょうね(┌   ¯﹀¯ )┌✨

 次回予告:もう一つの出会い、です!
 主人公の視点になります。お楽しみに~♡♡

 今週中に更新予定です((( ノ*OωO)ノ

 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜

阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。 辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。 滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。 一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。 もう一人は、その影で虐げられてきた私。 偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。 だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。 △▼△▼△▼△▼△ 女性HOTランキング5位ありがとうございます!

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

私が偽聖女ですって? そもそも聖女なんて名乗ってないわよ!

Mag_Mel
恋愛
「聖女」として国を支えてきたミレイユは、突如現れた"真の聖女"にその座を奪われ、「偽聖女」として王子との婚約破棄を言い渡される。だが当の本人は――「やっとお役御免!」とばかりに、清々しい笑顔を浮かべていた。 なにせ彼女は、異世界からやってきた強大な魔力を持つ『魔女』にすぎないのだから。自ら聖女を名乗った覚えなど、一度たりともない。 そんな彼女に振り回されながらも、ひたむきに寄り添い続けた一人の少年。投獄されたミレイユと共に、ふたりが見届けた国の末路とは――? *小説家になろうにも投稿しています

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!

夏芽みかん
ファンタジー
生まれながらに強大な魔力を持ち、聖女として大神殿に閉じ込められてきたレイラ。 けれど王太子に「身元不明だから」と婚約を破棄され、あっさり国外追放されてしまう。 「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」 追放の道中出会った剣士ステファンと狼男ライガに拾われ、冒険者デビュー。おいしいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。 一方、魔物が出るようになった王国では大司教がレイラの回収を画策。レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。 ※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。 【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

処理中です...